求人広告や求人サイトでよく募集しているのを見かける警備員の仕事ですが、警備員として就職するためには何か特別な研修が必要なのでしょうか。また、研修内容はどのようなものでしょうか。警備員の仕事に興味を持つ方に向けて、現場に出る前に警備員が受ける訓練内容や教育について解説していきます。
まずは、警備員の仕事をするためには必ず研修を受けなければいけないのかをみていきましょう。警備員に研修が必要な理由についても知っておくと、警備会社の仕事に応募する前に心構えをすることができます。
警備員の仕事を詳細に定めた法律は「警備業法」と呼ばれています。警備業法では、新たに警備員を採用して現場に配属する際には、所定の訓練を受けさせなければならないと定められています。
具体的には、警備業法第21条第2項に、警備に関する各種資格を有する者、経験者、警察官経験者は、要件の一部が免除され、訓練期間が短縮されることが明記され、詳細に記載されています。
警備員や警察官としての経験がない場合は、「上記以外の一般警備員」カテゴリーのトレーニングを修了する必要があります。
初めて警備員の仕事に就く場合は、新任警備員研修という研修を受ける必要があります。短期間のアルバイトであっても、警備員として働くためには、雇用形態に関わらず「新任警備員研修」を修了する必要があります。
警備の仕事は、人の命に関わる責任の重い仕事であり、警備員は初心者であっても一定の知識と技術を持っていなければなりません。
そのため法律で、警備員のトレーニングの期間、時期、内容などが細かく規定されています。また、警備業法では、警備員として働くために必要な法定訓練は、国家警備員訓練免許を持つ者が行わなければならないとされています。
以前に他社で警備員として働いていた方や、セキュリティ関連の資格をお持ちの方は、トレーニングの一部が免除される場合があります。
では、警備員が仕事に就く前に受けることになっている新任研修とはなんでしょうか。新任研修に含まれる講習内容を解説していきます。
新人警備員のトレーニングは、少なくとも15時間の「基礎トレーニング」と、少なくとも15時間の「職務別トレーニング」で構成されています。
多くのセキュリティ会社では、このトレーニングを4日間かけて集中的に行っています。基礎訓練では、セキュリティ業務に必要な最低限の知識を教えてもらいます。
具体的には、警備業務に関わる法律、心構え、事故発生時の対応、護身用具の使い方、救命処置などを学びます。
基礎トレーニングは、警備業界に初めて参加する方を対象としており、18歳以上であれば、コースを修了するために特別な資格は必要ありません。
基礎トレーニングは、テキストやDVDを使った講義と実習で構成されています。礼式と呼ばれる実践的な訓練では、敬礼やランニングなどの基本姿勢や、掛け声の訓練などが行われます。
業務別敎育は、警備業務の5つの分野をカバーするトレーニングプログラムです。対象となる施設(オフィス、住宅、商業施設など)の盗難や火災を防止するための監視・巡回業務、工事現場や駐車場、イベント会場などで人や車を誘導するなどの訓練があります。
他にも、現金・貴重品等を積んだ車両の警護・身辺警護(ボディガード)、機械の保護も含め、全部で5つの分野をそれぞれ詳細に学ぶ必要があります。
トレーニングには、部屋に座ってDVDを見るだけのトレーニングと動作を伴うトレーニングの2種類があります。
また、警備員の資質向上のために、基本的な姿勢やマナーを学ぶ時間もあり、研修中には声をしっかり出すことも大切です。
実際にセキュリティの仕事をしていると、声を出さないといけない場面がたくさんあります。トレーニングでは、このための練習をしっかりと行いましょう。
現任教育とは、現在警備員として業務について、働いている方のためのトレーニングです。現任教育は6ヶ月ごとに行われ、3時間以上の基礎教育と5時間以上の職務別教育を年2回、合計16時間以上受けなければなりません。
この研修の目的は、警備員としての新しい知識や技術の習得だけでなく、新しい法令や専門的な知識を学び、専門知識の幅を広げることにあります。
警備員になるときに受ける教育や訓練は、実戦ですぐに役立つことは少ないと言えます。特に、護身術や捕縛方法などはあまり使う機会がないでしょう。
しかし、万が一に備えて、知識や技術を身につけておくことは大切です。このような知識があれば、自信を持ってセキュリティ業務を行うことができます。
近年では、モニターやセンサー、遠隔操作を利用するセキュリティ会社が増えてきました。ですから、これらのIT機器の操作方法を知っておくことも、仕事に役立ちます。
一般的によく尋ねられる、警備員の研修についての疑問点も取り上げていきます。気になる研修中のお給料や、研修がきついのかどうかなど、確かめておきましょう。
警備会社に採用された場合、警備員として働く前には、社員でもアルバイトでも研修を受けなければなりません。
トレーニング期間中は給与が支給されますが、研修中の給与は会社によって異なり、最低賃金の会社もあれば、一般社員と同じ時給の会社もあります。
新入社員は、4〜5日で計20時間の研修を受けなければならず、研修中の給与は2〜3万円程度が一般的です。
研修時間は「警備業法施行規則」で定められており、新入社員は「基礎研修」と「職種別研修」を合わせて20時間以上受けなければならないとされています。
過去3年間に1年以上の警備員、または1年以上の警察官の経験がある場合は、新任研修が免除されます。
警備員としての経験が1年以上ある場合は、7時間以上の基礎・職務別トレーニングを、元警察官だった場合は13時間以上のトレーニングを修了しなければなりません。
研修は会社によって異なり、他の会社よりも厳しい会社もあります。会社によっては、警備員として働くためのスキルを持っていない従業員を派遣したくないという理由で、特に新任研修を厳しくしているところもあります。
一般的に研修担当者は、非常に経験豊かな方が講師となっていますが、プロ意識が高いほど細部にまで気を配り、丁寧な研修をおこないます。
研修が厳しいと大変そうですが、厳しいトレーニングを受けることでスムーズに仕事に就くことができるというメリットがあります。
現場で働くようになると、訓練で学んでいない事態が起こりえます。研修ですべてを体験できるわけではありませんが、どんな事態でもある程度対処できるように、研修でしっかり学んでおくことが大切です。
研修時間は「警備業法施行規則」で定められており、新入社員は「基礎研修」と「業務別研修」を合わせて20時間以上受けなければならないとされています。
資格や経験をお持ちの方は、研修時間の短縮や免除が可能な場合があります。例えば、1年以上の経験を持つ元警察官の場合、基本教育は最低15時間から最低5時間に短縮されます。
3年以内に警備業界で1年以上の経験がある方は、基本研修が5時間以上に短縮され、業務別研修も5時間以上に短縮されます。
機械警備業務監督者の資格を持っている方なら、、新しい仕事を始める際に、通常通り15時間の基本トレーニングを受講する必要がありますが、業務別トレーニングの受講は必要ありません。
逆に、警備員指導教育責任者の資格を持つ方は、基本教育が免除されます。ただし、最低でも15時間の業務別研修を受けることが必要です。
また、警備業務検定2級に合格した方は、新任教育が免除され、現任教育における基本教育も免除されます。さらに、警備業務検定1級に合格された方は、新任教育、現任教育のいずれも受講する必要はありません。
警備員としての仕事を始める前には、必ず研修を受ける必要があります。新任研修や現任敎育の機会を通して、警備員としての勤めを果たすのに必要な訓練を十分に受けることができます。
研修でしっかりと警備員の基礎と求められている仕事内容を理解することで、早く一人前の警備員として認めてもらう近道になります。