近年豪雪地帯以外でも突然の雪に悩まされることがあります。特に屋根や車に積もるほどの降雪地帯は雪に対応できる家造りが基本です。
そこで雪対策におすすめのリフォームを徹底解説していきましょう。豪雪地帯でも対処できるリフォームや、急な積雪にも便利なおすすめリフォームから費用、雪対策リフォームの効果などをチェックしてください。
目次
雪が降る地域では落雪などの被害を防ぐための対策が行われています。近年異常気象によってこれまであまり雪が降らなかった地域でも大雪になったという話を良く聞くようになりました。雪が多く積もれば重みによる倒壊や落雪による怪我の原因にもなります。
そこで雪対策におすすめの家リフォームをいくつか紹介していきましょう。紹介しているリフォーム費用はあくまで目安であり、実際には各業者によって異なるため、参考程度にしてください。
雪対策のリフォームで手軽にできるのものが【雪止め金具】になります。屋根に専用の金具を取り付けるだけなので、手軽にできるリフォームとしておすすめです。
しっかりと施工することで雨漏りなどの心配もありません。雪止め金具を後付け設置する場合は信頼・信用できるリフォーム会社に依頼しましょう。
雪止め金具はその名の通り雪を止めるための金具で、屋根からの落雪を防ぐことができます。降雪量が多くなれば屋根からの落雪も増え、大きな事故に繋がることもあります。
雪止め金具はそんな落雪を防ぎますが、完全に防ぐことはできません。雪止め金具は豪雪地帯ではなく、むしろ民家が隣接するような都心部で必要とされます。雪止め金具を付けておくことで隣家への被害を防ぐことができます。
雪止め金具のリフォーム費用は屋根材や使用する金具などによっても異なります。30坪一戸建てでスレート屋根なら6~10万円、金属系では9~16万円、瓦屋根は8~40万円とかなりの幅があります。
瓦屋根の場合は雪止め金具ではなく、雪止め瓦を使うこともあり、リフォーム費用は瓦1枚3000円ほどになります。また、足場を設置する・しないでも変わってくるので注意してください。
費用を抑えるために屋根のリフォームのときに雪止め金具のリフォームをする場合も少なくありません。同時に行うことで足場費用を抑えることも可能です。
瓦タイプ | 15~30万円 |
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金具タイプ | 10~15万円 |
ネットタイプ | 10~20万円 |
既存瓦等廃材処分費 | 3~5万円 |
足場作成 | 10~15万円 |
雪対策として屋根の勾配、角度を変えるリフォーム方法もあります。近年【屋根の勾配変更】リフォームを望む方も増え、雪対策として注目を集めているリフォームです。勾配変更は隣接する民家が少ない場所に適しています。
屋根の勾配変更は、角度をより斜めにすることで雪が積もりにくく、早い段階で滑り落ちる効果があります。年齢的に雪下ろしができない方や、隣接する民家がない場合にはかなり有効的です。
雪下ろしは若い方でも落下の危険性があり、高齢者となればその危険度はさらに増します。落下事故を防ぐためにも雪下ろしの手間が省ける勾配変更はおすすめです。
屋根の勾配変更にかかるリフォーム費用は、屋根の素材や面積、形によって異なります。また、雪が落ちる場所なども住宅によって異なるため、リフォーム前に業者の下見やヒアリング調査が必須となります。
勾配変更は屋根の解体や設置、足場がいるため、相場として200万~600万円かかります。しかしリフォームによっては天井や外壁などから組み直す大掛かりなものになる場合もあります。
そうなるとリフォームというよりは増改築になり、費用が1000万円超かかることもあるので注意してください。そのためヒアリングの段階で勾配変更ではなく別の雪対策を勧められることもあるので、ケースバイケースで対応してください。
構造計算費 | 10~20万円 |
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確認申請代行費 | 15~30万円 |
切妻屋根に変更 | 200~400万円 |
より胸屋根に変更 | 300~600万円 |
足場費用 | 10万円~ |
【無落雪屋根】はその名の通り雪を落とさない屋根のことです。無落雪屋根は少し雪が積もるような地域ではなく、雪下ろしが厳しい豪雪地帯に向いています。
無落雪屋根は雪を落とさないため、屋根の耐久性をアップさせることが必要な場合もあります。上記で紹介した勾配変更と雪止め金具を組み合わせたものも無落雪屋根の1種に含まれます。
無落雪屋根は屋根に雪を乗せたままにする、自然に溶けた雪水を流す仕組みになっています。そのため雪下ろしをする必要がなく、雪下ろし中の事故を防いだり、落雪の危険性を軽減できるようになっています。
雪下ろしをする必要がないため、雪を捨てるスペースが要らないことも特徴です。無落雪屋根はフラットな状態で自然に溶けるのを待つ【ルーフフラット方式】と、中央に向かって緩やかな勾配が付いた屋根で、溶けた水を排水するダクトが設置された【スノーダクト方式】があります。
無落雪屋根のリフォームは屋根全体を取り替えますが、面積や施工方法によって異なります。そのためリフォーム費用相場は100万~300万円ほどかかります。
足場が必要になるので、屋根のリフォームを検討している場合は同時に無落雪屋根にすると手間と費用が省けます。ルーフフラット方式の場合は溶けるまでの長期間雪が乗っている状態になるので、耐久性をアップさせます。
スノーダクト方式はダクト部の詰まりがあると正常に排水できないので、定期的なメンテナンスが必要になります。
屋根に積もった雪が隣家に落ちてトラブルになる、というケースも少なくありません。落雪が隣接する民家にいかないようにするなら【雪止めフェンス】が良いでしょう。
これまで空き地だった自宅横に家が建ったときなどにもおすすめです。雪止めフェンスは敷地内に余裕がある場合の対策になります。
雪止めフェンスは屋根に積もった雪が落ちたときに、自分の敷地内に留めるために効果的です。雪止め金具だけでは心配、という方はフェンスも合わせて設置すると安心感があります。
落雪したときに隣家の窓が割れた、車にキズがついたなどのトラブルを防ぐためにも、雪止めフェンスを設置するようにします。敷地内ではなく、金具のように屋根にフェンスを設置する方法もあります。
屋根のリフォームよりは安価で済む雪止めフェンスのリフォームですが、費用の相場は70~110万円ほどになります。もちろん設置する長さや高さによっても異なりますが、少し多めに見積もっておくと安心です。
材料費だけであれば40~60万円ほど、そこに施工費がプラスされます。すでにフェンスが設置されている場合は基礎工事が不要なので、多少安くなりますが、新たに設置するときは材料費や施工費、基礎工事費などが必要になります。
費用を抑えるのであれば、リフォーム業者よりは雪止めフェンス専門の業者に依頼する方法もおすすめです。
雪止めフェンス | 1~2万円/1m |
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取り付け費用 | 2~3万円/1m |
足場(必要時) | 10~15万円 |
毎年多くの雪が降るような豪雪地帯で利用されているのが【融雪設備】です。北海道や北陸など北のほうではメジャーな設備ですが、施工範囲を狭くすれば豪雪地帯以外でも利用できます。
融雪設備は屋根に設置したヒーターなどで雪を溶かし、広範囲の積雪にも対応できます。雪下ろしや落雪の危険性を軽減できる効果があります。
融雪設備のタイプは3つ、電熱ヒーターを設置する【電気式】と、温水を循環させる【ボイラー式】、水を撒く【散水式】があります。
融雪設備のリフォームは施工面積やタイプによっても異なりますが、相場として100万円を超えることもあるリフォームです。部分的であれば40万~100万円、前面の場合は400万円になることもあります。
比較的安く済むのが散水するタイプで、高額になりやすいのがボイラー式でしょう。融雪設備はリフォーム費用だけでなく、電気や水道などの光熱費や、灯油などの燃料費がかかることも覚えておきましょう。
融雪装置タイプ | 費用目安 | ランニングコスト | メンテナンス |
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ボイラー式 | 58~85万円 | 燃料費により上下/年間5万円 | 不凍液交換・ボイラーメンテ |
ヒートポンプ式 | 84~90万円 | リーズナブル/年2万円 | 不凍液交換 |
電熱線式 | 43~60万円 | 高め/年8万円強 | メンテ不要 |
家の雪対策をしていても、車やバイクなどの雪対策ができていない場合も少なくありません。駐車場に屋根がない、通常のカーポートなら【融雪カーポート】にするのもおすすめです。カーポートを設置するときは、事前に建築基準法をチェックしておきましょう。
雪対策をしていないカーポートの場合は、積雪によって車の破損やつららによる怪我や事故の原因になることもあります。
そこで融雪カーポートにすることで雪が溶け、積雪による思わぬ事故を防ぐことが可能です。さらに雪の重みによるカーポートの倒壊防止にも効果的があります。
カーポートリフォームは1台用で本体価格が約10万~30万円、それプラス施工費や融雪装置の機能別にリフォーム費用がかかります。
もちろん車の台数が増えるほどにカーポートのサイズが大きくなるので費用はアップします。融雪装置は上記でも紹介したように、機能や燃料、面積などによって費用が異なるため、依頼するリフォーム会社に問い合わせ、見積もりを出してもらうと良いでしょう。
1台用 | 10~30万円 |
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2台用 | 20~60万円 |
3台用 | 40~80万円 |
4代用 | 90~120万円 |
耐風タイプ | +2万円 |
耐雪タイプ | +1~15万円 |
遮熱タイプ | +2万円 |
UVカットタイプ | +10万円 |
基本取り付け費 | 5万円 |
コンクリート打設費 | 2万円/平方メートル |
コンクリート地面はつり工事 | 1万円 |
敷地内の雪対策には【ロードヒーティング】が便利です。ロードヒーティングは除雪が困難な場合や除雪する時間がない方、除雪した雪の処理場がないときに便利ですが、除雪の手間を省く面でもおすすめできます。
ロードヒーティングを設置することで、積もった雪を溶かしてくれます。どんな場所にも設置可能、センサー付きなのでわざわざ雪が降るときにスイッチを入れる必要もありません。
雪を溶かすだけでなく凍結も防げるので滑って転倒、なんてこともなくなります。おすすめの場所は駐車場や玄関先、階段など凍結や積雪しやすい場所になります。
手軽に雪対策できる反面、電気代や燃料費などのランニングコストがかかるので注意してください。
ロードヒーティングは【電気式】と【灯油式】の2タイプあり、設置面積や稼働時間の他、状況に応じて選択すると良いでしょう。リフォーム費用は施工面積や仕様によって異なり、目安は100万~150万円です。
リフォームするときは施工面積が広くなるほど安くなる傾向にあります。灯油式のほうが若干安く融雪力はかなり高めですが、燃料費が高ければランニングコストがかかり、さらに定期的なメンテナンス費用がかかります。
電気式はリフォーム費用が高めですが、燃料費は電気代でメンテナンス費用がかからないので、ランニングコストは低めです。
初期費用 | 70~100万円 |
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ランニングコスト | 5万円/2台分 |
メンテナンス | 不凍液交換・ボイラー点検 |
たくさんの雪が降ると、玄関に積もった雪で扉が開かなくなることもあります。そんなトラブルを防ぐなら【玄関フード】を設置することをおすすめします。
玄関フードは玄関前に空間を作ることで積雪や玄関の凍結を防ぐだけでなく、二枚扉になるで断熱性もアップしてくれます。雪以外に風を防ぐために風除室とも呼ばれ、北海道では良く使われています。
玄関前にスペースができるため、土間のように玄関前収納の役割も果たします。子どものおもちゃや自転車、ガーデニングの道具、除雪アイテムを置く場所として利用しても良いでしょう。
玄関フードのリフォーム費用は15万~30万円ほどで、設置スペースが少しで済むI型であれば10万円での設置も可能です。
しかし素材やスペースによっては50万円になることもあるので、リフォーム業者と相談して見積もりを出すようにしましょう。最近ではデザイン性にこだわる方も増えているので、リフォーム費用はかなり上下します。
I型 | 10万円前後 |
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L型 | 20万円前後 |
C型 | 40万円前後 |
玄関だけでなく窓ガラスにも雪対策が必要になることもあります。その場合は【雪囲いパネル】がおすすめです。雪囲いパネルはハウスガードと呼ばれるものもあり、特に積雪が多い地域は設置しているところが多くなっています。
雪が多くなると、重みや落雪によって窓が破損する場合がありますが、雪囲いパネルはこの窓の破損を防ぐために有効です。普段からあまり雪の積もらない地域では、突然の豪雪で窓が割れることも少なくありません。
また窓ガラスの凍結を防いだり、雪が室内に侵入することも防止できます。雪囲いパネルは後付けも可能なので、雪が降る地域では予防のために付けるのもおすすめです。
窓だけでなく、家を囲うようにすることもできます。透明にすれば日当たりも悪くならず、省スペースであればDIYで取り付けることも可能です。
雪囲いパネルを設置する場合のリフォーム費用は、囲う範囲や素材によって上下しますが、小窓だけであれば5万円以下での設置も可能です。パネル本体価格に加え、サッシや施工費などがプラスされます。
樹脂パネル | 3000~5000円/1.8m |
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天然木 | 6000~1万円/1.8m |
アルミサッシ | 2万~3万円/1.8m |
天然木サッシ | 3万~5万円/1.8m |
樹脂サッシ | 1.5万円~2.5万円/1.8m |
取り付け費 | 2万~4万円/1.8m |
近年異常気象によってこれまであまり雪が降らなかった地域でも積雪による被害が発生しています。思わぬ事故や怪我、住宅の破損を防ぐためにも雪対策のリフォームで冬を乗り切りましょう。