鉄板に大きな穴をあけたいときには、どんな工具を使いますか?
ホールソーを使っている方は、もしかしたら損をしているかもしれません。
ホールソーの代わりにパンチャーを使えば、バリのないきれいな穴あけが可能です。
さらに厄介な切り粉が発生しないので、後片付けの手間が減らせます。
おすすめのパンチャーも紹介しますので、ぜひ使ってみてくださいね!
パンチャーとは、パンチと呼ばれるブロック状の刃物で鉄板に穴をあける工具です。
工具のしくみは書類に穴をあける文房具のパンチと同じです。
パンチャーは文房具のパンチと異なり、油圧ポンプを使って強力にパンチを押すことで、金属に穴をあけます。
金属などに大きな径の穴をあける工具といえば、ホールソーが有名です。
ホールソーと比較すると、パンチャーの特長がよく見えてきます。
穴あけにホールソーの代わりにパンチャーを使用すると、4つのメリットがあります。
・切り粉が出ない
・仕上がりにバリがない
・他の部品を傷つけない
・丸以外の形状の穴もあけられる
それぞれの項目について解説していきます。
パンチャーを使用して穴あけをすると、切り粉が出ません。
ホールソーはドリル刃を回転させながら金属を切削するのに対して、パンチャーはパンチとダイスで打ち抜きます。
パンチャーの使用後には文房具の穴あけパンチと同様に、金属の丸い板だけがゴミとして残ります。
切り粉を出したくない電気配線や制御盤の組み立ての現場では、パンチャーは最適の穴あけ工具です。
パンチャーであけた穴にはバリがありません。
ホールソーはドリル刃で切削加工をするため、どうしても反対面にバリが発生してしまいます。
パンチャーを使えばやすり掛けをする必要がないため、作業時間が短縮できます。
パンチャーは穴あけの作業中に、他の部品に傷をつけてしまう心配がありません。
ホールソーのように一方向から穴あけをするのではなく、パンチャーはパンチとダイスで板を挟みます。
パンチャーを使用すれば穴をあけすぎてしまい、ボックス内にある電線などの大切な部品を傷つけてしまうことはありません。
パンチャーはパンチとダイスを取り換えることで、丸以外の形状の穴もあけられます。
ホールソーは刃先を回転させてあけるため、丸穴以外をあけることはできません。
パンチャーのパンチとダイスは正方形や長方形などの角形だけでなく、コネクタの形状に合わせた替え刃も存在しています。
一方、ホールソーには厚い板にも穴を開けられる、パンチャーにはないメリットがあります。
ホールソーとパンチャーの特徴をよく理解して、用途にあわせて上手に使い分けることが重要です。
たまに間違えることがあるのですが、ホールソーとコアドリルの違いはご存じですか?
コンクリートに大きな穴をあける工具、コアドリルはこちらの記事で詳しく紹介しています。
パンチャーには用途や材料に合わせて、たくさんの種類があります。
今回は薄板の穴あけを想定して、最適なパンチャーの選び方を紹介します。
まずは以下の三種類の中から、用途にあわせてパンチャーの種類を選んでください。
・手動式フリータイプ
・手動式ホースタイプ
・電動式
パンチャーの種類さえ決まってしまえば、あとは穴をあける板厚と、あけたい穴の径に対応した製品を選ぶだけです。
板の材質によってはパンチとダイスを変える必要がある製品がありますので、注意してください。
それでは、三種類のタイプをそれぞれ詳しく紹介します。
パンチャーの基本は、手動式フリータイプです。
パンチとダイスが取りついた先端部分は、本体に対して首を振れる構造になっているため、自由な角度で穴あけ作業ができます。
手動式フリータイプの製品には穴をあけるだけではなく、穴を広げたり丸穴を角穴にしたりすることが可能です。
工具としてはハンドニブラーに似ています。
ハンドニブラーについて知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
狭いところや、作業のしにくい場所に穴をあけたいのであれば、手動式ホースタイプを選びます。
手動式ホースタイプのパンチャーはパンチとダイスが本体と離れ、ホースでつながっていますので狭い場所でもアクセスが可能です。
手動式ホースタイプのパンチとダイスは電線管に合わせたサイズですが、管の厚さによって替え刃が異なるため注意が必要です。
手早く穴あけ作業をしたいなら、電動式がおすすめです。
電動式パンチャーの使い勝手は、手動式フリータイプとさほど変わりません。
ポンピングを手動で行うか、電動で行うかの違いです。
もちろん他の電動工具と同様で、AC電源式と充電式があります。
これまでに紹介したパンチャー以外にも、厚い板に対応できるものや、アングルやH形鋼などに穴をあけるのに最適なパンチャーがあります。
パンチャーを使用する最大のメリットは、同径の穴あけ作業が素早く行えることです。
それでは、おすすめのパンチャーを紹介します。
WEIMALLの油圧パンチャーは、エントリーモデルとしておすすめのパンチャーです。
使い勝手の良い手動式ホースタイプの製品で、厚さが3.2mmまでの鉄板に穴あけができます。
ダイスは直径16mmから51mmの6種類が付属していますので、ご家庭でのDIYには最適なパンチャーです。
ホーザンのパンチャー「K-83」は、アルミの板にきれいな穴をあけたい方におすすめです。
「K-83」は油圧式ではなくパンチとダイスで板を挟み、ハンドルを回すことで穴をあけます。
パンチは16mm~30mmの5種類や、下穴を拡大するリーマなどがセットです。
油圧シリンダーを使うことにためらいがある、女性の方にも安心してお使いただけます。
カクタスのライトパンチ「SLP-4」は、配電盤や制御盤に穴あけ作業をする方におすすめです。
替え刃は電線管のサイズにあわせて、たくさんの穴径から選べるだけでなく、角形に抜けるパンチもあります。
丸径は直径120mmまで、角形は105×105mmまで、さらに長方形のダイスも特注で対応が可能です。
カクタスのパンチャーはプロ用として、安心してお使いいただけます。
なお、「SLP-4」は替え刃が付属していませんが、電線管の厚みに合わせた替え刃が付属したセットがあります。
作業がしにくい場所への穴あけは、手動式ホースタイプのカクタスパンチ「SKP-4」がおすすめです。
こちらもライトパンチと同様に、電線管の厚みに合わせた替え刃セットが選べます。
モクバのスマートパンチャー10「D-120」は、電気工事でダクトやレースウェイに穴あけ作業が多い方におすすめです。
鉄とステンレスのどちらでも対応可能なパンチャーで、長尺のレールにも穴あけができます。
穴をあける位置を確認できるストッパー付きなので、手早く穴あけが可能です。
文房具のパンチと同様に穴を抜いたゴミは本体内部にたまるしくみですので、配管工事の作業効率があがります。
ダイアの多目的プロマー「HPN-250A」は、多目的に使えるパンチャーを探している方におすすめです。
「HPN-250A」アタッチメントを交換することで、パンチャーだけではなくケーブルカッターや圧縮工具としても使えます。
また電線加工の電動工具としてだけではなく、鉄筋や全ねじ、レースウェイの切断にも使用可能です。
「HPN-250A」のアタッチメントは、それだけではありません。
さらにアングルの切断、V字加工、折り曲げ、穴あけといった、さまざまな加工ができるアタッチメントがそろっています。
複数の工具の役割をたった一台でこなしてくれる、これが本当のマルチツールです。
なお、電源の確保がむつかしい現場でも使いたい方は、充電式の「HPN-250RLB」をお選びください。
マキタの電動パンチャ「PP201」は、薄板ではなく8mmまでの厚板に穴をあけたい方におすすめです。
替え刃を交換することで直径20mmまでの丸穴だけではなく、長穴をあけることもできます。
「PP201」はボックス用ではなく、フラットバーやアングルなどの形鋼用のパンチャーです。
9mm厚のH形鋼に穴あけをするなら「PP202」をお使いください。
また、どこでも使える充電式の「PP200DRG」もおすすめです。
オグラのコードレスパンチャー「HPC-NF209WBL」は、板厚9mmまでの材料に穴あけが可能な充電式パンチャーです。
マキタのバッテリーが使えますので、マキタユーザーの方にも安心してお選びいただけます。
モーター部が360度回転し、ヘッド部は0度と90度を選択できるので、穴あけ場所に合わせた姿勢で作業が可能です。
今回は穴あけ工具のパンチャーについて紹介しました。
現場で配電盤や制御盤に穴をあける方には、パンチャーは欠かせない工具です。
簡単にきれいな穴があけられるため、ご家庭のDIYでもよく使われます。
お気に入りの製品をみつけて、快適な穴あけ作業をしてくださいね。
パンチャーは強力な工具ですので、事故やケガにはくれぐれも注意してお使いください。
また、材料で手や指を切らないためにも、軍手の着用をお願いします。
こちらの記事でおすすめの軍手を紹介していますので、参考にしてください。