憧れのマイホームの購入は、とても胸が躍るものです。しかし、人生の中でも最大級の買い物とされているように、慎重な購入の検討が必要です。最も気になる購入金額ですが、年収の何倍程度が良いのでしょうか。今回は、家の購入の際の価格の目安、資金計画などを解説します。
マイホームを手に入れるのは誰しも思い浮かべる夢ですが、非常に大きな買い物となるため、予算をしっかり考えておくことがとても大切です。では、自分の年収と照らし合わせて、何倍くらいまでが目安になるのでしょうか。
まず、新築のマンションの購入額からみていきましょう。東京カンテイによる調査によれば、2017年の新築マンション購入の際の年収倍率は、全国の平均をとってみると7.81倍、仮に500万円の年収なら、3,000~4,000万円程ということになります。
特に関東圏に関しては全国平均の中でも倍率が突出して高くなっており、神奈川県や埼玉県を見てみると年収の10倍を超えています。そして最も年収倍率の高い東京では13.26倍と、非常に高い数字であることが分かりました。
この年収倍率に関しては、購入の際に必要となる頭金や住宅ローンを組んだ際に上乗せされる金利などが計上されていません。もし最初に頭金を一定以上の額用意できる場合は、平均以上のマンションの購入も可能ですが、ローンの金利が高い場合、逆に購入できる額が低くなります。
かつて、マイホームの購入は年収の5倍が良いとされていました。現在でもどこかで耳にしたことがあるかもしれませんが、これは2020年現在から28年前となる、1992年ごろにうたわれていた話でした。
この当時はまだバブルの影響が続いており、特に首都圏では地価が高い水準で動いていました。大抵年収の6倍程度での住宅購入をしていたといわれており、さらに住宅ローンに関しても非常に低い今とは真逆で高くついており、ローンの返済に関しても厳しいものだったとされます。
家の購入に際して、もちろん住宅本体の価格も気になるところではありますが、大抵の場合住宅ローンを組みますので、これを無理なく返済できるかどうかのほうが、現実的には気になるところでしょう。
実際に、冒頭で記述した年収の7倍前後の額をローンで借り入れた場合の負担はどうなるのかを見てみると、年収が600万円として、金利を3.35%、返済比率を35%とすると、借入可能額が4,320万円、頭金を1割とするなら、全部で4,500万円となり、年収倍率が7.5倍です。
住宅ローンの適用金利が変動型は0.6%台、固定型でも0.7%と、バブル時代と比較してみると7分の1以下にまで減っており、適用金利を0.65%とした場合、月の返済額は12万円弱となり、ある程度以上の貯蓄と収入のある方ならば十分現実的な範囲内に収まります。
住宅ローンを借り入れる際の平均値を見てみましょう。金額の高い順にみてみると、注文住宅の場合3,004万円、分譲戸建て住宅が2,827円、分譲マンションは2,396万円、中古戸建は1,540万円、中古のマンションは1,166万円が平均のようです。
これを踏まえて、借り入れた方の平均年収も見てみると、国土交通省のデータによれば、新築、中古にかかわらずどのタイプの住宅の場合でも、共働きの合計年収を入れても平均して600万円から750万円の間に収まっています。
現在の保有資金によっても異なるのはもちろんありますが、平均であった年収の7倍でも、それなりの環境さえ整えていれば十分現実的に可能であるとわかりました。では、購入時には自己資金をどの程度用意しておけばよいか、年収別に確認してみましょう。
住宅種別 | 総費用 | 世帯年収 | 自己資金 |
---|---|---|---|
土地付き注文住宅 | 4,112.6万円 | 611.3万円 | 447万円 |
新築マンション | 4,437.2万円 | 767.4万円 | 714.1万円 |
建売住宅 | 3,442.1万円 | 554.5万円 | 293.2万円 |
注文住宅 | 3,395.1万円 | 592.8万円 | 636.5万円 |
中古マンション | 2,982万円 | 585.5万円 | 310.5万円 |
中古戸建住宅 | 2,473.3万円 | 503万円 | 203万円 |
住宅金融支援機構であるフラット35利用者調査からのデータによると、表の数値から総費用に対しての自己資金は、8%から19%程度となっています。また、年収倍率をみてみると、新築で7倍、中古住宅などの場合は5倍から6倍ほどに収まります。
この自己資金というのは、住宅を購入する際に最初にそろえておく現金のことです。実際に住宅を買う際には、頭金として住宅価格の一部を先んじて支払うケースが多いです。頭金なしでも購入できることはありますが、ローンを組む際の審査に通りにくくなりがちです。そのほか、税金や登記費用などの各種諸経費もかかります。
そして、気になる購入の際に用意したい自己資金額についてですが、一般的には住宅価格の総額の2割から3割程度を用意しておけると望ましいようです。1割は頭金やその他の諸経費として、それ以外はマイホームが手に入ってからの生活のために手元に置いておければ安心です。
購入当初に、頭金やそのほかの諸費用を兼ねた手付金が必要であったり、マイホームの購入後も無理のないローン返済ができるよう、家を買う際には事前の構想をしっかりしておかなくてはなりません。そんな時に大切なのが、シュミレーションをすることです。
まず1つは、資金計画をすることからです。すでに紹介している通り、実際に家を購入する際には、最初に頭金として住宅価格の何割か、及び諸費用を支払います。多く支払えばその分ローンの残額も少なくなりはしますが、生活費やお子さんがいる場合は教育費のことを考えて余裕を持っておきます。
実際のシュミレーションサイトでは、借入の予定や購入予定の物件情報を入力することで、取得のための資金計画をはじめとして、毎月の家計収支などもシュミレートできます。表、グラフも用いられますので、ある程度具体的なイメージを持てるでしょう。
次に、ローンの借入希望金額から月々の返済額、及び総返済額を計算します。ここで重要なことは、借りられる額というのではなく、現実的に考えて滞りなく月々の返済がして行ける額を計算し、決めていくことです。
シュミレーションでは、借入希望額がいくらなのか、返済の期間は何年にするのか、返済の方法やボーナス時の割合、融資金利の種類などを設定して算出できます。金利の種類は、3つのパターンから選択ができます。
そして、地震の現在の年収から、現実的に借り入れ可能な額を計算してもらいます。年収、融資金利の割合、返済の期間や返済の方法、毎月の返済額をボーナス時の増額分も加えて入力すると、借入可能額の概算が算出できます。
ここでは、自身の年収からどれだけ借りることができるのかを計算するのですが、支払い能力があるかどうかが額の大きさに関係しており、年収が多ければその分借り入れられる額は大きくなり、逆に少ないと借入額は少なくなります。
そして、毎月の返済額、融資金利の割合、返済期間と返済方法を入力して、借入可能額を計算していきます。毎月の返済額については、ボーナス時の増加支払い分を含めた12分の1を入力して、概算の借入額を計算できます。
最後に、返済プランの比較を行います。ここでは、最大で3つの返済プランを同時に計算し、毎月の返済額、ボーナス時の割り増し額、1年間の返済額や借入期間を一度に比較できます。諸費用、うち当初諸費用を含めた、総支払額も同時に表示されます。
1つのシュミレーションに満足してしまうのではなく、こうして複数の金利タイプの住宅ローンを比較し、自身の家計状況に最も適すると思うプランをしっかりと吟味して選ぶことが大切です。また、ローンの支払額だけではなく、保険料や保証料等の諸費用の計算も必要です。
マイホームは自分の年収の何倍までなら買えるのか、ということも考えがちではありますが、どちらかというと住宅ローンを無理なく返済できるのかどうかが重視されている傾向にあります。資金計画、シュミレーションを十二分に行い、後悔のないマイホーム購入を目指しましょう。