防水などの目的で、すき間を埋める場合に使用するコーキングガン。プロの建築現場ではもちろん、DIYで水回りを修復する際など、幅広く使われています。
しかしそれほどメジャーな工具ではないため「どんなコーキングガンがあるの?」、「どのように使うの?」といった疑問をお持ちの方も、多いのではではないでしょうか。
そこで今回は、コーキングガンのおすすめ5選、種類や使い方、選び方まで解説していきます。初心者の方にもわかりやすく説明していますので、水まわりの補修をお考えの方はぜひご覧ください。
目次
まずはコーキングガンがどのような工具で、どんな種類があるのかをご説明します。
コーキングガンとは、下図のような「カートリッジに入ったコーキング剤」を使うための工具です。
そしてコーキング剤とは、気密性や防水効果のために、施工の際のすきまを埋めるのに使用する材料をいいます。住宅の外壁や屋根、内装では水回りやサッシなど、さまざまな場所で使用。プロの方が建築現場で使うことが多いですが、取り扱いがカンタンなため、DIYで修復作業を行う方もいます。
また、「コーキング剤」と「シーリング剤」がありますが、同じものと考えて問題ありません。
コーキングガンについては、こちらの記事もぜひご覧ください。
コーキングガンには、大きく分けて手動式・エアー式・電動式の3種類があります。これは、コーキング剤を吐出する動力の違いによるものです。
もともとは手動式しかなかったため、現在でもコーキングガンの主流は手動式です。
構造が簡易なため、故障しにくいというメリットがありますが、常に手で引き金を引いてコーキング剤を吐出するため、腕が大変疲れます。
ここ数年で販売され始めたのが、電動式コーキングガンです。電動でコーキング剤を吐出させるため、疲れることがなく、また常に一定量を吐出できるためキレイな仕上がりになります。
ただし、手動式と比べて値段が高く、また充電池などを取り付けるため本体重量が重いことがデメリットです。
電動式と同様で、ここ数年で販売され始めたのがエアー式コーキングガンです。動力がエアーのため、やはりコーキング剤の均一な吐出が可能で、さらに疲労も軽減します。また構造が比較的シンプルなため、電動式ほど本体重量が重くありません。
しかし、動力源であるエアーコンプレッサーが必要なこと、ホースを取り付ける必要があるなど、エアー工具ならではのデメリットがあります。
ここからは、おすすめのコーキングガン5選をご紹介していきます。まず1つめは、タジマ『コンボイジャストCNV-JUST』です。
国内だけでなくアメリカや中国にも営業拠点を持ち、住宅設備などのブランドを展開している株式会社TJM。そのTJMの建築用ハンドツールブランドがTAJIMA(タジマ)です。
多くのコーキングガンをラインナップしているタジマ製品の中でも、特に人気が高いのが『コンボイジャストCNV-JUST』。ノズルカット面を自在に操る、ロータリー式ハンドルを採用しました。グリップとトリガーに軽量エンジニアリング・プラスチックを使ったことで、本体は605gと軽量です。
押し出し力と耐久性がアップしたTTシステムと、液だれ防止機能によって、使いやすさもアップしています。
おすすめコーキングガン2つめは、山本製作所の『カートリッジガンYCG-2300HC』です。
カートリッジガン・シリンダーガン・フィルムパックガンなどコーキングガン全般と、外壁リフォーム関連機器の製造・販売を行う株式会社山本製作所。コーキングガンのエキスパートとして、多くの人気製品を生み出しています。
おすすめするのは、特に人気が高い『カートリッジガンYCG-2300HC』です。強力型ハンドルを採用し、これまでは打ち出しが困難だった「高粘度の材料」を打ち出すことが可能になりました。
またセットスクリューへのビス止めによって、ハンドル回転の際に緩みがなく回転がラクで、使い込んでもカートリッジがぐらつきません。ハンドルピン穴とレバーピン穴のブッシュ材をより硬質に変えたことで、ハンドルの摩耗を防いで、耐久性が向上しました。
ニチハ『プロ用 FCG101』が、おすすめコーキングガンの3つめです。
窯業系外装材や各種建築材料の製造・販売を行うニチハ株式会社。そのニチハの『プロ用 FCG101』は、他のおすすめコーキングガンとは種類が異なります。
他の4つのおすすめコーキングガンは、カートリッジに入ったコーキング材を使うための「カートリッジガン」です。そしてニチハの『FCG101』は、フィルムに入ったシーリングを使うための、「フィルムパック用コーキングガン」となります。
ニチハの超高耐久シーリング『プラチナシール』は、一般素材の3倍以上の耐候性と低汚染性、そして目立ちにくさを実現した、モエン塗装板向けシーリングです。そして『FCG101』は、『プラチナシール』の使用にピッタリのコーキングガン。金属製の胴体と、樹脂製のキャップで耐久性があり、作業ごとに便利なアタッチメント、専用ノズルで作業性も抜群です。
コーキングガンのおすすめ4つめは、アネスト岩田の『DIY用 エアー式 TL7101』です。
空気圧縮機・空圧機器・真空機械器具などの製造・販売をおこなう、エアー工具のアネスト岩田。
おすすめするのは、やはりエアー式の『TL7101』です。DIY用として位置づけており、取り扱いが大変カンタンなことが特徴となります。コンプレッサからのコードをプラグに接続し、コーキング剤をセットすれば、あとは引き金を引くだけでシーリング作業が可能です。
エア駆動式ですので、手動式と比べて疲れにくくなっています。また引き金を離すと内部の残圧が排気されるため、コーキング剤の吐出がピタッと止まります。コーキング剤を無駄にしない、エコ設計です。
最後におすすめするコーキングガンは、マキタの『充電式 18V CG180DZ』です。
国内電動工具シェアNo.1のマキタ。建築関係の電動工具も多く販売しており、コーキングガンは充電式の3モデルがラインナップされています。
3モデルはバッテリー違いの10.8V・14.4V・18Vがありますが、おすすめするのは18Vモデルの『CG180DZ』です。1充電あたりの作業量が最も多いため、連続作業に適しています。
また、電動式のためレバーを引く疲れが大幅に軽減されます。抜群のスピードによって、圧倒的な作業量を実現。シーリング剤の種類や溝の幅に合わせて、最大押し出し速度を設定可能です。先端ノズルの切り口向きを、作業姿勢に合わせて360度自由に回転でき、使いやすくなっています。
さらに、シーリング剤吐出後に、カートリッジへの加圧を開放する「後ダレ防止機構付き」で、先端からのシーリング材の垂れも防ぎます。
ここでは、コーキングガンの使い方をご説明します。
まずは次の手順に従って、コーキングガンにカートリッジ式のコーキング剤をセットします。
コーキング剤を正しくセットしたら、あとは引き金(レバー)を引けばコーキング剤が吐出されます。ここでは、基本的なコーキング施工の方法を紹介します。
ヘラはさまざまな形状があるため、コーキング施工を行う場所に応じて、ならしやすいヘラを使いましょう。また乾燥時間は、コーキング剤に記載された時間をよく確認してください。
用途は限定的ですが、さまざまな種類があるコーキングガン。ここではコーキングガンの3つの選び方をご紹介します。
前述したとおり、コーキングガンには手動式・電動式・エアー式の3つの動力があります。この「動力方式で選ぶ」のが、1点目の選び方です。
それぞれにメリット・デメリットがありますので、コーキング施工を行う場所や広さなどに応じて検討してみましょう。
コーキングガンに対応した「コーキング剤の容量で選ぶ」のが、2点目の選び方です。
コーキング剤で最も多い容量は330ml。しかしなかには、800mlといった大容量のコーキング剤もあります。コーキング施工を行う場所が広い場合は、大容量に対応したコーキングガンを選びましょう。
「コーキング剤が装填された容器によって選ぶ」のが、3点目の選び方です。コーキング剤(シーリング剤)の容器には次のようなものがあり、それぞれ使用できるコーキングガンも異なります。
今回おもにご紹介しているコーキングガンが、このカートリッジ容器に対応したカートリッジガンです。
コーキング剤が残っても、また次回使うことができるため、少量での使用に向いています。しかし大量に使用すると、プラスチックや紙製の容器がゴミとして大量に出てしまうデメリットがあります。
カートリッジ容器の汎用性が高いため、カートリッジガンタイプがコーキングガンでは最も多くのモデルが販売されています。
こちらのおすすめコーキング3つめでご紹介したニチハの『プロ用 FCG101』が、フィルムパック容器のコーキング剤に対応した「フィルムパック用コーキングガン」です。
フィルムパック容器は、「フィルムでできたソーセージのような容器」を使用。大量に使用してもゴミが少ないため、広い場所でのコーキング剤施工に適しています。
金属やプラスチック製のペール缶に入ったコーキング剤を使う場合には、山本製作所の『らくらくMB』といったシリンダーガン(吸込みガン)が必要です。
ペール缶は4リットルなど大型容器ですので、大量のコーキング剤を使用する場合に向いています。
コーキングガンには、使うと便利なノズルも多くあります。ここでは、便利ノズルをご紹介します。
まずはコーキング剤の簡易保管に使うSK11の『コーキングノズルキャップSKCS−7』です。コーキング剤のノズルの先につけることで、乾燥を遅らせることができます。キャップはカンタンに外せて、再利用も可能です。
2点目はWAKIの『コーキングツール ノズルフィックスプラス ICK-007』。奇妙な形のノズルですが、何とこのノズルがヘラになってしまうのです。コーキング剤を充填しながら、ノズルの先で表面をならせます。ノズルの穴に詰まったコーキング剤は、乾燥したら取り出せるため、再利用も可能です。
3点目は、コニシの『曲がりノズル 5494』です。コーキングを施工する場所によっては、コーキングガンが入りづらいところもあります。そんなときに曲がったノズルなら、コーキングもしやすくなります。
最後に、コーキングガンに関する疑問にお答えしていきます。
コーキングガンを改造して使っている方もいるようです。多いのは、2液式のボンドなどを押し出せるように、コーキングガンにもう1本押し出すハンドルなどを取付けるケース。
ただし溶接してハンドルを取り付けるなど、かなり高度な作業を行っています。溶接などの作業に慣れてから行いましょう。
「すき間を埋める」ことが目的の工具である、コーキングガン。それでは、壊れたものを直すことはできるのでしょうか?
結論から言うと、コーキングでできるのは「ひび割れなどの亀裂に水が入らないよう補修するところまで」です。接着剤のような耐久性はないため、壊れたものを固定(接着)することには向いていません。本来の目的にそった使い方を心がけましょう。
さすがに、ダイソーやセリアなどの100円ショップに、コーキングガンはありません。カートリッジ式のコーキング剤もないですね。
しかし100均には『シリコン補修剤』という製品が、お風呂用・窓用などで販売されています。使った方によると、「簡単に使えて、品質も問題なし」とのこと。価格も量も、自宅のちょっとした補修にはちょうど良いようです。
今回は、コーキングガンのおすすめ5選から種類や使い方、選び方まで解説してきました。同じように見えるコーキングガンでも、さまざまな種類がありましたね。
コツをつかんでうまく使いこなせば、プロでなくとも水回りなどの補修を行うことは可能です。ぜひ今回ご紹介したおすすめコーキングガンで、効率よく補修を行ってみて下さい。