一般的にあまりなじみがなく、知られていない「巾木(はばき)」ですが、家の中の内装の印象を大きく左右する重要な存在です。今回は巾木の基礎知識・選び方のコツさらに巾木を取り付けるために必要な道具・取り付け方など詳しく解説していきます。これからオシャレな部屋を作ろうと思っている方は必見です!
巾木とは床と壁の境目に取り付けられている横板(化粧材)のことです。その高さは3~10cm程度しかないので、家づくりの際にもそこまで重視しない人も多いです。巾木は「脛木」とも書き、元々は舞踊や旅の時にスネに巻いて足を守る「脚絆(きゃはん)」というスネ当てのことで、壁の下の部分(足)が傷つくのを防ぐためのものという意味で「脛木」→「巾木」になったといわれています。ちなみに、幅木と書くこともあります。
なぜ壁と床の隙間に巾木が付いているのかというと、1番の役割としては「壁を守る」ということです。掃除機を使用した際にぶつかって傷が入ったり、フローリングの床にワックスがけをする時も巾木がないと壁紙がワックスを吸い込んでシミになってしまいます。衝撃吸収材としての役目もあり、小さな子供が走り回り、足をぶつけてもケガをしにくいというメリットもあります。
一般的な床と壁との間には、家に柔軟性を持たせるために、わざと隙間(遊び)を設けていて「床鳴り」や「たわみ」を防いでいます。この隙間を巾木で隠すことで、ゴミがたまらなくしたり隙間風を防いでいます。さらに見た目をよくする役目もあります。
しかし、長い間そのままにしておくと傷が入ったり、劣化するので定期的に検査し痛みが激しい場合には交換するようにしましょう。
では次に、巾木にはどのような種類があるのかを紹介していきます。巾木には様々な種類やデザインがあり、選び方次第で部屋の見え方は大きく違ってきます。自分が好きなデザインや色の巾木はあるのか、DIYしやすい物や扱いやすいものなど、自分に必要な条件と照らし合わせてみましょう。
巾木の素材には大きく分けると2種類あり「ソフト巾木」と「木巾木(もくはばき)」があります。それぞれの特徴は次の通りです。
【ソフト巾木の特徴】
【木巾木(もくはばき)の特徴】
気軽にDIYをしたいならソフト巾木の方が向いています。しっかりした巾木をつけ、丈夫で高級感をだいたいなら木巾木がおすすめです。
とにかく巾木は種類が豊富で、アルミ調(ソフト巾木)・大理石調(ソフト巾木)・ステンレス・石・タイルなどの巾木があるので好みに応じた巾木を選ぶことができます。木製の巾木の色も豊富にあり、黒っぽいスモークオークやウォールナット。白っぽいホワイトオークや漆喰ホワイトなどホームセンターのペンキ売り場にある色ならば巾木でも全色あります。お店にない色でもネットで検索すると必ず出てくるはずです。
部屋全体をきりっとしまるような感じにしたいのであればフローリングの色に合わせましょう。その時のポイントとして濃い目の色にするとより引き締まった印象になります。
また部屋を広く見せいのであれば壁の色に合わせるのが効果的です。白っぽい色や自然素材の巾木を選ぶとより効果的です。巾木にはさまざまな色やデザインがあるので目的に応じて色を選びましょう。
一般的な巾木の高さは4cm~5cmなのですが、巾木の中にはその半分の高さしかないものもあります。高さが低いと視界に入る部分が少なくなるので、さらに部屋全体がスッキリ広く感じます。
「高さが低いものは耐久性が不安」と思うかもしれませんが、アルミ製の巾木を選ぶと頑丈だし、水に触れても剥がれることがありません。もちろん掃除機がぶつかっても取れることはありません。
上記でも紹介したように巾木にはソフト巾木と木巾木があり、木巾木の方が施工時の手間や時間がかかります。
ソフト巾木は柔らかく曲がるので角を施工する際でもカットせずにそのまま扱えるのですが、木巾木を角に使う場合には切り口を45度にカットしたり、角用のコーナーキャップを用意しないといけません。DIYに慣れている方なら木巾木でも問題ないと思いますが、DIY初心者やなるべく手間を減らしたいという方はソフト巾木を選んだ方が効率的に作業することができます。
実際に巾木を取り付けていくうえで必要な道具や取り付けの手順について紹介していきます。分かりやすいように木巾木・ソフト巾木別で動画も用意しているので参考にしてみてください。
【必要な道具】
巾木本体に接着剤が付いていないものだと「巾木用の接着剤」」も用意しましょう。
選び方の所でも説明しましたが、大事なことなので、もう1度おさらいしておきましょう。
種類や色が豊富な巾木なのですが、どうしても好みの巾木が見つからないという方はアルミアングルを使うのも1つの手です。アルミアングルを巾木として利用すると巾木がほとんど見えなくなり、壁が宙に浮いているようにも見えます。
しかし施工にはかなりの手間がかかり費用も上がるというデメリットがあります。
【木巾木を取り付ける際の手順】
【ソフト巾木を取り付ける手順】
作業する時のポイントとして、巾木用のボンドで接着が甘く、すき間が開いた場合には、瞬間接着剤をいれローラーでさらに圧着しましょう。また、冬場など気温が低いとソフト巾木は固くなり使い勝手が悪くなるので、その時にはドライヤーを使い温めながら施工すると効率よく作業ができます。
【木巾木の貼り方】
動画では「隠し釘」を使用しています。簡単に扱えて、仕上がりもきれいになるのでこちらもおすすめです。木材の角度を付けたカット(45度)に自信がない場合は、コーナーキャップを使うようにしましょう。
【ソフト巾木の貼り方】
巾木の取り換えの方法です。古い巾木を剥がして壁紙が残っていたら、きれいにくっつかないので壁紙はきれいに剥がしておきましょう。角は少し手間がかかりますが、焦らず丁寧に作業するのが完成度を上げるコツです。
デザイナー住宅のようなとにかく見た目重視のシンプルな家には、巾木がない家もありますが、汚れや衝撃に気を付けながら生活をしないといけません。家の中を走り回るような小さなお子さんがいるなら巾木は必須だと思います。
ソフト巾木を使うと簡単に取り替えができるし、それだけで部屋の印象がガラッと変わります。部屋の模様替えの一環として、巾木の取り替えはおすすめです。
DIYをする際には安心安全に注意して、ケガをしないように作業しましょう。