家の中を見渡してみれば、いたるところに木材が使用されていますが、それらは化粧板と呼ばれる板です。そんな中、最も多用されているといわれるのがメラミン化粧板です。メラミン化粧板とはどんな木材なのか、その特徴などを解説しましょう。
家の中では、様々な場所で木材が使われている事でしょう。しかし、素材の木そのままでできている訳では無く、表面には別の素材が使われています。その中でも最も良く使用されるのがメラミン化粧板で、これは化粧紙にメラミン樹脂を含ませ、それを木材の表皮に貼り付けたものです。
このメラミン樹脂というのは、アミノ樹脂に属する熱硬化性樹脂と呼ばれるタイプの樹脂で、メラミンにホルムアルデヒドを配合させてできています。耐久性に優れており、耐熱性、耐水性、耐摩耗性など、様々な耐性を得ています。
特にキッチンなどでは食器を置いたり熱い状態の調理器具を用いますが、傷や熱に強いメラミン化粧板はそれに適しています。天板や家具の他、研磨剤としても利用されており、汚れを落とす「激落ちくん」にもメラミン樹脂が入っています。
メラミン化粧板には、高圧と低圧の2つの種類が存在し、それぞれ異なる化粧板として用いられています。高圧メラミンは、化粧紙にメラミンを加えた化粧層、クラフト紙にフェノール樹脂を含ませた層を合わせ、高圧プレスを行い生成されます。
対して低圧メラミン化粧板は、化粧層は同じですがそれ以外に層は加えられず、基材と低圧プレスを行う事で精製されます。材料や生成する過程こそ異なりますが、両方とも耐久性に関しては同一です。
そんなメラミン化粧板は、傷や熱に対する耐性の高さからキッチン周辺の天板や家具に用いられているのが代表的です。勿論、キッチン周りだけに使われているというわけではありません。
耐久性が高いという特徴はもちろんの事、色や柄の種類が豊富にそろっていますので、一戸建て住宅やマンション、公共施設などの幅広い場所で、各種の天板やオーダー家具、パーティションなど様々な場所で見られます。
高耐久で実用的である事、そして色や柄のバリエーションの豊富さから、家具に用いられる素材の中でもメラミン化粧板の人気は高いです。その値段はいくらなのかというと、例を挙げるとサイズ4×8の場合、6千から1万5千円程度になる様です。あくまでこれは一例であり、板の柄や厚さに依って価格に差は出て来ます。
同じ化粧板と呼ばれるものの中に、ポリエステル化粧板が存在します。こちらはポリエステル樹脂を化粧紙と合板の上に貼り付けたもので、より簡単に言うと「表面に強化シートを施したベニヤ板」と表現されます。
メラミン化粧板と比較してみると、厚さはメラミン化粧板が0.55~1.2ミリ、ポリエステル化粧板は2.5~3.8ミリで、表面強度は前者の方が強く後者は弱めです。コストに関してはメラミン化粧板の方が高めで、ポリエステル化粧板は安価になっています。
そんなメラミン化粧板の特徴やメリットについて、詳しく解説していきましょう。まず1つ目は、耐熱性が非常に優れている点になります。検証として、180℃のオイルが入った鍋を材料が異なるカウンターの上に置いて比較されています。
結果、タモ集成やオレフィンシート、メタクリル樹脂と言った他のカウンターは鍋の跡が残ってしまいましたが、メラミン化粧板のみ全く変化がありませんでした。キッチン周りなど熱い調理器具を使う場で多用されているのは、こうした耐熱性が評価されている為です。
耐熱性だけではなく、耐摩耗性や耐久性も優秀なのです。メラミン化粧板の表面は非常に硬くなっており、鉛筆で強く筆記を行った所、タモ集成やオレフィンシートなどは書き跡の傷やへこみが見られたのに対し、メラミン化粧板は傷一つ付きませんでした。
生活する中で使わない事は無いと言える程に身近なテーブルやデスク、各種のカウンターなど、摩耗性や耐久性が求められる場所にメラミン化粧板はうってつけなのです。丁寧に利用すれば、何時までも新品の様な状態で使い続けられます。
どれだけ丁寧に扱おうとしても、どうしても汚れはついてしまうものです。テーブルなど毎日確実に使用する物であれば、特に汚れさせてしまう可能性が高くなります。ガソリンやコーヒー、インキやアルコール溶液など、跡が残りやすかったり変色しやすい塗料を使い、変色のしやすさも検証されています。
その結果は、タモ集成やオレフィンシートはアルコール溶液やオリーブ油、インキなどの跡が残ってしまったのに対し、メラミン化粧板のカウンターは変化なし、又は軽微な変化のみとなりました。この変色の強さも、綺麗に使い続けられる秘訣と言えます。
安全性能についてもしっかりと守られています。関連する法規や基準、規格などに通され、それに合格しており且つ使用が禁止されている物質が使われない様徹底されている為、使用する人や環境に優しく仕上がっています。食材を使う料理教室でも、メラミン化粧板は利用されています。
様々な特徴、メリットを持つメラミン化粧板ですが、デメリットもあります。最も気になる所で言えば、天然木と比較すると自然の風合いはどうしても劣ってしまいます。人工的に作り出している為、自然な風合いを求めている方には合わないかもしれません。
また、それほど大きな差があるというわけではありませんが、価格に関しても他化粧板と比較すると高価になっています。只、その分の性能は備わっていますので、家具等に利用するのを検討している際には予算とよく相談するのを推奨します。
最後に、実際にどんなメラミン化粧板があるのか、アイカ工業の手掛けるモデルをいくつか見てみましょう。まず1点目は「撥油化粧板 メラクリン」は、指紋が目立ちにくい特性を持つ化粧板「セルサス」を高品質化し、木目の上のエンボスを専用のものに変更、柄を合わせる事でリアルな質感を得ています。
公式サイトからはどの程度の指紋の目立ちにくさなのかを画像で確認する事が出来、一般的な化粧板とメラクリンとを比較した所、メラクリンには全く手を置いた跡が見えなくなっている程になっています。
続いては「不燃化粧板セラール」です。名前の通り熱への耐性が非常に強く、沸騰した水をかけたとしても変色する事はありませんし、タバコの火をこのセラールで消したとしても焦げた跡が残らない程、耐熱性は優秀です。
タイルなどと異なり、長年使っていると汚れが溜まってしまう目地は少なめに設計されている為、長期間にわたって綺麗なまま使い続けられます。キッチン向けのみならずバスルーム専用モデルもあり、2012年にはグッドデザイン賞も受賞しています。
3点目は「耐擦り傷性化粧板スクラッチレス」です。こちらも化粧板の名前から分かる通り、擦り傷に対する耐性を特に強化、傷を気にすることなく使い続けられるモデルです。アイカ工業では、スチールウールを使って傷の付きにくさを証明しています。
従来モデルでは擦った傷跡が目に見えて残っていましたが、スクラッチレスでは全く傷跡が残っていません。大理石の様な高級感を感じさせる柄もラインナップしており、特にキッチン等の天板に向いています。
アイカ工業の主力製品であるメラミン化粧板には、2020年、新たに3つのテーマで合計33点もの新柄が追加されています。カジュアルなデザインの「リアクティヴ」や、リアルな質感を追求した「アドスペクト」など、それぞれ多数の柄がそろっています。
アイカ工業の手掛ける高耐久な性能、優れた加工性を持つメラミン化粧板では、これら豊富な色柄から選択する事が出来ます。サイズは4×8尺±10mm、厚み0.95mm、価格は10,480円からの発売ですので、是非チェックして下さい。
様々な性能を備え、且つ豊富なカラーリングから選べるメラミン化粧板は、おそらく皆さんの身の回りにも探せばすぐに見つかることでしょう。熱いものを扱うキッチンの天板、誰もが使うテーブルなど、実用性が認められているからこそ幅広く利用されています。家のリフォーム、新しい家具の導入を検討している際には、是非化粧板にこだわってみて下さい。