夏の代表的な野菜といえばナスやトマトですが、実はトマトがナス科ということをご存知でしょうか。ナス科の野菜にはナスやトマトだけでなく、他にも身近でお馴染みの野菜がナス科に分類されているのです。こちらの記事ではナス科の野菜についてまとめてみました。さらにナス科野菜のおすすめレシピも紹介するので参考にしてみましょう。
目次
トマトとナス、どちらもナス科の野菜ですが、見た目では同じ種類に分類されているとは思いません。そこでナス科の植物の特徴を理解して共通するポイントを把握してください。
ナス科は主に熱帯から温帯、アジアや南米などの暖かい地方が原産地で、インド東部という説がもっとも有力です。そのためナス科植物を育てるには強い日差しと高温が必要とされています。
日本に伝わった時期は明確にはされていませんが、奈良時代の書物にナスを栽培していた記述が多くあることから、奈良時代にはすでに日本にあったことが示されています。
多くの種類は一年草や多年草ですが、日本で育てられるナスは基本的に越冬が難しいこともあり一年草扱いになっています。現在ではハウス栽培によって収穫時期が夏に限らず、いつでも入手可能です。
ナス科の花は両性花でひとつの花におしべとめしべの両方があり、自家受粉ができるようになっていますが、他家受粉も可能です。
花はがく片5、花冠5裂、雄ずい(おしべ)は5本、雌ずい1本です。茎と葉の付け根部分から花柄を伸ばした場所に花が咲き、花の色は紫が多く、他にも白や赤、青、黄色など様々な色の花で見た目にも楽しめます。
ナス科の植物は世界中で約115属もあり、食用とされる野菜の種類はナスを始め、トマトや唐辛子、ししとう、ピーマン、じゃがいも、タマリロがあります。
そのなかでも色々な調理法で食卓に並ぶことも多いナスは、元々水分が多く栄養の少ないものだと認識されていました。しかし現在ではビタミンB群やビタミンC、鉄、カルシウム、食物繊維、カリウムなどを含むことがわかっています。
また、ポリフェノールの1種であるナスニンは抗酸化作用のあるアントシアニン系の色素であり、老化予防や動脈硬化予防にも効果があります。カリウムを多く含むため、利尿作用があり身体を冷やす作用があるので多量に摂取する場合にはショウガなど身体を温める作用のあるものとの同時摂取がおすすめです。
先程も記述したようにナス科の植物には食用となる野菜が複数存在します。普段から食べられるものとしてナスやトマト、じゃがいも、ピーマンなどがありますが、それらの特徴も見てみましょう。
食用となるナス科の野菜には食べるときに気をつけなければいけない毒があります。もっとも知られているのがじゃがいもの芽ではないでしょうか。じゃがいもを調理する際には芽の部分を取り除くことが基本ですが、これはじゃがいもの緑色の皮部分や芽にはソラニンと呼ばれるアルカロイド系の毒素が含まれているからです。
しかしじゃがいもの芽に毒があることを知っていても、ナス科の野菜にはすべて毒性があることはあまり知られていません。ですがナスやトマトを食べるときに「毒性がある」とは聞きませんが、これはナスやトマトに含まれるアルカロイド系の毒素がかなり微量だからです。そのため食べ過ぎる、一度に数kg単位で食べることがなければあまり心配ありません。
食べ過ぎることがなければ毒の心配がないナス科の野菜ですが、アレルギー体質の人は少し注意が必要です。
ナス科の野菜に含まれる毒性は主にアルカロイド系ですが、ナス科野菜にはアレルギー反応を起こしやすいレクチンの含有量も多く、アレルギー体質で体調が良くないときにはあまりナス科野菜を食べないほうが良いでしょう。
また、アレルギー体質でない人でも可食部である実以外の葉や茎などにはソラニンやトマチンなどが含まれているため、口に入れないようにしてください。
ここからはナス科の主な野菜の特徴やおすすめレシピを紹介します。どの野菜も普段から良く利用するものばかりなので、献立の参考にしてみてください。まずはナス科野菜の代表でもあるナスの特徴とレシピをチェックしてみましょう。
ナスは焼いたり煮たり、揚げたりとどんな調理法でも美味しく食べることができる野菜ですが、成分の90%以上が水分です。そのため他の野菜と比較しても低カロリーになっています。
少量のミネラル類と食物繊維が含まれ、抗酸化作用のあるナスニンや血圧やコレステロールを下げるコリンも含まれています。カリウム含有量が多く、身体を冷やす効果があるため夏野菜としてもぴったりです。
ナスを使ったおすすめレシピは色々ありますが、食欲をそそる香りとご飯がすすむ濃いめの味付けが人気の『麻婆ナス』を見てみましょう。
材料(2人分) | 分量 |
---|---|
ナス | 2~3本 |
ピーマン | 2個 |
豚ひき肉 | 150g |
ニンニク | 1/2片 |
ショウガ | 1/2片 |
白ネギ | 1/2本 |
サラダ油 | 大さじ1 |
豆板醤 | 小さじ1.5 |
★水 | 180ml |
★顆粒中華スープの素 | 小さじ1 |
★甜麺醤 | 大さじ1 |
★砂糖 | 小さじ2 |
★しょうゆ | 大さじ1 |
●片栗粉 | 小さじ2 |
●水 | 大さじ1 |
【下準備】
ナスはへたを切り落として一口大にカット、分量外の塩水にナスを入れてアク抜きをします。ピーマンは種を取り除き一口大に切ります。ニンニクとショウガ、白ネギはみじん切りにしておきましょう。★マークの調味料をすべて混ぜ合わせておきます。●マークの片栗粉と水を混ぜ、水溶き片栗粉を作ります。
【作り方】
ナス同様に夏野菜のひとつ、トマトもナス科野菜になります。家庭菜園で育てる人も多く、手軽に利用できる野菜としてもおすすめです。
原産地は南米ペルーのアンデス高原、赤く熟れた果実を食用とする緑黄色野菜のひとつでもあります。リコピンやβカロテン、ビタミンCを含んでいます。
トマトを輪切りにすると放射状に5つに分かれていますが、これはナス科植物の特徴でもある花冠5裂によるものです。
酸味があるものだけでなく、甘みの強いフルーツトマトや栽培が簡単なミニトマトなど多くの品種があるのも特徴です。
夏野菜として主にそのままサラダに使われることが多いトマトですが、ピザやパンに乗せたり、トマトソースにしたりと加熱しても美味しくいただけます。サラダとして生食の多いトマトですが、ひと手間加えたレシピ『ざくざくトマトサラダ』もおすすめです。
材料(2人分) | 分量 |
---|---|
トマト | 2個 |
青じそ | 10枚 |
★玉ねぎ | 1/4個 |
★ポン酢 | 大さじ2 |
★オリーブオイル | 大さじ1 |
★みりん | 小さじ1 |
【下準備】
青じそは千切りにし、玉ねぎはみじん切りにしておきます。辛味が強い場合は冷水に5~10分ほどさらしておきましょう。水にさらしたあとはキッチンペーパーでしっかりと水切りします。
【作り方】
意外に思う人も多いですが、じゃがいももナス科野菜に分類されます。先程も記述したように、じゃがいもの緑に変色した皮の部分や芽には毒性のあるソラニンが含まれているため、調理する際にはしっかりと取り除くようにしましょう。
原産地は南アメリカのアンデス山脈、世界中で栽培されているため、多くの国で様々な料理に使われています。17世紀始めにオランダ船によって伝来したと伝えられています。
日本で本格的に栽培が始まったのは明治維新後、当初は西洋料理素材でしたが、徐々に家庭料理として取り入れられるようになりました。
デンプンを多く含む割に低カロリーであり、ビタミンCを豊富に含むためフランスでは「畑のりんご」とも呼ばれています。
煮ても焼いても揚げても美味しいじゃがいもはどんな料理にも良く合います。カレーや肉じゃがはもちろん、コロッケ、ポテト、おでんなどその調理法は数多くありますが、こちらで紹介するのは『ポテトサラダ』です。
材料(4人分) | 分量 |
---|---|
じゃがいも | 3~4個(400g) |
卵(ゆで卵) | 2個 |
きゅうり | 1本 |
人参 | 3~4cm |
玉ねぎ | 1/4個 |
★塩 | 小さじ1~ |
お酢 | 小さじ2~3 |
マヨネーズ | 大さじ4~ |
こしょう | 少々 |
【作り方】
子どもの苦手な野菜上位に入るピーマンもナス科野菜になります。近年では苦味を抑えた品種も増えているので食べやすくなっています。
熱帯アメリカ原産のピーマンは緑黄色野菜や夏野菜の代表であり、ビタミンA・C・Eが豊富で、特にビタミンCはトマトの5倍、レモンの2倍も含まれています。
ビタミンCは加熱調理によって失われやすい栄養素ですが、ピーマンのビタミンCは他の野菜よりも調理後の損失が少ない特徴があります。
「ピーマンは苦いので苦手」という人も少なくありませんが、切り方によって味わいが変わります。苦味を抑えるには横切りすると良いでしょう。青椒肉絲や野菜炒め、チャーハンなど色々な料理に使われるピーマンですが、甘辛味でご飯がすすむ『ピーマンとじゃこの炒めもの』もおすすめです。
材料(2人分) | 分量 |
---|---|
ピーマン | 5個 |
ちりめんじゃこ | 30g |
かつお節 | 3g |
ごま油 | 大さじ1 |
輪切り唐辛子 | 3g |
★酒 | 大さじ1 |
★砂糖 | 小さじ1 |
★しょうゆ | 大さじ1 |
【作り方】
パプリカはナス科トウガラシ属に分類される、辛味のないトウガラシの栽培品種になります。パプリカとよく似ているピーマンも同じナス科トウガラシ属ですが栽培品種が異なり、さらに原産地や収穫時期、栄養価などにも違いがあります。
パプリカの原産地はハンガリー、1990年代にオランダから日本に輸入されました。ピーマンよりも肉厚で甘みが強く、未成熟期に収穫するピーマンよりも栄養価が高いのも特徴です。
完熟期に収穫するパプリカの栄養素は、ピーマンと比べるとビタミンCは2倍、カロテンは3倍にもなります。赤やオレンジ、黄色があり、色によって味わいにも違いがあります。苦味のないものを選ぶのであればオレンジや赤がおすすめです。
カラフルなパプリカはお弁当に入れてもきれいですが、お弁当に生野菜は避けたいものです。そこでおすすめなのがお酢に漬け込む『アスパラとパプリカのピクルス』はいかがでしょうか。もちろん普段の食卓に並べたり、お酒のおつまみにしてもおしゃれです。
材料(2~3人分) | 分量 |
---|---|
アスパラガス | 5本 |
赤パプリカ | 1/2個 |
黄パプリカ | 1/2個 |
★お酢 | 150cc |
★水 | 100cc |
★砂糖 | 大さじ3 |
★塩 | 小さじ1 |
★ニンニク | 1片 |
★ローリエ | 1枚 |
★赤唐辛子 | 1本 |
【下準備】
ニンニクは芽を取って薄くスライスします。保存容器はあらかじめ煮沸消毒して完全に乾燥させておきましょう。
【作り方】
あまり馴染みのないナス科野菜にタマリロがあります。別名ツリートマトや木立ちトマトとも呼ばれ、ナス科ナス属の植物ですが木になることから果物とされています。
タマリロは別名からも分かるように、2~8cmほどの実がなるトマトですが、カテゴリー的には果物扱いとなっています。パッションフルーツとトマト、キウイフルーツの中間のような味わいで、ビタミンA・B6・C・Eが豊富に含まれています。低カロリーで鉄分や食物繊維も含まれるため、ダイエット中の間食にも利用できそうです。
縦半分にカットして中身をスプーンですくって食べたり、砂糖をかけたり生食もできるタマリロですが、サラダやコンポート、ピューレなどの食べ方もあります。こちらではパンやヨーグルトにも合う『タマリロジャム』の作り方を紹介します。
材料 | 分量 |
---|---|
タマリロ | 600g |
レモン果汁 | 1個分(約30ml) |
砂糖 | 480g(300~600gで調整) |
【下準備】
タマリロは皮をむいて可食部だけにします。保存容器は煮沸消毒してしっかりと乾燥させておきましょう。
【作り方】
唐辛子はナス科トウガラシ属に分類される多年草で、ピーマンやパプリカと同種の植物になります。
辛い野菜として知られる唐辛子ですが、日本では辛味の少ないシシトウガラシや万願寺とうがらしなどもあります。
唐辛子の辛味はカプサイシンによるもので、種子のある胎座に多くあり、食べることで発汗や強心作用を引き起こすと共に食欲増進にも繋がります。
また、ビタミンCによる疲労回復や血流がよくなり身体を温める効果も期待できるため、冷え性や肩がこりやすい方にもおすすめです。
ピリッとした辛味がクセになる唐辛子はメイン食材というよりも、サブ要素で使われることが多くなっています。メイン食材として使うのであれば唐辛子の甘辛炒めなどもありますが、こちらではタイでおなじみの『ガパオ炒め』を紹介します。
材料(3~4人分) | 分量 |
---|---|
豚ひき肉 | 300g |
玉ねぎ | 1/2個 |
いんげん | 6本 |
赤ピーマン | 1/3個 |
しいたけ | 2枚 |
ホーリーバジルの葉 | お玉4杯分 |
サラダ油 | 大さじ3 |
生の赤唐辛子 | 1~2本 |
ニンニク | 1片 |
鶏ガラスープ | 150cc |
★オイスターソース | 大さじ3~4 |
★ナンプラー | 大さじ2~3 |
★シーユーダム(黒醤油) | 中さじ1~2 |
砂糖 | 2つまみ |
塩・こしょう | 適量 |
【下準備】
豚ミンチは好みで下味をつけ1~2時間置いておきます。玉ねぎと赤ピーマン、しいたけはスライスにしていんげんは輪切りに、ニンニクはみじん切りにしておきましょう。
【作り方】
ナス科の野菜は普段良く利用する野菜として複数あります。同じナス科でも味や食感、調理方法が異なるので、色々なレシピでなす野菜を楽しんでみてください。