台風では雨量が多い事ももちろんですが、風速の強さもとても危険な要素です。屋根が飛んだり窓ガラスが割れる事もありますが、事前に対策をしっかり取れば被害は最小で済むはずです。そこで窓ガラスに特化して、台風時の窓ガラス対策を詳しく解説いたします。
最近は便利なグッズも販売されていますので、おすすめグッズから、最強の窓ガラス補強方法まで、台風が来る前にご覧になってください。
目次
台風のニュース等が流れると、必ずと言って良いほど、粉々に砕けた窓ガラスの映像を目にします。窓ガラスはどんな時に割れてしまうのでしょうか。いくつかの例を紹介します。
台風被害というと何が多いのかは、一戸建てと集合住宅で違ってきます。一戸建ての場合、1位がテレビアンテナ、2位が雨漏り、3位が窓ガラスですが、集合住宅では断トツ1位で窓ガラスになり、その割合は全体の8割を占めます。
実は台風で窓ガラスが割れる理由の大半は風圧ではありません。とても強い風が吹いていて窓が割れそうに感じたとしても、風圧だけでは、ほとんどの窓は割れないのです。
では、何故、台風の時に窓ガラスが割れるかというと、強風と共に飛んできた小石や、飛ばされた屋根瓦等が窓に当たって窓ガラスが割れてしまうのです。また、濡れたままの洗濯物(タオルやズボン等の大き目の物)が窓ガラスに当たって割れてしまう事もあるそうです。
強風で物が飛んでくる被害が出るのは、平均風速20~25m/s以上と言われているので、台風直撃の場合は、物が飛んでくるものと思って行動するべきです。
実際に危険なのは、風速何mからなのでしょうか?そしてそれはどれほどの危険性なのでしょうか。以下に風速毎に考えられる被害状況と共にまとめてみました。
【風速10m~15m未満】
【風速15m~20m未満】
【風速20m~25m未満】
【風速25m~30m未満】
【風速30m~】
このように風速20mから既に窓ガラス被害が出始めます。ちなみにこの風速は最大風速の時のもので、天気予報などで耳にする「最大瞬間風速」になると、最大風速1.5倍以上の風が瞬間的に吹き抜ける場合があるので、最大瞬間風速が15m程になると窓ガラス被害も出始める事になります。
窓ガラス被害は、強風で飛ばされた物によって起こる事が分かりました。では、台風が来る前に準備しておく事は何があるでしょうか。順を追って確実に対策をしていきましょう。
強風で物が飛ばされないように、とにかく外にある物は片付けてしまいましょう。特に、
等が庭やベランダにあるのなら、それらは家の中に入れてしまいましょう。
普段からガタガタと網戸の建付けが悪いようなら、外してしまって家の中に入れましょう。強風にあおられて窓ガラスにぶつかり、ガラスが割れる恐れもありますし、外れて飛んで行ってしまうと、他の家に被害を及ぼしかねません。
強風だと自分の家のベランダ周りを片付けたとしても、窓から離れた庭から小石が飛んでくる事があります。庭の小石や木の枝を事前に全て取り除くのは困難です。そこでポイントとなるのが「物が窓に衝突するのを防ぐ」事です。
物が窓に衝突するのを防ぐ一番の対策は、シャッターや雨戸です。台風の多い地域だと備え付けになっている住宅も多いようです。台風が直撃する前にシャッターや雨戸をしっかりと閉めておきましょう。自宅にいずれも付いていないという場合は、防護ネットを張る事である程度の損害は防げます。
よく台風前に窓ガラスに養生テープやガムテープ等を、バッテン型に貼っている光景を見かけます。窓ガラスの補強の為にしている方もいるようですが、実はテープだけでは窓ガラスの補強は出来ません。では、どうすれば良いのでしょうか。
ガムテープや養生テープを貼る事は、まったく無意味というわけではありません。窓ガラスの補強は出来ませんが、割れてしまった場合の飛散防止には役立ちます。実際、窓ガラス用防災テープには「台風時の窓ガラスの飛散防止用」と明記されています。
まず窓ガラス全面に段ボールを敷きます。その上から養生テープやガムテープで「米」の字型に窓に貼り付けます。この形で貼る事で、段ボールの補強が出来るのです。
尚、この時、紙のガムテープを使うと、後から剥がすのが大変になりますので、養生テープか布のガムテープを使うようにしましょう。また、万が一それでもガラスが割れてしまった時の為に、カーテンやブラインドは閉めておくようおすすめします。
他にしておくべき事に、「隙間を作らない」事があります。台風が来る時点で、窓が壊れていたり、建付けが悪い、隙間が空いているという不具合があるのなら、発泡スチロール板を窓に嵌め込む等して、隙間を塞いでしまいましょう。
窓ガラスが割れるのを防ぐ為のグッズが、最近はたくさん販売されています。台風対策としてはもちろんですが、防犯対策としても利用できる事から普及しています。これらも上手に利用していきましょう。
防犯フィルムというのは、空き巣が窓ガラスを割って侵入してくるのを防ぐ為に窓の内側に貼るフィルムです。このフィルムを貼る事で窓ガラスの飛散防止と、大きく穴が開くほど窓ガラスが割れなくなります。中にはUVカット機能や結露防止機能の付いた物もあるので、普段から便利に利用できます。
隙間なくきれいに貼る必要があるので、業者に頼む手もありますが、その場合1平方メートル当たり15000円程度かかるようです。普段からDIYをされているなら、通販やホームセンターで防犯フィルムを購入し、自貼りすれば5000円程度で収められます。
防犯フィルムにCPマークが付いている場合、そのフィルムは防犯性能が高いと認められている証となります。このマークは経済産業省、国土交通省、警視庁等の行政機関と、建物部品関連の民間団体が参加して認証基準を定めています。
防犯フィルムの場合、犯人が実際に窓ガラスを割って侵入しようとしても、5分以上かかる事が実際に実験して認証された場合に付けられます。これは台風対策としても非常に優秀な防犯フィルムである事の指針になるので、防犯フィルムを購入する際は、CPマークの有無を目安にするようおすすめします。
台風が過ぎ去ったので、貼っていたフィルムを剥がそうと思ったら、上手く剥がれなかったり糊跡が残って窓が汚れてしまう事があります。
ガラスフィルムは環境により多少の差異は出ますが、約10年で劣化します。劣化したフィルムは変色したり、気泡が入ったりして見た目も悪くなります。
例え自分自身で貼ったフィルムだとしても、剥がす時はかなり大変な労力を要します。その為、フィルムを剥がしてくれる業者も存在しますが、もしも剥がすのも自分で行うという場合は、次の要領で剥がしてみてください。
CP認定を受けている防犯フィルムです。強固な4層構造で窓ガラスの飛散防止に役立ちます。また紫外線遮断率98.7%で、有害な紫外線をカットしてくれます。
衝撃に強いポリカーボネートを素材に採用しており、39×47cmの大判サイズなので窓ガラスの大部分をカバーします。貼りやすい大型のヘラが付属されています。
フィルムが複層で構成されており、擦り傷に強いハードコート仕様になっているので、大変頑丈な防犯フィルムです。万が一、泥棒に入られた場合のお見舞保険が付いています(事前に同封ハガキでの登録と、支払い時には警察への届け出と指定の書類が必要です。災害時には保険は適用されません)
防犯フィルム以外に、窓ガラスの飛散防止に的を絞ったグッズも販売されています。そちらも台風対策の選択肢の一つとして考えてみてください。
飛散防止フィルムは文字通り窓ガラスの飛散を防ぐ為のフィルムです。台風の強風で飛ばされた物が当たって割れた窓ガラスは、鋭い破片となって周りに散らばります。これは直接被害だけでなく、避難の際に、それを踏んでしまう等して怪我をする二次被害をもたらしかねません。
絶対に割れない窓ガラスという物はあり得ません。危険な二次被害を防ぐ為にも飛散防止フィルムをおすすめします。
JIS規格適合品というのは、フィルム自体の透明性や強さ、また紫外線透過率等の厳しい試験をクリアした、品質の保証された商品です。安心して飛散防止フィルムを使用する為にも、店頭で商品を購入する際には「JIS A 5759適合品ラベル」が貼られているかどうかをチェックするようおすすめします。
このラベルは日本ウインドウ工業会が発行しており、JIS規格に適合した商品にのみ貼られています。
ガラス飛散防止とガラス破りによる侵入犯の防止という「セーフティとセキュリティーを向上させる機能」と、日差しの暑さを遮り、有害紫外線をカットするという「快適性を向上させる機能」の両面から、窓ガラスに安心と快適性をプラスする飛散防止フィルムです。
フィルムが透明なので視界を遮りません。窓ガラス以外に室内ドアのガラス面、食器棚のガラス面等にも使用可能です。
対策を行ったにもかかわらず、もしも窓ガラスが割れてしまった場合はどのように対処するのがベストでしょうか。あらかじめ頭の中でシミュレーションを行い、焦らずに行動しましょう。
窓ガラスが割れてしまい、部屋の中に強風が吹きこんでいる最中は大変危険です。室内の比較的安全と言えるトイレや風呂場に避難します。もしくは布団をかぶるなどして身を守ってください。
後片付けは風雨が落ち着いてから行いますが、その際、室内靴かスリッパをはき、軍手や手袋をはめるようにしましょう。もしもお子様がいらっしゃるなら窓ガラスが割れている部屋には絶対に入らせないようにするべきです。
割れたガラスはゴム袋に入れて捨てられませんので、段ボール箱を用意して、その中に入れます。ほうきで細かいガラス片を掃き取り、もっと小さな破片は掃除機で吸い取ります。掃除機でも残ってしまうようなガラス片は濡らした雑巾や新聞紙で拭き取り、雑巾や新聞紙ごと捨てます。
窓ガラスにひび割れが入った程度なら、補修シールやガムテープを貼って補強します。この補強は窓の内と外両側から行い、これ以上ひび割れが大きくならないようにします。
窓ガラスはひびが入っただけでも大変脆くなっており、少し触っただけで割れる事もあるので、補強の際は注意して行ってください。万が一、処理中にガラスが割れる事も考えて、手袋はもちろんですが、服も厚手のものを着ておくと良いでしょう。
何らかの衝撃で窓ガラスに小さな穴が開いているのなら、アクリル板で応急処置をします。アクリル板を穴が開いた部分にガムテープで貼り付け、穴を完全に塞いでしまいます。アクリル板の代用としてプラスチックの下敷きも利用できます。必要に応じ臨機応変に対応してください。
窓ガラスが大きく割れてしまっている場合は、段ボールで窓を塞ぎます。割れた部分をカバーできるように段ボール箱をカットし、ガムテープで貼り付けます。もしくは窓全体を段ボールで覆い、ガムテープで補強する方法でも構いません。
応急処置が完了したら、すみやかに業者に連絡を取り、窓ガラスの修理をしてもらいましょう。段ボールでは強度に問題があるので、出来るだけ迅速に修理に来てもらえるように依頼してください。
台風は地震とは違い、事前に対策の出来る災害です。出来得る限りの対策を事前に行っておき、台風被害を最小限に食い止めるようにしましょう。