電子式のキーボードは生のグランドピアノ等よりも小型設計で部屋に置くことも十分でき、ヘッドホンを利用できて夜間やマンション等の時間と場所を選ぶ事無く演奏ができます。初心者にも簡単に触れられるものから本格的な弾き心地を再現できる機種まで、様々モデルがある中から推奨機器を紹介しましょう。
電子ピアノとは、その名前にある通り、電気を利用して動くピアノの事です。グランドピアノなどに代表されるものは、張られている弦をキーで弾いたときにハンマーで叩く事によって音が出ています。
これに対して、電子ピアノは鍵盤を叩くとセンサーが反応し、鍵盤に応じた音がスピーカーから出力される、という仕組みになっています。こうした構造上、非常にコンパクトなつくりをしています。
そんな電子ピアノのメリットと言えば、やはり本体が省スペース設計である事が最も大きいでしょう。実物のピアノを一般的な家庭で設置しようと思うと相応の広さが必要ですが、電子ピアノは高さ7,80㎝、奥行き3,40㎝、重さ10㎏程度で置く場所を選びません。
音の調律も必要ありません。生のピアノでは最低1年に一度は調律と呼ばれる、ピッチなどの音の調整を行う必要がありますが、デジタル回路が作動してスピーカーから音が出るという構造である事から、常に一定の音の状態を保ってくれます。
手軽に家の中でも演奏ができる電子ピアノですが、初心者向けの比較的扱いが簡単な機種から生のピアノに近いリアルな演奏に届く機種まで、様々な製品が登場しています。これから使うのならば、選び方も知っておきましょう。
まずは、鍵盤の特性を見てみましょう。軽量であるのは本体の重量だけではなく、鍵盤のタッチも同様に軽く弾ける機種が近頃の中には多い傾向にあります。弾いたときの重さは、生のピアノの方がずっしりとした感触になります。
傾向があるとは言っても、最近は生のピアノに寄せて重めの鍵盤の感触に調整が加わった機種も珍しくなくなっています。今までに教室などに通われていた経験のある方は、軽い感触に慣れ、生のピアノは重くて弾きづらく感じてしまうかもしれません。
その一方で、趣味として演奏さえできれば重さなどは特に問わないという場合ならば、自分に合ったモデルを選びましょう。鍵盤の感触、重さについては弾きやすさに直結しますので、慎重に吟味することをお勧めします。
続いてはピアノの音質です。仕組みの中で解説した通り、ハンマーと弦では無くスピーカーから音を発するものです。その音自体は、本物のピアノによる演奏を基にするサンプリングにより、電子的なものになりすぎないよう作られています。
ここで使われる元となるピアノは各メーカーによって異なっており、高級と呼ばれるモデルはその分多くの音源から収録がされ、再現される音は本物のそれにひっ迫するレベルのものになります。
また、本体に備わるスピーカーは、その数から音の特性や強弱の変化は大きく異なります。こちらもグレードの高いモデルの方がスピーカーの数が多く、生で弾く臨場感のある音に迫るクオリティとなります。なるべく生の演奏に近い音が良いのなら、4機以上を目安にすると良いでしょう。
グレードの異なるモデルが多くある以上、価格帯も違っています。初心者の方であれば、購入がしやすく楽しく演奏ができる10万円以下のモデルが適しているでしょう。飽きずに続けることが大切ですし、最近では比較的低価格な中でも引き心地や音色が工夫されているモデルもあります。
既にピアノの経験がある、または徐々に演奏技術が磨けてきた方は、10~20万円内の中級モデルを使ってみましょう。ワンランク上の音質や豊富な機能を備え、そのレベルで自宅でトレーニングを行えます。
予算的余裕があり、且つ本格的な演奏をしたいのならば、20万円以上のいわゆる高級モデルと言われる電子ピアノも視野に入ってきます。グランドピアノに迫る音質が魅力で、趣味としても技術を磨きたい方にとってもおすすめです。
最大同時発音数は、一度にどれだけの音を同時に出す事が出来るのかを指します。最低でも64音はありますし、ハイグレードで鍵盤数も多いモデルでは256音にまで登るピアノもあるほどです。これは単純な鍵盤を弾いているときの数では無く、スピーカーから出る音の数を意味します。
左右にスピーカーがありますので、1つの鍵盤を叩けば2つ、5つ叩けば10の音が出ます。同時発音数の少な目なモデルは、最初に弾いた音から消えていきます。そうなると不自然な演奏になりますので、初心者ならば最低数の64でも十分ですが、中級なら128、上級ならそれ以上ほしい所です。
その他の各種機能性にも注目したいところです。例えばドラム音やエフェクト音など、純粋なピアノ以外の音を出す事が出来るのも電子ピアノならではです。例を挙げると、ドラム音を使えばキーボードでバンド演奏などもできます。
伴奏を自動的に弾いてくれるなどの、自動演奏機能があると便利です。特に初心者の方などは自動で伴奏をしてくれると一人で練習するときにも使えますし、有名局の自動演奏なども参考にできるでしょう。
録音機能が使えるかどうかも大切です。これも一人で練習をしているときにはほしい機能で、自分の演奏を客観的に後から聴くことができ、上達につなげられます。オーディオファイルに重ねて録音ができるなど、本格的なレコーディングができるモデルもあります。
以上、電子ピアノの利点や、選ぶ際の選び方の基準についてなどを紹介しました。決して短い付き合いにならないように、慎重に選択していくように心がけましょう。ここからは、本題となるお勧めの電子ピアノのモデルを紹介します。
まず1点目は、楽器メーカーとして第一に名前が挙がるであろう、ヤマハの電子ピアノです。持ち運びもできるコンパクトな卓上モデルのPシリーズの人気モデルで、単にコンパクト設計なだけではなく、グレートハンマースタンダードを搭載しています。
これにより、アコースティックピアノの打鍵感に近い感触での演奏を可能としており、同じヤマハ製のグランドピアノからサンプリングされたリアル・グランド・エクスプレッション音源と2WAYスピーカーで、サウンドに関してはこだわられています。
続いてはコルグの電子ピアノのご紹介になります。本モデルは標準装備として安定感を得られるスタンド、3本のペダルユニットを搭載しており、初めてピアノに触る方が本格的な演奏ができる様な要素が詰められています。
ペダル、スタンド両方とも固定がなされており、演奏中にズレてしまうといったようなことも起こしません。最大同時発音数は120音、鍵盤のタッチは3段階でコントロールができ、ブラックとホワイトの2カラーラインナップです。
3点目もヤマハの卓上電子ピアノになります。こちらのモデルも1点目の同社製ピアノと同様、グランドピアノの音源を基にしたデジタル音源で再現する電子ピアノであり、従来のAWM音源を改良しよりリアルな音に近づけています。
また、グレードハンマースタンダードも同様に搭載しており、音域によって引き心地が段階的に変化します。「GRAND PIANO/FUNCTION」を押しつつ所定の鍵盤を押せば音色を変えられ、でも音源の再生やメトロノームなども利用できます。
これからピアノを始めてみたいという方には、コルグの卓上電子ピアノがおすすめです。購入者特典として3か月間のトライアルオンラインレッスンが付属し、10以上のコースと300以上のスキルごとのレッスンが受けられます。
本体裏にUSB接続端子があり、スマートフォンたタブレット、コンピューターなどと接続して外部音源の演奏も可能です。iPhoneなどのiOS向けに音源と音楽制作のアプリもあり、高品質なグランドピアノサウンドの再現やキーボードバンド演奏もできます。
予算に余裕があるのであれば、ヤマハの卓上電子ピアノも視野に入れてみてはいかがでしょうか。生のピアノのような弾き心地の木製鍵盤で、同社とベーゼンドルファー社の2社のコンサートグランドピアノ音源をサンプリングしています。
リアルな鍵盤のタッチ感を味わえるエスケープメント機構、独自の音響機構であるツイステッドフレアポートにより、本物のピアノのような弾き感と迫力のサウンドを実現します。専用アプリも使え、音色の設定や譜面作成等が行えます。
中級者向けとしておすすめなのが、カワイのスタンド付き電子ピアノです。グランドピアノの弾き心地を再現するレスポンシブ・ハンマー・アクション3の高性能鍵盤を搭載、木製のそれに近いレベルの忠実な再現がされています。
最高峰のフルコンサートグランドピアノ2機から音源がサンプリングされており、自分好みの音色を選択して弾くこともできます。ピアノ演奏技術向上に役立てられる練習曲も豊富に収録し、音質、タッチ、機能にこだわった1台です。
ヤマハ同様、日本発祥のローランドのおすすめ電子ピアノです。コンパクトな卓上タイプながら88のキーを搭載したモデルで、同社の上級モデルにも搭載されるハンマーアクション機構の鍵盤はリアルなピアノのタッチ感が味わえます。
メトロノームをはじめとした、電子ピアノにはほしい基本機能も一通り充実しており、鍵盤を2つに分けて2人で同時演奏が可能なツインピアノ機能など、面白い機能面も備わっています。Bluetooth接続でオリジナルのアプリを利用し、本体設定や操作ができます。
スタイリッシュかつコンパクトボディのスタンド付きカシオ製電子ピアノになります。足元の3つのペダルは本物のグランドピアノの共鳴音、動作をもとにシミュレートされており、奥行きのある響きを作り出せるようになっています。
3つのセンサーによって弾いたことを感知するスケーリングハンマーアクション鍵盤、音域ごとの異なった発音タイミングも再現するなど、ペダルと合わせてとにかく生のピアノの演奏に近づけられるようにこだわって設計されています。
省スペース設計に重きを置いた、奥行き232㎜の電子ピアノです。グランドピアノと同じ88の鍵盤を持ちながら、世界最小クラスのスリムボディ設計であり、設置スペースにあまり余裕がない方にもお勧めできる1台になっています。
別売りの3本脚スタンドを使用して、本格的なピアノ練習に活用することもできます。電源がACと乾電池駆動の2WAY方式であり、出先での使用も可能にしていますし、2つのヘッドホン大使を備え時間帯や場所を気にせずに利用可能です。
カシオの本格的なセルヴィアーノシリーズの一台です。ベルリン、ハンブルク、ウィーンの3つのピアノ音を1台に集約しており、音の波形を滑らかに変化させるマルチ・ディメンショナル・モーフィングAir音源によって、本物のピアノにひっ迫するリアルな演奏になります。
世界的に有名なコンサートホールでの演奏の際の音響特性を4ポジションで体感できるホールシミュレーターを備え、ホール内で音がどう聞こえるのかまで再現可能です。ヘッドホンを使えば自動的に音質が補正されるなど、室内利用を考慮した機能も搭載しています。
コルグのコストパフォーマンスを意識した一台になります。同社における最高峰のRH3鍵盤を搭載し、従来モデルから連打性能を改善したことで心地よい打鍵感を実現、さらに5㎏の軽量化を果たし、スリムなデザインも相まってコンパクトスペースでの活用ができるようになりました。
新設計された高出力のアンプ、およびスピーカーによって迫力のあるリアルサウンドに近いピアノ音声での演奏が可能になり、キータッチコントロール機能を使えばタッチの強さで音の出方を3段階で調節もできます。
最後の12点目はアレシスのスタンド付き電子ピアノを紹介します。アコースティックピアノの音はもちろんのこと、ギター、木管と金管楽器など合わせて360にも及ぶほか楽器の音色での演奏ができます。録音機能で演奏の聴き直しができ、同時発音も最大128音と中級者にもお勧めできます。
初心者向けのエントリーモデルから、多彩なハイグレードモデルまで豊富に存在する電子ピアノですが、自分に合う一台を見つけられれば楽しく演奏を続けられるでしょう。ぜひ本物を触ってしっかりと吟味することをお勧めします。