他府県をまたぎ、遠く離れた場所へ積荷を運ぶ長距離トラックドライバーは高給取りのイメージがあるため、転職を希望する方がいる一方で人手不足に悩まされているのが現状です。
それでも「給料が良いならばやってみようかな」と気になる職業でもあります。そこで長距離トラックドライバーの仕事内容や必要な資格、給料などをまとめてみました。
目次
長距離トラックドライバーの仕事はもちろん荷物を運ぶ仕事ですが、一般的なトラックドライバーとの違いはどこにあるのでしょうか。まずは仕事内容をチェックしてみましょう。
長距離トラックドライバーと言われる仕事は走行距離で分類されます。『長距離』を走るトラックドライバーの走行距離は片道300km以上で、東京から名古屋、仙台を走るぐらいです。
300km以上走るとなれば時間にして約4~5時間、かなりの時間運転しなければいけません。走行ルートが決められている『指定便』と仕事毎に契約してルートが変更する『チャーター便』の2種類があります。
積荷は主に食料品や日用品をはじめ、工事の資材や液体、ガスなどの危険物も含まれます。他にも牛や豚などの家畜を運ぶこともあり、長距離トラックドライバーの仕事内容はさまざまです。
また、運転するトラックは中型か大型で、危険物を運ぶ場合にはタンクローリー車など特殊なものもあります。
長距離トラックドライバーの勤務実態は所属する企業によって異なり、正社員や契約社員、バイトなどがあります。
労働時間は厚生労働省が定める基準によって1日13時間の拘束時間、最長でも16時間であり、15時間以上は週2回までと定められています。出勤後の仕事手順は自分が運ぶ積荷のチェックや目的地の確認、トラックの点検を行います。
出発前にはドライバーの飲酒状況もチェックして仕事スタートです。目的地に到着したら積荷を降ろして会社に終了したことを連絡すれば終わりになることもあれば、次の積荷を乗せて別の目的地に向かう場合もあります。
荷物の積み下ろしはドライバー自身が行うか、運搬先の会社スタッフが荷降ろしするかのどちらかです。
長距離トラックドライバーには休息時間と休憩時間があり、休憩時間は一般的な仕事同様に作業の合間に取る休み時間です。休息時間は次の仕事開始までの間に取る時間で、1日8時間以上の期間を必須とします。
長距離トラックドライバーになるためにはいくつかの資格を所持している必要があります。必要な資格は運転するトラックごとに異なり、転職先の求人情報で掲示されているので必ず確認しておきましょう。
長距離を走行する場合は主に中型・大型トラックを運転するため、車体に適した運転免許証が必要になります。
4.5t以上6.5t未満では中型自動車免許、6.5t以上の場合大型自動車免許が必須です。中型免許は道路交通法改定により取得した時期によって準中型・中型に分けられるので注意しましょう。
運転免許証の他に、業務内容ごとに必要な資格もあります。積み下ろしの際にクレーンやフォークリフトなどの車体を扱う場合には、それぞれに適した免許を取得します。
総重量750kg以上の車を引っ張るときは【牽引車】資格が、高圧ガスやガソリンなどの危険物を運ぶ場合には国家資格である【危険物取扱者】の資格が必要になります。
危険物取扱者には甲種・乙種・丙種の3種類があり、甲種は危険物全般、乙種は第1~第6類に分類されているなかから取得したものだけを取り扱うことが可能になります。丙種はガソリンや灯油など引火点130度以上の油系を扱う場合に必要です。
また、高圧ガスに関しては【高圧ガス移動監視者】資格が必須です。取得している資格が多ければ多いほどいろいろなものを運ぶことが可能になるので、仕事の幅も広がります。
長距離の移動でかなりの拘束時間となる長距離トラックドライバーは、年収が多いイメージがあります。一般的な地場を走るトラックドライバーより年収水準は高いですが、平均的な額を見てみましょう。
短中距離ドライバーの年収が300万~500万円ほどなのに比べて、長距離トラックドライバーの月の給料は約30万~60万円、年収400万~750万円が平均となっています。
トラックドライバーのなかでは走行距離がもっとも長く、積荷も多いことから高水準の給料も納得です。企業によっては月給制と歩合制があるので、安定した給料を求めるのであれば月給制の会社に転職しましょう。
また、長距離トラックドライバーは遠距離まで行くため、基本的に高速道路を使います。この高速道路を使ったときの料金が会社負担なのか、自腹なのかも確認することをおすすめします。
いくら給料が高くても、高速料金が自腹となればそれだけ少なくなるので、場合によっては損をすることもあります。
給料以外に気になるのがボーナスや退職金です。長距離トラックドライバーのボーナスは各企業によって支給される場合とされない場合があります。
支給される場合でも思っていたよりも少ないことが多く、厚生労働省が調査した結果、平成30年の年間ボーナス平均は32万6800円でした。普通車ドライバーのボーナス平均が29万7000円と比較するとそれほど差がありません。
基本的に大手企業であればボーナス支給されていることが多い傾向にあります。退職金に関しても支給される、されないは企業毎に異なります。
支給される場合の相場は勤続年数20年で500万~700万円となっています。ボーナスも退職金も勤務する会社によって有無が異なるため、求人情報でしっかりと確認しておきましょう。記載されていないときは面接で聞くこともおすすめします。
長時間トラックに乗って遠方まで走る長距離トラックドライバーは向き不向きがあります。仕事をするうえで感じられる魅力を知り、自分に向いているかチェックしてみましょう。
車に乗ることが好きな人や運転が苦じゃない方にはもちろん、仕事としてのやりがいを感じられることもあります。
長距離トラックドライバーは様々な荷物を運びますが、それは生活に必要な食料品や日用品であったり、仕事に必要な資材など色々あります。
各地へ荷物を運ぶ長距離トラックドライバーは期日までに荷物を届ける、ライフラインを支えているという使命感とともに達成感を味わうことができます。
表立った仕事ではありませんが、トラックドライバーがいなければ流通が滞ってしまうため、社会の一員として生活必需品を運ぶ、物流を支えているという緊張感を保ちながらやりがいを感じることができます。
一般的に会社勤めをしている場合は上司や同僚、部下など多数の人との人間関係を良好にする必要があります。
しかし長距離トラックドライバーは基本的に1人で行動するため、人間関係上の煩わしさがありません。決められた作業をこなし、時間通りに仕事を進めていれば特になにか言われることもなく、自分1人で行動できます。
もちろん配送先の荷下ろしなどである程度のやり取りはありますが、移動している時間は他人と接することがなく、人間関係でストレスが溜まることもありません。
人付き合いが苦手、これまで人間関係で仕事が続かなかったという方には向いている仕事ではないでしょうか。
長距離トラックドライバーの仕事は運送の時間指定があるものの、極端なことを言えば時間さえ守れば基本的に時間を自由に使うことができます。
高速道路にあるパーキンエリアには自分のタイミングで寄ることができ、休憩したいときに休憩できる、運転中はラジオや音楽など好みのものを流すことができます。
また、配送先で仕事が早く終わればその後は自由になることも少なくありません。他府県に行った際には休憩時間を利用してご当地グルメなどを堪能することも可能です。
長距離トラックドライバーの仕事は未経験の方からすれば敷居が高い印象があります。しかし中型・大型免許を持っていればドライバー未経験でも雇ってくれる企業はたくさんあります。
もちろんトラックドライバー経験者やフォークリフト免許などを持っていればより優遇されることがほとんどです。企業によっては大型免許不要で募集している場合もあります。
また、未経験者歓迎の企業には運転技術などの研修を行う企業もあるので、安心して就職することができます。未経験者だけでなく女性でも長距離トラックドライバーになることは可能です。
長距離トラックドライバーになることに特に性別は関係なく、未経験同様に必要な免許さえあればできます。近年では気配りやコミュニケーション能力の高さから女性を募集する企業も少なくありません。
しかし腕力や体力的には男性よりも劣ってしまうため、仕事によってはフォークリフト免許があると便利です。大手企業は女性ドライバーも多く、女性にとっても働きやすい環境が整っているところが増えています。
中型・大型免許があれば長距離トラックドライバーになることは可能ですが、必要な資格を取得することで仕事の幅も広がるでしょう。
現在ネットショッピングの普及に伴い、物流需要が高まりつつあり、長距離トラックドライバーの募集も急増しています。遠方へ行ったり運転が好きな方は、資格を取得して長距離トラックドライバーを目指してみませんか。