新しい家に住みたいけれど、大きなお金のかかるものであるために、しっかりとした手順を踏む必要がります。どの程度の購入費用が必要になるのか、その内訳はどうなっているかなど、事前によく予習しておくことは大切です。今回は、新規で家を買う際の基礎知識を解説します。
マイホームをいつかは購入して住みたい、というのは大多数の方が思うことでしょう。では、実際の家の買い方、手順はどのようにして進められているのでしょう。まずは家購入の一般的な手順を解説します。
まず、自分の希望している家の情報収集から始まります。住みたいエリアにはどのような物件があり、どの程度の価格で販売されているのかを条件を絞り込みつつ把握、より詳しく知りたい、実物を見たいときには、問い合わせをして物件の見学をします。
ある程度見学などを行って色々な情報を集める中で、自分の希望に近い物件がピックアップできてきたら、絞り込んでいきます。家に求める優先順位をつけていき、いよいよ購入したい物件が決まったら、その申し込みをします。
申し込みと同時に、住宅ローン審査も行うのが一般的です。晴れてローン審査に通れたら、物件や契約の内容についてなど重要事項をしっかり確認します。正式に契約し、ローンも正式に申込み、内覧チェックや残金決済をしたら、念願の新居の引き渡しとなり、引っ越しをします。
以上、一般的な家の購入の流れについて、大まかにではありますがご紹介しました。あくまで大筋の流れであり、新築なのか中古なのか、または注文住宅なのかによって手順は異なりますので、それぞれ開設しましょう。
まず、建売住宅、マンションや一戸建ての住宅の購入の場合です。これは土地と建物がセットになって販売されているもので、すでに建物が完成している状態の物件もあれば、これから建築に入る物件もあります。
これらが新築というくくりにされており、当然新しく綺麗で設備も最新のものが多く、建物の完成前に販売されるケースのほうが多いため、その場合は実際の物件を見学等で見ずに、モデルルームがあれば見学をしてから購入に進んでいきます。
購入の申し込みの際は、申込金として5~10万円ほどが必要になり、ローンの仮審査もします。重要事項の説明を受け、物件の1割近くの手付金を支払い、内覧会や説明会を受けたのちにローンの本審査を受け、通れば引き渡しとなります。
続いて、注文住宅の購入というケースです。土地を探すところから始まり、建築に関しても一から行いますから、建築基準法等に準じてさえいれば、間取り、内装、設備などは自分の思う通りにスタイリング可能なのが一番の魅力です。
まず住宅メーカーを探すことからスタートし、気に入ったメーカーに間取りプランや見積書を作成してもらいます。メーカーが確定したら仮契約となり、建売と同じように5~10万円の申込金を支払い、ローンの仮審査も同時にします。
住宅建築のプランが確定したら、建築会社とも工事請負契約を結びます。また、住宅ローンの本審査も受け、通れば金融機関との契約となります。工事はハウスメーカーだと3,4か月、工務店の場合4,5か月かかり、引き渡された時点でローンが実行されます。
そして、中古住宅の購入のケースです。中古ですので当然住宅は現存していますから、中古住宅の物件サイト等で情報を収集、見学の予約を行います。購入に踏み切れるのなら購入の申し込みをし、ローンの事前審査も受けておきます。
中古物件ですので、建物の品質に不安があるのなら、住宅診断を利用して欠陥の有無を診断してもらうこともできます。重要事項の説明を受け、売り主との売買契約締結時に手付金と仲介手数料の半額を支払います。
住宅ローンの本審査受け、通れば金融機関との契約を結び、ローンが実行されます。売り主への代金や諸費用の支払いののち、所有権の移転登記もなされ、鍵が受け渡されれば完了となります。
このように、家の種類によって手順の細かい部分は異なりますが、どれにしても人生最大級の買い物であるということに変わりはありません。そのためにタイミングが非常に重要になるのですが、ならばいつが最適といえるでしょうか。
平均的なタイミングとしては、国土交通省の調査によれば、購入時の世帯主の年齢を見てみると、注文、分譲戸建、分譲マンション、注文戸建て住宅の場合には30代、建て替えの注文住宅とリフォーム住宅では60代がそれぞれ最も多い割合を占めています。
さらに細かく見てみると、マイホーム購入のタイミングについては、新築の注文住宅が41歳ほど、建て替えの注文住宅は61歳、分譲の戸建て住宅が39歳、中古戸建住宅だと46歳、リフォーム住宅が59歳と、30代から60代に平均の年代が入っています。
あくまで平均であり、それぞれで購入するタイミングが異なるのは間違いありません。ならばいつが良いのかというと、自分自身の生活スタイル、年齢などによって決めるというのが一番良いとされています。
例えば年齢だと、若いうちはあまり収入が多いとは言えず、またローンを組む際も長期化してしまうのでトータルの返済額が大きくなるとされていますが、昨今は金利が非常に低く、固定収入さえあれば収入の大小にかかわらず借り入れができます。
ライフスタイルでいうと、やはりマイホーム購入の動機は子供や家族のためという理由が大きいですから、家族構成によっても異なります。大きなメリットとして団体信用生命保険が付けられることで、いろんな保険内容があります。
家を購入したいと思ったとき、必ず価格も選択する条件のうちの大きな要素となりますから、自分の予算をまず検討しなければなりません。ならば、どの程度までの予算で考えて家を買うべきなのでしょうか。
無理することなく購入できる価格帯の家というのは、自分の年収の5倍から7倍の範囲内であるといわれています。例えば、年収が500万円の方の場合、5倍から7倍ですので2,500万円から3,500万円が無理なく購入できる家の予算だということになります。
しかし、家の購入にあたって一括で支払うというケースは非常にまれで、大半は住宅ローンを利用しますから、どちらかというとどのくらいの価格までかよりも、無理なく返済を続けることができるかが重要視される傾向にあります。
加えて、最初に用意する資金の額や借り入れる期間などによって無理なく返済していける支払額、ひいては購入可能な家の額も変化してきますから、事前の十分な検討が非常に大切なのです。
購入できる家は、住宅ローンの組み方、毎月の支払額によって左右されるといっても過言ではありません。まず毎月の自分の収入から生活に必要な費用を差し引き、返済に充てることができる金額はどのくらいなのかを計算してみましょう。
続いて、借入をする金額を考えてみます。現在の自分の年齢を基にして、あと何年働き続けられるのかも計算をします。住宅ローンは金融機関によって完済時の年齢に上限が設けられていますから、いつまでに完済する予定なのかを考えるのです。
住宅ローンにも、フラット35などをはじめとして固定金利なのか変動金利なのかなど、条件はいろいろとあります。サイトのシュミレーションツールを使用してみると、大まかにでもローンの組み方が見えてくるかと思われます。
このように、買える家をローンの組み方から計算していくなど、事前のシュミレーションもとても大切です。前述したように非常に大きな買い物ですから、失敗などしてはずっと引きずってしまいます。最後に、家の購入に際して失敗しないコツもいくつか紹介します。
家の購入に進む前に、まずやるべきなのは適正な予算を把握することです。後述する家の衝動買いにも通じることですが、予算を考えないままに購入を進めてしまうと、家計への大きな負担を強いることにつながりかねません。
予算の失敗など最も回避したいことですから、注意すべきです。そのため、第三者のファイナンシャルプランナーを頼ってみましょう。特に中古物件を取り扱う仲介者の場合、豊富に選択肢がありますので無理に予算を組まれることもありません。
また、購入に際して頭金などの費用も掛かります。大体物件価格の1割から2割ほどを支払うケースが多く、初めに多く払えばローンの返済の負担も軽く済みますが、大きな金額であるために支払い額は十分に検討を重ねたうえで設定しましょう。
家の理知する土地選びも大切です。例えば最寄りの駅までどの程度かかるのか、周辺に大なり小なり商業施設があるか、大きめの車道に面していないか等、いわゆる住みやすさに影響する土地に関連す点は特に大切です。
土地を選択できる注文住宅だと特にこれが重要となるでしょう。特に都市部での家の購入を検討している場合、一定の人口密度を保ち、各々の地域のサービスの活性化を促し都市開発につなげる立地適正化計画が進んでいる地域もあります。
住みたい家のある場所の近辺がこの適正化計画の進められる地域であるのならば、利便性や将来家を売却するかもしれない可能性も踏まえて、前向きな検討をしてみてもよいでしょう。
家の候補として新築のモデルルームを見たり、注文住宅の展示場などを見学してみるとよい点がたくさん見つかってその気になってしまう気持ちもわかりますが、1つの家の見学だけで安易に決めてしまわないようにしてください。
何度も繰り返す通り、非常に大きな買い物となりますから、あとでほかの物件に変えたい、というようなことは難しいのです。そのため、1つの会社、物件にこだわることなく、様々な物件の見学に足を運ぶなど、できるだけ比較をするべきです。以前見た物件も良かったけど、後により条件に合致する物件があるということも珍しくないです。
予算関係に次いで多いのが、家の中の間取りに関する失敗になります。特に失敗しやすいのが、新婚でまだお子さんがいない方、またはお子さんがまだ幼い家族です。今後増える可能性もあれば、子供がいないままの可能性もあります。
このケースのまま現在の家族の人数で間取りを設定すると、後から家族が増えて部屋が足りなくなったり、逆に夫婦の2人暮らしで部屋があまり、物置や書斎などが増え、リビングやダイニングは狭くなってしまうのです。
こうならないために、現在の家族の人数と、将来の家族の人数の2つを想定しておく必要があります。最初に仕切りのない間取りを設定し、家族が増えたのであれば仕切りを作ってしまうというような手法なら、失敗も少ないでしょう。
予算に関係することではありますが、衝動買いは避けなければなりません。1つ目や3つ目のコツでも記述したことですが、じっくりと考えることなく流されるままに予算を組んでは、長く続く大きな負担になる可能性が高いです。
また、モデルルーム等の見学に行った際にも良い点がたくさん紹介され、今なら値引きされる、というような営業文句を聞かされることもあるかもしれません。しかし、そこで即決してしまうのではなく、必ず他の物件やメーカーも見て総合的に判断するのが重要です。
最後に、物件は現場、現物を見て判断することです。完成前の新築一戸建てや注文住宅というのは、本物を見ることができませんが、3Dの立体映像や同じメーカーの家の見学などをすれば、完成後のイメージもグッと高まります。
家の内部にとどまらず、土地に関しても事前の調査が大切です。広告の上では「徒歩~分」などと表記されていることが多いですが、80mあたり1分の計算であり、実際は信号待ち等もありますので、最寄りの駅までのリアルな時間を測ってみても良いでしょう。
家の近辺の街の様子も、時間帯によって異なります。昼夜での交通量の有無、夜間の街灯の数や明るさなど、実際に現場を見て印象が変わる可能性も否定できません。土地を変えることはできませんので、納得いくまで現場を見ることをお勧めします。
購入の際の流れ、予算の組み方、支払い方や家の立地などなど、考えることはたくさんありますが、事前になら考量する時間は十分にあります。納得のできるマイホームを手に入れられるよう、事前準備をぬかりなくしておきましょう。