工場勤務の仕事は肉体労働が多く、なかには危険な仕事も存在します。ほかにも単純作業で職場が汚いというイメージから、精神的にきつい仕事だと思う方も多いのではないでしょうか。
なぜ世間では工場勤務がきついと言われているのか、その仕事内容や原因をまとめてみました。働くことでのメリットや工場勤務がきついと感じたときの対処法などもチェックしてみてください。
目次
きついというイメージが定着していて、転職希望者も多くなりがちな工場勤務の仕事ですが、実際の仕事内容はどうなのでしょうか。まずは、工場勤務の主な仕事内容を確認していきましょう。
多くの方が工場勤務と聞いてイメージすることといえば、このライン作業ではないでしょうか。ライン作業はベルトコンベアの上を流れていく製品や部品に、人が手を加える作業のことです。加工や梱包など製品によってその工程が決められています。
同じ作業を繰り返すだけなので専門性を求められることもなく、慣れてしまえば楽な作業だとも言われています。一方で重たい物を持ち上げる作業などもあり、体力が求められることも多いです。
ピッキング作業も工場勤務の大事な仕事のひとつでしょう。ピッキングは発送先から用意されたリストを元に、商品の保管場所からそれらを集めて、検品と梱包を担当している作業者に渡す作業のことです。ピッキング作業は2種類に分類されています。
【摘み取り方式】
商品の種類が多いときに使用します。発送先のリストを確認しながら複数種類の商品を順番に集めていく方式です。作業員がカートやかごを利用し、倉庫内から指定されている商品を探して集め、検品に回します。
【種まき方式】
発送先が多く、商品の種類が少ない場合に使用します。商品を先に集めてから発送先ごとに仕分けをする方式です。摘み取り方式とは異なり、仕分け作業があるので作業用スペースを用意する必要があります。
工場勤務の仕事をまとめて解説しましたが、これだけではなぜ工場勤務の仕事がきついと言われているのか疑問に思う方も多いのではないでしょうか。疑問を解決すべく、工場勤務がきついと言われる理由をまとめてみました。
工場勤務は、いわゆる体育会系の環境が出来上がっていることが多いです。それは工場長や各チームのリーダーなどが存在しているからです。先輩や上司に従わないといけないのはもちろん、命令口調で指示されることもあります。
慣れないうちは全体の作業が滞ってしまうこともあり、スピードが大事な仕事でもあるので職場の空気が悪くなりがちです。そんなとき、細かく注意されたり怒鳴られたりすることも珍しくないでしょう。
後輩に命令するだけでなく、上から目線や馬鹿にしたりという先輩や上司がいるというケースも多々存在するようです。
これは、仕事内容を見て気づいた方も多いでしょう。工場勤務は長時間立ちっぱなしが基本です。商品が入った重たいダンボールを持ち運ぶというピッキングの仕事もあります。デスクワークはほぼなく、とにかく身体を動かさないといけません。
実際に体力や力がなくて仕事について行けないというのは、工場勤務でよくある悩みです。それくらい体力が重視される仕事と言えるでしょう。
ほかにも工場には機械があるので、基本的に機械に適した温度に合わせられます。機械が不調になってしまうと製品を作れなくなるからです。こういった環境温度が快適ではないことも体力が失われる理由のひとつでしょう。
これは主にライン作業に関してのことですが、工場勤務では単純作業の繰り返しになります。単純作業が楽そうだからやってみようという理由で工場勤務を選ぶ人もいるくらいです。ですが実際にやってみると、単純作業が続くというのは苦痛でしかありません。
毎日同じことを繰り返すので新しい発見もなく、時間が経つのも遅く感じます。同じ作業を繰り返しすぎて何をしているのか分からなくなってくるなど、単純作業が合わない方は精神的にダメージを負うこともあるようです。
工場は仕事場が汚いことでも有名です。空気が悪いのはもちろん、油で床がベトベトになっていたり、鉄粉や粉塵が積もっていたりすることもあります。酷い場所では防塵マスクといった保護ゴーグルを着用しなければならないこともあります。潔癖症の方などは汚いのが気になって働けないでしょう。
ただし食品会社の工場勤務は衛生面に気を付けないといけないのが大前提なので、比較的キレイな職場環境になっています。キレイな工場で働きたいという方は食品会社の工場を選ぶと良いかもしれません。
工場勤務は単純作業なのであまり変化がなく、専門知識や技術といった免許が必要な作業でない限り、短期間で給料がアップするということはありません。こういったことは、やりがいを感じにくいということと繋がります。
単純作業は楽しいと思うことも少なく、面白い発見もないでしょう。新しいことを実践しようとしても、工場での仕事は怪我をしないようにルールが厳しくなっていることがほとんどで、ルール通りに作業をしなければなりません。与えられた仕事を黙々とこなすだけです。
実際に工場で働いている人は、この仕事でないと駄目だと思っている人は少なく、生活のために働いているということがほとんどでしょう。
工場勤務は勤務時間がバラバラであることがほとんどです。例外はありますが、日勤と夜勤、そして交代制の全てを経験することになるでしょう。基本的に交代制を扱っている工場が多いようです。
交代制では日勤と夜勤をグループごとに引き継ぎ交代する形になります。今月は夜勤で来月は日勤といった感じなので、働く時間帯が毎日同じというわけではありません。これが原因で体内時計が狂ってしまい、睡眠の質が下がるということも少なくないようです。
怪我のリスクがあるというのも、工場勤務の特徴といえるでしょう。軽傷から重傷までさまざまな怪我のリスクがあり、とても危険な仕事だと伺えます。どのような怪我のリスクがあるのか詳しく見ていきましょう。
【ライン作業での怪我のリスク】
梱包をしている際にダンボールで手を切ってしまったり、蝋引きダンボールを扱っているところでは、手に蝋が落ちてきてやけどをしてしまったり、製品を加工している機械に手を巻き込まれたという例もあります。最悪手や指を失ってしまう可能性もあるので気を付けましょう。
【ピッキング作業での怪我のリスク】
ピッキング作業では重たいダンボールを上げ下げしなければなりません。手足はもちろん、腰にもかなり負担がかかるので、これらの箇所を痛めてしまう方も多いようです。
ほかにも誤ってカートで足を轢いてしまったり、ダンボールを足の上に落としてしまったりなど、骨折などに繋がる事故が起こることもあります。
【職場環境による病気】
換気が追いついていない空気が悪い工場では、喘息や慢性気管支炎といった病気になる危険性もあり、工場内にいると咳が止まらないということもあるようです。防塵マスクの着用が義務付けられている工場は特に気を付けた方が良いでしょう。
工場勤務がきついと言われる原因や理由を紹介しましたが、デメリットばかりでメリットがないのか気になる方も多いのではないでしょうか。早速、工場勤務の仕事をするメリットを見ていきましょう。
工場勤務で真っ先に挙げられるメリットは、資格や学歴に左右されないというところでしょう。一般的に就職や出世といえば、資格や学歴が重要になってきます。例えば高卒は就職先が見つかりにくいですが、工場勤務であれば高卒でも問題ないという場合が多いです。
出世に関しても年功序列や成果主義で昇進する場合がほとんどです。しかし中には資格や学歴を重視している工場もあるので、工場ごとに異なってくるともいえます。
工場勤務は意外と給料が高いです。就職したての数年間は年収が低いことも多く、給料が安いと勘違いされがちですが、昇給があるので長く働けば働くほど、年収も上がっていきます。
正社員になって長く働くことで、派遣社員や契約社員の年収を追い越すことができるでしょう。ほかにも役職がつくことで、大幅に給料がアップします。ほかにも深夜勤務・休日出勤・残業の手当もきちんと付くので、そういったものも年収を上げてくれるでしょう。
ここまで読み進めて、自分が本当に工場勤務に向いているのか疑問や不安がある方もいるでしょう。実際どのような人が工場勤務の仕事に向いているといえるのか、まとめてみました。
最も工場の仕事が向いているのは、やはり単純作業が好きな方です。単純作業に必要なものは集中力や根気でしょう。黙々と働く時間が心地良いという方は特にライン作業が適しています。
ピッキング作業があるので体力も必要ではありますが、体力にそこそこ自信があって単純作業が苦に感じないという方は工場勤務に向いているでしょう。
ライン作業での製造はモノづくりに近いものがあります。また、機械もたくさんあるのでメカ好きにはたまりません。機械が製品を作り上げる様子を見るだけでも楽しくて仕方がないという人もいるくらいです。
自分でひとつの物を作り上げることが好きな方や機械に興味を持つことができる方は、工場勤務の仕事も楽しむことができるでしょう。
工場勤務の仕事は単純でルールに縛られているので退屈に感じます。長く働き続けるためには、色々試行錯誤する必要があるでしょう。そのため退屈に感じないように自分で工夫することが大切です。
例えばどうしたら今より早く仕事がこなせるようになるか、目の前の仕事に目標を立ててそれを面白いと感じることができる、そういった方は工場勤務が向いています。
既に工場勤務の仕事をしている方や、これから工場勤務の仕事をしようとしている方の中には、もし工場勤務の仕事がきついと感じた時、どうすれば良いのか不安な方もいるでしょう。以下にそんな時の対処法を解説します。
転職をする勇気までは出ないという方は、定時上がりの相談を上司にしてみるのが良いでしょう。しかしこれはその上司との関係性や、融通の効く立場かどうかということが大きく関わってきます。
定時上がりの提案が通らず、心身共に限界だという方は、病院で診断書をもらうことができれば休職することができるのでそちらを活用しましょう。その際は心療内科に相談するのが良さそうです。
転職する勇気がある方、若しくは考えている方は思い切って転職してみるのも良いでしょう。工場勤務だけでなく仕事には向き不向きがあるので、転職に対して前向きに考えるのも大切です。
転職を考えているけど、まだ辞める勇気が出ないという方は転職サイトの登録や、転職相談サービスを受けてみるのも悪くありません。登録や相談だけなら仕事を辞めてしまうわけではないので、転職したい仕事が見つかるまで今の仕事を続けることができます。
いまの工場勤務の仕事から転職を考えていても、転職先について悩んでいる方もいるでしょう。転職先としては様々な例があります。
工場勤務での仕事が向いていないと感じた方は、人と接することが多い職業に転職してみると良いかもしれません。飲食店や営業職などがそれにあたります。人との付き合いを増やすことで仕事にやりがいが生まれ、楽しいと感じるかもしれません。
工場勤務での仕事自体は合っているが、工場の環境が向いていないと感じた方は、同じ業種に転職するのもありです。転職先が工場なら慣れているのでハードルも低いのではないでしょうか。
工場勤務での仕事はメリットもありますが、肉体的にも精神的にも辛いことがたくさん起こる、きつい仕事です。
やりがいを見出すのも自分が工場勤務に向いていなければ難しいかもしれません。もし、現在工場勤務で働いていて、もしくはこれから働こうとしていて、仕事がきついと感じた際はこの記事を参考にしてみてください。