家のリフォームをするのには、決して少なくない費用が必要になります。そこで活用してほしいのが、住宅のリフォームに関連する各種の補助金制度です。これを活用することは、リフォーム費用を抑えてお得に改築する為には必須と言えます。今回は、リフォーム関連の補助金制度について解説します。
目次
安くはない住宅のリフォームにも、各種の補助金、助成金を活用することで、数十万~数百万円をお得に改築できるようになります。国から交付されるものや、地方公共団体から交付されるものなど、種類も分かれていますので、まずはどんな制度があるかを知っておきましょう。
まず、補助金と助成金、この2つの違いは何なのかについて解説しましょう。補助金というのは、国、もしくは市区町村などの地方公共団体が交付する支援金の事です。要件を満たしたうえで、応募や申請を行います。
国、地方公共団体が支出をする以上、予算の上限も決まっており、無制限に交付が許されているわけではありません。予算によって支給する件数を定めている場合が多く、補助金を受けられるかどうかは「早い者勝ち」なのが特徴的です。
早い者勝ちでは無かったとしても、抽選方式で支給を受ける相手を決めているケースもあり、要件を満たして申請すれば必ず受けられる訳では無いという事を覚えておきましょう。状況によっては、募集を開始して数日で受付を終了することもあります。
続いて助成金についてですが、こちらも補助金と同じく、地方公共団体が交付を行う支援金になります。制度としては、基本的には先に解説した補助金とそう変わるところはありませんが、助成金は受け取れる可能性が比較的高いです。
それは、受け取る為の条件を満たしていれば支給の対象に入り、正式な申請をすればまず間違いなく受け取れると考えても良いでしょう。補助金は経済産業省などが扱っているのに対して、助成金は厚生労働省が取り扱っている管轄です。
「助」という言葉が同様に入っている支援金の制度であるこの2つは、制度としては非常に似通っています。実際、国、ないし地方公共団体へと申請を行い、そこから支給がされるという流れは完全に共通しています。
また、住宅や車などの購入に際して、資金源として受け取ることができるという仕組みであるという面から見ても、同じようなものと考えても間違いではないでしょう。違いがあるとすれば、予算の上限が最も大きいです。
先に解説している事ですが、補助金は予算の上限があるものが多く、人気のある制度の場合は申請をしたとしても受け取れないというのも珍しくはありません。一方、助成金にはそうした上限は無い為、申請を出せば受け取れる可能性は非常に高いです。
この様に、リフォームに利用する支援金は似通っているとはいえ種類は異なっていますので、利用する場合には事前に必ず要件や形態を確認しておきましょう。続いて、補助金を家のリフォームに充てる場合の注意点についてです。
まず1つは、補助金の申請を行うのはリフォームの工事に着工する前である事です。基本的に、リフォームに関する補助金を受け取る為には、実際にリフォームの工事が着工、つまり始まる前に申請を終えていなければなりません。
工事が始まってしまってから、あるいは終了してしまってから申請を行っても、受理されることはありませんので、利用する場合には必ず事前に行う事を覚えておきましょう。また、正しいタイミングで補助金、助成金どちらを利用したとして、実際に受け取れるのは大抵の場合施工が終了してからになります。
続いて、条件、申請期間などの確認が必要である点です。リフォームの補助金に関しては、先に述べた申請のタイミングもそうですが、施工するリフォームの内容、工事の完了時期、金額、先着や抽選などの条件を満たす必要があります。
例えば工事の完了時期などは「何月何日までに工事を完了させる事」などの条件になっている事もありますので、工事日数の調整等も視野に入れなければならなくなります。申請を考えている場合、リフォームをする会社側が作成する必要もある書類もある為に、会社との打ち合わせを行いつつ進めていきます。
また、こうした条件などを把握する為にはホームページで内容を調べる必要がありますが、省庁や市町村など様々な期間から補助金制度が出されており、それらすべてを掲載しているようなサイトもなかなかありません。自分で確認をしつつ、会社側の専門の方に相談をしておくと良いでしょう。
3つ目は、指定のリフォーム業者による施工が交付の条件に入っているケースもあることです。特に自治体が実施しているリフォームの補助金に比較的見受けられることが多いですが、適用の条件として、利用できる業者が制限されます。
その自治体などが指定するリフォームの施工を行う会社でない場合、補助金を受け取ることのできない場合も少なくはありません。仮に全く同じ工事内容で、ほかの条件すべてを満たしていたとしても、補助金を受ける対象からは外されてしまいます。
こうした条件が実際に存在しているために、注意点に挙げているのです。指定の施工業者があるか否かは、先に述べた申請期間や施工期間などと合わせて、条件は十分に事前によく見ておくべきなのです。
以上、補助金と助成金の特徴、および申請の際の各種の注意点についてを開設しました。返済不要でありがたい補助金である反面、正式な手続きや条件をクリアする必要もあります。続いて、補助金を受けられるリフォームの対象についてです。
1つは、省エネリフォームです。住宅に高性能な断熱材や、断熱効果の高い窓などを用いた改修はエコ、省エネリフォームに該当し、これに対して補助金や助成金が設けられています。太陽光発電システムの導入、高効率の給湯器の設置、節水トイレへの交換等も対象に含まれます。
こうしたリフォームによる省エネ化は環境にやさしい配慮をするのにとどまらず、光熱費の削減、住宅の長命化など様々なメリットを含んでいます。蓄電システムの導入、LED電球への変更なども、対象になっているケースもあります。
省エネ関連の補助金は種類が豊富に存在しており、思ってもみなかった技術、および設備が対象に入っていることもあります。地域や自治体ごとで対象になる工事なども異なりますので、事前に制度を確認してみましょう。
続いて、耐震のためのリフォームです。地震が多発する日本国内において、耐震化の工事は安全の観点から見て非常に重要です。耐震化は工事をした住宅の倒壊を防ぐだけではなく、周辺の道路、隣接した建物の被害防止にもつながります。
単なる耐震化工事だけではなく、耐震診断、実際に地震が発生した際に倒壊の危険性があるブロック塀の撤去などでも、補助が受けられる自治体もあります。現に、相模原市ではブロック塀の撤去、および高さを40㎝以下に減らす工事が対象に入っています。
また、大阪市では耐震診断にかかる費用の90%以内、耐震改修設計の場合には3分の2以内が補助対象となる制度が設けられています。対象になるか、どこまでの補助が受けられるかについては、築年数や面積等も条件に含まれます。
廊下、浴室、トイレ等に手すりを付けたり、床の段差解消等の工事を行うバリアフリーのリフォームも、補助金を受ける対象です。こうした分かりやすいバリアフリー化でなくとも、滑りにくい床素材に張り替えたり、トイレを洋式にするなどの工事も同様の補助金が使えることもあります。
こちらも種類を挙げれば色々とありますが、もっとも使いやすいのは介護保険による補助金制度でしょう。要支援者、要介護者と認められる者がいる住宅での工事なら、費用の7割から9割、上限20万円まで補助が受けられます。また、自治体のほかの補助金との併用も可能な事も多く、少ない費用で工事ができるでしょう。
主なリフォームの対象は、この省エネ、耐震化、バリアフリーの3つが挙げられます。先に述べた通り、同じ省エネなどのリフォームを行う中でも種類や対象は豊富ですので、主な補助金制度についてもそれぞれ紹介します。
まずは省エネリフォームからで、1つ目は「長期優良住宅化リフォーム補助金」になります。名前の通り、既存の住宅の長寿命化、および複数世帯での同居を目的とする改築が対象になる補助事業がこれに当たります。
事務所、店舗以外の戸建て住宅、共同住宅の両方ともに適用できる制度です。例えば性能向上リフォームは、特定の性能項目を一定まで向上させる改築内容で、耐震、構造躯体等の劣化対策、維持管理・更新等が対象です。
申請のためには、まず推進事業のホームページでで通年申請か事前採択のどちらかでアカウントを発行、ポータルサイトで事業者登録を行い、交付申請が通れば着工可能になります。工事費等の合計の3分の1までが補助されますが、改築後の住宅性能によって限度額は異なっています。
続いて、断熱リノベーション関連の制度です。エアコンを使った冷暖房があまり効いていないと感じるのであれば、断熱リノベをお勧めします。環境庁が実施主体となっており、同じ断熱の改修でも、住みつつ短期間で工事を済ませたいのなら、経済産業省実施の次世代省エネ建材支援事業が利用可能です。
窓やガラスのリフォーム向けの補助金制度も設けられており、戸建ても集合住宅も対象に入っていますので、賃貸に住まわれている方も利用できます。断熱パネル、および潜熱蓄熱建材が対象製品になり、最大200万円までの補助が出ます。具体的な内容に関しては、補助事業のホームページに載せられています。
ZEHとは、ゼロ・エネルギー・ハウスの事であり、大幅な断熱性能の向上、効率の高い設備やシステムの導入によって、年間の一次エネルギーの収支をゼロにするのを目標としている住宅を指します。快適性の向上、二酸化炭素排出や光熱費の削減等のメリットがあります。
ZHEにも大きく分けて3種の種類があり、ZEHロードマップの 「ZEHの定義」を満たしているなどが条件のZHE、加えて省エネ基準から25%以上の一次エネルギー消費量削減等が条件に加わるZHE+、停電時に太陽光発電等で居室の電源確保ができるなどがさらに加わるZHE+Rの3種です。
省エネリフォーム1つとっても、こうして様々な制度や事業があり、使用する製品によって補助される上限額も変化します。続いて、耐震リフォーム関連の補助金制度についてです。
耐震化の工事を住宅に施すことは、倒壊による周辺道路や近隣住宅への被害を防止することにつながります。地方自治体によって耐震関連の制度は異なっており、例えば大阪市だと、申請者の年間所得1,200万円以下2000年5月以降に建築されたなどの条件のもと、耐震診断、施工の補助金制度が設けられています。
ほかにも、神奈川県相模原市では地震によるブロック塀倒壊を防ぐ制度があり、塀の撤去、または高さを40㎝以下にする工事に対し、上限を10万円をとして対象工事の半分までを補助してもらえます。
これらの補助金の申請対象になる条件として、築年数、建造物の構造、建物用途に依るところが大きいです。築年数は、旧耐震基準で設計された昭和56年5月31日までに建築確認を受けた木造住宅である場合が多いです。
建物構造は、木造軸組工法でかつ2回以下の建物であること、建物用途は居住用住宅であれば対象になりますが、賃貸で居住者と所有者が異なる場合、所有者が耐震診断をするのが条件に入ります。詳細は各自治体によって異なります。
省エネ関連でも条件は各種異なりますが、耐震の場合は申請対象の条件で述べた通り、築年数なども関係してきますので、詳細まで確認が必要です。最後に、バリアフリーリフォームの制度を開設しましょう。
バリアフリーで利用できる制度としては、介護保険料を財源としたサービスの1つである、住宅改修費が挙げられます。要支援、要介護の認定がされており、福祉施設に入居していない、回収する家の住所が被保険者のものと同一であることが条件です。
認定のレベルについては関係がなく、上限は20万円までと設定がされています。この20万円以内の工事費用であれば何度でも活用が可能であり、支給額は一人当たり最大18万円ですので、20万円のうち1割のみを負担すればよくなります。
介護リフォームに関して、補助制度などを解説している動画もあります。要介護認定を受ける前にリフォームをした場合には対象外となってしまうなど、注意点も解説されています。
各種の補助金制度は、種類が非常に豊富ですので、該当する制度の条件を満たすことができれば費用を十分に押さえることが可能になります。リフォームを考えている方は、ぜひ一度事前に確認してみて下さい。