花束を貰うと嬉しいけれど、その後枯れてしまうからもったいないと感じる方もいるでしょう。ドライフラワーにして保存するという手もありますが、花を逆さにして吊るすという従来の方法だとどうしても生花の色が抜けてしまい、生花とはまた違った印象になりがちです。しかしシリカゲルを使えば、生花の色もほぼそのままにきれいな状態でドライフラワーにすることができます。そこで今回は、ドライフラワー用シリカゲルについてお話しします。
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ドライフラワー用のシリカゲルを使えば、簡単にきれいなドライフラワーを作ることができます。記念に貰った花束も末永く保存することができるので、花を大切にとっておきたいと思ったらチャレンジしてみましょう。
食品などによく入っているシリカゲルですが、封がしっかりと閉じられた小袋に入っているので、実物を近くで観察したことがある方は少ないかもしれません。シリカゲルは透明もしくは色付けされた小さな粒状になっていますが、実はその表面には肉眼では見えないレベルでたくさんの小さな穴が開いています。それゆえ、粒の大きさの割には表面面積は広く、この穴から湿気を吸収し、食品が傷まないようにしているのです。
シリカゲルの中には青い塩化コバルトで着色をし、湿気を吸うと変色する性質を持たせたものもありますが、塩化コバルトには発がん性があり国によってはその使用法や表記などに規制がかかっていることも多々あります。シリカゲルを使ってドライフラワーを作るときも、もしそのドライフラワーを日本国外へ持ち出すのであれば、注意しておく必要があります。
シリカゲルでドライフラワーを作るとどんな特徴があるのか、ここでご紹介します。
シリカゲルを使ってドライフラワーを作ると、花を逆さに吊るして作るドライフラワーよりも、花の色や形をより生花に近い状態で残して保存することができます。従来の方法では花が水分を失って乾燥していく段階で、色があせたり花弁が縮んだりなど生花とは違った姿になりましたが、シリカゲルを使えば元の状態に近い見た目を保持できるでしょう。
ドライフラワー用のシリカゲルさえあればほかに特別な道具は何も必要なく、誰でも簡単にすぐ作れてしまうので、大人はもちろん子どもと一緒に作って楽しむのも名案です。実験代わりに親子でチャレンジしてみるのもおすすめです。
一度シリカゲルを使うと水分を含んでしまい、もう使えないのかと思ってしまいがちですが、フライパンで炒れば水分が蒸発して再びシリカゲルを使うことができます。何度も使えるので経済的です。
花を逆さに吊るしてドライフラワーにする方法だと、花だけをドライフラワーにするのは難しいのですが、シリカゲルを使った方法であれば、茎や葉を使わないので花の部分だけをドライフラワーにしてきれいに保つことができます。コンパクトになりますし、瓶の中に入れて花の美しさをいつまでも楽しめます。
シリカゲルを使ってドライフラワーを作る場合、花の種類にも気をつけましょう。きれいなドライフラワーを作りたいのであれば、シリカゲルの使用に向いている花を選びましょう。
シリカゲルで作るドライフラワーに向いている花は、花弁の色が鮮やかで立体的なものです。例としては、バラやカーネーション、パンジー、クレマチス、ビオラ、ラベンダーなどです。これらの花は発色もよく、花の形も立体的なので美しいドライフラワーにすることができます。花選びに悩んだら参考にしてみましょう。
ドライフラワーに向いていない花もあります。花弁に水分が多くその枚数が少ない、さらに花弁が薄いといった場合はドライフラワーにはあまり向いていません。たとえばユリをドライフラワーにできたら素敵ですが、花弁にたくさんの水分を含んでいるので、ドライフラワーにすると花びらの張りがなくなり茶色く変色してしまうため、その美しさが損なわれてしまいます。春になると満開で美しい桜も、花弁が薄いのでドライフラワーには向いていません。鮮やかな色が印象的なガーベラも、花弁に多くの水分が含まれているのでドライフラワーには向いていないとされています。
ここでシリカゲルを使ったドライフラワーの作り方についてご紹介します。ドライフラワーにしやすいお好みの花を選んだら、シリカゲルを使ってきれいに乾燥させてみましょう。
シリカゲルでドライフラワーを作るのであれば、当然ですがシリカゲルが必須です。ドライフラワー用のシリカゲルを購入してもよいですし、食品を買ったときについているシリカゲルを乾燥させて再利用することも可能です。日頃からシリカゲルを捨てずに取っておくと役立つことでしょう。
ドライフラワーにしたい花を選んだら、あとは密閉できる容器を準備します。容器はタッパーやジャムの空きビンなどで十分です。花を切り取るときのハサミや、シリカゲルを扱うときの手袋も揃えてください。シリカゲルを直接手で触ると、肌が乾燥し傷んでしまうことがあります。子どもと一緒に作るときも、シリカゲルを直接手で触れないように注意しましょう。
シリカゲルを使ったドライフラワーの作り方をご紹介します。まず花を茎から切り取ります。このとき、大きめの花の場合は少しだけ茎の部分を残しておくと扱いやすいです。それ以外の花は茎の部分を残す必要はありません。花を摘み取ってから作る場合は、摘み取ってから少し時間を空けるようにしましょう。すぐに作りたい場合は花屋で切り花を買うことをおすすめします。
花の用意が出来たら、容器の底にシリカゲルを敷きます。そしてその上に切り取った花を並べます。ひまわりのような花が平面に大きく開いている形状の場合、花を下側にしておきます。バラのように立体的な花の場合は、花の根元を敷き詰めたシリカゲルに刺して立てるようにします。立体的な形状の花の場合は、花弁の間にもしっかりとシリカゲルが入り込むようにしましょう。この場合、粒よりも粉末もしくは顆粒タイプのシリカゲルの方が使いやすいです。
ドライフラワーを早く作りたい場合は電子レンジを使うのも一案です。耐熱容器にシリカゲルを入れ、そこに花を並べたら花が隠れるまでたっぷりとシリカゲルで覆います。そしてそのまま蓋をせずに1分ぐらい加熱します。加熱し過ぎないよう、様子を見ながら電子レンジを使うようにしましょう。この方法であれば1分でできてしまうので、待つ必要がありません。急いで作りたいときにおすすめです。
シリカゲルを使用したドライフラワーの作り方を文章だけで読んでもピン来ない方もいるでしょう。ここでその作り方を紹介している動画をご紹介します。
このように大きめのタッパーを使い2段にして作れば、一度にたくさんの花をドライフラワーにすることができます。電子レンジで作ればあっという間に作れるのも大きな魅力です。
シリカゲルでドライフラワーを作るときにはいくつかの注意点があるので、事前によく読んで気をつけましょう。一般的にシリカゲルは化学的安定しているとされる二酸化ケイ素を主成分としているので、万が一誤って口に入れても中毒を起こす心配がないといわれています。それゆえに食品に使われていることが多いようです。しかし健康に良いものではないので、取り扱いには注意しましょう。
市販されているドライフラワー用の乾燥剤は粒がとても細かいので、間違って吸い込んだり目や口に入ったりといったトラブルも起きやすいです。念のため、マスクをして行うと安心です。爪の中に入り込むこともよくあるので、手袋もしましょう。特に子どもと一緒に作る際は、子どもが間違って舐めることがないよう気をつけてください。
ドライフラワーにすれば、半永久的に花の美しさを楽しめると思いがちですが、できるだけ長く美しい状態を保ちたいのであれば保存方法にも注意が必要です。
出来上がったドライフラワーは湿度に弱いので、風通しがよく湿度が高くなりすぎない場所に保存しましょう。瓶や密閉容器にいれたら、一緒に乾燥剤を入れておくのがおすすめです。熱がこもりやすい湿度の高い所に置いておくと、カビが生える可能性もあります。
シリカゲルでドライフラワーを作ると、吊るして作ったときよりも新鮮な色が保てるのが魅力ですが、ドライフラワーを直射日光が当たる場所に置いておくと色が褪せてしまうので要注意です。なるべく直射日光が当たらない場所に保存しましょう。室内であれば大丈夫だと思いがちですが、蛍光灯などの明かりにも弱く色が退化しやすいです。どんなに気を付けていても、時間と共に多少の色の変化は避けられないと思っておいた方が無難かもしれません。
シリカゲルで作ったドライフラワーをどのようにして使うか、使い道を考えるのも楽しみの一つです。小さな花であれば、周りにレジンを入れて固めて、ペンダントヘッドやキーホルダーにしてみるのも名案です。友達へプレゼントしても喜ばれそうです。
リースの土台にドライフラワーにした花を接着してオリジナルのリースを作るのも素敵かもしれません。季節の花を使えば、季節感を出すこともできます。壁やドアに飾ったりしてインテリアのアクセントにしてみましょう。花を紐に接着してガーランドにするのも一案です。小瓶に花を入れ、そこにハ―バリウム用のオイルを流し込めば、ハ―バリウムになります。
溶けた蝋の中にドライフラワーを入れて、ボタニカルキャンドルを作ってみるのもよいでしょう。ドライフラワーを使って、世界に一つしかないオリジナルの作品作りにチャレンジしてみてください。
今回は、乾燥剤であるシリカゲルを使ったドライフラワーの作り方や注意点などについてご紹介しましたが、いかがでしたか。食品などについているシリカゲル、つい捨ててしまいがちですがこれを使えば素敵なドライフラワーを作ることができます。
ドライフラワーはそのまま瓶などに入れて飾るのも素敵ですし、ハンドメイドの材料に使うこともできます。生花を楽しんだら、その美しさが消えないうちにシリカゲルでドライフラワーにしてさらに花の美しさを堪能してみましょう。