金属などを精密に切断できるプラズマカッター。金属加工を行うプロからDIYまで幅広く使われ、人気が出ています。
しかし、あまりメジャーな機器ではないため、
「おすすめはどの機種なの?」
「どんな仕組みになっていて、どう使えばいいの?」
などの疑問をお持ちの方も、多いのではないでしょうか。
そこで今回は、おすすめプラズマカッター7選や仕組み、使い方、資格などを解説します。プラズマカッターについて詳しく知りたい方は、ぜひご覧ください。
目次
まずはプラズマカッターがどのような機器か、基本知識をご説明します。
プラズマカッターとは、高温のアークプラズマで被切断材を溶かし、さらに高圧エアーで吹き飛ばすことで切断する機器のことをいいます。エアーを使用することから、「エアープラズマカッター(切断機)」と呼ばれることも。現在では、軟鋼や低炭素鋼のおもな切断方法となっています。
ガス切断では切れないステンレスなど、電気が流れるものであればほとんど切断することが可能です。自由で精密な形状に切断できることも特徴。
刃物での切断に比べると、切断時の抵抗がほとんどなく、騒音も小さいです。そのため、女性でもラクに使うことができます。
デメリットとしては、電気が通らないものを切断できない、コンプレッサーが内蔵されていない機種では別途エアーコンプレッサーが必要になるなどが挙げられます。
プラズマカッターの原理は、下図のとおり。電極とチップ間でパイロットアークを発生させて、トーチを加工物に近づけると、プラズマアークが発生します。このアーク熱によって、切断ができるのです。
ここからは、プラズマカッターのおすすめ機種7選をご紹介します。まずはダイヘンの『200/220V用 M-5500』です。
ダイヘンの『200/220V用 M-5500』は、インバータ制御式のエアープラズマカッターです。55Aのハイパワー機でありながら、本体は19kgと軽量・小型化を実現。持ち運びがラクなので、作業エリアを拡大することができます。
エアー中の水分や油分を自動排出する「オートドレイン」内蔵のため、面倒なドレインの水抜き作業がいりません。また、防滴構造を採用するなど、安全性と利便性を兼ね備えた製品に仕上がっています。入力電圧変動許容範囲が180〜240Vですので、電源事情が悪い現場でも使用可能です。
付属の切断トーチ『CT−0552』は、接続のワンタッチ化やにぎりやすい構造、不用意にスイッチが入らないなど、作業性に優れています。さらに、塗装板など表面が絶縁されている金属を切断するときに便利な「塗装版スタート」を標準装備。これによって、塗装面上でのアークスタート性が大幅に改善されました。
おすすめプラズマカッターの2点目は、RILANDの『単相200V CUT40NEXT』です。
RILANDの『単相200V CUT40NEXT』は、単相200Vで使用できるインバーターエアープラズマカッターです。切断能力は、鉄なら15mm、ステンレスやアルミ、鋳物で10mm。
また従来機種と比べて、切断能力が125%アップしました。本体重量は9kgと軽量コンパクト設計です。持ち手がついているため、移動もラクラク。コーナープロテクターによって、衝撃から本体を守ります。
PLASMARGONの『インバーター制御 200V CUT50』が、3点目のおすすめプラズマカッターです。
『インバーター制御 200V CUT50』は、中国の溶接機専門メーカーPLASMARGON製。高機能で低価格が売りです。
新技術の採用で、高効率・軽量化を実現しました。アルミニウムやステンレス、鉄、銅などの最大切断厚さは15mmと、高性能です。また従来機とくらべて40%も節電。
デジタルメーターがカット電流を表示するため、誤差は最小限に抑えられます。1年間の保証もついているため、安心して購入できますね。
おすすめプラズマカッターの4点目は、TOSENSEの『デジタルインバーター 100/200兼用 CUT60』です。
TOSENSEの『デジタルインバーター 100/200兼用 CUT60』は、鉄板などの軟鋼は18mmまで切断可能です。この高性能にも関わらず、本体重量は5.5kgと超軽量でコンパクト設計。持ち運びもラクです。
また、使用率オーバー防止機能がついているため、使いすぎによる内部トランス焼損の心配がありません。出力電流は、ダイヤルを回すだけで調整可能です。デジタル表示で、精密なアンペア表示が確認できます。
おすすめプラズマカッターの5点目は、SUZUKIDの『エスパーダ15トゥット APC-15E』です。
SUZUKIDの『エスパーダ15トゥット APC-15E』は、100V専用のエアープラズマカッターです。機種名の「トゥット」には、「すべての・全員の」という意味があり、あらゆる方が自由に切断作業を楽しむためのツールとして、開発されました。
本体重量は7kgと軽量で、持ち運びも保管もしやすいため、DIYでプラズマ切断を行いたい方にはピッタリの機種です。また、次の金属を切断できます。
鉄板なら厚さ3.2mmまで、ステンレスは1.6mmまで切断可能となっています。
アストロプロダクツの『CUT-20』が、6点目のおすすめプラズマカッターです。
アストロプロダクツの『CUT-20』は、家庭用100V電源で切断作業ができるプラズマカッター。そのため家庭でDIYや趣味の金属工作、自動車パーツの修復などを行うにはピッタリの1台です。
通常の家庭用電源を使った場合でも、鉄板で1.6mmまで切断可能。電気工事を行って電源を20Aまで上げれば、最大3mmまで切断可能です。ほかにもステンレス、アルミニウム、銅、真ちゅうを切断可能。
冷却ファンとオーバーヒート機能がついており、本体を過熱から守ります。6ヶ月の保証もついているため、初めてプラズマカッターを買う方でも、安心して購入できますね。
最後におすすめするプラズマカッターは、パナソニックの『エアプラズマカッター YP-035PF3』です。
パナソニックの『エアプラズマカッター YP-035PF3』は、高品質切断と消耗部品の長寿命化を実現した高機能なプラズマカッターです。他社比で、約2倍の長寿命となっています。
軟鋼やステンレスなら、なんと12mmまで切断可能!アルミニウムでも7mmまで切断可能です。また、視認性が高いデジタル表示器や、エア加圧調整がデジタル調整可能など、高機能でもカンタン操作が行えます。塗装鋼板は、塗料を除去しなくても切断が可能。
「切断ナビ」機能がついているため、材質と板厚を選べば、切断電流を自動で決定してくれます。適切な電流設定により、高品質切断と省エネ効果が実現する、進化した高機能機種です。
おすすめのプラズマカッターをさらに知りたい方は、こちらの記事もぜひご覧ください。
次に、プラズマカッターの使い方と資格について解説します。
プラズマカッターは、刃物での切断やガス切断などにくらべると、安全でカンタンに切断を行うことが可能です。しかし切断箇所は数万度もの高温になるため、取り扱いをまちがえれば大変キケンな機器でもあります。
そこで使い方の要点をまとめましたので、ご覧ください。
まずは、切断時に発生するアーク光や飛散するドロス、騒音に対応するために、次の保護具を着用します。
次に、取扱説明書などで、使用する機種の「使用率」を確認しましょう。「使用率」は、プラズマカッターを使用する時間配分を表します。
たとえば「使用率60%」とは、10分間のうち6分間は切断に使用し、4分間は休止するということ。使用率を超えた使い方をすると、プラズマカッターの温度上昇値が許容温度を超えてしまい、劣化や焼損することも。
トーチなどの組み合わせによっても、使用率は制限されます。必ず、使用する機器のうちの、もっとも低い使用率で切断を行ってください。
そして、本体にトーチやケーブル、エアーホースなどを接続していきます。作動中に外れることがないように、奥までしっかりと差し込んでください。また機種によって、エアーホースの内径を何mm以上と指定していますので、よく確認することが大切です。
被切断材を、切断していきます。このとき、板の厚さと材質によって、
が変わります。この数値は取扱説明書にも記載されていますので、確認してください。
次に、エアーコンプレッサーとプラズマカッター本体の電源を入れます。トーチスイッチを押すとアークが発生するので、切断を開始しましょう。板の端まできたら、少し速度を落とすことで、終端部が残らないように切り落とすことが可能です。
切断が終了したら、エアーコンプレッサーとプラズマカッター本体の電源を落とします。
プラズマカッターは、日頃のメンテナンスも重要です。機器を正常に長く使うためにも、次の項目を忘れずに行ってみてください。
【日常の注意事項】
【3〜6ヶ月ごとに行う点検】
プラズマカッターを業務で使う場合、資格は必要ありませんが「アーク溶接等の業務に係わる特別教育」を受講する必要があります。これは「プラズマカッターでの切断」が、法律的にアーク溶接機を使って行う金属の溶接・溶断等の業務に該当するためです。
特別教育は一般企業や公的機関で実施しており、受講金額は2万円ほど(実施場所で異なります)。学科11時間、実技10時間の講習を、3日間の日程で行うところが多いようです。
これは法律(労働安全衛生規則)で定められた教育となります。業務でプラズマカッターを使用する前に、必ず受講しましょう。
最後に、プラズマカッターのレンタル・トーチ・消耗品といった情報についてご説明します。
プラズマカッターは、レンタルで使用することもできます。特に、200V電源を使用する高出力プラズマカッターはとても高額。ぜひレンタルを利用してみましょう。
ただし、一般的な電動工具のレンタルを行っているホームセンターでは、プラズマカッターのレンタルを行っているところは少ないです。ニッケンなど、レンタルサービスがメインのメーカーを探してみましょう。
できるだけ取り扱いが多いレンタル店で、自分の用途にあった機種を選ぶことをおすすめします。
・レンタルのニッケン:プラズマカッター200Vコンプレッサー内蔵35A
プラズマカッターの、トーチ先端部についたチップやカップなどは消耗品です。チップは使っていると穴が損耗して、正常にエアーが抜けなくなってしまいます。こうなると交換時期ですので、お手持ちの機種にあった消耗品を購入してください。
また、長く使っていると、トーチのケーブルなども劣化してきます。トーチ自体を別売りしている機種もありますので、異常が見つかった場合は交換してください。交換時は、やはりお手持ちのプラズマカッターにあった交換用トーチを購入してください。
今回はおすすめプラズマカッター7選のご紹介や仕組み、使い方、資格などを解説しました。おすすめ7選のなかに、あなたの欲しい機種はあったでしょうか?
プラズマカッターは、比較的安全な切断が行えるとはいえ、使い方を誤れば危険な部分もあります。この記事を参考に、あなたに最適なプラズマカッターで安全な作業を行っていただければ幸いです。