住宅の部屋において、視界に入る内の大きな面積を占めている壁紙などは、部屋の雰囲気などを決める上でも非常に効果的ですし、様々な利用法があります。今回紹介するエコカラットは、空気清浄機能などを備えた、優れた壁材なのです。エコカラットとはどんな壁材なのか、詳しく解説します。
エコカラットとは、のちに詳しく解説するように、室内の空気清浄効果などを持つインテリア壁材の1つです。「多孔質セラミックス」と呼称される、非常に小さな穴が開いた原料を使用しており、これをタイル状に焼いて作られます。
穴のサイズは目に見えないナノサイズレベルであり、これが後述する各種の効果を生み出します。そんなエコカラットの基となったのは、日本の伝統工法である土壁であり、湿度の高い時には吸湿、乾燥した際には放湿する性質があり、昔から和室の壁材に使用されることが多かったのです。
こうした性質が、ダニやカビの発生を防ぎ、快適な和室の維持に大きく貢献していました。日本の高温多湿な気候に非常にマッチしているこの土壁や砂壁を基に、最新技術を融合させて生まれたのが、エコカラットです。
まず1つ目の効果は、湿度の調整です。先に解説した通り、エコカラットには非常に小さい、極小の穴がたくさん開いています。その極小具合は、1つ1つの穴のサイズがナノメートルレベルであり、人の目では凝らしても見えない程です。
この穴が調湿に関係しており、室内の空気を吸収、放出します。空気中に含まれる湿度の調整を行い、結露、カビ、ダニの発生を抑制する効果があります。夏場のジメジメとした時期には吸湿して爽快に、冬場は逆に放湿して乾燥を防げます。
そんなエコカラットの吸収湿量は、同じく湿度調整効果があるとされる珪藻土の5倍から6倍ほどあるとされており、さらに調湿壁紙の25倍を優に超えるレベルです。ほかの建材と比較しても、優れた湿度調整効果を持っていることが分かります。
続いて2つ目は、脱臭効果です。生活臭というのはどうしても発生してしまいますが、中でも4大悪臭と呼ばれているのが、アンモニア、トリメチルアミン、硫化水素、メチルメルカプタンです。
これらはトイレや生ごみ、タバコや飼育しているペット等から発生します。この嫌な臭いの脱臭にも、湿度調整と同じくナノサイズの孔が関係しており、臭いの原因を吸着、脱臭する効果を発揮してくれます。
更にエコカラットプラスでは、4大悪臭に数えられていたメチルメルカプタン、そして硫化水素の低減性能が大幅に向上されており、悪臭を構成する成分をすべて低減させることで、効果向上につなげています。エタノール、クレゾールなど、独特の消毒臭がする病院でも効果的です。
もう1つ、空気中に含まれる有害物質の濃度低減効果も期待できます。揮発性有機化合物の総称であるVOC=Volatile Organic Compoundsとも呼ばれており、主な物質としてホルムアルデヒド、トルエン、キシレンが挙げられます。
こうした物質はめまいや頭痛などの健康被害を及ぼし、特に空気環境の影響を受けやすい子供には大敵と言えます。エコカラットは、こうした家具や建材等から発生する有害物質を微細な孔で吸着、濃度を低減してくれます。
エコカラット自体はホルムアルデヒドなどの揮発性有機化合物を使用していませんので、安心して壁材として利用できます。また、調質壁紙や珪藻土などの同じVOC低減効果のある壁材と比べても、効果は非常に高い事が分かっています。
以上、エコカラットにはどんな効果があるのかについて、それぞれ解説しました。快適、かつクリーンな室内環境を整えてくれる、非常に有用な壁材であることがお分かりいただけたでしょう。続いて、手入れや効果持続期間などの特色を紹介します。
まずお手入れについてですが、例えば水や汚れが付着してしまった時には、優れた吸湿機能を持ちつつも水は吸収しにくい為、雑巾などを使えば簡単に拭き取れます。落としにくい汚れが付着した際は、一般的な家庭用洗剤をスポンジに付け、こすってから雑巾で拭き取れば綺麗にできます。
時間が経過して汚れが染みつくレベルになってしまっていても、心配はいりません。漂白剤の原液と綿棒を用意し、原液を綿棒の先端に染み込ませ、軽く叩くように塗り付け、雑巾で拭き仕上げをするのみです。この他、泥や人口皮脂、タバコのヤニなども水拭きや普通の洗剤を使って、簡単に綺麗にできるのです。
室内を快適にしたり、有害物質を除去するなど、有用な効果を多分に含んでいる事は分かったけれど、その効果がいつまで持続するのかも疑問に思う事でしょう。もし期間が定まっているのであれば、寿命を迎えてから張り替えを行わなければならないなど、手間がかかります。
ですが嬉しいことに、エコカラットの効果は半永久的に持続します。セラミックス素材を使用したタイル状のエコカラットは、電気などを使う事無く、ずっと効果を発揮し続けてくれます。仮に一部分が欠けてしまったとしても、壊れた部分のみの張り替えをすれば良いため、壁面全て変える必要もありません。
実際にエコカラットを利用した方からの評価としては、まず第一にデザイン性の高さが高評価されていました。部屋に重厚感を与える「グラナスルドラ」、砂石の流れの模様が特徴的な「ストーングレース」など、豊富な種類から選べます。
湿度を調整できるからか、除湿効果がありそう、と誤解されがちですが、これは少々異なっています。ジメジメしているときには吸湿し、乾燥する時期には放湿する調湿効果が特徴であり、単純な除湿を行いたいのなら除湿器等の方が向いています。
エコカラットをリフォームで利用し始めてから、カビや結露が発生しにくくなったという声もある様です。但し、これは抑制し軽減するのみにとどまりますので、窓を開けての喚起など自分で行う対策も必要であることも覚えて起きましょう。
汚れてしまっても簡単に手入れができて、かつ効果が半永久的に期待できるエコカラットは、やはり有用な壁材と言えるでしょう。評判の中でデザイン性が好評であると紹介していますが、エコカラットには豊富な種類が揃っています。
各種類ごとにデザインは非常に多くあり、例えばエコカラットプラスであれば「グラナスヴィスト」があります。横幅が異なるレンガを積み上げた様なスタイリングで、ホワイト、ベージュ、ブラウンの3カラー。リクシルHPのシュミレーターで施工イメージも見られます。
「ラグジュアリーモザイク」は、形状としてはタイルのように見えますが、艶消しのマットな質感でシックな印象を与えてくれるスタイルです。明るめの色のタイルがちりばめられており、高級感を演出できます。
その他「グラナスルドラ」はモノトーンでシックな部屋の雰囲気にしたいときにお勧めのデザインです。凹凸のある壁が重厚感を与えてくれ、最初に紹介したグラナスヴィストと併せて種類の中でも一番人気を誇っています。
通常よりも広めの面積に貼りたいという場合には、接着剤などのエコカラットプラスを張るための道具がセットになったデザインパッケージがおすすめです。こちらで特筆すべきなのは、自分の好きなエコカラットプラスのデザインを組み合わせられる事です。
例えば「グラナスルドラ」と「ファインベース」を組み合わせたカラーセレクトがあります。人気が高く部屋に重厚感をプラスできるルドラのグレーやダークグレーカラーに、正方形のファインベースはホワイトなど明るめのカラーで合わせて、黒白のモダンな部屋にマッチさせられます。
この他にも「グラナスラシャ」と「シルクリーネ」のセットや「ビンテージオーク」と「たけひご」を組み合わせたカラーセレクトなどたくさんのアイデアがあります。それぞれでサイズも選べ、最小1mから最大5mまで選択できます。
デザインパッケージとは逆に、省スペースで利用したい場合には、デザインパネルキットを活用しましょう。トイレや玄関の壁面など限られたスペースでもポスターを貼るような感覚で使え、パターンやグラフィックも豊富にそろっています。
デザインはart&Photoで7カラー、パターンで9カラーがあり、それぞれ1212㎜×606㎜の長方形と909㎜×909㎜の正方形の2サイズから選択できます。こちらもデザインパッケージと同じく取り付けのキットが付属し、取り外しも可能です。
豊富なグラフィックが揃っている事で、自分の部屋の雰囲気や場所にマッチしたデザインを選ぶことができます。また、デザインパッケージなどなら好みの組み合わせも選択ができます。では、エコカラットを貼り付ける際の費用などを解説します。
施工費用についてですが、これは住宅メーカーとリフォームメーカーに依頼した場合で異なっています。まず住宅メーカーに依頼をした場合、壁の下地補強などと合わせ施工手数料等が加わって数十万円程必要になります。
続いてリフォームメーカーに依頼した場合ですが、例として6帖の部屋の壁一面、2.7m×2.4mにエコカラットを貼り付けるという依頼ならば、10~15万円程の費用になります。
安くない費用のかかる施工依頼ですが、DIYでの施工という手があります。自分でエコカラットを壁面に貼り付け、手間こそかかりますが工具などがセットになった11枚セットなら1万数千円と、費用で言えばやはりDIYが最も安くなります。
例えば玄関は、臭いや湿気が住宅内でも最も気になる場所の為か、施工している場所として多く且つ評判が高いとされています。リビングルームも居る時間が長い場所故に施工場所によく選ばれており、特にテレビを設置している後ろの壁面一面にエコカラットを貼っている例は多く見受けられます。
また、玄関と同じ理由でキッチンも人気の施工場所として選ばれている傾向にあります。料理、生ごみなどの匂いも吸着してくれますし、好みのグラフィックのエコカラットを選べばおしゃれなキッチンスペースにすることも可能です。
逆に施工ができない場所として、浴室や屋外などは不可能になっています。直接水に濡れてしまったり、熱や衝撃の加わりやすいような場所は適していません。施工は高さ3m未満の場所が推奨されており、吹き抜け等への施工は要相談となります。
吸湿や吸臭など有用な機能を持ち合わせており、更にグラフィックデザインやサイズの自由度も高いため、お部屋の様々な場所に貼り付けが可能なエコカラットではありますが、いくつかのデメリットも抱えていますので、活用のために最後にそれらも解説します。
まず1つは、結露に弱いという事です。評判の中でも述べた通り、エコカラットの施工後は結露の発生が少なくなったという声は多く上がっています。しかしあくまで低減に留まり、完全に発生しないわけではありません。
加えて、屋外などの水に直接濡れる場所では使えず、吸湿能力にも限界がありますので、機能に支障をきたしかねません。結露、及びカビの発生をしっかりと抑えたいのであれば、自ら窓を開けて換気をするなど自身で出来る対策も必要となる事は、覚えておきましょう。
2つ目は、釘や画びょうを打ち付けるのは不可能である事です。エコカラットを貼り付けた壁面にダイレクトに釘などを打つことはできませんので、ポスター、カレンダーなどは容易には付けられない状態になります。
もしもポスターやカレンダーを貼り付け、そこから取り外す可能性があるのであれば、ピクチャーレールを使用するか、コルクモールという製品を用いて、これをエコカラットの上から貼って対処することになります。
そして3つ目は、衝撃への耐性が弱い事です。強い力がエコカラットの外部から加わると、ひび割れたり欠けてしまう可能性があります。こうした面からみると、エコカラットはデリケートな壁材であるともいえます。
掃除機などを当ててしまわないように幅木を残して置いたり、小さいお子さんがぶつかって破損をするという事態を免れるために、大人の腰よりも上あたりの高さから施工をするなどで回避が可能になります。
吸湿、防臭、有害物質の吸着など機能的で、かつその効果が半永久的に続くエコカラットは、壁材として有力候補になること間違いなしです。デザインも種類ごとで豊富にそろっていますので、ぜひ活用してみて下さい。