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下請法とは ?ファクタリングへの影響は? 【※元銀行員が詳しく解説】

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下請法とは下請取引の公正化・下請事業者の利益保護を目的に作られた法律です。この下請法がファクタリング取引にどのように影響するのか、それを探るのがこの記事の目的です。

貸金業法が消費者金融の融資取引に大きく影響しているように、じつは下請法もファクタリング取引に強く影響しています。下請法は強行法規なので法律に反した取引はたとえ両者が合意した契約でも無効とされます。それだけに関係者は下請法の内容を熟知したうえで契約を結びまた取引をしなければなりません。

今回の記事では下請法で関係者が果たさねばならない義務禁止事項、ファクタリングで下請事業所が受けるメリットなどを中心に元銀行員である筆者が詳しく解説します。

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下請法とは ?

下請法とは正式名を「下請代金支払遅延等防止法」といいます。下請取引の公正化・下請事業者の利益保護を目的に1956年に作られた法律です。これは独占禁止法の特別法で所管官庁は公正取引委員会になります。

下請法が作られた背景

親事業者が下請事業所に自社の業務を委託して発注する際、親事業所は常に優越的な地位にあるため、ともすれば親事業所の一方的都合で下請事業所に対し無理難題を押し付けがちです。たとえば下請代金を発注後に減額したり、支払を一方的に遅延させたりします。

そこでそのような優越的地位の乱用を防止して、親事業所に公正な取引を図らせ下請事業者の利益を保護するために下請法が制定されました。また2003年には下請法が改正され、規制対象の拡大や違反行為への強化措置が図られています。

 

下請法で親事業者の果たすべき4つの義務、11個の禁止事項

下請法の骨子は親事業者が下請事業者に対して果たすべき4つの義務と11個の禁止事項から成っています。

以下で筆者の判断に基づき、ファクタリングに関係した項目を取り上げ詳しく解説します。なお、より詳しく知りたい方は以下のサイトを参照して下さい。

参照先:公正取引委員会 親事業者の義務
https://www.jftc.go.jp/shitauke/shitaukegaiyo/oyagimu.html

参照先:公正取引委員会 親事業者の禁止行為
https://www.jftc.go.jp/shitauke/shitaukegaiyo/oyakinsi.html

4つの義務

親事業者が下請事業者に対して果たすべき4つの義務とは以下の通りです。

  • ア 書面の交付義務
  • イ 支払期日を定める義務
  • ウ 書類の作成・保存義務
  • エ 遅延利息の支払い義務

このうち、特にファクタリングと関係があるのは項目イの支払期日を定める義務です。

項目イでは、親事業所が下請事業者に対して支払う下請代金の支払期日を給付(製品の納品、サービス等受けること)の受領後60日以内と定めており、勝手にそれ以上遅らすことを制限しています。

60日以内といえば約2ケ月です。下請事業者がファクタリング会社に売掛金を譲渡する時、買取り対象となる売掛金の支払期間が通常1~2ケ月であることを考えると、ファクタリング会社もこのような売掛金なら安心して買取りできます。これは下請法が支払い期間に関して効果的に働いていることを示しています。

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11個の禁止事項

親事業者が下請事業者に対してやってはならない禁止事項は以下の11項目です

  • ア 受領拒否
  • イ 下請代金の支払遅延
  • ウ 下請代金の減額
  • エ 返品
  • オ 買いたたき
  • カ 購入・利用強制
  • キ 報復措置
  • ク 有償支給原材料等の対価の早期決済
  • ケ 割引困難手形の交付
  • コ 不当な経済上の利益提供
  • サ 不当な給付内容変更及び不当なやり直し

このうち、筆者の考える下請法の禁止事項がファクタリングと密接に関係している項目は符号がイ、ウ、エ、キ、ク、ケ、サの禁止事項です。以下で個別に解説します。

下請代金の支払遅延の禁止

イの禁止事項は上記親事業者の果たすべき4つの義務のひとつ、支払期日を定める義務ともリンクしている事項です。

親事業所は下請事業所から物品等を受取りした日、またはサービスを受けた日から起算して60日以内の両社で決めた支払期日までに下請代金を全額支払いしないといけません。当然ですが支払わない、あるいは支払いを遅らすと下請法違反となります。

親事業者としても勝手に支払期日を伸ばせないので、下請事業者が資金調達のため売掛金をファクタンリング会社に譲渡する際、支払い期間が60日以内の売掛金なので業者も安心して買取りできます。

下請代金の減額の禁止

親事業者が発注時に決めた下請代金を、下請事業者の責任に帰する理由がないにもかかわらず、発注後に勝手に減額すると下請法違反となってしまいます。

下請事業者が自社の資金調達のために、ファクタリングを利用しようと業者と譲渡契約を結んだにも関わらず、親事業所に途中で勝手に売掛金の金額を減額されてしまっては、ファクタリング利用中の下請事業者としても困ってしまいますよね。

この禁止事項があることで、売掛金の金額も確定するので、下請事業者も安心してファクタリングを活用することができます。

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返品の禁止

親事業所は下請事業者から製品等の納品を受けた後、その製品等の品質や規格外など、明らかに下請事業者の責任に帰する不良品が納品された場合を除き、親事業者の都合で勝手に受領後に返品することはできません。返品すると下請法違反となります。

これは上記、「下請代金の減額の禁止」同様、すでに確定済みの売掛金の金額に影響を与えるので、もし下請事業者がファクタリングを利用しようとしても、その金額が変わるようでは安心して利用できません。

下請法はこのような下請事業者のリスクも減らしているので安心してファクタリングを活用できます。

報復措置の禁止

下請事業所が親事業所の犯した下請法違反を、所管官庁である公正取引委員会、または中小企業庁に知らせた場合、親事業所がその報復として下請事業所に対し取引量を減らすとか取引を停止するなど、不利益な扱いをしたら下請法違反になります。

理由の如何を問わず、取引量の減少とか取引停止は、直接的に売掛金の金額に影響を与えるどころか、売掛金もなしにするので、ファクタリングで資金調達を考えていた下請事業所の資金繰りに大きな影響を与えてしまいます。

最悪の場合、下請事業所を倒産や廃業に至らす行為なので親事業所としても絶対やってはいけません。

有償支給原材料等の対価の早期決済の禁止

取引において、下請事業所が親事業所から製品の発注を受けた際、その製品の製作に必要な原材料等を親事業者から有償で受けて作る場合があります。

ところが親事業所の中には、下請事業所の都合に関係なく、すでに決定済みの下請代金とこの有償で与えた原材料費等を下請代金の支払期日より早めて勝手に相殺(そうさい)してしまう業者がいます。

しかし下請代金の支払期日より前に相殺されてしまうと、下請事業所としてもせっかく当てにしていた売掛金の金額も減らされることになり、ファクタリング利用で必要な額の資金調達ができません。これでは下請事業所も困ってしまいますよね。

下請法では親事業所に対し、このような行為も下請法違反として禁じており、勝手に下請代金を変更することを許していません。

割引困難手形の交付の禁止

ファクタリングとは直接関係はないですが、親事業所は下請事業所に対し下請代金を手形で支払う場合、不当に決済期間の長い支払手形を渡すことを下請法違反として禁じています。

最近は事業者間の決済において、手形はその管理コストや発行・保管の煩わしさから利用がピーク時の10分の1 まで減っていますが、それでも依然として根強い利用があります。

一方手形の利用に代わって新しい決済方法として出てきたのが、電子決済を利用した一括決済サービス(でんさい)、一括支払信託等ですが、徐々にその活用も広がっています。(銀行が電子債権を直接買い取る一括ファクタリングも拡充中)

ただし親事業所は下請法により、仮に下請事業所が一括決済サービス先への加入や利用を拒んだとしても強制することはできないし、さらに下請代金の一部を手形で払うことを下請先が希望すれば応じなければなりません。もちろんその際、利用の拒否を理由に不当に支払い期間の長い手形を切ることも許されません。

もし親事業所から支払期間の長い手形をつかまされても、下請事業所としても困ってしまいます。なぜなら銀行では支払期間の長すぎる手形は、回収リスクの高さから割引を拒否する場合が多いからです。これでは下請事業所が手形を使った割引による融資で十分資金調達することもできません。

このように下請法では、親事業所に割引困難な手形の交付も禁止しているので十分注意して下さい。

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不当な給付内容変更及び不当なやり直しの禁止

親事業所は下請事業所に特に責任もないのに、不当に発注の取消や内容変更すること、および受領後のやり直しを命ずることを下請法で厳しく禁止しています。

なぜならこのような行為は下請事業所の利益を不当に害し、ひいては下請代金の金額(売掛金)にも影響するので、下請事業所が資金調達でファクタリングを考えていた場合、利用が困難になります。

このように親事業所は取引を通じて下請事業所の資金繰りにも十分な配慮をしなければなりません。

 

下請法とファクタリング

最期にあらためて下請法の下で、下請事業所が受けるファクタリング取引のメリットをまとめます。

 

・下請法があることで、親事業者が下請代金(売掛金)に係る金額等の条件を勝手に変更できないので、下請事業所は安心してファクタリングが利用できる

・売掛金が安定することで、下請事業所もファクタリングを利用して支払期日前にタイムリーかつ迅速に資金が手に入る

・ファクタリングを利用することで下請事業所の資金調達方法が多様化する

 

この記事が下請法の意義とファクタリングへの影響を知りたい事業者の参考になることを願います。

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※記事の掲載内容は執筆当時のものです。