専門性の高い工具のひとつに「シャーレンチ」があります。あまり聞き慣れない工具ですよね。
実はこの工具、私たちの生活を支えるものに多く使われています。
と気になった方。この記事を読めば「シャーレンチ」について詳しく理解できます。
手に入れたい場合、中古で入手する方法とレンタルでお試しする方法についてまとめました。ぜひ最後まで読んで、参考にしてください。
目次
シャーレンチは、シャーボルトという専用ボルトの締め付けに使われる工具です。
このシャーボルトは、おもにビル建設など鉄骨構造の組み付けで使用されます。鉄骨のネジを締め付ける電動工具です。
右はじのチップ部分を「ピンテール部」と呼びます。シャーレンチで締め上げると、このピンテール部が自動的に折られる仕組みです。
シャーレンチを実際に使っている動画はこちら。
橋や鉄塔などの鉄骨に同じようなネジがついているので、見かけたことがある方もいらっしゃるでしょう。
締め付けたあとは、シャーボルト(ネジ)が短くなっています。
規定のトルク(締め付け具合)に達したところで、シャーレンチがシャーボルトを自動的に折る仕組みです。
シャーレンチの締め付け完了は「チップのねじ切れ」によって確認できます。締め付けが既定値に達していることが目視でも確認でき、とても便利です。
シャーレンチの回転部がどのように動いているかを見ると、ピンテール部を折る仕組みがわかります。
実際に施工する際のイメージ画像も参考にして下さい。
シャーレンチを使う理由は、以下の2点です。
規定のトルクでそろえることは、「トルク値のばらつきが小さい」と表現します。
人間の手で作業するよりも誤差が出にくく、一定の値で施工可能なので管理がしやすいです。
シャーレンチの種類は、グリップ回転タイプとダブルスイッチタイプの2つがあります。
グリップ回転タイプは、グリップ回転位置を「0度、90度、180度、270度」と変更可能です。
力が入りにくい位置でもグリップを回転させ、最適な位置に合わせることで施工しやすくなるでしょう。
ダブルスイッチタイプは、作業者から見て鉄骨の下側(反対側)からの締め付け作業(かち上げ)を想定しています。
このスイッチがあることで、画像のような状況でも作業が容易です。
シャーボルトは、鉄骨の締結をするためのボルトです。
3つが1つになっているものをシャーボルトと呼びます。この形は、シャーナットとボルトを組み合わせたものです。
シャーは「切る、切断する」という意味を指します。
シャーレンチの仕組みで説明したように、シャーボルトは「チップのねじ切れ」が特徴。ここから「シャー」の名称が使われています。
またシャーボルトを使用することで、「締め付けたら簡単には取り外せない構造」を採用することが可能です。
まだ金属が貴重だった時代では、ボルトを盗み海外で売るという犯罪が多発。シャーボルトを使用することで、盗難防止の狙いもあったとされています。
シャーレンチは「ゆっくりとした回転でシャーボルトを強く締め付け、ナットから出たネジ側先端を切ることで、締め忘れを防ぐことが可能な工具」です。
締め付け力が強い分、回転が遅く動作音も静か。パワーに耐えられるよう本体の強度を確保するため、価格が高いです。
また充電式はあまり採用されず、安定したパワーを出せる電源コード式がメジャーという側面もあります。
インパクトレンチは「回転だけでなく回転方向に打撃を与えて【締め付け】、あるいは【ゆるめ】を行う工具」です。
インパクトレンチはボルトの「締め」「ゆるめ」がスピーディにできるので、自動車のタイヤ交換では重宝されます。
しかしインパクトレンチは、シャーレンチのように「ネジ側の先端を切る」ことはしません。電源コード式よりも充電式が広く知られています。
インパクトレンチに関する内容は、別記事で詳しくまとめています。仕様の見方から選び方までまとめておりますので、ぜひ参考にして下さい。
ここでは、シャーレンチの使い方を「手順のポイント」で説明していきます。
シャーレンチを中古で手に入れられるところ、シャーレンチをレンタルで使用する方法についてもまとめました。
シャーレンチは、レバーによる操作が主です。レバーを引けばオンになり、レバーを離すとオフになります。
まずは「一次締め付け」を行ないます。「一次締め付け」を行なったあと、本格的な「本締め」。
始動するときはシャーレンチのソケットを「ピンテール部」にはめこみ、レバーを引いてスイッチをオンにします。
ソケットが回転してナットを締め付けていくと、トルクに達して「ボルトの先」が切断。レバーを離してスイッチをオフにして、ソケットをナットからはずします。
ロックレバーを引いてから「切断されたチップ」を排除。この作業を繰り返します。
またシャーレンチの使い方が30秒でわかる動画をご用意しました。
中古で手に入れる際のおすすめショップをまとめました。
「工具男子」
プロが査定した商品を買取・販売するため、魅力的な商品が店頭に並ぶ可能性は高いです。
買取と販売を1店舗で行うことによりコスト削減へつながり、お客様への満足度に還元しています。
「TOOL OFF」
電動工具に特化しているため、質の良い中古品が手に入りやすいでしょう。
「アクトツール」
プロ向けに、電動工具やエア・エンジン工具など取り揃えが豊富です。
「シャーレンチ」のレンタルサービスは以下の5つです。
全国の工具レンタルサービスは、以下の2社が該当します。
「カインズホーム」
以下の5店舗で工具レンタルサービスを実施中です。
「コーナン」
関西を中心に出店しているホームセンターです。工具レンタル可能な店舗は、全国に60店舗以上あります。
シャーレンチは専門性の高い工具であり、おもなメーカーは「TONE」と「マキタ」の2社です。
「TONE」と「マキタ」のシャーレンチどちらかで悩んだ場合、予算があるなら「TONE」を。まずシャーレンチを導入したい方は「マキタ」をおすすめします。
「TONE」はシャーレンチに特化しており、多くのプロが愛用する信頼性の高さが魅力。
「マキタ」はバッテリーの流用が可能で他機種も扱える上、「TONE」と比較して安価なのが特徴です。
シャーレンチについて調べると「TONE」が多くヒットします。
商品展開も豊富で、価格もプロ仕様の設定です。
またTONEはシャーレンチ以外にも、プロから支持される信頼性の高い工具を展開しています。気になる方は下記記事を参考にして下さい。
日本国内でシェア率トップクラスの「マキタ」からは、その技術力を駆使した充電式のシャーレンチが発売されています。
価格は279,250円と、TONEのシャーレンチに比べれば手を出しやすい価格です。電源コードを使うタイプも販売中。
マキタの価格設定は、TONEに比べると安価です。はじめて導入するシャーレンチとしては、最適ではないでしょうか。
マキタについて詳しく知りたくなった方は、下記記事にて詳しくまとめています。
シャーレンチは、専門性の高い専用ボルト「シャーボルト」を締め付けるレンチです。
一般的なレンチと違うポイントは、回転時のトルクを高めて一定の力でボルト先端を切断するところ。
シャーレンチは、DIYに使うような工具ではありません。一般ユーザーの方はほとんど使うことがないでしょう。
製品についてしっかりと目利きのできる、プロ仕様の工具だと言えます。