自宅に設置している給湯器はどのようなものを使用していますか?従来型の給湯器ですか?それとも、エコキュートですか?
エコキュートという言葉を聞いたことはあるけど、他の給湯器とどう違うの?と思う方もいるかもしれませんが、環境にもお財布にもやさしい給湯器です。特徴やメリット・デメリットを説明していくとともに、エコキュートを導入することで申請できる補助金制度について、そしてその申請方法などもお伝えしていきたいと思います。
目次
エコキュートとは、ヒートポンプ技術を活用した電気温水器です。ヒートポンプ技術は、空気中の熱を吸収、圧縮して移動可能にする技術で、エアコンなどに採用されている技術です。
夜間電力を活用し水を温めることで、夜間にタンクの中にお湯を貯めておき、翌日にそのお湯を使用することができる仕組みとなっています。ちなみに、夜間電力は一般的な電気料金プランではなく、夜間の電気料金が安くなるよう設定されたプランがあります。そのため、エコキュートを利用することで節約にもなるのです。
エコキュートを導入すると、どんなメリットがあるのでしょうか?前述にもありますが、夜間電力を使用する上に、従来型のガス給湯器と比べても効率が良いため、ランニングコストが安くなる可能性が高いです。
また、ヒートポンプ技術によって再生可能エネルギーである空気でお湯を沸かすため、環境にやさしいとされており、省エネ効果が期待できます。さらに、タンクにお湯を貯めておくので、非常時の生活用水としても使用することができます。
一方、デメリットもあります。タンクにお湯を貯めておくことから、タンクの容量分しかお湯を貯めることができません。つまり、普段よりお湯を多く使う場合、給湯の途中でお湯がでなくなってしまうということがあります。
夜間にお湯を貯めるため、低周波騒音の原因にもなり得ます。近隣にお家がある場合は、配慮する必要があります。また、エコキュートはヒートポンプと貯湯タンクがあるため、設置するにはスペースが必要となります。
ランニングコストが安くなるというメリットがありますが、従来のガス給湯器と比べ、初期費用が高くなることがデメリットとして挙げられています。
設置するには初期費用が高くなると説明しましたが、実際にはどのくらいの費用がかかるのでしょうか?ここでは、エコキュートの導入、工事価格をお伝えしたいと思います。
エコキュートの単体の価格は、貯湯タンクの大きさやメーカーなどによって異なりますが、相場は20万〜30万円程度となっています。ここで、給湯器の寿命はおよそ13年程度と言われていますが、エコキュートは複雑な構造となっているため、それよりも寿命が短い可能性もあります。これを踏まえ、20万円前後のものが売れ筋となっています。この価格は、節電により元がとれるということも配慮されています。
設置するとなると、導入費用とは別に工事費用もかかり、水道工事と電気工事が必要となります。それぞれ表にしているので、参照してみてください。
水道工事代の内訳は下記の通りです。合計すると、15万〜20万円程度となります。
基礎工事(新規設置の場合) | 2万円~4万円 |
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給湯器の処分撤去 | 5,000円~1万円 |
各種配管工事 (排水管、追い焚き配管、 給水給湯管) | 各2万円~5万円 |
貯湯ユニットと ヒートポンプの取り付け | 3万5,000円~5万円 |
オイルタンクの移設 (新規設置の場合) | 1万円~2万円 |
浴槽循環口の取り付け(交換の場合) | 1万円~1万5,000円 |
次に、電気工事代の内訳は下記の通りです。分電盤の交換、幹線の張替えの2つの工事は、200Vの配線が引き込まれていない場合に必要となります。合計すると、相場は15万〜20万円程度となります。
ブレーカーの交換 | 5,000~1万円 |
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分電盤の交換 | 3万5,000~6万円 |
幹線の張替え | 2万8,000~4万円 |
電力会社への申請代行費 | 2~4万円 |
配線工事費 | 2~4万円 |
これらの工事費用は、お住まいの地域の水道状況や自宅の配線状況、施工業者によって異なるため、実際にかかる費用については見積もりを依頼し、チェックすることをおすすめします。
初期費用が高くなることがデメリットとして挙げられていますが、実は自治体から補助金がでます。なぜ、導入するだけで補助金をもらうことができるのでしょうか?
従来の給湯器は、フロンガスなどを使用した給湯方法が一般的でした。しかし、フロンガスは二酸化炭素を排出するため、地球温暖化が助長されると懸念されていました。一方で、エコキュートは省エネ効果が期待でき、環境にもやさしいことが特徴です。このことから、補助金制度が作られたのです。
補助金を出している自治体は多くあります。給付額は自治体によって異なりますが、最大で10万円以上の補助金を出している自治体もあるようです。そのため、住んでいる地域の自治体に確認してみましょう。ここでは、東京都、神奈川県、埼玉県で、エコキュートの補助金を出している自治体を紹介したいと思います。
東京都は、市区町村からの補助金とは別に、エコキュート導入した都民を対象に商品券とLED割引券に交換することができる東京ゼロエミポイントを付与する家庭のゼロエミッション行動推進事業を実施しています。ちなみに受付期間は、2021年3月31日までとなっています。
市区 町村 | 補助金制度 | 補助金額 | 受付期間 |
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北区 | 新エネルギー及び 省エネルギー機器等導入助成 | 50,000円/台 (区外業者による設置・施工) 60,000円/台 (区内業者による設置・施工) | 2021年2⽉26⽇まで |
江東区 | 地球温暖化防止設備導入助成 | 設置に要する経費の5% (上限1台あたり40,000円まで) | 2020年4月1日~ 2021年3月15日 |
新宿区 | 新宿区新エネルギー及び 省エネルギー機器等導入補助金 (個人住宅用機器等) | 100,000円(定額) | 2020年4月13日~ 2021年2月12日 |
練馬区 | 練馬区再生可能エネルギー・ 省エネルギー設備設置補助制度 | 上限25,000円 | 2020年8月3日 ~11月30日 2020年12月1日 ~2021年3月1日 |
府中市 | 府中市エコハウス設備 設置補助金 | 15,000円 | 2020年4月1日~ |
三鷹市 | 新エネルギー・ 省エネルギー設備設置助成金 | 20,000円(既築住宅) 15,000円(新築住宅) | 2021年3月31日まで |
目黒区 | 目黒区住宅用新エネルギー及び 省エネルギー設備設置費助成 | 設備本体価格の3分の1以下 (上限32,000円) | 2020年6月1日~ 2021年1月29日まで |
杉並区 | 杉並区低炭素化推進 機器等導入助成 | 50,000円(定額) | 2020年4月7日~ 2021年2月26日 |
東村山市 | 武蔵村山市安心安全・ エコ住宅等改修助成事業補助金 | 20,000円 | 2021年3月31日まで |
神奈川県では、愛甲郡清川村の自治体が実施する住宅リフォーム助成制度を利用することで、経費の一部を助成してくれます。申請条件として、清川村に1年以上住んでいる方(住民登録している方)が対象となります。助成金額は、工事費用が10万円以上100万円未満の場合、工事金額の1/2の額(上限10万円)となっています。
埼玉県では、3つの市と村が助成制度を実施しています。
市区 町村 | 補助金 | 補助金額 | 受付期間 |
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桶川市 | 桶川市住宅用新・ 省エネルギー機器設置費補助金 | 30,000円 | 2020年4月1日~ 2021年3月19日 |
戸田市 | 戸田市環境配慮型システム等 設置費補助金制度 | 40,000円/台(補助上限:2台) | 2020年4月2日~ 2021年1月29日 |
三郷市 | 三郷市太陽光発電システム等 導入促進事業補助金 | 10,000円 | 2020年4月1日〜 2021年1月末頃 |
秩父郡 東秩父村 | 住宅用高効率給湯器 設置費補助金 | 40,000円/基 | ー |
自治体が実施する助成制度があることを知っていても、申請方法がわからなければ意味がありません。ここでは、補助金の申請方法について説明していきたいと思います。
補助金を申請する前に、申請の対象であるかどうか、対象条件を確認しておく必要があります。なぜなら、自治体によって、対象となる条件が異なるためです。例えば、エコキュートの種類や、住民税を滞納していないなど対象者に対しての条件が設けられていることがあります。
申請の条件を満たすことが確認できたら、申請をしましょう。必要な書類を役所の担当窓口に提出すると申請することができます。ここで注意しなければいけないことは、多くの書類を提出しなければいけないので、不備がないように気をつけましょう。
主に必要な書類は、下記の通りです。
見積書など申請のために準備しておく必要があるため、施工業者と相談しながら手続きを進めていくと安心ですね。
必要な書類が多く、申請が面倒だと思う方もいるかもしれません。しかし、補助金がでることで初期費用を抑えることができるため、申請することをおすすめします。
申請にあたり注意しなければいけないのは、申請するタイミングです。申請は設置する前にしましょう。設置した後に申請をしても認められないからです。
一部の自治体では、省エネのためのリフォームを支援するため補助金制度を実施ているところもあります。エコキュートの助成金制度を実施していないという自治体でも、このような助成金制度を実施している自治体があるため、住んでいる地域の自治体に問い合わせてみると良いでしょう。
そして、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)支援事業があるのをご存知ですか?ZEHとは、効率の高い設備やシステムの導入で、室内環境の質を保ちつつ大幅な省エネを実現、再エネ導入し年間の一次エネルギーの収支をゼロにすることを目指した住宅のことを指します。ZEHは、国からの補助金制度を受けることができます。ZEHの住宅の6割は、エコキュートを採用しているので、ZEHを検討してみても良いかもしれませんね。
いかがでしたか?エコキュートは環境にやさしい上に、ランニングコストが安いため節約にもなります。ただ、初期費用が高くなるというデメリットがあります。
しかし、補助金制度を実施している自治体は多くあります。住んでいる地域の自治体に補助金制度があるかどうか確認することをおすすめします。補助金制度を利用し、お得に設置することができるので、給湯器を設置しようと考えている方、新しくしようと考えている方はぜひ検討してみてください。