普段愛用しているお気に入りの工具、きちんと使用後のメンテナンスをしていますか?
DIYや修理・修繕などをする人にとって工具は欠かせないものです。購入時はどんなものがいいのかネットや口コミなどを調べ、高性能かつリーズナブルな製品を慎重に探し出して購入していると思います。
せっかく気に入って購入した工具も1回2回と使っていくうちに、用が終わったらそのまま工具箱にポイっと無造作に片付けてしまっていませんか?工具は頑丈そうに見えますが、実は使いっぱなしでいると、どんどん劣化して性能が衰えてしまいます。それを防ぐために、使用後は工具にあったメンテナンスが重要なのです。
しかし、メンテナンスの方法を間違えてしまうと、効果がないどころか逆効果になったりすることもあります。
そこで、ここではお気に入りの工具の性能を長持ちさせるためのメンテナンスの方法や注意点など、基礎知識をわかりやすく紹介しましょう。いつまでも、大切な「マイ工具」を長持ちさせるためにも、ぜひ試してみてくださいね!
ひとくちに「工具」といってもさまざまな種類があります。
一般的に、工具は金属製でかなり頑丈なので、うっかり落としたり乱暴に扱ったりしても、まったく影響しないように思えるでしょう。
しかし、工具は使用しているうちに、少しずつ傷が付いたり、摩耗したり、緩んだりなど、ダメージが蓄積していくのです。
そして、ある日「切れ味が悪くなった」「動きが遅い」「ガタ付きを感じる」などの異変が起こります。気が付いたときには、劣化がかなり進んでいることも!
工具の場合、劣化するとただ使いづらくなるだけではありません。思ったように使えないと不必要に力を入れてしまうので、手を滑らせたり足の上に落としたりして、怪我をする危険性が増えます。また、作業している対象物を壊してしまったり傷付けてしまったりなどのトラブルを引き起こすこともあるでしょう。
作業スピードを落とさず、安全に進めるためにも、定期的に工具の性質や部位にあったメンテナンスは欠かせません。
工具のメンテナンスに必要になる、基本的なアイテムを紹介しましょう。
ウエスは、工場などで油拭きや汚れ拭きなどに使用する雑巾のことを指します。
工具は手動でも電動でも、作業内容によってオイル・グリス・泥・砂・埃・皮脂などの汚れが付着するものです。
汚れは、付着したらウエスで拭いて取り去るのがメンテナンスの基本!
ウエスは、紙製・高機能なクロス製・リサイクル生地を利用した布製など素材はいろいろで、ドライタイプとウェットタイプがあります。
形状も、トイレットペーパーのようなロールタイプ・ボックスタイプ・乾燥を防ぐ蓋付きのポップアップタイプなど種類があるので、製品の説明書をよく読んで自分のニーズに合うものを選びましょう。
金属製の工具は、注意していても、いつのまにかサビが発生してしまうこともあります。ちょっとしたサビを発見したら、紙やすりで磨きましょう。
紙やすりは、砥粒の目の荒さを「番手」と呼び、粗目から極細目まで種類があります。
一般的に金属工具のサビ落としには、「中目(#120〜#240番手)」がよく用いられます。
防錆剤(ぼうせいざい)は、金属の表面にできるサビを防ぐために使います。
優れた潤滑性と防錆力を持ち、金属の表面に油膜を張り、防錆・防湿・きしみ止めなどの効果を発揮します。 一般的にミシン油がよく使われているようです。
スプレータイプ、筆などで塗るリキッドタイプ、スポイトでピンポイントに滴らせるタイプなど形状はいろいろあります。
潤滑油は、サビを防ぐ効果よりもツルツル滑る性質が強く、きしみや動きの悪さを改善するため、工具の可動部分の手入れによく使います。
防錆剤と潤滑油の両方の働きを兼ね備えている「防錆潤滑スプレー」もあるので、製品の「用途」の説明文をよく読んで選んでください。
上記で紹介したアイテムの他、以下のようなグッズがあるとメンテナンス時に便利なのでおすすめです。
工具のメンテナンスは汚れを落としたり油を用いたりするため、手指の汚れを防ぐ軍手が必要です。
軍手は「ゲージ数」が大きくなるほど編み目が細かくなり、柔軟性・収縮性が高くなります。好みもありますが、薄手のほうが細かい作業はしやすいです。
汚れ落としや油差し作業を行うとき、そのままテーブルや作業台の上に工具を直接置いて行うと汚れてしまいます。アルミトレーを置いて、その上でメンテナンス作業をするのがおすすめです。
工業用綿棒は、市販の綿棒に比べて綿球がほつれることがありません。本来は、精密機器・光学機器・レンズ・電子基板などで使用するものですが、工具の細かい部分にオイルを塗ったり汚れや水分を取ったりするのに便利です。
金属でできている歯ブラシのような形をしたブラシで、握りやすく、工具の細かい部分のサビ落としや研磨に使えます。
工具のメンテナンスを行うと、指先や手の平はもちろん、爪の中まで汚れや油が入り込んでなかなか落ちないことも!
ネイル&ハンドブラシがあれば、手を洗うときに手指と爪の中のしつこい汚れを落とせます。
着ている洋服に汚れが付くのを防げます。手入れに必要な道具、一時的に保管しておきたいパーツ、タオルやティッシュなどを分けて入れられる、ポケット付きの作業用エプロンがあると便利です。
工具にはさまざまな種類があり、それぞれの構造も異なります。全て一括りにして考えず、それぞれの工具に合ったメンテナンスを行うことが大切です。
そこで、DIYや修理・修繕を行う人が必ず持っているであろう代表的な工具、ドライバー・ペンチ・レンチ・ラチェットハンドル・インパクトドライバのメンテナンスのポイントを紹介します。
ドライバーは、先端が「+型」になっているプラスドライバーと「−型」になっているマイナスドライバーの2種類があります。
ドライバーの軸の部分は、防錆処理加工や光沢を出すメッキがほどこされますが、先端部分は「寸法精度」を高めるためメッキをほどこさないのが一般的。ネジと触れて擦れ負担がかかる部分なので要チェックです!
メンテナンスのときは、まず、ウエスでドライバー全体を丁寧に拭いて汚れを拭き取ります。先端を見て、少しでもサビが発生していたら表面を紙やすりで丁寧に磨きましょう。防錆剤はメッキを施していない先端だけに塗ってください。軸部分に塗ると滑ってしまい使いづらくなります。
ペンチ・ラジオペンチ・丸ペンチ・ニッパーなどのペンチ類は、先端でモノを挟んだり切ったり曲げたりするため、メッキ加工されていないのが一般的です。
そのため、サビやすいので注意しましょう。
まず、使用後は必ずウエスで全体や先端をきれいに拭き取ります。しっかり汚れを取り除いたら防錆剤を塗ってください。
ペンチのメンテナンスで重要なのは、摺動部(互いにこすれながら滑って動く部分)です。
ピンポイントで摺動部に防錆剤・潤滑油を塗ってから、グリップ部分を開けたり閉じたりして動かしましょう。隙間ができ防錆剤が奥まで浸透してくれます。グリップ部分に防錆剤を垂らさないように気を付けてください。
しばらく使用していないペンチが開きにくくなっているときも、同じお手入れをしてください。
レンチ(※スパナ)は、ボルトやナットを締める・緩める作業に使う工具です。
ボルトやナットの形状に合わせて使い分ける必要があるので、さまざまな種類があります。
大きさも形状もさまざまですが、まずは、ほかの工具同様、ウエスで全体や先端をきれいに拭き取りましょう。
めがねレンチやコンビレーションレンチのような、棒状のシンプルな構造のものは、水分や汚れなどを拭き取るだけでもいいのですが、観察してぶつぶつのような「点サビ」一歩手前の症状が出ていたら、金属磨き剤などで軽く擦って磨いてください。
モンキーレンチのように可動部がある場合は、そこに防錆剤・潤滑油を塗ります。ウォーム(口径調整用のパーツ)を固定しているボルトも緩んでいないか確認して締め直してください。
※アメリカ英語で「レンチ」、イギリス英語で「スパナ」と呼ばれています。
ラチェットハンドル類のメンテナンスについて順を追って説明する
ラチェットハンドルは、ソケットやアタッチメントを接続して使用する構造になっています。丈夫そうに見えても実は消耗品!長く使用していると、内側に細かい埃や汚れが溜まって動きが渋くなってきたりサビが発生したりして、使いづらくなるものです。
ネジで外せるタイプなら、オーバーホールしてみましょう。まずは全体をきれいにウエスで拭いて、分解してから内側を掃除します。外した部品は、紛失しないよう、小皿に置いてください。
汚れている部分は、潤滑スプレーを少量かけてからウエスで磨くときれいになります。きれいにしてから組み付けし、最後に防錆剤を塗ってください。
インパクトドライバなどの充電式電動工具は、ほかの工具同様まず柔らかいウエスで丁寧に全体を拭き取ります。濡れた布やシンナー・ベンジンなどの揮発性のものは変色の原因になるのでNGです。
ビットホルダー部分は、ビットとの摩擦が生じる部分なので、ときどき潤滑油を1〜2滴垂らしましょう。
また本体と充電池の接触部分が汚れていると、電力がスムーズに通じなくなることも。充電池やインパクトドライバーの受電池部分もウエスで拭いてください。
ビットはほぼ表面加工されていないのでサビやすくなります。防錆剤を塗って保管すると工具箱の中で「もらいサビ」をするのを防げるでしょう。
せっかく時間と手間をかけて工具のメンテナンスを行うからには、きちんとその成果を実感したいもの。どの工具でも、メンテナンス効果をアップするための共通する注意点があります。必ず実行してください。
工具は、基本的に手で握る部分はゴム・ウッド・樹脂などで覆われていますが、「作業部分」は金属製です。(モンキーレンチなど全体が金属のことも)
そのため、とにかく「錆びさせない」ことが鉄則です。ドライバーの先端のように「メッキがほどこされていない部分」もあるので、毎回使うたびに注意を払いましょう。
使用後は、乾いた柔らかいウエス優しく全体を拭きとります。手入れをしたあとは、そのまま作業台などに放置せずに工具箱やケースにしまいましょう。
一度にメンテナンスを行うのではなく、毎回使用後等にできるメンテナンスは日々行なっておくのが大切であることを記載。保管状態も大切であることを記載。
メンテナンスは、「連休にまとめてやろう!」というものではありません。長期間、保管状態にも気を配らず使用しない状態でいると、いざメンテナンスをしようと思っても、サビや汚れが溜まり劣化が進んでいることも。そうなるときれいにするのも大変ですし、元通りにならないこともあります。
そんな状態になるのを防止するために、使用後はこまめに簡単なメンテナンスをしましょう。面倒でも、乾いたウエスできれいに全体を拭いてから、工具ケースや工具箱に入れてください。
また、工具箱の保管場所にも注意が必要です。高温多湿で風通しの悪い場所は避け、通気性のいい場所に保管してください。ときどき蓋を開けて風にあてるのもおすすめです。湿度が気になる場合は、工具箱の中に乾燥剤を入れましょう。
メンテナンスをする際には、工具が磨耗していないかも確認しましょう。
たとえば、ドラーバーの先はネジと触れ合うので長く使用していると磨耗してしまいます。工具の種類にもよりますが、先端が磨耗していないか・摺動部にガタ付きがないか・ネジ部分のゆるみがないか・欠損していないか・正常に動くかなども確認してください。
工具は、DIYの大切な相棒です。あれこれと買い求めているうちに、どんどん点数が増えている人も多いでしょう。
見た目が頑丈なので「手荒に扱っても大丈夫!」と思われがちですが、手入れをしないと、埃・汚れ・サビなどが溜まり動きが悪くなります。
劣化や磨耗が生じた工具を無理やり使おうとすると、怪我をする危険性もあるでしょう。
工具は「使ったらこまめにメンテナンスをする!」と鉄則にして、長持ちさせてくださいね。