防災グッズとして「簡易トイレ」は準備されていますか?今まで多くの自然災害がおきていますが、「災害発生時に困ったこと」ではトイレが常に上位にあげられています。
そこで今回は、災害大国日本において、非常に重要な簡易トイレについて詳しく解説していきます。また、簡易トイレと混同しやすい「携帯トイレ」との違いや、おすすめの15種類の簡易トイレについてもご紹介していきます。
目次
防災グッズと言えば、水・非常用食品・懐中電灯・ラジオ・モバイルバッテリー等が挙げられます。これらを用意している方は非常に多いのですが、「簡易トイレも用意している」という方は意外に少ないのが現実のようです。
冒頭で述べた通り、災害発生時の困った事で、トイレは常に上位にあげられるほどです。1995年1月17日に発生した阪神・淡路大震災では、あふれかえった汚物で「トイレパニック」という言葉が生まれたほどです。
災害が発生すれば、避難所に仮設トイレは設置されます。しかし、阪神・淡路大震災の時を例にとってみると、被害の大きかった神戸市の全避難所に仮設トイレが行き渡ったのは、実に発生から2週間後なのです。
頻繫にトイレへ行くことが困難な高齢者の方が、水分摂取を控えて体調不良になるなど、このような事例はどの災害でも発生しています。深刻な問題である災害時のトイレについて、必要な知識を得ておきましょう。
この2つのワードは、似て非なるものです。簡単に説明すると、便座・便器があるのが「簡易トイレ」、便座・便器がなくて携帯できるサイズのものが「携帯トイレ」です。
簡易トイレは、紙製やプラスチック製の便座・便器です。小型で軽量なので、持ち運びも容易なポータブルトイレと言えます。小型のテントを設置して、その中に簡易トイレを置けば、屋外での使用も可能です。
使い方は、組み立てた簡易トイレに袋を取り付け、そこに用を足します。排泄物の処理は凝固剤を使って固め、袋ごと処理する水のいらないトイレなのです。
一方、携帯トイレは袋と凝固剤のみで、非常にコンパクトです。渋滞中の車など、災害時以外でも重宝する代物です。簡易トイレと比べて、コンパクトであり安価であるため、大量に常備しておくことが可能です。家庭での断水時にも、洋式便器に取り付けて使用することもできます。
日本は、いつどこで災害が発生するか分かりません。地震・台風・豪雨・噴火・大雪など、防災への備えは各家庭、各自治体レベルで行う必要があります。
過去の代表的な日本の災害(2000年代)
東日本大震災 | 2011年3月11日 |
台風12号 | 2011年9月2日 |
平成26年豪雪 | 2014年2月14日 |
平成26年8月豪雨(広島市) | 2014年8月20日 |
熊本地震 | 2016年4月14日 |
平成29年7月九州北部豪雨 | 2017年7月5日 |
平成30年7月豪雨(西日本豪雨) | 2018年6月28日~7月8日 |
大阪北部地震 | 2018年6月18日 |
北海道胆振東部地震 | 2018年9月6日 |
台風15号・19号 | 2019年9月・10月 |
この他にも、たくさんの災害が毎年発生しています。このほとんどの災害で、一時的、あるいは長期的な断水・停電が発生して、ライフラインに大きな影響を及ぼしています。断水になると、水洗トイレは使えません。2016年の熊本地震での、一番困ったことの調査では「トイレ」が一位になったという統計もあります。
表立って、メディアでは報道されない「トイレ事情」。実は、深刻な問題なのです。災害で断水し、被災から実に2週間後に、やっと仮設トイレが設置されたという事例もあります。排泄は生理現象で、我慢することは困難です。最悪の事態を考慮して、「簡易トイレ」を必ず準備しておくことを、強くおすすめします。
現在の「コロナ禍」において、衛生面でナーバスになっている方も大勢いらっしゃいます。そのような観点でも、簡易トイレは最低2週間分くらいは用意しておきましょう。
簡易トイレと携帯トイレは主に、3つのタイプに分かれます。
上の2つは「携帯トイレ」、一番下は「簡易トイレ」として認識しておきましょう。できれば、全て用意しておくことをおすすめします。携帯トイレは、かさばらないのでたくさん常備はできるでしょう。しかし、簡易トイレはかさばります。もしかしたら、被災時に持ち出せない可能性もありえます。そこも考慮して、全て用意しておくと安心です。
便器で使うタイプは、洋式トイレにビニール袋を被せて、通常通りに排泄するタイプです。もちろん、水が使えないので凝固剤を使用して、ビニール袋と一緒に排泄物を処理(可燃ゴミとして)する必要はあります。ですが、一番通常通りに近い排泄方法なので、精神的なストレスも軽減されます。
環境が変わったり、落ち着かなかったりすると排便のリズムが狂ってしまう方は、大勢いらっしゃいます。断水しても、便器自体は無事ならこの方法が一番ストレスが少なくて済むでしょう。
片手で使えるタイプは、緊急時に一番重宝します。コンパクトで携帯しやすく、車の中や最悪の場合、屋外での使用もできます。男女兼用で、家族だれでも使うことができるので、必ず用意しておきたい携帯トイレです。また、立ったままでも使用もできます。
立ったままの使用に「抵抗がある」または「不安がある」という方は、一度試してみることをおすすめします。経験していれば、非常時の際にスムーズに使用することができるようになるでしょう。
簡易便器付きタイプ、いわゆる「簡易トイレ」です。紙製、またはプラスチック製の便器と便座がセットになっており、簡単に組み立てることができる商品が多く販売されています。
本体を組み立てれば、あとは「便器で使うタイプ」と一緒で、箱に袋を被せます。用が済んだら凝固剤で固めて、袋ごと可燃ゴミとして処分します。便器部分の本体も、簡単に使い捨てることができるので、必要なくなればすぐに処分できます。
このタイプは、各家庭でというよりは、各自治体単位で備蓄しておきたいものです。避難所に仮設トイレが間に合わない、避難者数に対して仮設トイレの数が少なすぎる等の場合に、必ず役立つでしょう。ただし、不特定多数の人が使用することにもなります。衛生面を考えて、汚れたらすぐに処分したいものです。いくつか数に余裕を持って、準備しておきましょう。
簡易トイレには様々なタイプがあります。使い方、機能、後処理のしやすさなど、付加価値的な要素がある商品はたくさんあります。「どのような特徴の簡易トイレにするか?」という時の参考になる情報をまとめてみました。
使い方のタイプとしては、片手で使えるタイプの様な「携帯トイレ」、設置型の「簡易トイレ」の2つになります。まず、携帯トイレで非常に便利なのは、片手で使えるタイプでワンタッチで使用できるものがおすすめです。
切迫した状態の中で、取り出しやセットに戸惑っていては、最悪の結果を招く恐れもあります。スムーズに取り出し、サッと用が済ませられるものがおすすめです。また、地面に置いて使えるタイプもあります。
機能面では、消臭に力を入れているメーカーが多数存在します。凝固剤そのものに、消臭機能を兼ね備えた製品、ビニール袋に消臭機能を持たせた製品など、各メーカーとも消臭機能にはこだわっています。
また、消臭機能以外では、素早く固まる成分を使用している製品がおすすめです。特に吸水ポリマーを使用した凝固剤は、素早くゲル状に排泄物を固めてくれるので、そのあたりもチェックしておきましょう。
簡易トイレの使用後は、後処理は自分で行わなければなりません。できるだけ簡単なものがおすすめです。ですが、どの商品を見ても、基本的に後処理は簡単にできるものが多い印象です。気を付けたい点は、非常に安価な製品や、排泄物を入れるビニール袋が透明なものです。
いざという時に、「これは使いにくい!」ということにならないために口コミ、レビュー等を参考にして、信頼のおける製品を選ぶようにしましょう。
断水しても、便器が使える場合は「便器で使うタイプ」で十分です。水が使えないので後処理は自分でする必要がありますが、いつもの使い慣れたトイレで用を足せます。もちろん、携帯しておけば家ではなく、出先でのトイレにも使用できます。
そのような「便器で使うタイプ」のおすすめの商品を、特徴を含めてご紹介していきます。
小久保工業所の製品「緊急簡易トイレ」です。汚物入れ・処理袋と2種類の袋で、後処理も安心です。凝固剤には、高分子ポリマーが採用されており、素早く固めることができます。また、消臭剤にはウッドパウダーが使用されています。
便器がなければ、バケツを代用して使用できます。お値段もリーズナブルで、ひと箱10回分入っています。評判も良く、おすすめの商品です。
クリニスのケアバッグは、便器にスポッと被せるタイプの簡易トイレです。凝固剤は振りかけるタイプではなく、パッド式になります。吸収力・脱臭力も安心の凝固剤パッドです。
ロール状になっているので、使う時にサッと設置できることも特徴の一つです。後処理も、ひもを引っ張って密封できるため、非常に便利です。ただし、便器での使用が前提です。段ボールや、バケツなどを便器として代用する際は、少々扱いにくいかもしれません。
驚異の防臭素材BOSの簡易トイレです。BOSとは、医療や介護向けに開発された、高機能素材です。この素材を袋に採用しています。高性能な「オムツポーチ」なども手掛けている、「BOS-SHOP」の信頼できる製品です。
その驚きの消臭能力は、口コミ・レビューを見れば一目瞭然で、BOSの袋の信頼度を裏付けるものが多く書き込まれています。この袋の防臭力は本物です。
処理袋としてBOS素材の袋が採用されており、汚物入れは黒色または青色の袋が別に用意されています。2重の袋で、後処理も楽に行える製品です。
災害時や断水時での必需品 凝固剤・排便袋(黒色)×50回分の非常用簡易トイレセット。
水は使わず、凝固剤で排泄物を素早く固め、簡単に処理できます。
50回分と、大容量で備蓄に最適な製品です。 抗菌と消臭性能を兼ね備えた、安心の日本製凝固剤を使用しており、性能面でも安心して使用できます。保存期限は製造から10年で、省スペース設計のパッケージなのでかさばりません。自治体単位で、避難所となりうる「学校・集会所・公民館」などの備蓄にも最適な製品です。
コクヨの袋式トイレの特徴は、三角形に設計されたビニール袋です。便器に設置しやすい形状で、両サイドには両面テープが付いており、貼り付けて袋のズレを抑えます。10回連続使えるというのは、10枚重ねという意味で 、10回連続使用というわけではありません。1回使用するごとに、1枚づつ袋を取って処理するということです。
一度のセットで、10回分使えるので、毎回便器に袋をかけるわずらわしさを減らすことができます。ケースの外寸は、奥行(317mm)、高さ(260mm)で場所も取らず、隙間に収納できるサイズです。備蓄にも適した製品です。
コスパで選ぶなら、明尾産業の「シャットレット」が おすすめです。ヤシ殻活性炭で消臭効果を高めた凝固剤で、気になる防臭性能も安心です。何と言っても、大容量の50回分の汚物袋と凝固剤セットです。
大規模災害発生時は、同時にいくつもの避難所が開設されます。同時多発的に各地で断水する場合もあり、仮設トイレの設置が遅れることも少なくありません。そんな時に活躍する簡易トイレですが、避難者数が多いと数が必要です。
明尾産業の「シャットレット」なら、大容量の50回分使用可能です。価格もリーズナブルなので、避難所の大量備蓄に最適な製品です。
続いては、片手で使えるタイプの「簡易トイレ」のおすすめ商品をご紹介していきます。このタイプは、災害だけじゃなくて渋滞中の車の中でも使用できます。そもそも、渋滞中で「トイレに行かれない」という事態を想定して作られたものが多いのです。
近年の災害発生時、避難所には行かずに「車の中で過ごす」という方がいらっしゃることをメディアではよく報じられていました。もし、現在のコロナ禍で災害が発生してしまうと、車の中で過ごされる方が増えることが想定されます。そのような時に、片手で使えるタイプの簡易トイレがあると非常に便利です。ぜひ、常備しておきましょう。
抗菌剤入りの凝固剤、長めの袋で尿の跳ね返りも少ない携帯トイレです。商品名どおりに片手で使え、秒速セットで準備できる優れものです。
長めの袋は、使用後に結びやすい設計になっており、後処理のことも考えられた緊急用の携帯トイレです。「災害用の備蓄」としてだけではなく、登山・アウトドア・介護・ドライブなどでも役立ちます。男女兼用なので、家族全員として準備しておきたい製品です。
この商品の特徴は、局部にあてがう部分がスポンジでできている点です。形状も斜めになっており、局部にフィットして、なおかつ肌に優しい製品です。女性や小さな子供にも、非常に使いやすい携帯トイレと言えます。
凝固剤、汚物袋の防臭機能も上々で、携帯トイレとしては優秀な製品です。ひとつ、マイナスな点をあげるとすれば、汚物袋の中身が透けて見えてしまう点です。気になる場合は、処理用に「黒色の安価な袋を別に用意しておく」というのも良いかもしれません。
携帯トイレの中でも、知名度が高い「ケンユーのプルプル」。片手で使えるタイプという点では、非常に使いやすい製品です。外装袋を開けて中身を取り出すと、一体化した受け口と汚物袋が、その袋の中には凝固剤が既に入っています。使用後、袋にはチャックが付いているので、すぐに閉じることができます。ただし、小便のみ対応の携帯トイレです。
袋の中の凝固剤は、液体を素早くゲル状に固めてくれます。汚物袋は、不織布とポリエチレンの2重構造となっていて、安心して使用できます。
ただしこの製品は、後処理の方法に特徴があります。他の製品みたいに、汚物と袋をそのまま可燃ゴミとして捨てる方法ではなく、汚物と汚物袋を別々に処理するタイプです。
処理方法は、ゲル状に固まった汚物に水を入れ、ふやかしてからトイレに流します。汚物袋は、各自治体の指示に従って処理するという、少し2度手間的な処理方法となっています。
災害で断水し、トイレが使えないとなると「ゴミが溜まってしまう」という点を考えると、災害用としてよりも緊急用としての方が使い勝手はいいのかもしれませんね。
この製品は、ペットボトルに付属のジョイントパーツを取り付け、そこへ本体をセットして使用するタイプの携帯トイレです。本体には2か所のリング状の穴があり、そこへ指を差込めば手が滑ることなく、がっちり持って排尿できます。使用後は、洗って繰り返し使えます。
男女兼用ということですが、女性の方は座っての使用は少し難しいかもしれません。ペットボトルが下につっかえてしまい、こぼれる心配があります。どちらかというと、立って用を足す男性が扱いやすい携帯トイレです。
携帯用トイレ袋4枚(高速吸水凝固シート入)と持ち運び用の高密閉チャック袋2枚のセットです。 和式・洋式トイレにセットしての使用はもちろん、そのまま袋を開いて使用することも可能です。
袋の中には、オムツなどと同様の吸水シートが使われているので、凝固剤を後から振りかけて固めるというような手間もありません。いたってシンプルな使用方法は、まさに災害時向けと言えるでしょう。
大便もできる携帯トイレです。なかなか、大便にまで使用ができる携帯トイレは種類が少ないので、 あると非常に便利な携帯トイレだと言えます。
大容量の1,000㏄も入る汚物袋で、大量の排便が予想されるときも安心して使用できます。また、広い受け口は女性にも使いやすい点や、車酔いなどでのエチケット袋として使用できる点も見逃せません。まさに万能型の携帯トイレです。非常用・災害用のどちらでも役立つ、おすすめの携帯トイレです。
日本の人気アウトドアメーカー、モンベルの携帯トイレです。登山に特化したグッズを、多数取り揃えるモンベル。非常にコンパクトで、携帯にも邪魔にならないサイズです。便袋・防臭袋・吸収ポリマーの3点セットで、携帯トイレとしての最低限必要なものも揃っています。
防臭袋は、2重のチャック式でニオイ漏れも防いでくれます。登山・アウトドアはもちろん、災害などの非常用としても役立つ製品です。
災害などによって便器が破損した場合や、大勢の利用者がいて便器が足らない、という場合には簡易便器付きの簡易トイレがおすすめです。基本的に、「水が利用できなくなった洋式便器」の簡易版として利用するタイプです。
使い方は、紙製・プラスチック製の本体を組み立てて、簡易便座を置きます。あとは「便器で使うタイプ」の簡易トイレの使い方と一緒で、袋をセットして用を足します。そして排泄物に、凝固剤を使用して固めて処理する、といった使用方法です。
サンコーの非常用簡易トイレは、紙製の便器・ポリプロピレン製の便座、5回分の汚物袋と凝固剤、さらに周囲からの目隠し用の簡易ポンチョがセットになっています。
気になる点は、高さが32センチとやや低めな部分です。小さな子供などには使いやすいですが、足腰の弱った高齢者の方々には、少し使いづらいかもしれません。そのような際は、高さを上げる工夫をしましょう。
緊急戦隊トイレマン・簡易便器のベンリートイレ・ベンリーテントの3点セット
簡易便器とワンタッチで広げられるテントが付いているので、どこでも簡易トイレとして使用可能
人気簡易トイレの「緊急戦隊トイレマン」・「簡易便器のベンリートイレ」・「ベンリーテント」の3点セットです。これさえあれば、あとはトイレットペーパーを用意して準備完了できます。
緊急戦隊トイレマンには、大容量の50回分の凝固剤と汚物袋が入っています。周囲からの視線もさえぎるベンリーテントも、ワンタッチでセッティングできる優れものです。また、トイレとしてだけではなく、着替えなどにも代用できます。
災害は、いつどこで発生するかは分かりません。防災への備えをしておかないと、いざという時に大変困ります。水や食料などへの関心は高いかもしれませんが、トイレのことは「盲点だった」という方は少なくありません。
そこで、今回は簡易トイレ・携帯トイレについてまとめましたが、重要なことが1点あります。それは、トイレットペーパーの用意です。せっかくトイレの準備ができても、トイレットペーパーがないと用が足せません。今回、紹介した商品にも「トイレットペーパー付」というものはないので、必ず簡易トイレ・携帯トイレと一緒に、トイレットペーパーも用意しておきましょう。
冒頭でも説明しましたが、災害時に困ったことの上位には「トイレ」が必ず入っています。各家庭での準備も当然ですが、自治体単位での準備もしっかりとしておいていただきたい問題です。
水洗トイレしか知らない世代の方々には、簡易トイレや携帯トイレは少々耐え難いかもしれません。いざ災害か発生してぶっつけ本番になるより、ぜひ、試しに1度使用してみることをおすすめします。前もって経験しておくことで、心の準備もでき抵抗なく使用できるでしょう。