溶接工は「危険」「下請け」という印象を抱く場合も多いですが、実は平均年収の上位に位置し、実力次第でどんどん昇給を期待できる職業です。
とはいえ具体的にどれくらいの年収なのか、将来性も含めて不明な点が多いですよね。
溶接工の仕事が気になっている人の中には、上記のような疑問が浮かぶ方もいらっしゃるでしょう。
そこでこの記事では「溶接工の平均年収と仕事内容・将来性や必要な資格について」まとめました。
まだ溶接関連の仕事に就いていない方でも、記事を読むだけで溶接工のことが詳しくわかりますよ。ぜひ参考にしてみてくださいね。
目次
厚生労働省の調査によると、溶接工の平均年収は437万700円(※1)でした。内訳は以下の通りです。
一方、令和元年における全職種における平均年収は436万円(※2)のため、溶接工の年収はわずかながら平均を上回っています。
しかしあくまで平均値となっており、企業規模や職種によって変動しやすい傾向にあります。ただし将来性については、技術を極めれば昇給が期待できるでしょう。
溶接工の平均年収は437万円なので、一般的な職種と比べて悪い方ではないですよね。
しかし実際の年収は、勤め先の企業や細かい職種によって変わります。大手のメーカーや各種プラント・鉄工所など、勤め先は多種多様です。
例えば大手メーカーであれば福利厚生が充実しており、給与水準も高くなります。しかし規模が小さいメーカーやプラント、鉄工所は大手よりも給与水準は低めです。
また溶接工の中でも高い技術を要する分野は、職種として独立しています。下記は溶接に技術を要する専門溶接工の一例です。
例えば造船関連の溶接工は、担当箇所によって溶接法を使い分けます。そのため担当ごとに、難易度が異なる溶接法を使いこなす技術が必要です。
そしてタンクや配管は曲面に沿った正確な溶接が求められるため、造船関連とはまた違った技術を要します。
水中溶接の場合は潜水士の資格が必要になり、陸上とは全く違った状況での溶接が求められるでしょう。
このように難易度の高い技術を獲得すれば「他者が容易に真似できない」専門性が高まるため、おのずと報酬も高まります。
そのためどの企業に勤めるか吟味することと、職種さえしっかり選べば高年収を目指しやすいのです。ある程度の腕前がついたら、独立すればさらなる年収アップが期待できます。
現在はロボット溶接の普及が進み、どんどん高度な溶接ができるようになっています。
そう考えると溶接工の将来は、もしかしてロボットに奪われてしまうのでは?と思ってしまいますよね。
しかしロボットだと柔軟な対応はまだまだ難しい状況です。複雑な動きは多くの指示を出さなくてはならず、人のように気軽な移動もできません。
また配管専門の溶接になると、ロボットではなく人が対応しなければ溶接が難しいと言われるほどです。
とくに現代社会は溶接工にも高齢化の影響が出始めており、若くて腕の立つ溶接工は貴重な存在となっています。
熟練度が上がれば上がるほど、待遇と年収が比例して良くなっていくため、将来性は十分にあると言えるでしょう。
ひとくちに溶接工といっても、溶接が必要とされる場面はたくさんあります。
そのため仕事内容は何を溶接するかで大きく変わります。もちろん溶接工になるための資格は必須です。
作業レベルに応じてより複雑な技術を要求されるため、ただ溶接ができるだけではなく、現場での経験を積まなくてはなりません。
一般的に溶接を必要とする場面は、以下の2つがあります。
一般機械は自動車から重機械とさまざまな分類があり、自動化していないものはすべて手作業での溶接が必須です。
しかし扱う材料が比較的小さいため、建材ほど難易度は高くありません。一般的には部材ごとの溶接となるので、決められた手順で作業していくこともあります。
一方で建設現場の建材を溶接する場合だと、すでに大きな状態のものを溶接するので難易度は高くなりがちです。
また建設現場での溶接業務は場所によっては危険が伴うため、技術やスキルだけではなく安全意識や判断力と要求されるものが多くなります。
その他にも先ほど紹介した配管専門や水中溶接、造船といった、専門性を必要とする特殊な溶接もあります。
難易度が高いほど、習得するまでに時間がかかるものです。しかし習得できれば、他の溶接工よりも良い待遇を得られるでしょう。
まず業務として溶接を行うためには、対応した資格を取得しなくてはなりません。
溶接の仕事をするには「ガス溶接技能者※3」もしくは「アーク溶接作業者※4」が比較的取りやすい資格です。資格取得にかかる時間はそれぞれ以下の通りです。
(参照:ガス溶接技能講習、アーク溶接特別教育|一般社団法人 労働技能講習協会)
いずれの資格も取得難易度は高くなく、学科と実技の内容をしっかりわかっていれば修了試験を難なく突破できるものです。
次にステップアップを考えた際は、資格が複数あるため自身の目指す方向や、どんな業務をしたいかで資格を取得していくと良いでしょう。
上記のほかにも複数の資格があり、取得の難易度も大きく違います。
未経験から溶接工になる場合、とにかく練習をするのが上達への近道です。
そのため設備が整っており、一定の給与水準が見込めそうなメーカー就職を選ぶと良いでしょう。
溶接工を目指す上でメーカー就職をおすすめする理由は、大きく分けて以下の2点です。
練習をする上で設備が整っていなければ、どうしても得られるものは少なくなります。
そう考えたときに十分な設備が整っており、なおかつ待遇や給与面で有利な大手メーカーは最適な環境です。
また仕事が安定してあるのもメリット。ある程度の実力を発揮できれば、独立しても仕事をもらえる可能性が高いです。
メーカー専属で仕事をもらえれば、収入の確保をしながら実績を積んで収入アップも期待できます。
逆に町工場のような場所は、従業員同士のつながりが深いです。家族ぐるみのような関係を築けるので、大手メーカーの人間関係が苦手な方は働きやすいかもしれません。
溶接工を目指す際「やるなら高年収を目指したい!」と思う方もいらっしゃるでしょう。一つの指標としては、年収1,000万円が大きな目標となりますよね。
もちろん溶接工にも専門性の高さによっては年収1,000万円を得られる人もおり、決して珍しい水準ではありません。
腕だけで高年収を目指したいと思う方にとって、溶接工はチャンスが多い職業です。
どうしても雇われの立場であれば、年収1,000万円を超えるためのハードルがいくつかあります。
例えば1日10時間と休日出勤の組み合わせで27日稼働した場合、時給3,000円であれば年収1,000万円を超えてきます。ただこの働き方だと、心身への負担が大きいのは言うまでもありません。
しかし一人親方なら企業に持っていかれる分が自分の取り分となるため、もっと少ない稼働時間で年収1,000万円を超えられます。
一人親方として独立した場合、800~1,000万円ほどの年収が見込めます。
腕が良ければ需要が高まり、企業との交渉も行えればさらに報酬は上がりやすくなります。また専門性の高さも、単価を上げられるポイントです。
サラリーマンであれば給料の交渉はなかなか難しいでしょう。交渉次第で給与のアップが期待できるのが、一人親方のメリットです。
逆に腕が悪ければ交渉で不利となってしまい、安定した仕事をもらうのが難しくなってしまいます。
専門性の高い技術を要する溶接は、まだまだロボットでの溶接が難しい作業です。
また企業としても、大規模な建材や一般機械に対する自動化は導入コストがかかり過ぎます。
そういった場所では専門性の高い溶接工の需要がまだまだ高く、今後も需要は減らない傾向です。
例えば水中溶接は、一般的な溶接と比べて高い専門性と危険性をはらんでいます。技術と経験だけではなく、判断力も必要となる仕事です。
陸上では視界が良好でも、水中では水の濁りが発生します。そのため思わぬミスが生まれる可能性もあるでしょう。
潜水するため酸素の把握や感電事故といった、通常では起こり得ないリスクもたくさんあります。
その代わり水中溶接は日給3万円を超えることも珍しくなく、ボーナスを抜きにしても高収入を狙うことが可能です。
溶接工は腕の立つ熟練職人がどんどん高齢化し、担い手が少なくなっているのが現状です。
ただでさえ若者が少なくなっている中で、今後の需要も見据えて技術を磨ける若者は非常に貴重な存在となっています。
そのためできるだけ雇う側、仕事を依頼する側も多少の出費を払ってでも確保しておきたい思惑があり、給与交渉は有利に働く場合が多いのです。
もちろんある程度の技術や熟練度は必要となるため、まずは地道に腕を磨くと良いでしょう。
慢性的に若い人材が不足しているとはいえ、技術力がなければ仕事を依頼すること自体にリスクが伴います。
しかし現在の情勢としては非常に交渉が有利に進みやすいので、うまく交渉していけば高年収を目指すのも難しくありません。
溶接工は多くの種類や専門性があり、難易度はそれぞれ違います。
しかし専門性と難易度の高さは収入に比例し、最初から目指し方を考えていけば高年収を目指しやすいと言えます。
なおかつ若者が減ってきている現状も、交渉を有利にしてくれるでしょう。
まず溶接工を目指す方は必要な資格を取得するか、取得サポートをしている未経験者歓迎の求人を確認するのがおすすめです。
独立を考える方もそうじゃない方も、大手メーカーから勤めるのがおすすめ。気になる方はぜひチェックしてみてくださいね。
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