ハローワークといえば、仕事を探しに行くイメージですが、ハローワークにももちろん働いている職員がいます。つまり、転職先としてハローワークに就職するという選択肢もあるということです。では、実際にハローワークではどのような仕事内容があるのでしょうか。またハローワークで働くにはどうすればいいのでしょうか。順に見ていきましょう。
ハローワークは、厚生労働省が全国500カ所以上に設置している公共職業安定所です。通称「職安」と呼ばれるハローワークでは、就職や転職を希望する人に対して、職業紹介や求職相談、雇用保険の手続きなどの支援を行っています。
つまり、国内の安定した雇用の維持に努めている組織です。ハローワークでは、雇用に関する対策や手続きを行っています。求人情報の閲覧や応募、職業相談、応募書類の添削、面接指導など、就職活動に不慣れな求職者にとって心強いサービスが充実しています。
雇用・転職エージェントと同様に、求職者は無料でハローワークを利用することができます。ハローワークでは、若年層の雇用安定化に取り組んでおり、新卒者やフリーターなど若年層向けの施設や窓口が多く用意されています。
それでは、ここからはハローワークで行われている仕事内容について解説します。ハローワークに勤めることで、どのような内容の仕事を行うことになるか、ご確認ください。
ハローワークの主なサービスは、「職業紹介」「雇用保険」「雇用対策」の3つに分けられます。ハローワークの役割は、求職者と企業から寄せられた求人情報をマッチングさせ、新たな雇用を創出することです。
また、求職者がよりよい仕事に就けるように、ハローワークでは職業訓練の斡旋や、仕事を探している間の収入を得るための雇用保険の手続きなども行っています。
ちなみに、仕事を探すだけであれば、「転職ナビ」のような民間が運営する求人サイトも利用できます。ただし、雇用保険の手続きはハローワークでしかできないので、雇用保険を受給したい場合は一度、ハローワークに足を運ぶ必要があります。
ハローワークの基本的な機能は、求職者と企業の雇用関係を仲介することです。雇用関係を成立させるためには、具体的には以下のような業務が行われます。
このように、ハローワークでは求人情報の紹介だけでなく、転職に関する相談などのサービスも行っています。
また、ハローワークのインターネットサービスを利用すれば、ハローワークに掲載されている求人情報をオンラインで検索・閲覧することができます。
ちなみに、ハローワークインターネットサービスに掲載されている求人情報は一般公開されており、民間の求人サイトに転載されている場合もあります。
また、ハローワークは職業紹介だけでなく、雇用保険制度の窓口としても機能しています。具体的には、以下のような手続きをハローワークで行うことができます。
また、人材バンク、マザーズハローワーク、パート・アルバイトバンク、学生職業センター、学生就職相談窓口など、求職者や事業主のニーズに応えるためのさまざまな施設が用意されています。
もちろん、ハローワークに登録されている求人情報の多くは、企業から持ち込まれたものですが、大卒者向けの求人など、ハローワークの職員が出向いて求人を依頼することもあります。
採用部門のスタッフが行う開発業務は、いわゆる営業業務に近いものがあります。仕事を受注した後も、さまざまな形でフォローします。
ハローワークでは、就職に関するセミナーを開催しています。ハローワークの職員はそのセミナーの講師を務めることもあります。セミナーの内容は、基本的なマナー、応募書類の書き方や面接対策などの演習、転職や就職に役立つ労働法のセミナーなどです。
また、配布用の求人情報を印刷したり、印刷物を閉じて冊子を作ったりする事務作業もあります。こうした作業を行う担当はほとんどがアルバイトで、窓口での相談業務は担当していません。
それでは、ここからは実際にハローワークで働こうとする場合に、どのようなステップを踏めばいいのかお伝えします。ハローワークでの仕事を真剣にお考えの方は、ぜひ参考にしてください。
ハローワークで働くには、臨時職員としてハローワークに出される求人に応募する方法があります。主に契約ベースで雇用され、雇用期間は1年と決まっています。契約の更新は可能ですが、回数に制限があり、その後は公開選考が行われます。
仕事の内容は、ハローワークの規模によって異なりますが、大きな事務所の場合は、部署ごとに仕事が決まっていることが多く、小さな事務所や出張所の場合は、部署が決まっておらず、対象となる仕事の範囲が広いことが多いようです。
求人情報ですが、多くの場合、2月末から3月初めにかけて求人が出され、年度初め(4月)から雇用が開始されます。もし求人が開始されたら、できるだけ早く応募するようにしましょう。
ハローワークの職員になりたい場合は、公務員試験を受ける必要があります。ハローワークは厚生労働省の管轄なので、まずは国家公務員試験を受けてから初めてハローワークに勤めるためのステップを踏むことができます。
試験は1年に1回しか行われないので、試験に合格したからといって必ずしも地元のハローワークに就職できるとは限りません。また、公務員には人事異動がありますので、数年先にハローワークの職員になる可能性もあります。
とはいえ、これは、正規の職員として働く場合です。例えば、アルバイトやパートとして働く場合なら、ハローワーク自体が求人を出しています。
最後に、ハローワークで働くことで感じられるやりがいについても見ていきましょう。もしハローワークでの仕事に迷っている方がおられるなら、ここでご紹介する情報を役立てていただければ幸いです。
ハローワークにはさまざまな雇用形態や仕事がありますが、求職者のために存在していることに変わりはありません。
部署によっては、求職者と直接顔を合わせることが少なく、一見すると仕事が直接関係ないように見えることもあります。
しかし、就職を希望するすべての人をサポートするセーフティーネットとしてのハローワークの存在意義を考えれば、各部署の仕事は求職者の就職支援にもつながっていると言えるでしょう。
求職者が実際に就職活動を成功させるために必要な条件を満たしていないケースは多々ありますが、その不足分を埋めるためのアドバイスをすることもハローワーク職員の仕事の一つです。
求職者にスキルが不足していれば、職業訓練の受講を勧めたり、適性があれば、相手に合った仕事を探して応募手続きを案内したり、本人が気づいていない強みがあれば、その強みをどうやってアピールするかを考えたりします。
つまり、プロデュースと呼ばれる仕事内容に近いものがあります。そのため、最終的に就職活動がうまくいったときには、「プロデュース」でお役に立てたと思うと、やりがいを感じることができます。
では、実際にハローワークで働いている職員の方は、仕事についてどう感じているのでしょうか。
23年ハローワークで勤めている職員の方によると、「ハローワークの仕事は窓口業務が中心で、毎日いろいろな人と接する機会があります。そのため、確かに大変なことも多いですが、自分の仕事の成果がダイレクトに返ってくる仕事なので、とてもやりがいがあります。」とのことです。
また、別の若手職員の方は、「確かに、人と企業との間を仲介する仕事は責任も重く、大変なことも多いのですが、その分、やりがいや喜びを感じられる仕事です。」と言われています。
このように、第一線で働く職員の方たちは、ご苦労がありながらも、人から感謝される仕事にやりがいを感じておられることが伝わってきます。
今回の記事では、ハローワークで働くということについて説明しました。ハローワークとは何か、ハローワークではどのような仕事内容があるのか、理解していただけたでしょうか。
求職者の方が、より早い段階で安定したやりがいのある仕事に就くためのお手伝いをすることは、ハローワークで働く醍醐味であり、意義のある仕事だといえます。
転職を考えている方は、ハローワークで人を助けるやりがいのある仕事を探してみてはいかがでしょうか。