車を走らせるうえで、欠かす事の出来ない部品といえば、やはりタイヤでしょう。暖かい時期には夏タイヤと呼ばれるタイプのタイヤを履かせて走らせますが、当然ながら無限に使えるわけではなく、定期的に交換しなければなりません。今回は、夏タイヤの寿命、交換時期などを解説します。
車に於いて、タイヤは無くてはならず走るうえでは必ず使う事となる部品です。そんなことは周知の事実でしょうが、経年劣化や走行距離が延びるなどに依って劣化していき、その性能もだんだんと低下していくのは免れられません。
そんなタイヤですが、暖かい時期と寒くなる時期ではそれぞれ夏タイヤと冬タイヤ、又はスタッドレスタイヤと呼ばれる種類のものに履き替えて使う事になります。時期に依って履くタイヤを変えるのは、法律によって定められています。
この内、暖かい時期に使う夏タイヤは、走行距離で換算すると大体3万kmから5万km程度が寿命に当たると言われています。勿論、タイヤの種類、走行する道路の環境等で、人に依って数値は変わってきます。
夏タイヤの交換の目安となるものは、いくつか存在します。まず1つは走行距離で、これが最も分かりやすい基準となるでしょう。タイヤサイズごとで差はありますが、一般的にはタイヤは5千kmを走るごとに1mm、溝が減ると言われています。
溝の深さもブランド、サイズに依って違いはありますが、新品の状態だと平均して8mm程度あります。5千kmで1mmずつ減っていくという単純な計算で考えると、走行距離3万2千kmで残りの溝は1.6mmになります。
保安基準では、タイヤの溝は1.6mm以上ある事が定められています。これ以下になると、タイヤの寿命、交換時期が来ている事を示すスリップサインも出てくる筈です。絶対に3万2千kmとは言い切れませんが、1つの目安の距離になります。
既に記述した通り、タイヤにはスリップサインと呼ばれる溝が各所に設けられています。タイヤを側面から見てみると、幾つか「△」のマークがしるされているのが確認出来ます。タイヤに向いている頂点部分をなぞると、一部分溝が浅い箇所があります。
この部分は最初から他の溝と比べても浅く作られており、使っていく毎にだんだんと見えやすくなります。周りの溝がスリップサインと同じ1.6mm以下になると、そのタイヤは法的に使ってはならないという事にもなります。サインが見え始めたら、そろそろ夏タイヤの交換時期だと言えます。
タイヤ側面には、そのタイヤが製造された年月が記載されています。最初からタイヤには使用期限が設けられており、その期限は10年と定められています。これが分かれば、持っているタイヤが何時まで使えるのかも判明します。
購入した年月が分かっているのならすぐに分かりますが、忘れていてもタイヤ本体を見ればすぐにわかります。例として「BMC2611」の4桁の数字の内、前2つは年、後ろは週を表し、この場合は平成26年の11週目、大体4月頃に作られた計算になります。
タイヤというのは、車をほとんど走らせていない、又は全く使ったことが無かったとしても、どんどんと劣化して言ってしまいます。常に路面に接していたり、日の光や雨風にさらされており、これら外的要因に依って劣化が起きます。これが経年劣化で、前述した使用期限10年が設けられているのはこの為です。
劣化してひびが入ってしまっていたり、また普通に走行していても縁石や道路上の金属片などに接触してひびが生じてしまう事も考えられます。こうなると、タイヤの寿命も短くなっています。
基本的に、タイヤは正常な状態ならドーナツ状の形をしています。しかし、タイヤの使用している状況によってはこの形が変形し、歪んた形状になる事もあります。最も代表的なのは「ピンチカット」と呼ばれる変形です。
ピンチカットとは、タイヤ側面の盛り上がっているかのような歪みの事で、強く縁石などに乗り上げてしまった時などが原因と考えられます。走行上は変化が無い為問題が無くとも、そのままではタイヤが破裂する危険もある為、早急な交換が勧められます。
この様に様々な原因で夏タイヤの寿命は縮まってしまう訳ですが、せっかくなら長持ちさせた方が経済的にも良いでしょう。寿命を延ばす方法として、まず運転の仕方が挙げられます。安全な運転を心がけていれば、よっぽど目安の走行距離よりも寿命が短くなる事は無いでしょう。
しかし、急ブレーキ、急発進といった「急」の付く唐突な動作をすれば、その分タイヤ側にも負荷がかかってしまいます。運転手としても、こうした急激な動作は安全とは言い難いものです。また、縁石に乗り上げる、バック駐車等で何度も切り返す事も負荷に繋がります。
同じ条件下で同一のタイヤを使い続けていると、一か所が集中的に摩耗しやすくなります。こうした摩耗の仕方を「偏摩耗」と言い、これが進むとそのタイヤを履いている車自体のバランスが崩れ、揺れが大きくなるなどに繋がります。
この摩耗を防ぐためにも、ローテーションをしながら使う方法が有効です。前後左右のタイヤの位置を入れ替えながら使う手法で、これに依ってタイヤ全体が満遍なく消耗していくため、全体の寿命を延ばせます。大体5千kmごとでのローテーションが推奨されています。
保管の仕方も大切です。タイヤを構成しているのはゴムですが、実際に履かせて使っていなくても消耗してしまいます。消耗する原因には紫外線が大きく関係している他、油や熱といったものも劣化を早めてしまいます。
長持ちさせる保管のコツはいくつかあり、まず前述した紫外線の影響を減らすため、直射日光を避け且つ風通しの良い場所に置きましょう。また、ホイールを付けたまま保管する際は少し空気圧を下げた状態にすると劣化を抑えられます。
純正サイズのタイヤよりもインチアップさせ、大きめのタイヤを履かせて走る事も出来ます。しかし、サイズの異なるタイヤの場合、設計された車の想定よりも負荷がかかりやすくなり、前述した偏摩耗や片減りが起きる可能性が高まります。
また、外側の損耗に関しては目につきやすいので良く分かりますが、内側の内減りと呼ばれる消耗には気づかない事が多く、バーストしてしまいかねません。純正のサイズのタイヤを使い続けていれば、こうした負担やトラブルを起こさずに済みます。
摩耗した状態のままのタイヤで走行する事は、非常に危険です。元々タイヤに溝が設けられているのは、路面の水を排出しスリップするのを阻止するためです。その為の溝が減ってしまえば、当然ながら水を排出する機能は低下します。
こうなると、路面とタイヤとの間に水の膜を生じさせ、スリップしやすくなるのです。こうした現象は、自動車教習上でも教わるハイドロプレーニング現象と呼ばれ、もしスリップサインが出ていなくとも、ギリギリのタイヤでは滑りやすく危険です。
既に開設している通り、法律上の保安基準では、公道を走行する車両の溝は1.6mm以上ある事と定められています。一般の道路ではどんな車両も等しく溝は1.6mm以上必要ですが、高速道路の場合、大型車両など車種により必要な溝の深さは変わります。
もしも道交法違反となり取り締まりを受けると、違反点数2点と車種別の罰金を取られてしまいます。加えて、車検では全てのタイヤのスリップサインが出ていない事が合格の条件の1つである為、日々摩耗を気にかけるのは法律を守るうえでも大切です。
最後に、タイヤの交換の仕方を解説している動画を参考にしてみましょう。JAFのパンク時のタイヤ交換の手順が説明されています。タイヤの交換というと、経験したことのない方にとってはプロに任せないとできない事だと思うかもしれません。
ですが、手順と必要な工具を揃える事が出来ればプロに頼らなくとも自分で行うことができます。パンクした時など緊急時にも対処出来る様になりますので、覚えておけると良いですね。
車で走るうえでなくてはならない部品である以上、タイヤの寿命などに気を配る事は道交法を守るのみならず、自らの安全を保障するのにも繋がります。寿命が来たと感じたら、速やかなタイヤ交換を心がけましょう。