研磨から切削、研削といった様々な用途で使われるグラインダー。たくさんの種類が販売されており、DIYでも大人気の工具です。
しかし初心者の方にとって、詳しい使い方はイメージしづらいのではないでしょうか。
初めてグラインダーを購入しようと思った際、上記のような疑問を抱く方もいらっしゃるでしょう。
そこで今回はグラインダーの基本情報から使い方、砥石や用途別のおすすめ機種について徹底的に解説します。
グラインダーの購入を考えている方は、ぜひご覧ください。
目次
多くの種類があるグラインダー。ここではそんなグラインダーの基本情報、種類についてご紹介します。
まずはグラインダーとは何かを理解した上で購入を検討しましょう。
グラインダーは研削盤ともよばれ、砥石を回転させて工作物の研磨・切削・研削を行う工作機械です。
様々な用途があるため、次のように多くのグラインダーが存在します。
今回はグラインダーの中でも特に人気の高い、電動のディスク・ハンド・卓上グラインダーを中心にご説明していきます。
円盤状の砥石(ディスク)を毎分1万回転以上の高速で回転させ、素材を研削する電動工具がディスクグラインダーです。
様々な種類のディスクが販売されており、ディスクを交換することで研削・研磨・切断・ツヤ出しといった作業が行えます。
グラインダーの中でも汎用性が高いため、最も多くの種類が各メーカーから販売されています。
ディスクグラインダーについては、こちらの記事もぜひごらんください。
ハンドグラインダーは、軸つき砥石を回転させて研削を行います。ストレートグラインダーやミニグラインダーと呼ばることも。
ディスクグラインダーに比べて先端が小さいため、繊細な作業に適しています。
厚みのある円盤状の砥石を回転させ、その砥石に材料を押しつけて研削を行う工具が卓上グラインダーです。
左右に粒度が異なる砥石を備えたものが大半で、両頭グラインダーとも呼ばれます。
材料を手にもって研削するため、自由度が高い作業を行うことが可能。金属のバリ取りや刃物の粗研ぎに使われますが刃物は粗研ぎまでで、仕上げは別途行う必要があります。
グラインダーと混同されやすい工具にサンダーがあります。
サンダーとはサンドペーパーを電気の力で効率よく動かすことで、研磨が行える工具です。サンダーも塗装剥がしやサビ落としにも使用します。
ただしサンダーの用途は、あくまでも研磨です。グラインダーは、研磨のほかに切削や研削が行えます。
またサンダーのパワーはグラインダーより低いことがほとんど。メーカーでも、グラインダーとサンダーはあくまで別用途の工具として販売しています。
ここ数年、カスタムカーの世界で流行しているのがグラインダータトゥーです。グラインダータトゥーとは、グラインダーでボディーに模様を刻むカスタムペイントの技法のこと。
一般的には次のような手順で、作業を行います。
すると車体には独特の立体模様が表れ、ホログラムシールのように見る角度によってうねって見えるのです。キズを模様にしてしまうという、グラインダーの新たな使い方ですね。
汎用性が高いグラインダーはDIYでも大活躍します。しかしパワーがあるため、取り扱いを間違えると大ケガにつながることも。
ここでご説明する内容を参考に、グラインダーを正しく使いましょう。
業務でグラインダーを使う場合、「研削といしの取替え又は取替え時の試運転の業務に係る特別教育」を受講し、修了している必要があります。
これは労働安全衛生法(労働安全衛生規則)による規定です。資格を持たずに業務を行うと、会社・労働者ともに罰せられます。
全国の事業所で講習が行われていますので、業務でグラインダーを使う場合には、かならず受講しましょう。
グラインダーを使う際には、安全のため服装に注意する必要があります。特に以下のことを守った上で作業を行いましょう。
特に業務でパワーのあるグラインダーを使用する場合、下図のように保護具をつけていないと大怪我につながるため、注意が必要です。
・【職場のあんぜんサイト】回転中の研削といしが当たり死亡
グラインダーを安全に使うために、上記の服装のほかに以下の点にも注意しましょう。
ディスクグラインダーの使い方は、以下のようになります。必ず取扱説明書をよく読んで、使い方を理解したうえで作業を行いましょう。
グラインダーは砥石を交換することで、研磨・切削・研削などを行え、また様々な材料に使用することもできます。ここでは砥石・刃・ディスクの種類と用途についてご紹介しましょう。
グラインダーは、本体に砥石・刃・ディスクを取り付けて作業を行います。多くの砥石が販売されていますが、砥石は専用のグラインダーでのみ使うことが可能です。
ディスクグラインダー用の砥石を、卓上グラインダーで使用することはできませんので、購入する際には注意してください。
また研削砥石については、使用する用途によって「粒度」と「硬度(結合度)」を選ぶ必要があります。
粒度は、紙やすりと同じように「目の粗さ」を示す値です。数値が大きいほど目が細かく、強度が強くなります。
硬度は、砥石の硬さをアルファベットで、A側が軟らかく、Z側が硬いことを表します。
硬い材料の場合は軟らかめの砥石を、軟らかい材料には硬めの砥石を使うことが多いです。
ディスク・ハンド・卓上グラインダーそれぞれに使われる、砥石・刃・ディスクをご紹介します。
ディスクグラインダーのディスクには100mm・125mm・150mm・180mmなどのサイズ(ディスク経)があります。
機種によって使用できるサイズは決まっており、最も多い種類のディスクが販売されているのが100mmサイズです。
それでは代表的なディスクについて、その特徴などをご説明します。
金属などのバリ取り、表面研削といった研削作業に使われる砥石が研削砥石です。
切断砥石は、材料を削ったり切断するための砥石です。鋼管やアングル材の切断を行う鉄工用と、レンガなどの切断を行う石材用があります。
レンガやコンクリート、石材を切断するための硬質な砥石がダイヤモンドホイールです。形状によって次のような種類があるため、材料によって使い分けましょう。
ワイヤーブラシは金属のバリ取り、サビ落し、ペンキはがしなどに使用します。
ディスクグラインダーの砥石については、ぜひこちらの記事もご覧ください。
ハンドグラインダーに取り付けて、材料を削るのが軸付き砥石です。上図のように様々な形状があります。
ハンドグラインダーの種類によって、取り付け可能な軸経(3、6、8mmなど)が異なるため、砥石のサイズを良く確認しましょう。
卓上グラインダーの研削砥石は、あまり種類が出ていません。
そのためもともと付属していた砥石が消耗した際は、同じ品番の新品に取り替えるのがおすすめです。
ここでは用途別のおすすめグラインダーをご紹介します。「グラインダーを〇〇に使いたい!」と用途が決まっている方は、ぜひ参考にご覧ください。
サビ落としといったDIY用におすすめするのは、リョービのディスクグラインダーMG-12です。
本体が他の機種よりひと回りスリムで、取り回しがしやすくなっています。またギヤヘッドが低いため、狭い場所でのサビ落としも可能。値段もお手頃で、DIY入門用としても最適です。
マキタ ディスクグラインダGA418DZは充電式のため、電源がない場所で作業を行いたい場合にはおすすめです。
マキタで人気の18Vリチウムイオンバッテリを使用しており、他の機種とバッテリーを使い回せて経済的。
さらにハイパワーブラシレスモータと自動モード切替を搭載して、AC機並みのハイパワーを実現しています。
コンクリート切断におすすめするのは、HiKOKIのディスクグラインダーG10B3です。
高速回転タイプで、切断にはピッタリ。さらにハイパワーで作業もラクにこなします。コンクリート切断が可能な、ダイヤモンドカッターを取り付けて使いましょう。
金属の細かい部分の研磨におすすめするのは、マキタの充電式ハンドグラインダGD800DRFです。
充電式のためコードを気にせず、細かい箇所への研磨が行えます。またAC機並みの回転数で作業能率が良いため、金属の研磨でも問題ありません。
リョービの双頭グラインダーTG-151は、ノミなど刃物の粗研ぎにはおすすめです。
刃物研磨治具セット付きですので、研磨をラクに行えます。また、手元を照らすフレキシブルライト、飛散物から目を守るアイシールドなど、配慮が行き届いた装備です。
ここでは、電動グラインダーの代表的なメーカーをご紹介します。
国内の電動工具シェアではトップのマキタ。グラインダーも多く取り揃えています。充電式ディスクグラインダーだけでも、現行カタログに記載されている機種がなんと44機種!
この他にAC電源のディスクグラインダーやハンドグラインダー、卓上グラインダーまでラインアップされている点が、やはりトップメーカーたる所以なのでしょう。
マキタに次いで、国内2位の電動工具メーカーHiKOKI。HiKOKIもやはりラインナップが豊富です。
その中でも、電子制御を搭載してパワフル&高効率で、キックバック軽減システムなど安全性を高めた電子ディスクグラインダーは特に人気があります。
リーズナブルで高品質な電動工具を提供するリョービ。プロ用から入門用まで幅広いラインナップが特徴です。
どうしても本体が太く、握りにくくなりがちなディスクグラインダー。しかしリョービは、スリムグラインダーを販売しています。女性ユーザーにも嬉しいラインナップですね。
世界トップクラスの電動工具メーカーであるボッシュ。卓上グラインダーはありませんが、やはりディスクグラインダーの種類は豊富です。
またボッシュの特徴は、安全性に力を入れている点。特に早いうちからキックバック防止機構を取り入れていました。
徹底して安全にこだわることで、世界中のユーザーから支持を得ているんでしょうね。
ディスクグラインダーには、使えば便利になる様々なアタッチメントも販売されているんです。
ここでは、特に人気の高いアタッチメントをご紹介します。
ディスクグラインダーを使っていると、どうしても細かい部分の作業を行いたい場合があります。
ハンドグラインダーがあればいいのですが、そんなに何台も工具を買えない。
そんなときにおすすめなのが、ベルトサンダーとして使えるアタッチメントです。
軸経M10のディスクグラインダーに取付可能。グラインダーでは届かなかった狭い場所での研磨に活躍します。
ディスクグラインダーでも鉄筋などの切断は行えますが、それを何本も切るといった場合は大変です。
そんなときに使えるのがこちらのスタンド。ディスクグラインダーを取り付けると、簡易切断機に早変わりです。
グラインダーがしっかり固定され、安定して切断できますので、何本でも切ることができます。
取付対応機種は限定されますが、切断する作業が多い場合にはとても便利なスタンドです。
今回は基本情報から使い方、砥石や用途別おすすめなど、グラインダーについてご説明しました。汎用性が高くとても便利な半面、怪我などに気をつける必要がありましたね。
ぜひ今回の記事を参考に、最適なグラインダーを選んで、安全に作業を行ってもらえればと思います。