野菜や果物、魚などには味がもっとも良いとされる時期、『旬』があります。旬の食材を楽しむことは一番美味しい時期であるだけでなく栄養価が高く、安価で購入できるメリットがあります。こちらの記事では春の食べ物や旬の食材を使った料理を紹介します。春は入学式や花見、ピクニックに最適な季節、心地良い季節にぴったりの食材や料理を楽しんでみましょう。
目次
春といえば寒い冬が終わり、草木や花が新芽を出す季節です。そこで春の食べ物といえば多くの方は野菜が思い浮かぶのではないでしょうか。
春はたけのこやフキノトウ、タラの芽など、野山で採取できる山菜や自生野菜などに注目が集まります。他にも春キャベツや新じゃが、新玉ねぎなど、「春」や「新」と付く野菜も目立ちます。
じゃがいもや玉ねぎは1年中スーパーで見かけ、毎日の食卓にも欠かせない食材ですが、やはり春になれば甘みや旨味が違い、旬の野菜と感じることも少なくありません。
しかし春の食べ物は野菜だけに限らず、もちろん果物や魚にも春が旬のものがあります。近年では養殖やハウス栽培、輸入によって季節を問わず色々な食材を味わうことができますが、やはり春の食材は美味しい時期に食べてみたくなります。ここからは春の食べ物をカテゴリー別にチェックしてみましょう。
魚にも旬があり、春の魚が存在します。魚は地方によって多少のばらつきがありますが、こちらでは一般的に春が旬の魚を紹介します。
漢字にすると魚へんに春、まさに春の魚とされるのが『さわら』ですが、実は春が旬とされるのは関西で、関東では脂ののった冬が旬と言われることもあります。
さわらの字源は春の春になると沿岸に現れ人目に付くことから「春を告げる魚」からきています。また、身体が細長く左右に平たいことから「狭い腹」、「狭腹(さわら)」と呼ばれる説もあります。出世魚で成長過程でサゴシ(40~50cm)・ナギ(50~60cm)・サワラ(60cm以上)となり、最大115cmの個体も記録されています。
身が白いため白身魚として扱われますが、成分的には赤身魚になります。代表的な料理として西京焼きがあり、身が柔らかいので煮魚よりも焼き魚として食べられることが多くなっています。
祝い事の席でも振る舞われることの多い鯛も春の魚となっています。基本的に1年中漁獲できる、養殖が盛んな鯛ですが、天然物で美味しいとされる旬は春と秋です。
特に春の鯛は「桜鯛」と呼ばれ、産卵期を迎える前の雌の体がピンク色になることから呼ばれるようになりました。鯛といえばイシダイやキンメダイなど様々な種類が存在しますが、通常「鯛」と呼ばれるのは真鯛で、春に水揚げされる桜鯛も真鯛になります。
高級品となる鯛はもちろん天然物であり、そのなかでも網ではなく一本釣りされたものが高級品として扱われています。春が旬である美しい桜のような色をした桜鯛は、1kg未満の小ぶりな個体が皮が柔らかく、爽やかな風味と脂がのって美味しいとされています。
鰹は潮の流れに沿って日本近海では春に北上、秋に南下する回遊魚であり、古くから食用として利用されている魚です。
「初がつお」として知られる鰹は、漁獲高の大きい高知県では4~6月頃を初がつおの時期とし、春が旬となっていますが、秋に南下する「戻り鰹」の時期も旬となり、1年で2回の旬がある魚です。
加熱すると身がパサつくため、刺し身やたたきなど、生に近い状態で食べるのが美味しいとされています。また、マグロに近い肉質からツナ缶にもなっています。
大きな眼が張り出したメバルは春の海釣りの代表的な魚で、「春告げ魚」とも呼ばれています。北海道南部から九州にかけて、沿岸の海藻が多い岩礁域に生息し、全長は20~30cmほど、背びれのトゲが鋭く、扱う際には手袋やタオルを使うことが推奨されています。
磯や防波堤で釣れるものを黒メバル、水深の深い沖合で船から釣るものを赤メバル(沖メバル)、内湾に多く生息しているシロメバルの3種類がいます。
脂肪が少なく淡白な味わいで、主に煮付けとして調理されることが多いですが、塩焼きや唐揚げ、刺し身にされることもあります。
金色に輝く目があるキンメダイは、真鯛などのタイ科ではなくキンメダイ目キンメダイ科に属する深海魚の一種です。キンメダイは1年中脂がのって美味しく食べることができますが、旬と言われる時期は産地によって異なります。
もっとも美味しいとされるのが産卵期以外なので、産卵期前の5~6月や冬に向けて脂ののった12~2月がキンメダイの一般的な旬となっています。しかし深海魚であるキンメダイは旬を外してもある程度の脂がのっているため、いつでも美味しい魚なのです。
基本的に煮付けとして用いられることが多いですが、新鮮なものは刺し身で食べることもできます。目の透明度が高く、体全体にツヤがあり鮮やかな赤色の個体が新鮮なキンメダイです。
新芽が芽吹く春が旬の野菜もたくさんあります。春野菜のなかにはこの時期にした食べることができない貴重な野菜もあるので、みずみずしく栄養たっぷりの春野菜をチェックしてみてください。
菜の花は食用だけでなく観賞用としても広く知られ、菜の花畑は春の風物詩としても有名です。食用の菜の花は春野菜の代表的存在でもあり、ビタミンCやミネラル、βカロテン、葉酸などを含む栄養価の高い緑黄色野菜なのです。
野菜のなかでも足が早いため、そのまま冷凍保存したり、塩漬けや軽く塩ゆでしてから冷凍保存が良いでしょう。独特のえぐみがあり、それが苦手という方は花の咲いているものではなくつぼみのものを使うようにしてください。
水溶性の葉酸やカリウムを損なわずに調理する場合には、茹でるよりも電子レンジで加熱したほうが栄養が流れません。
春になればスーパーに出回る野菜に春キャベツがあります。キャベツは1年中購入できる野菜ですが、春キャベツは他の時期よりも葉の巻きがゆるく緑が濃い、みずみずしく柔らかな触感と甘みがあるのが特徴です。
そのためサラダや漬物などの生食用にも適しています。淡色野菜のなかでもカロテンやビタミンC・K、キャベジンと呼ばれるビタミンUが多く含まれていますが、加熱調理すると栄養素が半減するため生食がおすすめです。
スナップエンドウはアメリカ産のエンンドウマメで、グリーンピースを品種改良したものです。熟成してもさやが固くならず丸ごと食べることができる春野菜、旬は4~6月頃となっています。
たんぱく質やビタミンC・B1、βカロテン、不溶性食物繊維を含み、栄養価の高い食材として重宝されます。さやにあるスジを取り除いて調理すればサラダや肉料理の付け合せ、天ぷらなど色々な料理に利用できます。
水溶性ビタミンは水に入れると栄養が流れてしまうので、サッと茹でるかスープの具材にすると良いでしょう。旬の新鮮なスナップエンドウは生で食べることもできます。
鮮やかな緑でハリのあるものが新鮮で、保存する際は湿らせたキッチンペーパーに包み、ジッパー付きの保存袋に入れるようにします。
春の野菜といえばたけのこですが、一般的に「たけのこ」と呼ばれる種類はモウソウチク(孟宗竹)になります。旬は3~5月で、地面から少しだけ芽が出た時点で収穫されます。
たけのこは掘り出したその日のうちに販売されることが多く、春になれば直売所などで新鮮なたけのこが「朝堀」として売られています。収穫して時間が経つとエグみが増すため、大手スーパーなどでは水煮として販売されることも少なくありません。
そのため生のたけのこを購入したらできるだけ早く下茹でしておきましょう。カリウムやビタミンE、葉酸などを含み、切り口に見られる白い固形状のものはアミノ酸の一種であるシロチンです。
地面から完全にでていない、若い芽は刺し身で食べることもありますが、一般にはあまり出回りません。主に煮物や天ぷら、八宝菜など他の料理の具材として用いられます。
一年中出回っている玉ねぎの旬は10~12月となっていますが、早めに収穫され、3~4月頃に出荷されたものは新玉ねぎとして出回っています。食感が柔らかく、通常のものよりも水分や辛味が少なく、甘みがあるためサラダなど生で食べることにも特化しています。
栄養価はビタミンB1・B2・Cやカルシウム、鉄を含み、普通のものとあまり変わりませんが、生食がおすすめの新玉ねぎは加熱や水煮さらすことが少ないので、水溶性の硫化アリルを効率良く摂取できます。
心地良い気候である春には様々な果物も旬を迎えます。野菜や魚とは異なり、果物は旬の時期以外に美味しいものがあまり出回ることがありません。そのため一番美味しい春が旬の果物をチェックしてみましょう。
ビタミンCが豊富ないちごは旬が長く、12~5月頃ですが、3~4月頃のものが一番美味しいとされています。春になると色々なお店でいちごを使ったスイーツを見かけるのも旬の最盛期がその頃だからです。
ビタミンCだけでなくポリフェノールの一種であるアントシアニン、キシリトールなども含まれています。
そのままやスイーツにトッピングされるなど生食がメインですが、ジャムやピューレ、ジュースなどにも利用されます。種類によって甘みや酸味が異なるため、好みの品種を選ぶと良いでしょう。
柑橘系の一種であるはるみは清美みかんとポンカンを交配した品種です。みかんは一般的に冬のイメージがありますが、はるみの旬は春、2~3月頃となります。
外皮や薄皮が柔らかく種も少なめ、ジューシーで甘みが強く、果肉粒が大きく食べやすいみかんです。取り扱いが短期間のため、場所によっては貴重なはるみは贈答品にもおすすめできます。手に取って重みがある、皮の色が濃いとジューシーで美味しいものになります。
中国原産のキウイフルーツですが、日本に出回っているキウイフルーツの9割以上はニュージーランド産となっています。ビタミンC・Eや食物繊維、カリウムを豊富に含み、国産のものは冬から春が旬ですが、ニュージーランド産のものは春に旬を迎えます。
果肉が緑のグリーンキウイと果肉が黄色いゴールドキウイが出回っていますが、より糖度が高いのはゴールドキウイです。
どちらも栄養価に大きな違いはありませんが、ゴールドキウイのほうがビタミンCが豊富です。さっぱりと食べるならグリーンキウイ、甘いのが好みであればゴールドキウイを選びましょう。
近年日本でも人気の高い果物といえばマンゴーですが、旬の時期は産地などによって異なるものの、2月から夏の終わりまで多く出回っています。
国内で有名な産地は沖縄県や宮崎県であり、国産マンゴーの旬は5~6月頃で、この時期が一番手頃で美味しいマンゴーが出回ります。生食がメインのマンゴーですが、ジュースやドライフルーツ、ピューレとしても利用されます。
ビタミンAやカロテン、βカロテンを多く含んでいますが、ウルシ科植物に多く含まれるウルシオールと似たマンゴールも含まれるため、人によっては痒みやかぶれを引き起こす可能性があるので注意してください。
中国原産のびわは日本では四国や九州に自生し、九州・四国・和歌山・房総半島で栽培が行われています。産地や品種ごとに旬が異なりますが、多くは3~7月頃に旬を迎えます。
現在ではハウス栽培も盛んになっていますが、ハウス栽培でも収穫期は2~4月頃、より美味しい旬の時期は5月中旬となります。
βカロテンやβクリプトキサンチン、ポリフェノールの一種であるクロロゲン酸、ミネラルを含み、びわ茶など漢方としての役割も果たします。鮮やかなオレンジとハリのある果皮、産毛がしっかりと生えているものが美味しいびわです。
春が旬の魚は色々ありますが、どの魚も味や香りだけでなく栄養価も高くなっています。新鮮な魚は刺し身にしても美味しいですが、ひと手間かけて一番良い時期の春の魚を美味しいレシピで味わってみましょう。
刺し身や塩焼きで食べることが多い鯛ですが、シンプルな料理で鯛の旨味をしっかり味わうことができる『鯛とわかめの潮汁』を紹介します。
材料(1人分) | 分量 |
---|---|
鯛切り身・骨付き切り身 | 30g×2 |
生わかめ | 20g |
三つ葉 | 2本 |
柚子皮 | 1×1cm・1枚 |
薄口醤油 | 10cc |
塩 | 小さじ1と1/2 |
水 | 400cc |
酒 | 40cc |
出汁昆布 | 5×5cm・1枚 |
【下準備】
わかめは水で戻して水切りしておきます。鯛の切り身はお湯に潜らせて冷水に入れ、うろこやぬめりを取り、水気を切っておきましょう。その後塩小さじ1を振り、30分ほど置いてから水洗いします。柚子の皮は千切り、三つ葉は1cm幅にカットしておきます。
【作り方】
新鮮なアジとアサリを使っておしゃれな料理、アクアパッツァに挑戦してみましょう。大皿で作れば見た目にも豪華、パーティーにもぴったりの料理です。
材料(2人分) | 分量 |
---|---|
アジ | 2尾 |
塩 | 少々 |
アサリ(砂出し) | 150g |
プチトマト | 10個 |
ニンニク | 1片 |
赤唐辛子 | 1本 |
白ワイン | 大さじ3 |
オリーブオイル | 大さじ2 |
タイム(ドライ) | 少々 |
塩 | 小さじ1/3 |
粗挽き胡椒 | 少々 |
イタリアンパセリ(あれば) | 少々 |
【下準備】
アジは両面のゼイゴを取り除き、ウロコやエラ、ワタを取って水洗いして水気を拭き取ります。朝地はカラ同士を擦り合わせて水洗いし、ザルに上げておきましょう。プチトマトはヘタを取り、ニンニクは薄切り、イタリアンパセリはざく切りにしておきます。
【作り方】
栄養価の高い春野菜は水溶性のビタミンCなどが流れないようにサラダやスープも一緒に摂れるレシピがおすすめです。緑が鮮やかな春野菜で食卓に彩りを加えてみましょう。
春野菜である菜の花と春キャベツを使ったスパゲティはあっさりとシンプルな味付けが良く合います。ちょっとおしゃれなランチにもおすすめです。
材料 | 分量 |
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スパゲティ | 160~180g |
菜の花 | 5本 |
春キャベツ | 1/6個 |
生ハム | 40g |
卵 | 2個 |
ニンニク | 2片 |
粉チーズ | 大さじ2と1/2 |
オリーブオイル | 大さじ3 |
塩 | 12g |
黒胡椒 | 少々 |
【下準備】
菜の花は3cm幅のざく切りに、春キャベツもざく切りにします。ニンニクはみじん切りしておきましょう。卵はポーチドエッグにしておきます。
【作り方】
色々な春野菜を一度に楽しめる温野菜サラダはいかがでしょうか。野菜は生で食べるよりも温野菜にすることでかさが減り、たくさん食べれるのでおすすめです。豆腐のディップソースで好きな春野菜を味わいましょう。
材料(2人分) | 分量 |
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絹ごし豆腐 | 150g |
アンチョビ | 1~2切れ |
ニンニク | 1片 |
オリーブオイル | 大さじ1 |
粗挽き胡椒 | 適量 |
塩 | 小さじ1/2 |
好みの春野菜 | 適量 |
【下準備】
アンチョビとニンニクはみじん切りにしておきます。
【作り方】
絹ごし豆腐とアンチョビ、ニンニク、オリーブオイル、粗挽き胡椒、塩をミキサー、またはブレンダーで撹拌します。(豆腐ディップソース)
好みの春野菜を耐熱容器に入れ、真ん中に豆腐ディップソースを入れて蒸したら完成です。温野菜は電子レンジやフライパンなど、好みの調理方法で行ってください。フライパンで作る際はディップソースは別にしておきましょう。
ビタミンたっぷりの春の果物はそのまま食べても良いですが、マリネやサンドイッチにしてランチやディナーに添えてもOKです。
グレープフルーツの程よい酸味と苦味、甘みを活かしてマリネにすればおしゃれな前菜としても美味しくいただけます。ホタテをプラスすることで旨味と食べごたえもアップします。
材料(2人分) | 分量 |
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グレープフルーツ | 1個 |
ホタテ(貝柱・刺身用) | 6個 |
★オリーブオイル | 大さじ2 |
★ハーブソルト | 少々 |
ピンクペッパー | 適量 |
セルフィーユ(飾り) | 適量 |
【下準備】
グレープフルーツは皮を剥いて果肉だけにします。ホタテは水洗いし、水気を拭き取り、2~3等分にしておきましょう。
【作り方】
朝食やブランチ、デザートにもおすすめなのが、春の果物を使ったフルーツサンドです。サンドイッチ用のパンやコッペパン、ロールパンなど好みのパンを使って美味しいフルーツサンドを作ってみましょう。
材料(1人分) | 分量 |
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いちご | 2個 |
黄桃(缶詰) | 1/4個 |
キウイフルーツ | 1/4個 |
食パン(8枚切り) | 2枚 |
生クリーム | 100ml |
はちみつ | 大さじ1/2 |
【下準備】
いちごはヘタを取り除き縦半分にカット、キウイフルーツは皮を剥きます。黄桃は半分にカットして、それぞれキッチンペーパーで水気を拭き取っておきます。
【作り方】
旬の食材は美味しく、栄養価が高いだけでなく、色鮮やかな食材が多く出回ります。柔らかで甘みのある春の食材は、その時期にしか食べることができない貴重な季節の味です。旬の食材を知って、食で春を満喫してみませんか?