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建機と言っても、パワーショベルやブルドーザ、ローダーなどさまざまな物があります。過酷な建設現場で使用される機械なので、調子が悪くなりメンテナンスが必要になることも多くあります。基本的に建機は天候に関係なく外で保管されることが殆どで、鋳物で作られた重要部分などに錆が発生してしまうことがあり、その進行を防ぐために再塗装をすることもあります。今回は建機を再塗装する際に必要な工具類をご紹介します。
目次
建機の修理部分の再塗装を行う場合には、かなり大きな面積を塗ることになります。ハケやローラーなどでも塗れないことはありませんが、色むらが出て綺麗に塗れない可能性が高いのでおススメしません。では、広範囲に渡って再塗装をする際には、どんな道具が必要なのか簡単にご紹介していきます。
【①:エアスプレーガン】
コンプレッサーの圧縮空気を利用して、塗料を吹き付けて行くのがスプレーガンで、ヘッドの径によって吹付け量も変わります。筆者個人の意見としては塗料ノズル口径が1.8㎜の物が塗り易いと思います。
【②:コンプレッサー】
エアースプレーガンを使用する際に、圧縮空気を供給するために必要で連続塗装する際には、途中でエアーが足りなくなる心配もあるため、補助タンクを装備した物を選ぶ必要があります。
【③:エアドライヤー】
コンプレッサーで圧縮された空気は、空気中の水分を含んでおり、塗料剥離の原因にもなります。コンプレッサーの空気吐出し口には水分を除去するドライヤーを設置することが大切です。
【④:ハケ】
エアスプレーガンで塗装しても、塗膜が均一にならない部分が出来たり、タレや溜まりが発生することもあります。そのためハケで仕上げる部位も必ず出て来ますので、最終仕上げに必要となります。
ざっと建機を再塗装する際に必要な道具類を記載しましたが、次項では塗装の準備や順序についてご紹介します。
建機の修理や補修が終わってから、仕上げ塗装に入る時に何の下準備もなく塗ってしまうと、下地の錆が浮いて来たり、塗りむらの原因になったり、最悪塗料が剥離して再塗装という事態にもなり兼ねません。簡単に塗装前の下準備をご紹介して行きます。
再塗装する場合には、基本的には最初に塗ってある塗料を剥がし、鋳物や鉄などの下地を出し表面を綺麗に掃除する必要があります。古い塗装の上にそのまま塗ると、表面に付着した細かいゴミが原因で、暫くして剥離してしまう可能性があります。ホームセンターなどで塗料剥がしの薬剤(ペイントリムーバー)が販売されていますので、古い塗料を剥がしておく事が最初の下準備になります。
古い塗料を剥がしただけでは、塗料のノリが悪く浮いてしまう可能性がありますので、サンダーで表面を軽く削り塗料ノリが良くなるように下地処理を行います。またサンダーで削った後は綺麗に清掃をしておくことも大切です。
この脱脂処理をしない方もいらっしゃいますが、下地処理をした後でも建機には油などが染み込んで残っている可能性もありますので、シンナーなどで表面を拭き、余分な油分を取り除いておく必要があります。
塗装に関するアイテムを製造販売している「アネスト岩田」の大形スプレーガンで、ご紹介するW-200-182Sは、塗料の入ったカップがノズルの下にぶら下がっている吸上タイプです。カップがノズルの上に付いている物よりも塗料を多く保持することが出来るので、塗装面積の大きな場合には使い勝手の良いアイテムです。
塗料ノズル口径も1.8㎜あり、塗料噴出量は290㎖/minで塗り方によっては、1回の塗布で塗膜100μ(ミクロン)以上を保持することも可能で、厚塗りに適しています。但し余り局部的に塗ってしまうと、液タレが酷くなりますので注意が必要です。
筆者の経験上、1回の塗膜を60~80μ程度に若干薄く調整をして、2度塗りで塗膜を重ねて行く方が仕上がりが綺麗になりますので、試してみては如何でしょうか。
塗料ノズル口径:1.8φmm 吹付け空気圧力:0.29MPa
空気使用量:330L/min 塗料噴出量:290mL/min
パタン開き:340mm
塗料ニップル:G3/8 ※カップは別売です。
コンプレッサーは出来るだけ、出力の大きな物を使うのが望ましいですが、大きくなればなるほど、その分価格も高くなりますので、予備タンクが付いているタイプのコンプレッサーを選ばれることをおすすめします。この予備タンク付きの場合には、先にタンク内に蓄えられた圧縮空気を放出しながらコンプレッサーで補給するというサイクルになり、出力の小さなコンプレッサーでもエアー切れの心配をせずに塗装に集中することが出来ます。
ご紹介するアネスト岩田のシルフィーFX9731は、電気式コンプレッサーで100Vの家庭電源が利用でき、予備タンク容量も38ℓあるので、建機などの広範囲を塗装するのに最適です。移動が楽に出来るように車輪がついていますので、楽に塗装場まで移動させることが可能です。
空気量:47/56L/分(50/60Hz)
空気圧力:0.88MPa
騒音量:57/59dB(A)(50/60Hz)(正面1.5m・高さ1m)
タンク容量:38L
電源:AC100V 50/60Hz
コンプレッサーから出た圧縮空気には、多くの水分が一緒に圧縮されて必ず混入しています。そのままの状態で塗装用のエアーとして使用してしまうと、混入した水分が塗料に混ざり、塗装直後には目立った違和感がなくても、時間が経過すると塗料の浮きや剥離などが発生する可能性が高くなりますので、細心の注意を払う必要があります。
そこでコンプレッサーの吐出し口とエアスプレーガンの間に、ドライヤーと言われる水分除去装置を取り付ける必要があります。このドライヤーを通ることで、空気中の水分が分離されるという装置で、遠心分離方式やフィルター方式などさまざまな種類があります。
但し高価なドライヤーは必要なく、安価な2,000円程度の遠心分離方式でも十分に水分を除去してくれますので、塗装道具の必需品として購入することをおすすめします。
建機などの大小さまざまな機械を再塗装するには、どんな道具と事前準備が必要なのかをご紹介してきました。物作りに早道はなく、地道に手順を守って作業することが綺麗な仕上がりへの早道になりますので、ご自身で是非建機の塗装にチャレンジしてみては如何でしょうか。