「最近、車にワックスをかけても、以前のようなツヤが出ないな…」
こんなときに試してほしいのがポリッシャーでの車磨きです。正しく磨いてコーティングやワックスをかければ、専門店のプロが磨いたようにキレイなツヤが出ます。
しかしポリッシャーは「プロの道具」というイメージもあり、
「たくさんの種類がある中で、どれを選べば良いの?」
「どうやって磨けばキレイに仕上がるの?」
という疑問をお持ちの方も、多いのではないでしょうか?
そこで今回は車磨き用ポリッシャーの選び方やおすすめ品、正しい使い方をご紹介していきます。電動工具の取扱いに慣れていない方にもわかりやすく説明しますので、愛車をよりキレイに仕上げたい方はぜひご覧ください。
目次
まずは車磨き用ポリッシャー・バフ・コンパウンドの選び方をご紹介します。
車磨きにポリッシャーを使う理由は、磨きムラをなくして均等な「磨き」が行えるためです。
コーティングやワックスをかけることで、車のボディは輝きを増します。しかし、ボディの塗装面にキズがついていれば、輝きが鈍くなります。そこで、コーディング・ワックスの前に、「磨き」作業を行って、塗装面の傷をコンパウンドで落としていくのです。
そして、コンパウンドをスポンジにつけてボディをこすれば、手作業でも「磨き」は行なえます。ただし手作業では、均等に力が入らないため、磨きムラが出やすくなります。
そこでポリッシャーを使うことで、磨きムラがなく均等な「磨き」が行えるというわけです。もちろん手作業に比べ、疲労もはるかに少なくなります。ぜひポリッシャーを使っての「磨き」をマスターしましょう。
車磨き用のポリッシャーを選ぶ際、大前提が「磨きの回転数が調整できるタイプ」を選ぶということ。
車の頑丈なイメージからはあまり想像できませんが、車の塗装面は実はとてもデリケートです。タオルで強めに拭くだけでも細かいキズが付いてしまいます。そこでポリッシャーでの磨きは、低回転から行います。
磨き作業は、「塗装面を削る」のではなく「表面をならす」ことが大切です。そのためにも、まずは「回転数が調整できる」タイプを選びましょう。
ポリッシャーにはダブル・シングル・ギアアクションの3種類があります。それぞれの特徴を知って、あなたに適した機種を選びましょう。
初心者が扱いやすいのが、ダブルアクションポリッシャーです。
ダブルアクションポリッシャーは、下図のようにパッドが回転しながら偏心運動を行います。シングルやギアアクションに比べて、研磨能力は低いですが、その分磨きキズはつきにくいです。ボディーの深いキズを取ることには向きませんが、「表面をならす」ための「磨き」には問題なく使用できます。
中級者向けがギアアクションポリッシャーです。
ギアアクションポリッシャーは、下図のようにギザギザに回転します。シングルアクションのように回転するだけではなく、ダブルアクションのように偏心運動までは行いません。そして研磨力もシングルには劣りますが、ダブルアクションよりは上です。
このように、シングルアクションとダブルアクションの中間に存在するのが、ギアアクションです。扱いやすさ、研磨力から見ても中級者向けのポリッシャーといえます。
上級者向けが、シングルアクションポリッシャーです。
シングルアクションポリッシャーは、パットが回転運動のみを行います。3種類の中で、最も研磨力が高いために、磨き時の力の入れ加減が大変難しくなっています。あまり力を入れて磨けば、磨きキズができてしまうため、上級者向けです。
車磨き用ポリッシャーには充電式と電源コード式があります。現在の充電式工具は大変パワフルになっているため、パワーの違いはそれほど気になりません。
どちらかを選ぶ際には、使用時間から検討しましょう。ポリッシャーで車を磨こうとすると、車種や車の状態にもよりますが、1〜2時間はかかります。ですが、例えばマキタのオービットポリッシャーPO500DRGは、次の時間しか使用できません。
|
短時間で磨こうと、あせって磨きキズをつけてしまっては何の意味もありません。現時点では、電源コード式ポリッシャーを選ぶことが賢明です。
ポリッシャーには縦型と横型があり、それぞれに特徴があります。できれば店舗で実際に手にとって、持った感覚も試してみて下さい。
初心者におすすめなのが、縦型のポリッシャーです。
本体を押さえつけるように持つことで、微妙な力加減を加えることが可能。また多少重さがある機種でも、あまり疲れずに磨きの作業が行なえます。ただし、ルーフなどを磨きにくいといったデメリットもあります。
横型のポリッシャーは、上級者におすすめします。
少し遠い場所でも磨くことができるため、ルーフの磨きも苦になりません。またトルクが大きい機種が多いため、研磨力が強いことも特徴。ただし、本体が重い機種が多く、さらに本体を支えるように持つため、縦型よりも疲れやすい点がデメリットです。
前述したとおり、車のボディはとてもデリケートで、ポリッシャーも回転数を調整しながら磨いていきます。電動ドリルやドライバーは回転数を調整できず、軸の回転が速すぎるのです。そのため、磨きにムラができたり、磨きキズができてしまいます。また回転が速すぎるとコンパウンドが硬化してしまいます。
そのため、ポリッシャーの代わりに電動ドリルやドライバーを使うことは、おすすめしません。ぜひ、おすすめのポリッシャーを試してみて下さい。
ポリッシャーを選んだら、次にバフを選びます。バフは機種によって取付可能なサイズが異なりますので、まずは取扱説明書やパンフレットでサイズを確認しましょう。
初心者におすすめするのはスポンジバフです。ウレタン素材でできたやわらかいスポンジバフは、ウールバフよりも研磨力は弱くなっています。しかしその分、落ち着いて磨き作業が行なえます。
またスポンジバフには、目の細かさによって次のような種類があります。
まだポリッシャーに慣れないうちは微粒子用だけを使い、慣れてきたところで粗目から段階的に使えば、効率よく磨きが行なえます。
上級者には、ウールバフがおすすめです。スポンジバフよりも研磨力が高く、深いキズでも目立たなくすることができます。ただし磨きキズが残りやすいため、仕上げには向いていません。最終的な仕上げはスポンジバフで行いましょう。
最後がコンパウンドの選び方ですが、一般的に市販されているコンパウンドはあまり品質が良くない、と車屋さんでよく言われます。そこで、多くの車屋さんが使っているコンパウンドをご紹介します。
それが3Mの『ハード1−L』と『ハード2−L』です。磨きのプロであるカーケアショップや板金屋などでは、よくこの商品を使っています。ノンシリコン・ノンワックスのため、一般品のようにワックス成分で一時的にキズを埋めることはしません。下でご紹介しているのは3本セットで、次のような内容です。
『ハード1−L』だけでも充分な仕上がりですが、『ハード2−L』を使えばより光沢が増します。プロが使うコンパウンドですので、品質の高さは間違いありません。ぜひ一度、使ってみてください。
ここでは、車磨きにおすすめのポリッシャー5選をご紹介します。
おすすめの車磨き用ポリッシャー1点目は、リョービの『ダブルアクションポリッシャー PED-130KT』です。扱いやすいダブルアクションで、さらに「車磨き専用キット」付きで購入後すぐ使えますので、初心者にピッタリです。
おすすめの車磨き用ポリッシャー2点目は、リョービの『電子ギヤアクションポリッシャー PEG-130』です。
PEG-130最大の特徴は、磨きキズが出にくいリョービ独自のギアアクション機構を採用している点(特許出願中)。1回転ごとに頂点がずれるため、同じ軌跡を描くことがなく、車の磨き傷やオーロラマークを出しません。
また、負荷をかけても回転が落ちず、ムラのない仕上がりが可能です。もちろん変速ダイヤル付で、適切な回転数を設定できます。本体を守る堅牢なダイカスト製プロテクターと、ロングタイプ補助ハンドルで、耐久性・操作性も抜群です。
マキタの『電子ポリッシャー PV7001C』が、おすすめの車磨き用ポリッシャー3点目です。
PV7001Cは、ワンタッチで低速から高速へ切替可能で、磨き作業が快適に行なえます。また電子制御と低重心によって安定した作業が可能。反動を押さえ、スムーズに回転し始める「ソフトスタート」と、負荷をかけても回転数が落ちない「定回転制御」で、美しい仕上がりが得られます。
おすすめの車磨き用ポリッシャー4点目は、HiKOKIの『電子ポリッシャー SP 18VB』です。
耐久性に優れた強力モーターを採用しており、信頼性は抜群。ダイヤル式無段変速機構で、作業に適した回転数が設定できます。またスピンドルロックによって、採用先端工具の交換が簡単に行えます。
最後におすすめする車磨き用ポリッシャーは、KTCの『ミニポリッシャーJAP120』です。
エア工具ですので、ここまでのおすすめ品とは異なりますが、小型・軽量のミニタイプで細かい場所を磨くことが可能。トリガーの引き具合で回転を調整できる、ティージングスロットルを装備しています。
おすすめのポリッシャーをさらに知りたい方は、こちらの記事もぜひご覧ください。
ここでは、車のコーティング・ワックスがけのやり方と、ポリッシャーの正しい使い方をご紹介します。
コーティング・ワックスがけ作業は、次の手順で行います。
まずは作業の準備です。
車のコーティング作業を行う場合は、ファスナーが付いた服では、車のボディにあたって傷ができてしまいます。ボタンやファスナーが付いていない、作業しやすい服で行いましょう。またポリッシャーで研磨を行うと粉塵が出ますので、特にガレージなどで作業する場合はマスクも着用してください。
使用する道具一式もこの時点で揃えておくと、この後の作業がスムーズに進みます。
さらに、作業はくもりの日に行います。晴れて気温の高い日は、ボディの水分が乾きやすくなっているもの。特に夏場は瞬時に干上がってしまいます。汚れた洗剤を含んだ水はもちろん、すすぎの水も、乾けば水アカになってしまうので注意が必要です。
またボディに砂ぼこりがついてしまうと、磨きによってキズがついてしまいます。作業には、風が弱い日を選びましょう。できれば、ガレージで作業を行うことがベストです。
次に洗車を行います。このとき、カーシャンプーではなく台所用の中性石けんを使用してもOKです。100mLほどの中性洗剤をバケツに入れ、周りから静かに5Lほどの水を注ぐとキレイに泡立ちます。カーシャンプーよりも環境に優しいので、おすすめです。
水滴が乾いて水アカにならないよう、すぐに拭き上げて水気を切っていきます。このとき、車を少し前後に動かすと、ボディーのすき間から水滴が垂れてくるので、しっかりと水気を切ることができます。
洗車では落とせなかった鉄粉などの汚れを除去していきます。車には鉄粉のほかにも、水アカ・泥・鳥のフン・枯れ葉・グリス系の汚れなど様々な汚れがついています。
鉄粉には「ねんどクリーナー」を使うなど、それぞれの汚れに適した道具で汚れを落として下さい。
「磨き」を行う前に、磨いても問題ないか、塗装面の確認を行いましょう。
「磨き」の作業は、クリア層を研磨する作業です。車の塗装面は下図のように塗料が塗り重ねられて、一番上にクリア層があります。
年代が古くなってクリア層が取れている車では、磨き作業は行えません。またクリア層が残っていても、かなり薄くなっている場合もあり、磨き作業を行うことでクリア層が取れてしまいます。
特に年式の古い車の場合は、作業前に塗装の状態をよく確認し、磨き作業が行えるかどうか見極めましょう。
ボディーの汚れをしっかり落としたところで、忘れずにマスキングを行いましょう。マスキングはモールやライト類に行います。ボンネットにウォッシャーノズルがある場合には、ノズルにもマスキングが必要です。
マスキングせずに磨き作業を行うと、コンパウンドがモールに付着したりすき間に入り込んでしまいます。白くなって、見栄えが悪くなりますので、しっかりとマスキングテープを貼ります。
マスキングテープを貼ったところで、ポリッシャーで磨いていきます。その前に注意ですが、「磨き」はクリア層を削る行為ですので、あまり頻繁に行ってはいけません。半年~1年に1度行うくらいにとどめておきましょう。
それでは、ポリッシャーの正しい使い方をご紹介します。
まずは低回転で磨いていきます。作業する方の慣れの問題もありますが、ポリッシャー+バフ+コンパウンドの仕上がりをみる目的もあります。いきなり高速で磨きはじめたところ、バフに砂がついていたため、盛大な磨きキズがついてはどうしようもありません。
少しずつ、状態を確認しながら回転数を上げていきましょう。
ポリッシャーはあくまでも支えるだけで、ボディに押し付けるようなことをしてはいけません。深い磨きキズがついてしまいます。ドアなどサイド部分を磨く場合でも、軽く押さえるくらいにしましょう。
またバフが均一にボディーに当たるように、まっすぐにポリッシャーを当てて下さい。片寄った当て方をしていると、やはり磨きキズがつきます。
ポリッシャーは、均一にムラなく磨くことがポイントです。そのために、やみくもに磨くのではなく、作業範囲を細かく区切りましょう。そして、その中を何回往復するか決めて、各部を同じ数だけ往復していきます。
例えばボンネットであれば、一度にすべて磨こうとせず、半分か4分の1に分けて考えます。そして下図のように、縦→横とポリッシャーで磨きます。ここでもやみくもに磨こうとせず、一定の動きで、均一の磨きを目指しましょう。
エッジ部はクリア層が薄くなっています。ポリッシャーを当てすぎないように注意して下さい。ボディーの形状的に、どうしてもバフが均一に当たらない場合には、ポリッシャーは使わず、スポンジにコンパウンドを付けて手作業で磨きましょう。
コーティングもワックスも、薄く、均一に塗っていくことがコツです。またどちらも、仕上げの拭き取りは、液が乾く前に行います。拭き取りといっても、表面に塗った素材を広げ塗る目的もあるので、乾いてからでは遅いのです。
ちなみに、コーティングとワックスの違いは次のとおりです。
塗装保護を重視するなら、コーティングがおすすめ。ワックスはキレイに見せることができる反面、落ちやすいというデメリットがあります。
黒いボディーの車は、磨きキズがとても目立ちます。そのため黒い車を磨く際には、これまでご紹介してきた注意点を、よりしっかりと守ることが大切です。
ぜひ、ここまでの内容を再度読み返して、注意点を再確認して下さい。
車のボディがキレイになったところで、気になるのはウィンドーの汚れですよね。そこで最後に、ポリッシャーのガラス研磨での車のウロコ取りの方法などをご紹介します。
フロントガラスなどウィンドーの研磨に必要な道具は、ボディー磨きとほぼ変わりません。ただし、ガラス用の油膜取りやコンパウンドを用意しましょう。
ここでもやはりおすすめは、3Mのガラス磨き用コンパウンドです。特殊研磨砥粒を使用しており、ガラスに傷を付けません。プロ御用達の逸品ですので、安心して使って下さい。
ウロコ取り・ガラス研磨は次の手順で行います。
ポリッシャーで磨きを行う際は、磨きすぎないように注意してください。またキズがある箇所のみを磨かず、全体を磨くようにしましょう。そうしないとガラスが歪んでしまい、最悪の場合フロントガラスを取替えることになります。
今回は車磨き用ポリッシャーの選び方やおすすめ品、正しい使い方をご紹介してきました。たくさんあるポリッシャーやバフの中から、どれを選べばよいのか理解して頂けたかと思います。
プロに頼めば数万円する磨きも、ポリッシャーを使えばずいぶん安く済みます。また自分の手で鏡面磨きができれば、車にさらに愛着も湧いてきます。ぜひ、今回の記事を参考に、正しいやり方で「磨き」の作業を行ってみて下さい。