寒い季節のキャンピングカーや車中泊で困るのが暖房です。外気温が低いときに車中泊をすると、体の底から冷えてしまい、なかなか寝付けません。逆に、エンジンをかけたままヒーターをつけてしまうと、一酸化炭素中毒になってしまうこともあります。今回は、そんな悩みを解決してくれるFFヒーターをご紹介します。
FFヒーターとは、「Forced draught balanced flue systems」の略で、車のエンジンを止めていても使える燃焼式ヒーターのことです。エンジンを切った状態で冷え切った車内を温めて快適に過ごすことができるので、寒い季節のキャンピングカーや乗用車の車中泊の強い味方になります。
一般的なガスヒーターやファンヒーターと違い、換気が不要なため仕組みが複雑です。建物の外壁や車内にある吸気口から空気を取り込み、その空気と燃料タンクのガスを混ぜ合わせて点火し、燃焼室で燃やすという仕組みです。
その際に発生する排気ガス(一酸化炭素)は、吸気口だけでなく、外部の排気口からも排出されます。排ガスは大丈夫なのかと心配される方もいらっしゃると思いますが、心配はいりません。
燃料を燃やしたときに発生する排気ガスは、専用のパイプを通って車外に排出されますので、設置方法を間違えない限り、一酸化炭素中毒の心配はほとんどありません。
FFヒーターの大きなメリットは、「とても暖かい」ということです。「外気温がマイナス10度でも、室内ではシャツ1枚で軽やかに過ごせる」という方もいるほどです。キャンピングカーや車中泊用の最強の暖房器具とまで言われています。
「キャンピングカーは持っているけど、FFヒーターは持っていない」「普通のバンに泊まっているから、もちろんFFヒーターは持っていない」「冬でも暖かい車にカスタマイズしたい」と言う方もおられることでしょう。ここでは、FFヒーターの後付けについて取り上げます。
端的にいえば、FFヒーターは後付けできます。ただし、それなりの費用がかかります。まず、FFヒーター本体を購入するところから始まり、車体に配管用の穴を開けたり、燃料タンクとヒーターをパイプで接続したりとさまざまな工程が必要になります。
さらにコントローラーやサブバッテリーも必要になるので、こうしたすべての装置を取り付けるために工賃や部品代がかかります。
もし新品のキャンピングカーを購入するご予定なら、最初から取り付けておくことをおすすめします。新車のオプションとして選択することで、取り付け工賃が節約できます。
FFヒーターは自分で取り付けることもできますが、専門的な知識や技術が必要なので、専門家に任せた方が安心です。自分でやると、不完全燃焼や一酸化炭素中毒の危険性があります。そのため、メーカーのガイドラインに基づいたトレーニングを受けたメーカー認定の販売店に取り付けてもらうのが一番安全です。
例えば、「エアトップ2000STC」という商品ですと、本体の価格は、約17~18万円になります。それに加えて、制御装置や高知能化のためのスイッチなどのオプション費用が必要になります。
設置工事は、燃焼方式によって異なりますが、ガソリン車で4,000円以上、ディーゼル車で6,500円以上はかかると思っておいたほうがよいでしょう。
また、燃料タンクを取り外す必要がある場合は、追加料金が発生することもあります。温度を設定できるスイッチやパーツを取り付ける場合は、本体+工事費で6万円以上を見込んでおきましょう。とはいえ、作業工賃は業者によって異なるので、複数の業者を比較してみることをおすすめします。
FF式ヒーターを選ぶ際、注目したいポイントは「燃料の種類」です。1つ目は、ベース車の燃料をそのままFFヒーターの燃料として使用する場合です。車に燃料を補給することで、同時にFFヒーターにも燃料を補給することができます。
走行用の燃料を使うにあたって、ガス欠を心配される方もいらっしゃることでしょう。しかし、FFヒーターの燃料は、一晩中つけっぱなしにしても1~2リットル程度なので、それほど心配する必要はありません。
使える燃料のひとつである軽油(ディーゼル)は、気温が一定以下になると凍って使えなくなるため、寒冷地でのキャンプには注意が必要ですが、安価に調達できるのが魅力です。一方、最もメジャーな燃料であるガソリンは凍らないので安心して使うことができます。
2つ目の燃料「LPガス」ですが、LPガスを使う場合は、LPガス用の燃料タンクを別途用意する必要があります。この方法は、運転用の燃料をFF暖房機のメイン燃料として使うことに抵抗がある方におすすめです。米国製の多くの自動車には、LPガスを使用するタイプのヒーターがデフォルトで搭載されています。
それでは、いよいよおすすめの商品をご紹介します。低燃費、低消費電力、メンテナンスのしやすさなど、商品によって特徴が違いますので、ぜひ比較してご自分の車や用途にぴったりの商品を選んでください。
「Yakuin 5KW 12Vヒーター」は、1時間あたりの燃料消費量が100~240mlと非常にコストパフォーマンスが高く、コンパクトなサイズなので一般的な車にも簡単に取り付けることができます。コスパの高いヒーターを使いたい方におすすめです。
液晶画面でヒーターの状態を確認することができるFFヒーターです。また、このヒーターには12V/5KWと24V/5KW、2つの仕様があります。このタイプのヒーターの利点は、ガスの発生量が少なく、-40℃のような極寒地でも使用できることです。
モニターが暗くて確認がしにくいですが使用には問題ありません。この手の欧州製のFFヒーターの値段を考えれば品質は劣りますが十分なコスパだと思います。引用:Amazon
ガソリン消費量も1時間あたり0.12L~とコストパフォーマンスの良いFFヒーターです。キャンピングトレーラー、ライトキャンパー、バンコン、キャブコン、バスコンなどで使用できます。
十分な性能で、2分程度にて着火して直ぐに温まります。燃料消費も少なく電気の消費量も相対的に少ないので、十分に使用出来るレベルです。引用:Amazon
低排出ガス、低燃費で環境にやさしいエアーディーゼルヒーターです。一目でわかりやすく、操作しやすいLCDダイナミックディスプレイを採用しています。
また、温度、風速の予熱などをリモコンで制御でき、窓の霜取りも可能です。車内だけでなく、住宅、倉庫、工場、オフィスなどの屋内での使用にも適しています。
石油ファンヒーター並みの暖房能力で、断熱材に頼らず幸せになれます。消費電力は点火時と消火時に120Wほどになりますが、使用中は30W程度でした。引用:Amazon
このFFヒーターは、低消費電力、低燃費、低騒音が特徴です。小型なので、車内でも場所をとりません。また、温度や風量の調整ができるリモコンが付属しており、動作状況を確認する際に便利な液晶ディスプレイも搭載しています。
商品が届くまでちょっと日にちがかかりましたが、商品自体は大満足です。使用してみると分かりますが、最小温度でも暑すぎるくらいです!引用:Amazon
FFヒーター自体の動作に問題がなくても、使用中にぜひ気をつけていただきたいことがあります。ここでは、FFヒーターの使用に関する注意点をご紹介します。
最初に述べたように、FFヒーターは車内の空気を汚さずに暖めることができる優れものですが、そのためには燃焼後の排気を確実に車外に排出する必要があります。しかし、スキー場など雪が深い場所では、降雪時に排気管が詰まってしまう危険性があります。
たとえば、豪雪地帯では、1時間で数十cmの雪が積もることも珍しくありません。そのため、排気管の場所を事前に確認しておき、雪が降ったら時々、排気管が埋まっていないかどうか確認してください。
排気管が埋まっていると、排気ガスが逆流して一酸化炭素中毒になる危険性があります。また、一酸化炭素検知器を設置しておくようにしましょう。検知器は2,000円程度で購入できます。
一酸化炭素は、高いところに登る性質があります。ですから、二段ベッドや寝台など、高い場所で寝る可能性がある方は、さらに危険です。検知機は高い位置に設置し、なるべく早く危険を察知できるような準備をしておきましょう。
吸排気口が塞がれていないか確認する必要があることに加え、FFヒーターには定期的な配管のメンテナンス(クリーニング)が必要になります。掃除するには各パーツの分解から始めることになりますので、やはり専門の業者に依頼するのが安全です。そのあたりの事情も理解した上で導入するようにしましょう。
今回は、FFヒーターを使って車内泊を快適にする方法について解説しました。自分でインストールするにしても、販売店や専門業者に依頼するにしても、ヒーターの後付けはかなり難しいことが分かって頂けたのではないでしょうか。とはいえ、苦労を補って余りある暖房能力と優れた性能を発揮してくれる装備ですので、冬の車内泊が多いかたはぜひ早めの導入をご検討ください。