超音波カッターはプラスチックを素早く切断できる工具です。
厚いプラスチックをカッターナイフで切断するのは想像以上に大変なので、購入を検討している方も多いのではないでしょうか。
今回はホビー用の市場ではトップシェアを占めている、エコーテックの超音波カッターについて詳しく紹介します。
購入を検討している方は、ぜひ参考にしてくださいね!
超音波カッターとは、刃先に1秒間で数万回(エコーテックの超音波カッターは4万回)の振動を与え、プラスチックなどが簡単に切断できる電動工具です。
振動を与えることで切断時の摩擦を減らすため、力を入れなくても刃先がスルスルと入っていきます。
摩擦が減るとはいえ、高速振動によって刃物と対象物の間には摩擦熱が発生し、その影響でプラスチックが溶けます。
温めたナイフでバターを切るような感覚でプラスチックが切断できるため、「プラスチックがバターのように切れる」と表現されるようになりました。
超音波カッターでABS樹脂を切断している動画がありますので、参考にご覧ください。
超音波カッターは先端に刃物がついたハンドピースと、振動を制御する発振機から成り立ちます。
ハンドピースには圧電セラミックスという物質が内蔵されており、電圧を加えると伸び縮みする性質を利用して振動を発生させています。
超音波カッターには材料によって切断しやすいものや、切断できないものがあります。
得意とする材料はプラスチックや紙、布など、一般的なカッターナイフで切断できるものです。
通常のカッターナイフでは手間のかかる、厚みが3mm以下のプラスチックや、厚紙、段ボールの切断に使うのがおすすめです。
逆に振動を吸収してしまうゴムなどの柔らかい素材は苦手といわれています。
なお、振動により切れ味が増していますが、刃物自体は通常のカッターナイフに使われるものと同じなので、カッターナイフで切れないものは超音波カッターでも切れません。
エコーテックは超音波を利用した機器を製造している、本多電子株式会社の専門商社で、超音波カッターの企画と販売を行っています。
主に工場などで業務用として使われていた超音波カッターに注目し、ホビー用として広めました。
ユーザーの声を大切にしている企業ですので、試験片を使ったテスト切断にも応じてくれます。
超音波カッターについて疑問点や、困りごとのある方は相談してみてはいかがでしょうか。
それでは、エコーテックの超音波カッターについて紹介します。
エコーテックからは、現在4種類の超音波カッターが販売されています。
それぞれの特徴を解説しますので、製品選びの参考にしてくださいね。
・ZO-30プラ
「ZO-30」は、プラスチックを切断する用途で開発された、最も安価で購入できる超音波カッターです。
ホビー用の工具としては高価ですが、作業時間の短縮を考えると費用に釣り合う価値があります。
プラモデルの制作や、DIYでプラスチックを切るには最適な製品です。
また作業中に替え刃を交換するのが面倒という方に、サブ機として購入されることもあります。
・ZO-40レジン
「ZO-40」は、レジンキャストの切削に適した超音波カッターです。
ZO-30では切れ味が物足りないという方におすすめですが、摩擦熱による影響は増えます。
熱に弱いプラスチックをメイン用途に考えるならZO-30、熱で溶けないレジンキャストをガシガシ削りたいならZO-40です。
・ZO-41Ⅱ
「ZO-41Ⅱ」は、おすすめの超音波カッターです。
切断抵抗にあわせて出力を調整する、T.A.F回路という独自の駆動方法が採用されています。
出力が調整できることで摩擦が抑えられ、プラスチックへの熱の影響は最小限です。
また、使い勝手にもエコーテックのこだわりを感じます。
「ZO-30」と「ZO-40」は作業時に、手元のハンドピースのスイッチを押し続けることが必要です。
スイッチを押しながらでは集中して作業ができない、というユーザーの声を反映し、一度スイッチを押すだけで連続して使えるようにしました。
なお従来通り、押している間だけ振動するモードへの切り替えも可能です。
モードの切り替えは使い勝手だけではありません。
通常出力で熱影響の少ないノーマルモードと、出力を上げたいときに使うハイパワーモードの切り替えができます。
プラモデル製作に適した、これ以上の超音波カッターはありません!
・ZO-80
「ZO-80」は業務用の切れ味を目指して開発を始めた、ホビー向けの業務用超音波カッターです。
「ZO-41Ⅱ」で紹介したハイパワーモードのさらに上をいく、スーパーハイモードが搭載されています。
ハンドピースもハードな使用にも耐えられるように、耐久性を向上させました。
ホビー用としてだけではなく、実際に業務用としても使われています。
その証拠に業務用の起動スイッチとして一般的なフットスイッチが、別売りですが用意されています。
エコーテックの超音波カッターの最大の魅力は、豊富な替え刃です。
ユーザーのニッチな要望にも応え開発しているので、充実したラインナップになりました。
ユーザーにも人気の高い、おすすめの替え刃を簡単に紹介します。
・ZH-11 鋸刃
「ZH-11」は鋸(のこぎり)のようなギザギザのついた刃で、厚みのある素材をザクザク切り出すのに使われます。
・ZH-03 曲刃
「ZH-03」は刃先がカールしている刃で、独特な形状を利用して通常の刃では作業がやりにくい部分に使われます。
この刃でないと作業ができない場所がプラモデルには多いんです。
また、曲がった部分を押し付けることで、あえてプラスチックを溶かしてくっつける溶着ができます。
値段は高いですが、それだけの価値はあります!
・ZH-48 ジルコニアセラミック標準刃
歯科治療にも使われるジルコニアセラミックという素材でつくられた刃です。
本来は振動を吸収してしまい困難だった、一部のゴムやシリコンの切断が容易になり、業務用としても注目されています。
超音波カッターを使用する上で注意してほしいポイントを紹介します。
高速振動はプラスチックの切断に大きく役に立ちますが、刃物への負担が大きく、まめなメンテナンスが必要です。
刃固定具の締め付けトルクの不足は、稼働時間を短くしたり、刃先に負担をかけるので故障の原因になります。
使用中には高速振動により刃を固定するビスが緩んでくるため、こまめに増し締めをする必要があります。
推奨トルク値は0.6Nmで、管理にはトルクドライバーを使用するのがおすすめです。
専用のトルクドライバーも販売されています。
刃を固定する部分に汚れがたまると、振動が刃先にうまく伝わらなくなります。
汚れが刃の締め付け不足にもつながりますので、定期的に清掃が必要です。
こちらも専用のメンテナンスセットが販売されています。
超音波カッターは、以下の部品が消耗品です。
・刃固定具
・刃固定ビス
交換の頻度は使用状況によりますが、汚れたり摩耗してきたら交換する必要があります。
こちらから購入できます。
超音波カッターは切断工具です。
使用中のケガを防止するために、面倒でも保護具を身に付けましょう。
切れ端が目に入ることもありますので、こちらで紹介している保護メガネがおすすめです。
今回はエコーテックの超音波カッターを紹介しました。
超音波カッターは想像よりもメンテナンスに手間がかかり、消耗品の交換も必要です。
しかし、プラスチックの切断スピードは驚くほど早くなります。
プラモデル製作の作業効率をアップさせたい方は、ぜひ購入してみてくださいね!
専用のカッターマットが販売されています。
通常のカッターマットは超音波カッターの振動で溶けてしまいますので、必要に応じてお使いください。
プラモデル製作には、熱でプラスチックを溶かして切断するホットカッターもおすすめです。
超音波カッターよりも圧倒的に安価です!
プラモデル製作の効率アップにはエアブラシは欠かせません。
エアブラシの購入を検討されている方には、こちらの記事がおすすめです。