チェーンブロックとは、「チェーンを用いて重量物のつり上げ・下げ」をしたり、三脚などにセットして「重量物の引き抜き」をしたりする機器です。
しかしチェーンブロックはいろいろなモデルがあるため、どんなものを選べばいいかわかりづらいです。
ここでは、チェーンブロックの仕組みや種類、製造・販売している有名メーカー、おすすめの人気製品をご紹介します!ぜひ参考にしてください。
目次
チェーンブロックとはどのような機器なのでしょう?
まずはチェーンブロックの基礎知識についてご紹介します。
チェーンブロックとは、チェーン(鎖)・ブロック(滑車)を意味する言葉です。
その名のとおり、滑車とテコの原理を利用して、鎖で重いものを上げ下げします。
わかりやすい例を挙げてみましょう。「井戸のつるべ」を想像してください! つるべ(滑車)にセットしてある「縄」の両端に木桶が付いていますよね。そして片方の桶で水を汲み、縄をカラカラと手で引くことにより重い桶を地上まで持ち上げます。
チェーンブロックは、井戸の滑車の代わりに「歯車装置」、縄の代わりに「チェーン」、作業を停止する「制動装置」を備えた機器がついています。
チェーンブロックが最も活躍するのは、「重量物のつり上げと運搬」です。
ただチェーンブロックは本体のみで使用することができません。つるべ(滑車)が井戸の天井に設置してあるように、作業現場の天井や三脚などにチェーンブロックを取り付けます。
また天井クレーン(※1)やH鋼用横行トロリー(※2)などに取り付ければ、重量物をつり上げた状態で、移動することも可能です。
※1天井クレーン:工場や倉庫内など、建物の両方の壁(天井に近い部分)に沿って設置された「ランウェイ(走行軌道)」を移動するクレーン
※2 H鋼用横行トロリー:ローマ字の「H」の形をしている鋼材に取り付け、横行移動をするトロリー(台車)
重量物を「引き抜く」作業をする際にも、チェーンブロックは重宝します。
建物の解体やリフォームなどのとき、埋設しているコンクリート基礎を引き抜いたり樹木の根部分を引き抜いたりするときに利用するのです。
その際は、引き抜く対象物の上に、チェーンブロック用の三脚や門型クレーン(※)を設置します。
※門型クレーン:「門」の形をしているクレーンで、両側の支柱の下に車輪が付いているので移動が可能。
チェーンブロックは、工事現場や工場、倉庫内で使われているイメージがあります。けれども、エンターテイメントの世界で活躍することもあるのです。
【各種イベントの仮設ステージや劇場】
機器本体が荷物と共に昇降する電気チェーンブロックを天井の梁などに設置し、スピーカーや照明などのセッティングに使用
【水族館】
イルカやシャチなどを移動するときに使用。2台のチェーンブロックを同時操作して移動用の水槽をつり上げ、平行を保ちつつ移動する
【体育館】
体育館の照明のつり下げなどに使用
実はチェーンブロックにもいくつか種類があり、それぞれ特徴があります。
ここではチェーンブロックの種類とその特徴を順にご紹介しましょう。
手動式のチェーンブロックは、滑車からぶら下がっている「操作用ハンドチェーン」を、人間の手でたぐり寄せるように巻き上げて作業を行います。
重量物の重さによって適する機種が異なるので、事前に取扱説明書に記載してある「定格荷重」を確認してください。
10t以上の重量物でも対応可能な機種もあります。100kg以下の荷物用チェーンブロックは、おおむねコンパクトで軽いものが多く持ち運びにも便利です。
電動式チェーンブロックは、手の代わりに「電動モーター」が作業を行います。
リモコン操作で、自由に重量物の昇降が可能です。
ただしつり上げ可能な定格荷重は、手動式チェーンブロックよりも軽くなってしまうのが難点でしょう。
エアー式チェーンブロック(エアーホイスト)は、圧縮した空気の力で作業をします。製品数は多くありません。
上記のように、メリットはたくさんあります。ただしコンプレッサーなど、「圧縮空気ライン」を用意する必要があります。
工場や倉庫のような、決まった場所で使用する場合は便利でしょう。
チェーンブロックの選び方をご紹介しましょう。
どんな方式を選んでいけばいいか、詳しく解説していきます。
手動式は比較的軽量で全体的にコンパクトな製品が多く、持ち運びや移動が簡単です。
そのため、その都度現場の状況が変化する屋外の工事現場などに向いているでしょう。電源がない場所でも使うことができます。
一方で電動式は、操作が簡単で作業も楽です。ただし手動式よりも本体が重くなります。
工場や倉庫に設置してある各種トロリーに接続して使用するなど、「日々決まった作業を行う&電源のある場所」で使う場合は電動のほうが向いているでしょう。
チェーンブロックは、手動でも電動でも「懸垂型」と「トロリー型」に分かれます。
懸垂型とは、滑車とチェーンで構成される「チェーンブロック本体のみ」を指します。
基本的には懸垂型に各種トロリーを接続することで、「トロリー型」になるのです。
チェーンブロックとトロリーの両方を購入する際には、用途・作業場所・作業内容などに合ったものを選びましょう。
チェーンブロックを選ぶ際に重要なのは、「どれくらいの重さの重量物をつり上げるのか?」ということです。
そのためつり上げる重量物が製品の「定格荷重」内になっているか、事前に確認しましょう。定格荷重を超える重量物を作業に使うと、故障・破損・事故を引き起こすこともあります。
チェーンブロックは、製品ごとに異なる「標準揚程(ようてい)」を確認することも大切です。
揚程とは、「つり上げ可能な高さ」を指します。1.8m〜15mほどあり、主流は3mです。作業内容などによって決めてください。
フック間の最小距離とは、「チェーンブロック上部にあるフック(トロリーなどに引っ掛けるフック)」から、「一番上まで巻き上げたときの、下部にあるフック(荷物を引っ掛けるフック)」までの距離を指します。
門型クレーンや三脚などにチェーンブロックを設置して引き上げ作業をする際は、この距離が短すぎると揚程を圧迫するのでチェックが必要です。
【フック間最小距離の参考】↓
チェーンブロックに似ている機器に、「レバーブロック」や「ワイヤーホイスト」などがあります。
レバーブロックは、チェーンブロックより全体的に小さいのが特徴です。
作業時はレバーを操作することでチェーンの巻き上げを行います。つり上げる作業よりも「重量物の引き寄せ作業」に使うことが多いようです。
チェーンと滑車で構成されているチェーンブロックに対し、ワイヤーホイストは「ワイヤーとドラム」を使って重量物を引き上げる機器です。
最大重量は5t程度となっています。軽めの荷物をスピーディーに長距離巻き上げる作業が得意です。
チェーンブロックを製造・販売している有名メーカーをご紹介しましょう。
代表的なメーカーは次の4つです。
それぞれ詳しく紹介していきます。
KITO(キトー)は、チェーンブロック・ホイスト・クレーンなどを中心としている機械メーカーです。
創業は昭和7年、東京で鬼頭製作所として誕生しました。
現在は山梨県に製造部門、東京都に営業部門と本社があります。
キトーは、小型製品から工場・建設現場用の大型製品まではば広く手がけ、日本のホイストマーケットシェアの60%をしめている国内最大のメーカーです。
近年では、アメリカでのチェーンブロックマーケットシェアも40%を超えています。
象印チェンブロックは、大阪府に本社を置く機械メーカーです。
昭和11年からチェーンブロックの製造を開始しています。
手動・電動のチェーンブロックや、チェーンレバーホイスト、クレーンなどを専門に製造し、国内でも高いシェア率です。
株式会社ニッチは、大正5年に創業、昭和17年には株式会社日本チェーンブロック製作所を設立しました。
チェーンブロックやトロリーなどの生産・販売を行っています。
現在では、東大阪に工場、東京・大阪・名古屋・九州に拠点を点在。電気チェーンブロック・レバーホイスト・天井クレーンなどはばひろい製品を展開しています。
株式会社マキタは、総合電動工具メーカーとして、DIYユーザーからプロの作業員まではば広くその名を知られています。
電動ドリルやインパクトドライバなどが有名ですが、チェーンブロックも取り扱い中です。
アマゾンで購入できる人気のチェーンブロックを集めてみました。
メーカーごとにまとめましたので、ぜひ気になるものがあればチェックしてみてくださいね。
[affili_item img_path="https://images-na.ssl-images-amazon.com/images/I/419s1z0qACL.jpg" title="象印チェンブロック ホイストマン小型軽量チェーンブロック250Kg HMK2525" amazon="https://www.amazon.co.jp/gp/product/B000TGAKBY/ref=as_li_tl?ie=UTF8&tag=kd-media-22&camp=247&creative=1211&linkCode=as2&creativeASIN=B000TGAKBY&linkId=c66201a604cab9aa08aed5d53dd53d8f"]
定格荷重(t):0.25
クレーン設備のない作業現場で、チェーンブロックを設置するのに便利な「門型クレーン」です。
いろいろな場所で活躍中のチェーンブロックを、SNSから集めてみました!
ひとくちにチェーンブロックといっても、つり上げる重量物の重さやつり上げたい高さなどによって、最適なサイズを選ぶ必要があります。
また作業場所・内容に合わせて、手動・電動など種類を選ぶことも大切です。
この記事を参考にして、自分のニーズにぴったり合ったチェーンブロックを選んでくださいね。