日本を代表する工具メーカーKTC、KTCとしての会社創立は1950年と、約70年の歴史がある工具メーカーです。歴史を紐解くと大変興味深い事実があり、実は「京都機械工具」として戦前からあった会社なのです。
KTCの工具の多くは自動車メーカーのオフィシャル工具として生産現場や改善の現場に多く使われています。また、工事業者の方もその耐久性と使いやすさから圧倒的な人気を誇る工具メーカーなのです。今回はKTCの工具の魅力を深掘りしてお伝えいたします。
目次
日本を代表する工具メーカー「KTC」、京都に本社を構えるスパナやレンチを作っているメーカーです。KTCの工具と聴くと「高級ツール」とイメージされる方もいるのではないでしょうか。今回はこのKTCを徹底的に解析、KTC工具の人気の秘密に迫ります。
KTCという名称はよく聞かれますよね。実は日本の会社登記名を「京都機械工具」とされているのはご存知でしたか?KTCという名称はKyoto Tool Co.Ltdの頭文字を取ってKTCと名乗っているのです。
京都機械工具という会社自体は戦前より京都にあった染色機械工具メーカーの京都機械にルーツがあるのです。
戦前、戦中から京都機械で作られていた染色機械はあまり作られなくなり、1939年には海軍航空隊の整備分解工具の専門工場となっていました。一時は3000人を超える工員をかかえる工場でした。
敗戦後、創業者である3人は海外製の工具に感銘を受け「日本で高品質な工具を作る」と決心、一流志向を漂母していち早く自動車の生産を再開したトヨタ自動車の車載工具に採用されます。
しかし1950年の不況で京都機械の工具部門が縮小、京都機械工具の創業者3人はこのタイミングで京都機械を退社し独立を果たします。これが京都機械工具の始まりです。
創業のタイミングでトヨタは車載工具を京都機械から京都機械工具に切り替えます。世界はこの時朝鮮戦争特需で湧き、京都機械工具の業績は右肩上がりになります。
その後順調に業績を伸ばし、ソケットレンチの品質が認められアメリカのフラーツール社への輸出を開始。このタイミングで輸出品にはKTCを名乗るようになりました。
KTCが京都機械工具を名乗らないのは創業当初から世界を見据えて展開しようとしていたから。KTCとは相性で、本当は創業当初の会社名のままなのです。
ではKTCの経営理念を覗いてみましょう。
KTCは常にチャレンジ精神を持ち、最高水準の製品とサービスを提供し続け、お客さまに満足していただける会社として貢献してゆきます。
(引用:KTCコーポレートサイト)
ツールメーカーとして社会貢献とは何かがまとめられている部分です。ツールの品質はそのまま使う人の安全性になります。”常に最高水準の製品”とあるように、使う工具は本当に使いやすいのです。
KTCの企業理念からの引用ですが、そのまま経営理念ともいえますね。
KTCのの主な事業は工具の製作だけに留まりません。こちらも事業内容をまとめてみました。
大きく分けてこの2大事業がKTCの事業内容です。
しかし工具事業の中には一般工具、プロツール、医療機器工具と多岐にわたっています。
後ほどKTCのアイテムを紹介しますが、一般工具の他に医療機器工具まで作っているツールメーカーは世界でも珍しいのです。
工具のアイテム総数は12000以上、日本での工具シェアはもちろんNo.1です。
出典:KTC
国内シェアNo.1になるにはその理由がいりますよね。その理由はやはり顧客満足度の高さとサービスの質の高さなのです。
今ではAmazonや楽天で誰でも製品のレビューを書き込むことができます。そのレビューの中にはKTCを使ってみて乾燥を述べる方、この点を改善して欲しいとの要望もありました。
特にAmazonではKTCの汎用アイテムがどれでも購入できるとあってレビューを書く方も多くいらっしゃいます。
この項ではアイテム名とそのレビューをまとめてみました。購入に迷われている方、参考になさってはいかがでしょう?
スウェーデンの有名メーカーPBと比べられてます。筆者も工具マニアまでいかないのですが工具を使う現場に居たことがあるため、職人さんと工具談義になったことがあります。KTCの工具は高いイメージが有り、使ったことがなかったのですが、実際使ってみるとこの書き込みを書かれた方のような感想をもちました。日本人向けに作られているのか、使いやすいのです。
次にスパナセットです。確かにホームセンターで見かけるスパナセットよりかなり高額ですよね。でも安いスパナを使ってて、ナットの頭が丸くなってしまったなんてことありませんか?こうなるとそのナットは使い物になりません。このスパナを使うと大抵のナットは緩みますし、何よりナットの頭にピッタリとレンチがハマるのです。
Amazonで2017年年間ベストセラーのラチェットレンチです。こちらも確かにホームセンターで購入するレンチと比べて高いのですが、レンチとソケットを組み合わせて使うと、ナットの頭にピタッと吸い付くようなフィット感、さらに回す時ブレにくいため使いやすいのです。ラチェットを使ったことない方に最もおすすめする一本です。
少しですが、主要の工具の口コミをまとめてみました。工具といえばレンチやスパナを想像されると思います。もちろんKTCの工具はこれ以外にも沢山あります。では次からは少し専門的な工具を見ていきましょう。
出典:KTC
KTCを語る上で一つのブランドを意識しなければいけません。それが「ネプロス」です。ネプロスは自動車用の整備専用ツールとして開発され、今までのツールとは一線を引いた工具として開発が始まりました。1990年初頭のことです。
さて、ここで一つの疑問が生まれます。KTCはなぜネプロスを別ブランドとして立ち上げたのでしょう?工具メーカーとしての地位はすでに日本No.1、海外からも高い評価を受けていました。それなのに自動車専用ツールとして作ったのはなぜなのでしょう?
まずネプロスとは1990年代初頭にKTCが自動車メンテナンスのプロフィッショナル向けに世界一のハンドツールを作るとして開発が進められた工具のブランド名です。
約5年の歳月を掛けて生み出された同ブランドは、今では自動車メンテナンス工具として最も高い評価と地位を得ています。
それは日本だけではなく、ヨーロッパや北米でも同様の評価を受けていて、KTCが考える最高の機能と性能、何より工具を操る時の操作感は他のメーカーの工具とは一線を画するツールなのです。
ネプロスが最も使われている現場は日本国内に留まりません。その活躍の舞台でもっとも輝かしい後席を残して居るのはWRCという世界ラリーカー選手権の現場なのです。
最近大きな話題はトヨタ自動車が参戦しているクラスでの活躍が有名ですよね。その現場でもネプロスが使われているのです。
ネプロスのレンチやスパナはAmazonなどの通販でも購入できます。Amazonで「ネプロス」と検索するとなんと2947件ものアイテムが売られています。すべてのアイテムが自動車用の専用ツールで、DIYエキスパート達も好んで使う工具でもあるのです。
90枚ギアの「9.5sq.ラチェットハンドル」を搭載し、充実の内容の工具セットです。ネプロスの工具セットの中で最上級のモデルで、これさえあれば充実のDIYライフばかりか自動車整備を自宅で行えてしまいます。
ギア数90枚のラチェットハンドルです。ボルト・ナットを締め付ける際の操作感にこだわったラチェットハンドルで、自動車整備工場の現場で大変重宝されている逸品。これを使う他社のラチェットハンドルに戻れなくなります。
先に紹介したラチェットに嵌まるソケットのセットです。プロ御用達のソケットのため、単体での購入も可能です。口コミの評判は上々で多少乱暴に扱っても壊れない頑丈さが魅力です。
自動車工具で最も使用頻度の高い工具がこちらモンキーレンチですね。KTCのスタンダードツールでもモンキーレンチは定番アイテムで、使いやすさ、握りやすさといった基本的な性能はスタンダードツールを凌ぐ性能です。
自動車のみならず工作機械の制作現場でも重宝するT字レンチです。狭いところのボルト・ナットの締め付けなどに使います。自動車では特にエンジンルームの狭い隙間に入れ込んで使うことが多く、トルクレンチと同等の使用頻度ですね。
自動車整備においてニッパー、ラジオペンチ、プライヤーは3種の神器のように形容されます。
特にニッパーは電気配線を切ったり、被覆を剥いたりと使いみちは豊富です。ただ切るだけのニッパーなのですが、どうせならKTCの工具で揃えてみませんか?
出典:KTC
KTCのアイテムラインナップの中でも人気のアイテムの一つに工具箱が挙げられます。
あなたは工具箱なんてどこも同じで、そんなものにお金を掛けられないなんて思ってませんか?
いい工具を仕舞うにはいい工具箱が必要です。整理整頓された自動車整備工場には高そうな工具箱が設置されているのを見たことありませんか?
工具箱はその工場の顔にもなり、訪れた人の印象を良くしてくれる大切な道具でもあるのです。
ではKTCから発売されている工具箱はどの様なアイテムがあるのでしょう?
KTCの工具箱、カタログに出ているラインナップはすべてAmazonで買えます。今回はその一部をご紹介。工具箱は工具が増える前に購入されると整理整頓がしやすくなりますよ。
KTCの据え置き工具箱でもっともスタンダードなモデルがこちら。DIY程度の工具数ならすべてをこの1第に収納できます。ただし持ち歩くには少々不便なので、ご家庭で使われるのであればすぐに使えるところに置いておきましょう。
3段では大きすぎるという方、こちらの2段タイプはどうでしょう?こちらなら持ち運びにちょうどいい大きさで、趣味の小物を入れて持ち運んでもおしゃれかもしれませんね。
整備工場にあるような本格的なキャビネットタイプのツールボックスです。必要十分な工具がふんだんに入るので、ガレージ整備に重宝します。また、キャスターがついているので工場内での移動も可能です。
グッドデザイン賞を受賞した工具箱です。取外し可能な2種類のキャリングトレーを上段にセットできて持ち運びに便利。昔のブリキツールボックスを彷彿とさせるかっこいいデザインで、工具を入れるだけでなくビンテージルアーやビンテージリールなど趣味のボックスにも使えそうですね。
出典:Amazon
作業現場に必要な工具を持ち込んで使う、工事や工作機械の製作現場を行き交う人の中で大きなバッグを持って移動されている方を見かけます。KTCではこの移動用の工具バッグに力を入れていて、最小のバッグに多くの工具が詰めるように随所に工夫をこらしているバッグが発売されています。
「アクティブバディシリーズ」はスタイリッシュな工具バッグ、街中で引き歩いても新幹線の中で持ち歩いても違和感なく使うことができます。
必要な工具を必要な数詰め込めるファイルタイプのバッグです。タブレット端末も収納できて、バッグから出さなくても操作ができる優れもの。工具を立てて収納できるので、省スペースにも貢献します。現場に一つあってもいいですね。
ボストンバッグタイプのツールバッグ。出張で数多くのツールを持ち込まなければならない時に非常に重宝するタイプのバッグです。あまり詰め込みすぎると重くて持ち上がりませんが、車で移動する際は重宝しそうですね。
ありそうでなかったキャリーバッグタイプのツールバッグです。沢山工具を詰めて、別の工場や現場へ出張に行く場合、現場の駐車場から現場まで距離があることもあります。そんな時キャリーバッグがあれば引いて歩けるため楽ですよね。
パックパックタイプのツールバッグです。こちらも容量的には必要十分。ちょっとした工事の出張に便利です。あまりに詰め込みすぎると破損の原因になるので詰め込みすぎに注意したいですね。
出典:KTC
KTCのツールがプロ向けであるとよく口コミの書き込みで見かけます。しかし筆者はDIYで使う工具こそKTCなどの有名メーカーの工具を使ってほしいのです。それは使用中の工具の破損や不意の怪我などが防げるという意味でDIYで使用する工具こそ品質の高いアイテムを使うべきなのです。
ではKTCのスタンダードツールをいくつかみてみましょう。
KTCのスタンダードツールのコンビネーションレンチのセットです。このセットにある各種サイズの単品売りも行っていますね。口元の制度が高いため、ボルト・ナットにカチッと嵌まるように出来ています。また、ツールとしての美しさがこのレンチにはあるのです。
スタンダートツールのドライバーセットです。貫通タイプと六角軸採用のお手頃価格のセット、各ドライバーは単品売りしていますが、初めてドライバーを購入するならこちらをおすすめします。壊れにくくて制度も高いドライバーやレンチを使うことで不意の怪我を防げます。
KTCのスタンダードツールの中でもベストセラーなアイテムがこのラジオペンチです。生産現場で曲げる、切るなどの作業に必携のアイテムですね。
物をつかむ、パイプを回す、ワイヤーの切断など用途が多岐にわたるプライヤーです。これ一つあればつかむ、切る、曲げるなどの作業ができます。また、手にフィットするソフトグリップを採用していて不意の怪我に見舞われない配慮もされています。
KTCのスタンダードツールで基本的なアイテムを紹介しました。工場やDIYで使う工具は良い物を使うと気分もいいですよね。少しずつでいいのでぜひ高品質なアイテムを揃えてみませんか。きっともっと作業が楽しくなりますよ。
次は今注目の事業を紹介します!
出典:KTC
KTCの工具は医療現場でも活躍しています。特に口腔外科や歯科の医療現場でインプラント用の工具が活躍しているってご存知でしたか?
市販で売られている工具ではないのですが、一部を紹介します。
歯科用インプラント手術器具です。インプラントとは入れ歯に変わる人口歯根のことで、微小なトルク管理が必要な専用工具を用いた口腔手術の事です。
KTCからは微小トルクを正確にデジタル表示できるようにした機器を発売、歯科医療の現場で活躍しています。
歯科用のトルクスドライバーです。こちらのアイテムを用いることで、インプラントの締め付けトルクを一定にできるため、不意のトラブルを伏せができます。
インプラントで使われている素材のチタン、名前からして硬そうな素材なのですが、加工が容易で様々な形状に加工できる素材なのです。そのため人体に埋め込む時はどれくらいの強さで締めるのかがポイントになっています。こおラボトルクドライバーで締め付けの強さをテストして、実際の医療現場で役に立っているのです。
歯科用のインプラント手術用ラチェットレンチです。極小のインプラントを口腔内に締める工具なので市販では発売されていませんが、歯医者さんではスタンダードな工具なのです。
オーバートルクを防ぐ工夫や、極小でも使いやすいハンドルなどKTCが培ってきたツールのノウハウがふんだんに使われています。
KTCは京都府にある本社工場の敷地内に「ものづくり記念館」を運営しています。ここではKTCの歴史に触れれるだけではなく、スタッフとお客様が対話できる空間が広がっていて、誰でも気軽にKTCの最新技術に触れることができるのです。
記念館の一階は最新工具がずらりと並ぶショールームになっています。そこでは案内スタッフと一緒に工具の使い方や選び方のレクチャーを受けられるだけではなく、車の整備を体験できる検収用ピットやデジタルラチェットを体験できます。
実際に体験できる点はいいですね。工場見学ではないのですが、全アイテムに触れられる点は見逃せません。
2階の吹き抜けに面したスペースには、KTCの歴史に触れることができます。
創業当時から異現在までのツールやパンフレットが一度に見ることができ、KTCファンには垂涎モノの展示物もあります。
ものづくり記念館の見学申し込みは以下のようにお願いします。
コース名 | 団体 | 個人 |
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コース概要 | KTCものづくり技術館 + KTCものづくり技術館匠工房 + 工場見学 | KTCものづくり技術館見学 + KTCものづくり技術館匠工房 |
開催日と開催時間 | 月曜日~金曜日(弊社会社休日除く) ①9:30~11:30 ②13:30~15:30 | 月曜日~金曜日(弊社会社休日除く) ①9:30~10:20 ②13:30~14:20 |
予約受付 | 見学の6か月前~1週間前まで | 見学の6か月前~1週間前まで |
見学可能人数 | 10~80名 | 1~10名 |
見学料金 | 無料 | 無料 |
申込方法はKTCものづくり技術館まで(見学窓口用TEL:0774-46-3959)
受付時間が平日9:00~17:00、電話だけでなくFAX、インターネットからも受け付けています。
個人で見学に行くなら一人から受け付けてもらえるので工具大好きなあなた、一度行ってみてはいかがでしょう?
KTCの歴史を追いかけ、今発売されている代表的なアイテムを紹介してきました。いかがだったでしょうか?
工具はなんでもいい、使えれば、とよく聴きます。しかし、安い工具には安いなりの理由があると筆者は考えています。同時に品質の高い工具は使いやすい、作業性が上がるという端的な部分ではなく、怪我をしにくいという点が最も光を当てられる性能なのです。
レンチが折れた、ボルトがなめて勢い余って手をぶつけて怪我をした、と言うのは工場であれば立派に災害です。その災害を未然に防ぐのはやはり高品質な工具があってこそなのです。
もし安価の工具を使いまわしているのなら、ちょっと奮発してKTCの工具に触れてみませんか?
あなたの趣味が、仕事の安全性が上がることは間違いありません。