「ハンマー」は、建築や土木作業ほかプロの仕事現場はもちろん、キャンプ・一般家庭での家具などの修理修繕・DIYなど、幅広い場面で日常的に用いられています。
そのため、ひとくちにハンマーといっても、作業内容によって素材・形状・サイズ・機能などさまざま。プロ仕様のものから初心者用のものまで、数えきれないほどの製品が販売されています。
ハンマーで安全に作業を進めるためには、数多くの種類の中から自分の用途に合ったものを正しく選ぶ必要があります。
そこで、本記事では、ハンマーの基礎知識・種類・特徴・用途別のおすすめ・メンテナンス・注意点などをご紹介しましょう。ハンマーを探している人、選び方に迷っている人はぜひ参考にしてください。
ハンマーは、とんかち・金槌などいろいろな呼び方がありますが、基本的にはモノを叩いたり金属などを変形させたり釘を打ったりする道具です。
ハンマーの語源は英語の「Hammer(ハンマー)」で、日本語では作業内容や用途によって、槌(つち)・金鎚(かなづち)・玄翁(げんのう)・とんかちなどと呼ばれています。
ハンマーは基本的にヘッド(頭)・ハンドル(柄)・グリップ(握り)の3つのパートに分かれている構造です。
「ヘッド」は、ハンマーの「頭」の部分でモノに直接衝撃を与える部分です。材質・形状などさまざまな種類があります。
▪︎ヘッドの材質
鉄・非鉄金属(銅・アルミ・ウッド)・樹脂・ゴムのほか、片側が鉄で片側がゴムなど使い分けできるようになっているコンビものもある。
▪︎ヘッドの形状
ハンドル部分も、ヘッド同様に材質や形状には種類があります。
ハンドルの形状は、一般的には円形や楕円形ですが、四角柱や多角形になっているものもあります。
ハンマーにおいて「グリップ」(ハンドルで握る部分)の握りやすさや握り心地のよさは非常に大切です。ハンドルのグリップ部分だけに滑りにくい素材を使用しているものもあります。
グリップ部分が握りづらいと、作業がしにくかったり手元が狂ったりすることもあるため危険。基本的には、実際に売り場で実物を握り振ってみてから購入するのがおすすめです。
ハンマーのサイズは、主に「重さ」で区別されていてハンドル(柄)の部分に重さの表示がされています。ハンマーの種類によっても標準的なサイズは異なりますが、一般的には適切な重さは250g〜450gが目安といわれています。
例えば、日本ではポピュラーなハンマー「玄能(ゲンノウ)」の場合は375 gで、鉄鋼用ハンマーは450 gが標準サイズです。
ただし「標準」とはいっても腕の振り上げる力などは人それぞれ。また、メーカーによっても製品のサイズバリエーションは異なります。
購入する際は、実際に持って振り上げてみて、自分で使いやすいサイズ(重さ)の製品を選ぶのがおすすめです。
また、DIY初心者の場合は、玄能よりも軽くて打ちやすい225gくらいのネイルハンマー(片面が打撃面で片面が釘抜きになっているタイプ)が使いやすいでしょう。
ハンマーは、種類が多く、用途・素材・形状・サイズなどさまざまで、名称もいろいろあります。
「大工ハンマー」とは、一般家庭でのDIY作業や木工用作業、大工仕事などに用いられるハンマーの総称として使われることが多いようです。
大工ハンマーと呼ばれるのは、大槌(おおづち)・金槌(かなづち)・小槌(こづち)・とんかち・玄能(げんのう)・なぐり・かけたなど、さまざまな名称を持つハンマーが含まれています。
「玄能(げんのう)」は大工ハンマーの一種で、日本では非常にポピュラーなハンマーです。
玄能という名前は、江戸時代の地誌『雍州府志』(1686)によると、「昔、武蔵の国に殺生岩という怪石があり、触っただけで動物が死んでしまうために玄能和尚が呪文を唱えて大きな鉄のかなづちでこの殺生岩を割ったところ、その怪異が止まったため、以来鉄のかなづちを玄能と呼ぶようになった」という伝承からきています。
その名前の由来の通り、玄能は歴史の古い日本のハンマー。左右両面の叩く面は平面なのですが、よくみると片面は平らで、もう片面は少し膨らみのある形状をしています。
木材に釘を打ち付ける際、平面で最後まで打ち付けると傷を付けてしまいます。玄能は片面が曲面になっているので、ある程度釘を打ち込んだらそちらに切り替えて仕上げの打ち込みをすることで、木材に傷を付けずに済みます。
玄能は4種類あります。
「クローハンマー」は木工・DIY・建築などいろいろな場面で使用される一般的なハンマーです。
片側の打撃面は平面で、もう片側は二股に分かれて尖っているのが特徴。平面では釘を打ち込み、二股面では釘を抜くという異なる作業ができます。
見た目は同じ形状の「ネイルハンマー」と非常によく似ていますが、一般的にはネイルハンマーのほうがクローハンマーよりもヘッドが小さくハンドルも短いものが多いようです。
いずれにしても、1本で釘を打ち込んだり抜いたりできるので重宝します。
「特殊ハンマー」とは、玄能やクローハンマー(ネイルハンマー)のように、一般的な家庭の大工道具ボックスなどでよく見かけるものではなく、名前の通り特殊な現場でプロが用いているハンマーの総称です。
ハンマーはさまざまな種類やサイズがあり、選ぶのに迷ってしまうものです。そこで、DIY初心者でも使用できるハンマーと、プロの作業現場で使用するハンマーとに分けてみましょう。
DIY初心者に向いているハンマーは、汎用性がある・簡単に使える・危険性が少ないものになります。製品の重さや大きさ、握りやすさも考慮して選びましょう。
上記のDIY初心者向けハンマー、「ハンマーの種類と特徴」でご紹介した大工ハンマー・玄能・クローハンマー・特殊ハンマーは、プロユース向けの製品もあります。
プロユースの製品は、メーカーによっても異なりますが、ヘッド・ハンドル・グリップ部分の素材にこだわっていたりさまざまな工夫が凝らされていたり、使用現場に合わせてサイズや重さの種類が揃っていたりしているのが特徴です。
ハンマーは頑丈な道具なので、つい乱暴に扱ってしまうこともあります。けれども、安全に作業したり劣化を防ぐためにも大切に扱ってください。使用後は適切なメンテナンスをして、使用上の注意も守りましょう。
ハンマーを使用したあとは、柔らかい布などで汚れや手の汗・脂などを拭き取って工具箱に保管しましょう。もし、水で濡れてしまったら、タオルで水分を拭き取ってください。
また、長年使用しているハンマーは、ヘッド部分のガタ付き・グリップ部分の摩耗など、劣化も確認してください。
木のハンドルにガタ付きがある場合は、ガタ付きがなくなるまでハンドルの尻を打ち付け、飛び出た木の部分をノコギリで切り、くさびを打ち込むなどの補修をします。打撃面にマクレがある場合は、グラインダーなどで取り除き、凹みやひびがある場合は研磨してください。
ハンドル部分に大きな傷やヒビができたり、グリップ部分の緩みなどがでてきたら交換しましょう。
ハンマーは「打撃する」工具なので、扱いには注意が必要です。
ハンマーは多種多様にあるので、製品選びには迷ってしまいます。作業時に危険を伴うものなので、実際に握って振ってみてサイズや重さを確かめ、作業内容に合っているものを選びましょう。