有名な工具の一種であるニッパーは、電線や金属線といった普通のハサミでは切る事の出来ない線を切るアイテムとして知られています。実は、ニッパーと一口に言ってもその種類は様々で、切断する対象ごとに適したものがあるのです。今回は、そんなニッパーたちの種類や選び方を解説します。
ニッパーは、切断の機能に特化した専用の工具です。先端は電線などものを切る事だけを重視しており、物を挟む様な機能は持ち合わせていません。導線など比較的柔らかい線から、針金やプラモデルのパーツを切り離す際などが主な用途です。
JISによって規格が分けられており、強力級と普通級の2つが存在します。同じ工具の中でよくペンチと間違われがちなニッパーですが、確かに見た目はよく似ています。ですが、ニッパーが挟むことに特化しているのに対し、ペンチは先端部分がギザギザで、挟む機能もあります。
様々な種類のあるニッパーの中の1つで、配線のコードを切断する事が主な用途となります。先端の刃はニッパーの中でも薄めに設計されており、電化製品の配線等、文字通り精密な場面で用いられる事が多いです。
斜ニッパーは、名前の通りハンドル部分に対して先端の刃が斜めについているニッパーの事です。実はこの斜ニッパーは日本が創り出した独自のもので、切断する工具である事を重視し、刃は切れやすいよう鋭利に作られます。
電化製品の修理、配線に用いられる事が多く、電線の被膜を剥がす、ハンダのでっぱりの切断などは有名な用途です。刃に丸い穴が開いているものもありますが、これは電線の被膜を剥がしやすい様に開けてあります。
こちらはプラスチックでできている訳では無く、プラスチック製品のゲートを切ったりバリ取りなどに用いられるニッパーです。見た目としては精密ニッパーなどと似ていますが、用途がプラスチックの切断の為プラモデルを作る中で用いられる事が多いです。
物にもよりますが、プラスチックニッパーの中にはプラスチックを切断する専用のモデルもあり、他の金属等の切断には使えない事もあります。
電光ニッパーは、銅線ニッパーとも呼ばれるものです。形としては一般的なニッパーのそれとほとんど同じですが、刃の部分が強化されており切れ味が高くなっているのが特徴です。
名前の通り、銅線や鉄線、VA線などの切断によく用いられます。大きさも大型モデルもあれば小型のものまで様々で、電気工事や精密機械の修理など、切りにくい線が多く使用されている場面で重宝されます。
強力ニッパーは、名前の通り強力な切断力を備えているニッパーです。先端の刃は分厚めで、山形をしているのが特徴的です。高い切断力を生かし、太く硬い針金や電線といった切るのが難しい線でも難なく切れます。
強力ニッパーが他のニッパーよりも強力である事は共通していますが、中でもヨーロッパ製のものはピアノ線でも切断出来る程に強力です。但し、モデルに依って切断できる硬さや太さには差がありますので、事前に確認しましょう。
最後はエンドニッパーです。切断する為のアイテムである事に変わりはありませんが、他とは異なり刃が持ち手に対して垂直についているのが特徴的です。日本における伝統的な工具「喰い切り」に似ており、喰い切りニッパーとも呼ばれます。
このニッパーの用途は、釘の頭の部分や鉄線やステンレス線の切断です。独特な形状を活かして釘の頭を打つ事も出来ますし、彫金などの作業も行えます。
この様々なニッパーから最適なものを選ぶ際には、まず切断したいものの材質を見てみましょう。切りたい対象や素材に依って、適したニッパーの種類は変わります。例えば、プラモデルの切断がしたいのなら、プラスチックニッパーが最も適します。
ある1つの材質を切るのに特化しているニッパーは、その素材を切るのには時間をかけずにスムーズに行えますが、他の素材を切るのには難儀する事も考えられます。もし切りたいものの材質が何種類もあるのなら、汎用性の高いものをおすすめします。
ニッパーは素材だけではなく、切れるもののサイズもある程度決められています。細い線を切るのに適しているけれど、太い線は切れないという場面は珍しくありません。その為、切りたいものの太さを考え、対応するモデルを選びます。
最も太いものを切る事が出来るニッパーなら、大抵は細い線も着る事が出来ますので無難と言えます。但し、細い線であってもピアノ線の様な非常に硬いものもありますので、材質とサイズとを並行して考えましょう。
ニッパーの機能も確認しましょう。単に切断するだけではなく、斜ニッパーの様にビニールコードの被膜を剥がすストリップケージ機能が備わっていたり、ハンドルが戻りバネに依って自動的に元に戻るものもあります。
こうした便利な機能も備わっていますので、活用する場面が想定されるのであれば機能付きのモデルを選んで損はありません。また、目的に応じてフィットする機能もあるとより効率的に作業を勧められます。
ニッパーの刃は、真っ直ぐのストレートなものと楕円形の2種があります。ストレートな刃は切った時に断面も真っ直ぐになりますので、プラモデルに使う時などは適します。楕円形のラウンド刃と呼ばれる方は切断自体がしやすく、切りにくいものを切る際に活躍します。
おすすめのニッパーの1点目はクニペックスの「カッティングプライヤー」です。ストレートタイプの刃は金属を何回切っても切れ味が落ちない様、非常に硬く作られています。高級な部類に入りますが、間違いのないモデルです。
2点目はフジ矢の「皮むきニッパー」です。刃の先端部分にビニルコードの被膜を剥がすストリップケージが付いている斜ニッパータイプのモデルで、0.8mmと1.5mmに対応しています。切れ味の良好なストレート刃です。
アネックスの「ステンレス製ラバーグリップニッパー」は、扱いやすさを重視したハンドクラフトなどに最適な軽量ニッパーです。2mmのアルミ線、1.2mmの真鍮線、柔らかい0.8mmのアルミ線に対応しています。
「ステンレス先細ニッパー」は、名前通り刃の部分を細く、ヘッドをコンパクトにしたニッパーです。狭い場所などでの作業がやりやすく、刃は錆や耐久性に優れたステンレス製です。
「電工名人強力ニッパR刃」は、最先端の研磨技術「マイクロミラーブレード」で研がれた刃を使ったモデルです。切断能力は非常に高く、一般的なニッパーでも切りにくいVA線やWF線なども容易にカットできます。
「喰切ニッパー偏芯タイプ」は、エンドニッパータイプのモデルで釘やカシメの頭部分の切断に使えます。垂直に付いている刃は平坦にしたり太い線を切る作業に向いており、レザークラフトなどでも活躍できます。
スリーピークスの「スリムプラスチックニッパー」は、名前の通りスリムに設計された細かい作業向きのニッパーです。ストレート刃で真っ直ぐに切断できますので、プラモデルの制作を行う事が多い方に推奨します。
8点目はタミヤの「クラフトツール薄刃ニッパー」です。刃の先端は非常に細く薄めに設計されており、細かい部品や隙間が狭い場所での作業向きです。このニッパーも、特にプラモデルの制作では欠かせないアイテムと言えます。
本モデルは、電気整備工事を行う方も実際に使用している、つまりプロに品質の認められたニッパーです。偏心機構が備わっており、少ない力を加えるだけで容易く切断が出来ます。サイズは200mmで、大きめのニッパーを使いたい方におすすめです。
最後は「アルティメットニッパー5.0」です。プラモデルの制作で使用する事を想定して作られており、刃は片刃で非常に切れ味が高く、切断面も綺麗にカットできます。力を加えなくとも簡単に着れますので、長時間使っても疲れません。
単に銅線などを切断するだけではなく、プラモデルなど材質に合わせて様々な種類が存在しています。一般的な用途であれば汎用性が高い、つまり大抵のものはカットできるモデルで間違いありませんが、最初から使い道が分かっているのであればその材質が切りやすいニッパーを使いましょう。