近年人気のDIYではいろいろな素材を使用しますが、用途に迷うことがあります。そのなかでも特に迷ってしまうがコンパネとベニヤ板、合板などの木材種類の選択です。DIYでは自身で加工がしやすい木材を使用されることが多く、ホームセンターには多くの種類が並んでいます。
どれも板の種類として分類されているものですが、それぞれに特徴や使い方が異なります。そこでこちらの記事ではコンパネの特徴や基礎知識、ベニヤ板との違いからDIYで使うときの活用術など紹介します。
コンパネとベニヤ板、合板のなかでも特に馴染みがないものがコンパネです。DIY初心者は名称すら聞いたことがない、という方も少なくありません。コンパネがどのような種類でどんな特徴があるのかしっかりと把握して、利用する用途などをチェックしてみましょう。
コンパネとはコンクリートパネルの略称で正しくは、コンクリート型枠用合板です。正式名称からも分かるように、もともとは建築現場などで作業時にコンクリートを打ち固めるための型枠ですが、近年はDIY素材としても多く利用されています。
コンクリートやモルタルの型枠として使用する際に何度も使えるよう表面に剥離剤を塗り加工したものもあります。あくまでコンクリートの型枠用合板であり、合板の一種で、コンクリートの板ではないので注意してください。
DIYに利用する材料のなかでも使いやすく優れた特徴を持つコンパネですが、本来の用途は建築現場など外で使うものであり、コンクリートの型枠なので見た目を考えたつくりになっていません。
そのため多少の歪みがあったり、ガサついているなど表面仕上げが期待できないデメリットがあります。しかしその乱雑さをあえてDIYに取り入れて男前インテリアに挑戦したりナチュラル感を楽しむ方も少なくありません。
屋外で使用することを想定に作られているコンパネも、使い方やアイデア次第で室内のDIYに利用することができます。表面を綺麗に仕上げることができないのであればあえてそこを利用し、ステイン塗装やペイント、壁紙シールを貼ったり角を落とす、ヴィンテージ加工を施すなどすればおしゃれなDIYができます。
コンパネによってはそのままDIYに使っても違和感なく利用できる見た目のものもあります。もちろん屋外用のDIY素材としても優秀です。DIYで作業するための作業台として利用する方法もあります。
DIY素材として注目を集めているのも、コンパネにそれだけの魅力やメリットがあるということです。コンパネをリメイクやリノベーションなど、DIYで使う前にその魅力をいくつか紹介します。
DIYは自分で作業することで費用を安くできるメリットがありますが、コンパネはそんなDIYにぴったりの手頃な価格で購入できる魅力があります。作業用の型枠で見た目が考慮されていないぶん手間がかからず、大量生産しやすい素材なので通常サイズであればメーカーによって多少のばらつきがあるものの、2000円前後で販売されていることがほとんどです。
コンパネの多くはホームセンターやネットショップで買うことができます。しかしコンパネのなかには表面加工して見た目をきれいにしたものや、ウレタン塗装されたコンパネもあり、これらは価格が高くなっています。
屋外で使うことを想定したコンパネはほかの木材と比較して耐水性があり、ウレタン塗装されたものであればさらに耐水性が高くなっています。この特性からコンパネは建築現場でコンクリートの型枠だけでなく、屋根工事の下地材として使われることもあります。
耐水性のあるコンパネは屋外で使う小屋や物置などのDIYにも最適で、キッチンなどの水回り周辺に設置する場合にも適しています。特にウレタン塗装されているものが耐水性が高く、水周りに向いていますが、見た目が好みに合わない場合もあります。その場合は無理にコンパネを使わずベニヤなどほかの合板に塗装する方法もおすすめです。
DIYで使用する木材はある程度の強度が必要な場合が多いですが、コンパネは工事現場で使われるので一般に使う場合には十分な強度があります。しかしコンパネの規格では強度まで決められていないので、メーカーや種類、厚みなどによって強度が異なるので注意してください。
また、DIYでは強度だけでなく耐荷重が気になる場合もありますが、こちらも明確な数字で出すことはできないので、あまりにも重いものを乗せるような場合は別の素材を使うほうが安心です。
合板の一種に分類されるコンパネはベニヤやほかの合板と混同されることも多くありますが、もちろんコンパネとベニヤ、構造用合板はすべて異なります。知っている方からすれば3つともまったくの別物ですが、知らないければそれぞれの違いや特徴、用途がわかりません。そこでそれぞれ違いをチェックしてDIYでの利用方法や使い分けの参考にしてください。
ベニヤは木材を薄くスライスした状態の板で厚みが3mm以下で単層になったペラペラの木材を基本的にベニヤ板と呼びます。カッターでもカットできるほど薄いのでのでDIYでも加工しやすく、特に小さなサイズのものを作るのに適しています。しかしカッターでもカットできるほど薄いので、カッター以外にも少しの力を加えると簡単に割れてしまいます。
このベニヤを複数枚張り合わせたものはベニヤ合板と呼ばれ、複数のベニヤ板が重なっているので1枚のベニヤ板より強度がアップし、DIYでも使いやすくなります。
ベニヤには複数の種類がありそれぞれに見た目や強度が異なり、加工方法によって質のグレードが違ってきます。素材はコスパに優れているがざらついた印象のラワンと材質に優れて表面がきれいな上品なDIY向けのシナがあります。ヴィンテージ感やナチュラルさを求めるならラワン、加工しやすく柔らかない印象が好みであればシナがおすすめです。
加工法は2タイプあり、湿気の多い場所に適した耐水性のあるものが「T1」で、それよりも耐水性が劣るものが「T2」になります。これは接着精度によって異なり、どちらも耐水性があるものの、水がかかるような場所には不向きです。一般的にベニヤとして販売されているものは「T2」が多いですが、水回りで使用しない場合は「T2」でも十分です。
強度や厚みなどが規格で指定されている構造用合板は合板の一種で建築素材にも利用され、壁や床、屋根の下地によく使われるものです。厚さやサイズ展開が広く、強度などの数値が規格で明確に指定されているので、強度や耐荷重などの数値を必要とするDIYには使いやすくなっています。
また、構造用合板は接着剤によって合板を重ね合わせたものですが、使用されている接着剤が比較的水に強い性質なので、ある程度の耐水性が期待できます。しかし木自体は水に弱いので、常に水に濡れるような浴室などには適していませんが、雨のあたる屋外での使用は可能です。
構造用合板はJAS規格によって板面の品質にAからDまでの4段階で等級が記されています。Aのほうが節が少なめで表面がきれいになり、Dは節が多く表面が粗くなっています。建築の下地材として使われるものはCやDがほとんどで、見た目を気にしない場所に使えます。表面加工をきれいにしたい場合にはAやBを使うといいでしょう。
品質による判断は構造用合板にあるJASのスタンプをチェックするといいでしょう。スタンプの「板面の品質」箇所を見ると「C-D」などの表記があるので欲しい品質の構造用合板を探せばOKです。スタンプによっては「C-D」表記だけの場合もあります。
ここまでコンパネとベニヤと構造用合板の違いを紹介してきましたが、結果的にコンパネと構造用合板はベニヤからできており、複数枚接着剤で圧着したものになります。ベニヤをいくつも重ね合わせることで強度を上げ、目的別に使い分けができるようになっているのです。
ベニヤで作られたコンパネや構造用合板のほかに、明確な用途が定められていないベニヤ合板や普通合板などもあり、それらは耐水性や強度が劣ることもあるので間違えないようにしてください。
日本国内で販売されているコンパネや合板は規格サイズが決まっており、基本的に3尺×6尺、メートル換算すると約910×1820mmになりますが900×1800mmの場合もあります。建築業界では3×6尺の板という意味でサブロクバンと呼ばれています。建築資材を扱う店では610×2440mmや1220×2440mmなどの大判サイズもありますが、一般的にDIYなどで使う場合には大きすぎる場合がほとんどです。
厚みは良く利用されるもので12mm、ホームセンターでも12mmのものの取り扱いが1番が多いでしょう。ほかにも、9、15、18、21、24mm厚さの合板もありますが21mm以上になるとが値段が上がり、9mmでは反りやたわみが出てしまいます。
DIYで使用するサイズが決まっている場合には入手しやすい910×1820×12mmサイズのものを店でカットしてもらうと手間が省けます。ホームセンターによっては専用の木材カットコーナーがある店舗もあるので利用すると便利です。
ある程度の強度や耐水性があり、材料費を抑えることができるコンパネは、DIY素材に便利なアイテムです。そこでコンパネを利用したDIY活用術をいくつか紹介するので、今後のDIYアイデアの参考にしてみてください。
DIY作業をする際に専用の作業台があれば便利ですが、コンパネは屋外作業にも使える構造をしているので、作業台をDIYするのもおすすめです。材料は900×900mmのコンパネ1枚と900×450mmのコンパネ2枚が必要ですが、900×1800mmのコンパネ1枚をカットすればOKです。
作り方はまず、900×450mmのコンパネの長辺両端から443mmの場所を中心に幅15mm、深さ230mmの印を付けてスリット加工します。2枚あるうちの一方は上から下に、もう一方は下から上にスリット加工してバッテンになるように組み合わせると作業台の足部分が完成です。足部分4面中心部を丸や四角で切り抜きすれば軽量化でき、移動や持ち運びしやすくなります。
あとは天板となる900×900mmのコンパネを乗せればできあがりです。この形の作業台は通称ペケ台と呼ばれるもので、建築現場でも利用される作業台ですが、DIYだけでなく持ち運び用のテーブルとしても利用できます。
隙間にぴったりとハマるジャストサイズのチェストはコンパネでDIYしてみましょう。材料はコンパネと内装用のミニビス、あとはインパクトドライバーや電動丸ノコ、電動糸ノコ、サンダーや鉄ヤスリなどの工具を使います。
チェストの大きさや設置する場所のサイズを細かく設計図に書き込み、ある程度の完成予想図を描いておくと便利です。作り方は上記の作業台のように側面や棚板などにスリットを入れ、角やコンパネの断面はヤスリがけします。塗装する場合は木くずなどをしっかり取り払って塗料を塗り、完全に乾かしましょう。
あとは設計図に従って底面や側面、上面を内装用ミニビスで打ち、棚板を組み合わせてミニビスを打っていけば完成です。ミニビスは10cm程度の間隔をあけ、打つ場所に印を付けていくと作業がスムーズに進みます。
コンパネDIY初心者にはカットした板を組み合わせるだけの簡単ゴミ箱もおすすめです。材料はコンパネと接着剤、釘だけですが、装飾を施すための転写シールや取っ手などがあるとおしゃれに仕上がります。
表面加工が荒いコンパネは乱雑さを活かしてヴィンテージ風の転写シールや塗装をすることで味のあるゴミ箱になり、DIYすることでサイズも自由自在にできます。
こちらの動画ではコンパネを使っておしゃれなテーブルをDIYする様子を見ることができます。コンパネはメラミン加工されたものを使用して、そのままでもきれいに見えるようになっています。強度があるコンパネはテーブルにも最適で、好きなサイズで自作することができます。こちらの動画では大きなサイズのテーブルを作っていますが、サイズを小さくすればデッドスペースにぴったりのサイドテーブルを作ることも可能です。
ホームセンターやネットショップで安く購入できるコンパネは強度と耐水性があり、DIYアイテムに最適です。材料費を安くしたいときや耐荷重がかかる場合はベニヤよりもコンパネがおすすめで、ステイン塗装などを施せば見た目もうまく仕上がります。DIYアイテムに迷ったらコンパネを選択肢に入れるのもいいでしょう。