洋風建築が多くなっている昨今、室内にひとつは和室を設定している住宅も少なくなりません。和室といえば畳ですが、現在注目を集めているのが琉球畳を使用しておしゃれな和室です。趣のある昔ながらの畳も良いですが、琉球畳なら洋風建築にもマッチします。琉球畳を使っておしゃれな和室にするためのコーディネートアイデアをチェックしてみましょう。
和室に欠かせない畳、今人気急上昇中の琉球畳とはどんなものなのでしょうか。『琉球』となっていることから、なんとなく沖縄を関連があることは分かりますが、どんな特徴があるのか、一般的な畳との違いを見てみましょう。
畳はイグサを織って作られた床材ですが、琉球畳に使われているものは七島イ草でサイズは半畳、縁のない畳が『琉球畳』になります。七島イ草は日本では本州南部から琉球列島、海外では中国南部やインドシナ、台湾など、主に暖かい地方に生息している植物です。
もちろん沖縄でも生育されている植物で、別名『リュウキュウイ』とも呼ばれています。本来は七島イ草を使い、沖縄で手作業されたものを琉球畳と呼んでいましたが、最近では縁のない正方形の畳全般を琉球畳に分類されるようになってきました。
琉球畳と普通の畳の違いは大きく分けて3つ、まず原材料となるイ草の種類が異なります。琉球畳に使われているのがカヤツリグサ科の七島イ草、普通の畳にはイグサ科のイ草になります。しかし先程も記述したように、現在の琉球畳にはイ草の種類問わず形状で琉球畳を指す場合も増えてきました。
そこで他の違いとして、畳に縁があるかどうかになります。元々琉球畳は丈夫な七島イ草を使うため、縁無しでも畳として成り立ちます。また、質感にも違いがあり、七島イ草を使ったものは、使い始めは肌触りが若干ざらついていますが、長く使用することでソフトな質感になります。
一般的には正方形の琉球畳ですが、現在は長方形のものも登場しているため、琉球畳と普通の畳の形状にあまり大きな違いはありません。
丈夫で洋風建築にもマッチする琉球畳ですが、良いところが多くある反面、もちろんデメリットもあります。今後室内に琉球畳を取り入れたい方は、メリット・デメリットをしっかりと把握して検討してみましょう。
最大のメリットは通常のものより優れた耐久性があることです。普通の畳と比較すると約5倍ほどの丈夫さがあります。そのため柔道の畳や草履として利用されていました。耐久性があるので家具を乗せたときに凹みくく、使い込むことで味のある風合いになります。
また、一般的に畳を加工する過程で変色防止のための泥染めを施しますが、琉球畳にはこの泥染めがされていないので、残留した泥によるアレルギーを防ぐこともできます。また、デザイン性の高い琉球畳はカラーバリエーションも豊富で、室内をおしゃれにコーディネートすることも可能です。
デメリットは基本的に購入価格が高めに設定されていることです。正方形の琉球畳は半畳サイズのため、通常の畳が6枚で済む6畳でも、その倍の12枚の畳が必要になります。
高価になっている要因は原材料である七島イ草の栽培農家の激減、刈り取りや作業が手作業のため、特殊な工程が必要などが関係しています。そもそも手作業で作られるものは高価にかる傾向になり、琉球畳の熟練の職人でも1日4枚が限度という希少価値がつきます。
そのためどうしても高額になりやすく、安価なものは海外の粗悪品ということも少なくありません。またいくら丈夫な琉球畳でも使い方次第では普通の畳よりもボロボロになることもあります。
縁無しでカラーバリエーション豊富な琉球畳は、リフォームの際に取り入れる方も増えてきました。和風デザインはもちろん、モダンな雰囲気にすることもできるおしゃれな畳ですが、まずはリフォーム前にサイズやカラー、値段など琉球畳のことをもっと知っておきましょう。
サイズは基本的に半畳、880×880mmとなっていますが、少し小さめサイズの1辺820mmや850mmもあります。置き畳にする場合は、オーダメイドでサイズを自由に決めることができるショップもあるので、検討するのもおすすめですが、その分値段が高くなるので注意しましょう。
カラーはイ草を使ったものは素材本来の色を楽しむことができますが、琉球畳にはイ草の代わりに和紙を使って色を楽しむタイプもあります。そのためさまざまなカラーにすることが可能、オレンジや乳白色、ピンクなど取り扱うショップによって多数の色を選ぶことが可能です。
まだら模様に編み込まれたアースカラーや、デザイン性の高いカラフルなタイプもあり、こちらは洋風ダイニングの置き畳としても注目されています。
琉球畳は使用されている素材によって価格が変わります。七島イ草を使っている本来の琉球畳は高く、扱っているお店によっても価格は異なりますが半畳1万円以上が相場であり、畳の値段プラス施工費用で約6万円、和紙素材であれば施工費用2万円、6畳リフォームなら10~30万円ほどかかります。
和紙の場合は半畳7000円からと、比較的リーズナブルな価格です。素材やサイズ、必要枚数などで値段が異なるので、まずはリフォーム業者と相談してみると良いでしょう。
費用を抑えるなら、ダイニングに畳スペースを作る置き畳もおすすめです。置き畳であれば枚数を抑えることが可能、安めの素材を選ぶことでコストダウンすることもできます。
ただでさえ高額な琉球畳は、正しい手入れをすることで長持ちさせることができます。普段の掃除は水拭きはせず、ほうきや掃除機でゴミを取り除く程度で良いでしょう。掃除機は畳の目に沿ってかけます。
また、月に1度は乾いた布で拭き掃除もしてください。汚れがある部分には固く絞った雑巾で拭き取り、そのあとは濡れたままにせず乾燥させてください。水をこぼしたときはしっかりと拭き取り、早めに乾燥させます。そのまま放置すればダニの温床となるので注意してください。
雨の多い梅雨時期などはサーキュレーターを使って室内全体を乾燥させるのも良いでしょう。イ草を使っていないタイプには水拭きができるものや、カビ・ダニ防止タイプもあります。また、長持ちさせるには裏返しや交換も必要ですが、裏返しは3~5年目に、交換は10~15年を目安としてください。年に2回は天気の良い日に畳干しするのもおすすめです。
複数のカラーがあり、置き方や組み合わせ次第ではおしゃれに使うことができる琉球畳は、和風や洋風の室内にピッタリです。モダンな雰囲気にすることもでき、リビングやダイニングの置き畳としても人気です。そこで琉球畳を使ったおしゃれなコーディネートアイデアを紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
フローリングとも相性が良い琉球畳をダイニングに使うコーディネートがあります。ダイニング一面に琉球畳を使うことで和モダンな雰囲気になり、裸足でも心地良い肌触りが癒やされます。使用するカラーは落ち着いた色合いが良いでしょう。
また、厚みのあるタイプを利用して、リビングの一角に小上がりを作ったり、置き畳もおすすです。無機質なデザインのダイニングに琉球畳を置くことで畳ならではの柔らかな印象を付け加えることもできます。
半畳の琉球畳は正方形なので、置き方次第で市松模様を作ることも可能です。同色のものであれば畳の目の方向を変えることで和モダンな部屋に仕上がります。
琉球畳は光の加減や角度によって見え方が異なるため、同色でも方向を変えるだけできれいな模様ができます。このように市松模様になる置き方は市松敷きと呼ばれています。同色だけでなく、色の異なる畳で市松敷きに挑戦することもでき、好みの色を組み合わせても良いでしょう。
フローリングに琉球畳を合わせるときは、シックな黒い琉球畳もおすすめです。壁や天井などが白で統一された場所に黒の琉球畳を置くことでメリハリのある空間になります。
キッチンが黒の場合にも相性抜群で、モノトーンで統一されたデザインがおしゃれな雰囲気になります。黒を市松敷きにすれば色に変化が付き、さらにデザイン性の高い室内空間が生まれるでしょう。
別色を組み合わせるであればグレーがカッコよく、男前インテリアの中に和モダンなスペースを作り出すことも可能です。リビングの一角に黒の琉球畳で置き畳をすれば、部屋の印象が引き締まります。
おしゃれな和室を作り上げるなら、まずは琉球畳に挑戦してみましょう。カラーバリエーション豊富で、室内のデザインに合ったものも選びやすく、置き方次第でデザイン性も追求できます。フローリングにキズを付けたくない方も置き畳で解消、ライフスタイルに合わせて琉球畳を選ぶことで、おしゃれな空間に仕上げることができます。