『はんだごて』という工具をご存知でしょうか。学生時代に授業で使ったという方も多いことでしょう。はんだごては電子製品の基盤のはんだ付けに使われる工具です。電子工作に役立つアイテムで作業や趣味に持っておくと便利です。今回ははんだごての使い方や注意点、使うときに用意するものを紹介します。はんだごての使用例も紹介します。
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はんだごてとは、金属を溶かす部分とプラスチック製などの持ち手が組み合わさった工具です。主に電子製品の基盤において、金属を溶かし、金属同士を溶着させるはんだ付けに活用されます。
電子工作の際に基盤部分の制作に使ったり、故障した電子機器の修理をしたりでき、日常的に使う場面がある工具と言えます。はんだごてには2つのタイプがあります。使う場面を想像しながら使い方や注意点に進んでいきましょう。
はんだごてのこての部分に熱を伝えるヒーターのタイプによって、大きくニクロムヒータータイプ、セラミックヒータータイプに分かれます。熱の伝わり方や構造の違いがあるため、使う場面や頻度などを参考に2つのタイプのはんだごてから選んでみましょう。
ニクロムヒータータイプのはんだごてはニクロム線をこて先に巻いて、こて先の外側から加熱していきます。金属に接する部分を直に加熱するため、熱量が高く、溶着の質が高い点が特徴です。持ち手とこて先の距離が離れていることもあり、万が一のやけどの可能性を軽減してくれます。
安全な使い心地は子供の電子工作にも役立ちます。熱量の高さや安全性を重視する方にはニクロムヒータータイプをおすすめします。
ニクロムヒータータイプは外側からの加熱でしたが、セラミックヒータータイプはこて先の内側のヒーターで加熱していきます。内側からの熱がこて先の温度を安定させるため、電気が逃げないようにしっかりとはんだ付けをすることができます。
セラミックヒータータイプのはんだごてはこて先と持ち手が近いため、作業する場所を的確に熱しやすい使い心地です。電気が逃げない絶縁性の高さや持ち手による使いやすさは、より細かい電子工作に適しています。作りたいものや修理するものに合わせて、はんだごてのタイプを使い分けてみましょう。
はんだごてとはんだ付けしたいものが手元にあったとしても、そのまま作業してはいけません。はんだごては非常に高温であり、扱いには注意が必要です。またはんだ付けをする基盤などは精密機械であるため、しっかりと作業環境や道具を万全な状態することが大切になります。はんだごてを使う際に必要なものをチェックしていきましょう。
はんだごてを立てたり、一時的に置いたりすることができるスタンドが必要です。こて先は高温であるため、持ったまま他の作業をしたり、床などにそのまま置いたりするととても危険です。こて先を差し込むタイプのこて台は誤って触れてしまうことを防ぐため、子供と一緒に電子工作をするときには欠かせないでしょう。
溶着するためにははんだが必要です。固定したい部分にはんだごてではんだを溶かして使います。市販されているはんだは太さの違いや鉛が入っているかなどの素材の違いがあります。0.6mmや0.8mmなどのはんだがあるため、作業したい箇所のスペースの大きさなどによって、太さを選ぶことが大切です。
はんだ付けは細かい作業であり、少しのミスでも機械の動作に影響がでることも考えられます。はんだごて初心者の方は特に、はんだの溶かしすぎや溶着させる部品の間違いなどがあるため、修正のためにはんだを吸い取ってくれるはんだ吸い取り器があると便利です。
細かい箇所の修正にははんだ吸い取り線が活躍します。どのような修正にも対応できるように両方あると安心です。
スポンジはこて台に付属している場合もありますが、ない場合は別に用意しましょう。こて先を汚れとるために活用します。乾いていると汚れを取りにくいため、水を含ませておく必要があります。より精度の高い作業に大切なアイテムであり、家に必ずあるものでもあるため、忘れずに用意しましょう。
電子基盤はデリケートな部品であり、細かい部品も多く付いています。抑えたい時や動かしたい時にピンセットがあると便利です。細かい場所にも触れられ、手で直接触れなくて良いため、安全面でも役立ちます。作業スペースを確保するシートなどもあると整った作業空間で集中してはんだ付けができるでしょう。
はんだごてがどういった工具であるのか、使う際に必要な道具には何があるかを紹介してきました。はんだごてを使う前の知識を身につけたところで、さっそくはんだごての使い方をみていきましょう。初心者の方ははんだ付けの手順をしっかりと覚えておくことをおすすめします。
はんだごての電源をコンセントに差し込み、5分ほどこて先を加熱します。5分未満であっても加熱はされていますが、温度が安定しないため、ムラなく作業をするためにはしっかりと加熱することが大切です。またここでこて先の黒ずみがある場合、スポンジを利用して汚れを落としておきましょう。こて先が銀色になっていることが次のステップに進む目印です。
はんだ付けをするランドと呼ばれる基盤上の銅色の部分にこて先を数秒押し当てます。こて先とランドの間にはんだを近づけ温めるとはんだが溶け、ランドに流れ込みます。はんだが十分に広がったら、はんだを離します。はんだが冷え、固まるとはんだ付け成功です。ランドは電気を通す部分であり、ランドをはんだが覆っていること、はみ出していないことなどが電子機器の正常な動作につながります。
はんだごてを使う時は安全上の注意が必要です。金属を溶かすほどの高温であるため、こて先に触れるとやけどをしてしまうため、はんだ付けをしている時だけでなく、一時的に置いておく時も取り扱いに注意です。はんだごてを使う時にこて台を用意するのが欠かせないでしょう。
また溶けたはんだが飛び散ったり、溶ける時に煙が出たりするため、溶接などで使うメガネやマスクなどで対策をしておくとより安全に作業ができます。手についたはんだを誤って口に触れると薬品が口に入る可能性があります。作業しやすい手袋をするか、手についてしまった場合は洗い流し、むやみに体に触れないようにしましょう。