道路工事や建設現場でよく見かける土木作業員の仕事ですが、土木作業員の仕事はそもそも資格が必要なのでしょうか。また、土木関係の資格にはどのような資格があるのでしょうか。当記事内では、土木関連のスキルアップに役立つおすすめの資格を詳しくご紹介していきます。
目次
土木作業員の仕事に就くためには、特定の資格が必要なのでしょうか。また、土木作業員が資格を取得するメリットは何でしょうか。
建設工事は2つのカテゴリーに分けられます。土木工事と建築工事です。土木工事には、道路、橋、ダム、鉄道、空港、河川、港湾、宅地などの建設や、電気、ガス、水道、電力、通信設備などのインフラ整備が含まれています。
また、土木作業員は災害後の復旧作業でも活躍しています。一方、建築工事では、一戸建て住宅やアパート、ビルなどを建設します。
土木作業員は土木工事現場でさまざまな作業を行いますが、その作業内容によって2つに分けられます。
土工は、労働力を使って資材を動かしたり、穴を掘ったりする仕事です。機械土工は、重機を操作します。
土木作業員の新人時代の主な業務は、資材や工具、土の運搬、コンクリートの練り混ぜ、土の掘り起こしなどの手作業のほか、職人の補助や後片付けなどがあります。
土木現場で働き、ショベルカーやホイールローダーなどの重機を操作する資格を取得すると、土木作業員として重機を使った仕事ができるようになります。
土木作業員の多くは、土木作業を行う建設会社に勤務しています。電車で直接現場に行く人もいれば、会社に集合して社用車で行く人もいて、会社や現場によって様々です。
土木工事は、早朝に作業をして夕方に終わることが多いのですが、道路や鉄道の工事など、深夜や早朝に作業をする現場もあります。
土木作業員は朝早く、だいたい7時頃に出勤します。現場によっては、オフィスから車で移動することもあります。
朝は8時に現場での朝礼から始まり、ラジオ体操、作業内容の打ち合わせなどが行われます。休憩時間は通常1日3回で、最初の休憩は午前10時から15分間です。
仕事を再開した後、12時に1時間の昼休みがあり、13時に仕事が再開され、15時に3回目の15分休憩があります。
その後、午後5時まで作業を行い、現場を片付けて翌日の作業を確認した後、最終ミーティングを行います。仕事がハードなだけに、休憩時間はしっかり休むことが大切です。
土木技術者になりたいだけなら、何の資格も必要ありません。しかし、資格がなければ、重要なポストや責任あるポジションに就くことはできません。
資格を取得すれば、建設現場での責任者となり、収入アップも期待できます。土木の分野でモチベーションを保ちながら仕事を続けていくには、資格を取得することが必要です。
作業員としての仕事をしながら、土木関係の資格を取得する方も多いです。これは、土木関係の資格の中には、現場での実務経験を必要とするものがあるからです。
実務経験を証明するためには、勤務先が発行する実務経験証明書が必要となりますので、仕事をしながらでないと取得できない資格もあります。
そのため、資格の種類によっては、土木作業員として働いて実務経験を積みながら資格取得を目指す人も少なくありません。
では、作業員が資格を取るメリットについて詳しく見て見ましょう。土木工事を行うには、いくつかの資格が必要です。というのも、土木工事の種類によっては、必要な資格を持っている作業員が現場にいないと受注や作業ができないからです。
また、安全の観点からも、個々の労働者の知識、経験、技能を評価する上で、資格は重要です。建設現場で行われる作業には様々な種類があり、作業の種類によっては有資格者のみが作業を行う必要があります。
建設現場では建設機械を使用しますが、その機械を使用するオペレーターは建設機械の免許を持っていなければなりません。
例えば、クレーンを使用する建設現場では、オペレーターはクレーン運転免許を取得していなければなりません。
また、クレーンは資材や機器を吊り下げたり、取り外したりするための作業が必要ですが、この作業には別途「玉掛け」と呼ばれるライセンスが必要です。
言い換えれば 資格を持っていれば、現場でやりたい仕事、必要な仕事ができます。土木の仕事は、河川、道路、トンネル、橋梁など多岐にわたります。
そのため、さまざまな建設現場でさまざまな作業を経験することで、スキルアップを図ることができます。
例えば現場監督として工事現場の流れを管理し、安全を管理する仕事をするには、「土木施工管理技士」の資格が必要になります。
必要な資格を取得してスキルアップし、できる仕事の幅が広がれば、収入アップも期待できます。土木作業員と呼ばれる作業員ならば、建設機械を操作する必要がないため、特別な資格がなくても働くことができます。
一方、機械土木作業員は、建設機械を操作するための資格が必要です。もちろん、資格を必要としない土木作業員あっても、現場で経験を積み、将来の仕事に役立つ勉強や資格取得を考えるのは懸命なことと言えるでしょう。
それでは、いよいよ土木関連のスキルアップにおすすめの資格を見ていきましょう。技術士建設部門、技術士総合技術管理部門、一級土木施工管理技士、二級土木施工管理技士、RCCM、測量士、コンクリート診断士、コンクリート技士、労働安全コンサルタント、技術士補の合計10の資格を取り上げます。
土木関連であると有利になる資格の一つ目は、技術士(建設部門)です。この資格を持っていることで、公共工事の入札を行う際に有利に仕事を獲得することができます。技術士の資格を持っている方は、会社にとって大切な人材といえます。
技術士と一口に言っても、全部で21の部門に分けることができます。そのうち建設部門は土木・建築関連の仕事を担当しています。具体的には、技術調査、設計、工事の監理など、土木工事に関する監督業務を行うのが技術士です。
受験資格 | 第一次試験:なし 第二次試験:7年の実務経験 |
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試験内容 | 適正科目、基礎科目、専門科目 |
合格率 | 12% |
難易度 | ★★★★★ |
公式URL | 公益社団法人日本技術士会 |
土木関係でおすすめの資格には技術士総合技術管理部門も挙げることができます。発注元、外注先、顧客を含めたプロジェクト全体を管理することができます。
技術士の資格を取ることで、会社のプロジェクトマネージャーになることができます。そのため、特定の分野に特化するのではなく、将来的にプロジェクト全体を管理できるようになりたいと考えている方には、「技術士(総合技術管理部門)」の資格の勉強をお勧めします。
受験資格 | 第一次試験:なし 第二次試験:10年の実務経験 |
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試験内容 | 適正科目、基礎科目、専門科目 |
合格率 | 20% |
難易度 | ★★★★☆ |
公式URL | 公益社団法人日本技術士会 |
土木職から現場監督などの管理職に進むには、土木施工管理技士の資格が必要ですが、その中でも一級は適性や難易度の面で最も難しいとされています。一級は資格や試験の難易度が高いので、まずは二級を目指しましょう。
土木施工管理技士資格には一級と二級があり、一級土木施工管理技士は、監理技術者にもなれます。監理技術者とは、工事現場において安全面、品質管理などの様々な監理業務を行います。
受験資格 | 1年以上の指導監督的実務経験年数 |
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試験内容 | 学科試験、実地試験 |
合格率 | 学科試験:56%、実地試験:34% |
難易度 | ★★★★☆ |
公式URL | 一般財団法人全国建設研修センター |
二級土木施工管理者の資格も土木関係の仕事では役立ちます。二級土木施工管理技士の資格があると行える業務や資格の取り方は以下の通りです。
二級の土木施工管理技士は、計画許可が下りたすべての建設現場で主任技術者として必要とされます。主任技術者は、工事現場の指導監督を任されている立場です。現場での工程を管理したり、施工計画を作成するのも仕事の一部です。
試験に応募するには、大学卒業者は1年以上の実務経験、専門学校卒業者は2年以上の実務経験、高校卒業者は3年以上の実務経験が必要です。
一級土木技術者、二級土木技術者ともに、受験するには実務経験が必要です。
受験資格 | 大学の指定学科を卒業後1年以上の実務経験 |
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試験内容 | 学科試験、実地試験 |
合格率 | 58% |
難易度 | ★★★☆☆ |
公式URL | 一般財団法人全国建設研修センター |
RCCMという資格もおすすめです。この資格を有していることで、技術士の資格がなくても建設コンサルタントという業務を行うことが可能になります。
RCCMの資格を持つ建設コンサルタントは、建設会社に対して設計や施工、またメンテナンスに至るまで様々なアドバイスを行う立場です。自営業でコンサルティングビジネスを始めたい方はRCCMの取得をおすすめします。
受験資格 | 大学卒(実務経験10年) |
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試験内容 | 筆記試験のみ |
合格率 | 41% |
難易度 | ★★★☆☆ |
公式URL | 一般社団法人建設コンサルタンツ協会 |
測量士は工事現場で土地を測量する時に必要な資格です。測量士試験は、国家試験の一つです。試験の目的は、測量士として活動するために必要な専門的な知識と技術を持っているかどうかを判断することです。
試験に合格すれば、国土地理院に登録して仕事を受けることができます。一方、学校や研修機関で測量の特別コースを修了し、所定の年数以上の実務経験を積んだ人は、試験を受けることなく、国土地理院に登録して測量士になることができます。
測量士の仕事は業務独占のため、常に需要があることが予想されます。日本のすべての測量の基礎となる基礎測量や、国や地方自治体の公共測量に参加する際に必要となります。
企業によっては、求人情報にこの資格を必要としているところもありますので、就職活動の際には有利です。
また、土地家屋調査士試験の際に、測量士・測量士補の資格をお持ちの方は、主に測量に関する問題が出題される午前の部の試験が免除されます。
受験資格 | なし |
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試験内容 | 筆記試験(択一式、記述式) |
合格率 | 11% |
難易度 | ★★★★★ |
公式URL | 公益社団法人日本測量士協会 |
次にご紹介するのは、「コンクリート診断士」です。様々な分野の工事において幅広い需要があるため、仕事を探す際にも役立つ資格であることに間違いありません。
コンクリート診断士の資格を持っていることで、コンクリートやセメント会社はもちろんのこと、建築土木業に関係するさまざまな企業で重宝されます。
ただし、コンクリート診断士の資格を受験するためには、コンクリートに関係する実務経験が求められます。高卒なら8年以上の実務経験が必要になりますし、大卒でも4年以上実務経験を積んでいる方のみ受験することができます。
受験資格 | 大学卒:コンクリートに関して4年以上の実務経験 |
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試験内容 | 筆記試験(四肢択一、記述式) |
合格率 | 15% |
難易度 | ★★★★☆ |
公式URL | 公益社団法人日本コンクリート工学会 |
「コンクリート技士」とは、コンクリートに関する技術的な業務を遂行する能力を持つエンジニアを認定する資格です。
仕事内容としては、コンクリートの製造・施工のほか、配合設計、試験、検査、管理などの業務があります。コンクリートは、交通インフラやビルなどの建築物に使われるため高い需要があります。
そのため、コンクリートの品質や信頼性に対する要求は非常に高く、技術者には豊富な知識と高い技術力が求められます。
資格を取得することで、その資格が認定されるため、コンクリートを使った様々なプロジェクトに携わることができます。
また、コンクリート診断士を目指す場合は、資格要件の1つとして、コンクリート技士や上級技士の資格を持っていることがおすすめです。
受験資格 | コンクリートの技術関係業務や実務経験が3年以上 |
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試験内容 | 筆記試験のみ |
合格率 | 30% |
難易度 | ★★★☆☆ |
公式URL | 公益社団法人日本コンクリート工学会 |
労働安全コンサルタントも土木関連では非常に役立つ資格の一つです。労働安全衛生のスペシャリストとして、建築・土木業界の企業を対象に、正社員として専属で働くことができます。
労働安全コンサルタントの仕事は、事故防止のために従業員に安全管理のアドバイスをすることです。
建設・土木業界では、労働者が危険な作業に従事することが多いため、労働安全コンサルタントの必要性は非常に高いと言えます。
受験資格 | 技術士試験合格者、第1種電気主任技術者 |
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試験内容 | 筆記試験(択一式、記述式、口述試験) |
合格率 | 23% |
難易度 | ★★★★☆ |
公式URL | 公益財団法人安全衛生技術試験協会 |
技術士補の資格も土木関係の仕事に携わる方にはおすすめです。この資格があれば、技術士の業務を補佐することができます。技術士を目指す方は、まずは技術士補を受験してみてはいかがでしょうか。
技術士試験は第一次試験と第二次試験で構成されており、第一次試験に合格した方は、登録手続きを行うことで技術士補になることができます。誰でも受験できますし、受験しなくても、認定講座を受講すれば、技術士補になることができます。
受験資格 | なし |
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試験内容 | 適正科目、基礎科目、専門科目 |
合格率 | 49% |
難易度 | ★★☆☆☆ |
公式URL | 公益社団法人日本技術士会 |
土木作業員には資格が必要ありませんが、収入アップやキャリアアップを目指す方にはぜひ資格を取得されることをおすすめします。
中には受験資格が必要でないものもありますし、現場経験があれば受験できる資格もあります。数多くの資格がありますので、どれか一つ目標を決めて受験勉強してみてはいかがでしょうか。