DIYではいろいろな素材を使って棚やラックなどを作ることができますが、そのほとんどが木材を利用しています。しかしコストダウンなのに簡単でおしゃれにDIYできる素材が塩ビパイプです。塩ビパイプは耐久性があり加工もしやすい、むしろDIY素材にしてこそうまく利用できるアイテムです。
こちらの記事では塩ビパイプを使ったおしゃれなDIYや初心者にもおすすめの簡単DIYアイデアを紹介します。
目次
塩ビパイプを使ってDIYするためには、利用する素材についての基礎知識を知る必要があります。塩ビパイプの特徴や種類を把握することで、DIYアイデアの幅も広がります。
そもそも塩ビパイプとはどのようなものなのかを知らなければうまくDIYに取り入れることができません。塩ビパイプとは正式名称を硬質ポリ塩化ビニル菅と言うもので、塩ビパイプのほかに塩ビ管と呼ばれることもあります。
本来は水道管や下水道管、電線管などに使用される建築素材で、耐食性や耐久性があり軽量な素材です。一般的に知られているのはグレーの塩ビパイプで、連結のためのさまざまなパーツやサイズの豊富さがDIYアイテムとして使いやすくなっています。
塩ビパイプにはいくつかの種類がありますが、DIYで主に利用するものは大きく分けて排水や通気用に使われる薄肉菅・VUと給水設備などに使われる厚肉菅・VPがあります。どちらの種類もサイズや長さ、パーツなどが複数あり、アイデア次第でいろいろなDIYを楽しむことができます。
塩ビパイプはホームセンターやネットショップでも購入可能で、耐荷重や耐久性に合わせて種類を使い分けするといいでしょう。
建築素材である塩ビパイプをDIYに利用する魅力は飾り気のない無骨さにあります。特に男前インテリアとして良く使われ、かっこいいDIYにはぴったりです。しかし塩ビパイプDIYの魅力は見た目だけではなく、塩ビパイプだからこその使いやすさやメリットがあるのでチェックしてみましょう。
DIYは男女年齢問わず人気ですが、木材を扱う場合重量によっては一人でのDIYが難しいこともあります。しかし塩ビパイプなら軽量素材なので男女関係なく扱いやすいアイテムです。軽いだけでなく切断するときもそれほど難しくなく、ノコギリで簡単にカットできます。
ジョイントパーツや固定パーツを使うことでいろいろな組み合わせもでき、木材を使うDIYと比べても塩ビパイプはかなり扱いやすい素材なので、木目調やカントリー風など木材の温かみがあるビジュアルメインにこだわらないのであれば塩ビパイプはDIY初心者にもおすすめです。もちろん塩ビパイプと木材を組み合わせたDIYも気軽にできます。
塩ビパイプはホームセンターやネットショップで気軽に購入することができ、接続パーツは100円から、パイプ部分は200円からとかなり安く手に入れることができます。塩ビパイプの価格は内径サイズによって異なり、長いほうが単価が低くなります。同じ内径のパイプを複数本使うのであれば、1本のパイプをカットしたほうが手間はかかってもお得です。
購入する場所によって多少のばらつきがあるものの、内径20mmで1mのパイプが約300円前後、40mmで1mだと約500円ほどになります。これだけ安価に入手できるDIYアイテムならいろいろな作品に挑戦するときも費用面で安心です。
軽量な塩ビパイプは建築素材に使われるためにある程度の強度が備わっています。しかし多くの本を収納する棚やベッドにする場合は塩ビパイプだけの強度では不安があります。
特に口径が大きい塩ビパイプほど強度があり、小さくなるとたわみが出てしまいます。ある程度の強度がある塩ビパイプですが、棚やベッドなどをDIYする場合は補強するとさらに強度が上がり安全性が高くなります。
塩ビパイプの種類によっても強度が異なり、給水設備に使用されるVPパイプは肉厚なので机や棚など強度を必要とするDIY向けです。排水などに使うVUパイプは強度や耐荷重がいるものには不向きで、もっとも強度の高いものは鉄製のパイプを塩ビで包んだVIパイプになります。作りたいものによって素材となる塩ビパイプの種類を使い分けますが、ちょっとしたインテリアに使うのであれば十分な強度です。
塩ビパイプにはストレートのパイプだけでなくさまざまなパーツがあり、DIYではこのパーツを駆使していろいろなアイテムを作ることができます。DIYでも使いやすい塩ビパイプのパーツをチェックしてみましょう。
塩ビパイプの固定用パーツはエンドキャップとフランジの2タイプがあり、エンドキャップは先端に取り付けてテーブルやラックなどの脚部分にします。エンドキャップの片側は閉じられているので、空洞をなくしたいときにも利用できます。
フランジは円盤状になったもので、壁や床などに塩ビパイプを固定するために使われます。フランジはビスを使って壁や床にしっかりと固定させたいときにもおすすめです。ビスを使うときはフランジにも自分で穴をあける必要があるので、ドリルドライバーを準備しておくと便利です。塩ビパイプを壁に固定できるサドルバンドもあり、樹脂製やステンレス製があります。
塩ビパイプの接続パーツは複数あり、同じ直径同士を繋ぐTSジョイントや異なる直径に使用する径違いジョイント、サイズ調整に使うTS給水栓ソケット、3方向に接続できるTSチーズがあります。それぞれに製作するものによって使い分けができ、塩ビパイプの先端処理にも利用できるようになっています。
TSジョイントは同じパイプが連続している場合のアクセントに使うことができ、径違いジョイントで異なるサイズのパイプを取り入れることで単調な仕上がりに変化を付けるときにおすすめです。
TS給水栓ソケットは片側がねじ切りがあるので採寸調整に便利で、長さの異なるDIY素材として使えます。DIYでポピュラーな棚やラックなどにはTSチーズが使いやすく、簡単に棚板部分ができるパーツです。
DIYで塩ビパイプを使う場合、どうしても直角にしたい箇所に利用するパーツがTSエルボやTS給排水エルボです。どちらも同じように塩ビパイプのコーナーを直角に曲げたいときに使うもので、TS給排水エルボのほうは片側にねじ切りがあり、ねじ切りタイプのパイプと組み合わせるときに使います。
それぞれのパーツを接続する場合、TSエルボやTSジョイントなどフラットなパーツだけを使うよりもTS給排水ソケットやTS給排水エルボを組み合わせることでより一層無骨感が増し、男前インテリアにおすすめです。
塩ビパイプDIYをするならいくつかの道具を準備しておきましょう。使用するパイプやパーツはもちろん、必要最低限準備しておくと便利な道具を紹介します。もちろんほかの道具で代用できる場合や製作するものによっては必要のない道具もあるので、参考程度でOKです。
塩ビパイプでDIYするなら専用の切断道具であるエンビカッターがあると便利です。使い方も簡単で、刃の部分に塩ビパイプをセットしてグリップを握るだけですぐにカットできます。エンビカッターを使うメリットは切りくずがでない、断面図の仕上がりがきれいになることです。
カットするときはあまり力が要らないので、力の弱い方にも扱いやすくなっています。ほかにチューブカッターやパイプソー、グラインダーを使う方法もあります。エンビカッターなど専用道具がない場合は金のこぎりでもカットできます。100均ダイソーにもPVCパイプ用のこぎりがありますが、スムーズに切断するならやはりエンビカッターを使うことをおすすめします。
DIYで塩ビパイプを組み立てる場合、塩ビパイプ用接着剤を使いましょう。ネジで止めることもできますが、DIY初心者は接着剤のほうが扱いやすく簡単です。専用の接着剤は速乾性なので修正が難しく、先に接着する箇所の仮組みをするといいでしょう。
また、接着剤を塗る場所はほこりや汚れを良く落とし、ざらついている場合はヤスリできれいに仕上げますねじ切りパーツは接着後の見た目をしっかりと調整してから組み立てると失敗が少なくなります。
塩ビパイプは安くて扱いやすい便利なDIY素材ですが、そのままでは安っぽい印象になりがちです。そのため塩ビパイプDIYは塗装することが多く、塗装次第でアイアン風やヴィンテージ風、鉄さび風などかっこよくアレンジすることができます。
塗料は水性・油性どちらでもいいですが、アイアン風などかっこよく仕上げるには水性塗料がおすすめです。塩ビパイプに使う塗料はシルバーやメタリックが良く合い、ヴィンテージ感を出すならアクリル絵の具を使うのもおすすめです。塗料を使うときは有機溶剤、シンナー系は溶けるので使わないように注意してください。
下地材は塩ビパイプと塗料の密着度をあげるためや下磨きの手間を省くためにあると便利です。下地材にはザラつきや凹凸など見た目の質感を変えることができるタイプもあるので、インダストリアル風に仕上げることもできます。
やすりはカットした断面図をきれいにしたり、塗装前に塗料を密着させるために使います。塩ビパイプは表面がつるつるしているので、そのまま塗料を塗ってもはがれやすくなっています。そのためやすりがけでざらつかせ、塗料を密着しやすくさせる必要があります。
塩ビパイプの種類やDIYで使用するパーツ、道具などをチェックしたあとはおしゃれでかっこいいDIYアイデアを紹介します。塩ビパイプの特性を活かしたウォールデコや定番のラックなどアイデア次第でいろいろなものが製作できます。
塩ビパイプDIYは寸法を測るときにジョイントパーツにはめ込む部分も計算に入れて採寸しましょう。完成サイズそのままの採寸にしてしまうと、パーツにはめ込んだ分だけ短くなる場合もあります。
テーブルの脚部分に塩ビパイプを使ったおしゃれなヴィンテージ風テーブルはいかがでしょうか。塩ビパイプを使うことで好みのサイズにDIYすることができ、高さや大きさも自由自在なのでサイドテーブルとしても便利です。
ヴィンテージ感を出すなら塗装後にスポンジを使ってアクリル絵の具をポンポンと塗装すればうまく雰囲気が出ます。テーブル部分になる板もステイン塗装やステンシルを施すとよりおしゃれになります。
こちらの動画では塩ビパイプを使ったテーブルの作り方を紹介しています。基本的な作り方として参考にし、塗装やサイズなど好みのものにすればおしゃれなテーブルが完成します。動画で紹介しているテーブルは天板部分に補強を施しているので強度があり、サイドテーブルだけでなく、いろいろなものに利用できます。
DIYの定番といえば棚ですが、塩ビパイプを利用すれば棚も簡単に作ることができます。塗装だけでなく棚板に変化を付けることで印象が変わるので、ベニヤ板やOSB合板、コンパネなどさまざまなDIY素材を組み合わせてみましょう。重いものを乗せる場合はVPの塩ビパイプを使うほうがおすすめです。
棚はサイズさえ決まれば塩ビパイプを組み合わせて棚板を乗せるだけなので、DIY初心者にも作りやすく、これまでデッドスペースとなっていた隙間収納にも便利です。耐水性があるのでキッチンなど水回りの棚も作れます。脚部分にロック式のキャスターを付けることで移動させやすく、掃除や模様替えも楽にできます。
こちらの動画ではキッチンに設置するスパイスラックの作り方を紹介しています。塩ビパイプでDIYすればキッチンにジャストフィットのサイズに作ることも可能で、うまく完成させるにはしっかりと寸法を測り、フリーハンドでもいいので設計図を描くといいでしょう。
スパイスラックは小さなサイズなので、使用する塩ビパイプも細めがおすすめです。動画を参考にすればもう少し大きな棚を作ることもできます。大きい棚を作るときは耐荷重に気をつけて塩ビパイプや棚板を選びましょう。脚の下にアジャスターボルトを付けることで高さ調整ができるのでおすすめです。
塩ビパイプを利用すればおしゃれなウォールラックをDIYすることもできます。置型の棚もいいですが、壁に収納スペースを設けることでスッキリとした印象になります。一見すると難しそうなウォールラックも、塩ビパイプを素材にすれば簡単にできるのでおすすめです。
塩ビパイプは安くて強度があり、パーツやサイズもたくさんあるのでDIY素材に最適です。組み合わせるだけで簡単にできるので初心者でも失敗が少なく、塗装すれば大満足のおしゃれなインテリアに仕上がります。塩ビパイプDIYはアイデア次第でどんなものでも作ることができるので、紹介したアイデアを参考にいろいろなものを作ってみてください。