溶接工になろうかと考えていたら知り合いから、
「溶接工は体を壊すから辞めとけ!」
「溶接工は給料が安いから辞めとけ!」
と言われた…
面白そうだからやってみたいけど、本当に辞めておいた方がいいのかな…と悩んでいませんか?
そんな時はただ漠然と悩むのではなく「何がきついのか」、「やりがいはあるのか」、「どんな人に向いているのか」など具体的に考えてみましょう。
溶接工には多くの魅力があるので、知り合いに「辞めとけ!」と言われて断念するのはもったいないと言えます。
溶接工の大変さも、やりがいも知ったうえで、辞めておいた方がいいのか考えていきましょう。
この記事は溶接工になろうか悩んでいる人の助けになるので、ぜひ最後までご覧ください。
どんな仕事でもきついことはありますが、一口に「きつい」といっても、いろいろな「きつさ」がありますよね。職場環境だったり、肉体的にだったりさまざまです。
ここでは溶接工には、どのような「きつさ」があるのか解説します。
強い光により目への負担が大きいことが、まず挙げられます。
溶接をする時に火花とともに「アーク光」と呼ばれる強い光が発生します。アーク光は視力の低下を引き起こしたり、角膜にダメージを与えたりと、目に有害です。
そのため溶接作業では溶接面という、アーク光を遮光してくれるマスクが必須です。ただし溶接面をしたからといって、眼球へのダメージをゼロにできるわけではありません。
後方からの光や、遮光マスクの隙間などから、気付かないうちにアーク光を浴びてしまうことがあります。
実際に多くの溶接工が眼球へのダメージで辛い思いをしているので、溶接工になるのであれば覚悟しておく必要があります。
溶接工の仕事環境は、工場内・建設現場の高所・プラントなど多岐に渡ります。どこで仕事をするにしても「夏は暑く、冬は寒い」と思ってください。
溶接の現場は常に火花が散っているので、暑いのは想像しやすいでしょう。夏場は数十分作業しただけで、シャツを絞れば滝のように汗が出てくるほどです。
安全管理がしっかりしている現場では、定期的にスポーツドリンクや塩飴の摂取が義務化されています。
それでも突然めまいや、ふらつきが生じることがあるので、熱中症にならないように細心の注意を払う必要があります。
一方、寒さについては「溶接をするときは接合部が高温になるから、寒くは無いんじゃないの?」と思われるかもしれません。
確かに工場内で作業しているのであれば地域にもよりますが、それほど寒さは気にならない人もいるでしょう。
しかし現場によっては建設現場のビルの高層階で、溶接を行うこともあります。その場合、体は長時間寒風にさらされ、体は強張り手足はかじかみます。
体が思うように動かせないと事故にも繋がるので、暑さだけでなく寒さも大敵だと覚えておきましょう。
溶接工に限らず技術が必要な職場は、気難しい職人気質な人が多い環境です。特に自社工場での作業がメインで、他の会社の人との関りが少ない現場だとその傾向は強くなります。
職人気質というと頑固や無口というイメージがありますが、実際は一人一人性格が違います。
いろいろな気難しい人がいるので、コミュニケーション能力に自信がある人でも、苦労する場面は少なからずあるでしょう。
ただ上記のような性格が、作業を遂行する上で重要である場合もあるので、一概には否定できません。
溶接工をしていると、火傷をする可能性が高くなります。
アーク溶接の温度は5,000~20,000℃にもなり、接合した部分はもちろん、その周囲もかなりの高温になります。
しかも見た目では熱いか判断しにくく、知らずに触れてしまい火傷をすることも。
また溶接工には腰痛持ちが非常に多いのが特徴です。
無理な姿勢で作業をしたり、重いものを運んだりするので、どうしても腰への負担は避けられません。
体幹の筋肉が弱い人は特に腰痛になりやすいので、注意が必要です。腰痛持ちになる前に、日頃のケアを行うようにして予防しましょう。
厚生労働省の賃金構造基本調査によると、2019年における溶接工の平均年収は約437万円(*)でした。
「それほど悪くないのでは?」と思われるかもしれませんが、上記の平均年収は技術力のあるベテランや大企業に所属する、給料の高い溶接工も含まれた年収です。
小さな会社の見習い溶接工の場合は、月の手取りが10万円代で賞与もない場合が多いので、年収300万円に届かないケースもあります。
技術を磨き専門性を身につければ給料は上がる可能性が高いものの、最初は肉体的・精神的にもきついと感じやすく、低い給料だとモチベーションを保つのが難しいかもしれません。
(*)厚生労働省の賃金構造基本統計調査(令和元年10月承認)より、以下の計算式で算出。
決まって支給する現金給与額(溶接工)311.7千円×12か月+年間賞与その他特別給与額630.3千円=約437万円
ここまででお伝えしたように、溶接工は決して楽な仕事ではありません。しかし「大変そうだから辞めておこう…」と安易に決めてしまうのはもったいない選択です。
きつい仕事であるのは間違いありませんが、同時に溶接工はやりがいに溢れている仕事でもあります。
溶接工で得られるやりがいは主に以下の3点が挙げられます。自分がやりがいと感じられるか、考えながら読み進めてください。
溶接は比較的スポットライトの当たらない仕事かもしれませんが、実はビルや橋の建設、自動車や造船、発電所のプラントなど幅広い分野に関わっています。
自分が溶接したビルが日本の経済を回し、自分が溶接した自動車や船がみんなの生活を充実させ、自分が溶接したプラントがみんなの生活を支えます。
自分が関わった仕事が、誰かの役に立つというのは嬉しいですよね。日本のモノづくりを支えている溶接工は、間違いなく誇りを持てる職業です。
先ほど「見習い溶接工は給与が低い」とお伝えしましたが、逆に言えば「技術があれば給料も上がる」ということです。
溶接工は毎日同じものを、同じ環境で溶接していれば良いわけではありません。
いろいろなモノを溶接できる技術を身に着けてこそ一人前です。
またミスなく溶接するのは基本ですが、キレイに溶接する必要がある場合もあります。経験豊かな溶接工はどこの現場でも引っ張りだこなので、必然的に給料が上がっていきます。
一人親方として独立もできるので、技術を上げるために頑張れるのではないでしょうか。
溶接は技術が必要であり危険を伴う仕事なので、資格の取得が義務付けられています。入門者向けから専門的な資格まであるので、戦略的にステップアップが可能です。
入門者向けの資格としては、下記の2つがあります。
ガス溶接とアーク溶接は生産工場や建設現場など、幅広い現場で使用されています。もちろん技術は必要ですが、ガス溶接技能者とアーク溶接作業者を取得すれば、多くの現場で溶接を行えます。
専門的な資格としては、水中溶接に必要な潜水士、ボイラーの溶接に必要なボイラー溶接士などがあります。
水中溶接とボイラー溶接は、資格が必要なだけでなく確かな技術が必要とされるので、溶接工の中でも高い給与を得られます。
専門的な資格があり、ステップアップの道筋がはっきりしているので、目標を持って仕事に打ち込めるでしょう。
溶接工のきつさも、やりがいも知ったうえで、それでもやってみたいという人は、自分が溶接工に向いているかを考えてみましょう。
溶接の技術は上を見ればきりがありません。独立できるくらい技術力がある人は「溶接オタク」と言えるくらいに、溶接が好きで勉強もしています。
溶接工を続けていくのであれば、教わるだけでなく自主的に技術を取得していく必要があります。
そのため、これまでに何か一つのことに打ち込んだ経験がある人は、溶接の技術もどんどん取得していけるのではないでしょうか。
逆に飽きっぽい人は、中途半端な技術しか身に付かず、給料が低いまま終わってしまう可能性があります。
溶接工はハードな肉体労働です。仕事を続けていれば自然と体力は付いてきますが、病弱で体力にまったく自信がないという人は、辞めておいた方がいいでしょう。
また溶接の過程では、重たい金属を運ぶこともあるので、筋力も必要です。
余裕をもって仕事を進めるためにも、溶接工になる前にランニングなどトレーニングをしておくといいでしょう。
溶接はミスなく正確な作業が求められます。
例えば配管を溶接する場合、上手く溶接できていないと、配管内の液体や気体が漏れ出してしまいます。
ミリ単位で作業する必要があるので、慎重で細かい性格の人が向いています。
大雑把な人が溶接工になれないわけではありませんが、溶接中は人一倍慎重になるように心がけましょう。
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溶接工の仕事には、辛さもやりがいもあります。
しかしモノづくりに携わりたいという想いがある人には、とても魅力ある仕事ではないでしょうか。
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