編集者は、出版社や編集プロダクションなどで、書籍や雑誌、マンガなどの出版物を企画・編集する仕事です。とはいっても、どうすれば編集者になれるのでしょうか?ここでは、編集者になりたい方のために、編集者の仕事内容やどうすれば編集者になれるのか、その方法について詳しく説明します。
書籍には、小説、マンガ、エッセイ、ノンフィクション、ビジネス書などがあり、雑誌には、料理、スポーツ、ファッション、カルチャーなど、幅広いジャンルがあります。
編集者として担当する書籍や雑誌の種類や業務内容は会社によって異なりますが、一般的には「企画」「予算」「取材や外部への依頼」「編集」「印刷の確認」という仕事の流れになります。
編集者になるためには、出版社や編集プロダクションに就職するのが主な方法ですが、正社員として採用される機会は限られています。経験が必要な仕事なので、最初は編集者としてアルバイトをして、ステップアップしていく方もいます。
編集者は一定の仕事ではありますが、常に納期に追われ、状況によっては深夜までの残業や休日返上などのハードワークも覚悟しなければなりません。
具体的には、テーマに沿ったコンテンツの企画、制作段取りの決定、ライターやイラストレーター、アートディレクターなどの制作スタッフへの依頼、入稿までの進行管理、制作物の品質管理などを行います。
ワークフローは紙媒体もウェブ媒体もほぼ同じですが、ウェブ媒体はすぐに公開されることが多いので、スピードが速く、レスポンスがダイレクトに返ってくるという違いがあります。
各雑誌には編集方針や一定のテーマがあるので、読者が何に興味を持ち、何を読みたいと思うのかを考えなければなりません。
編集部では、定期的に「編集会議」や「企画会議」が開かれ、各編集者が持ち寄った企画を発表し、最終的には編集長が判断します。
新しい雑誌を創刊する場合、編集者は雑誌のテーマやターゲットを設定する検討から参加するので、雑誌の売れ行きを左右する重要な役割を担っていると言えます。
企画が決まれば、いよいよページ作りに入ります。雑誌の制作には、記事を書くライター、写真を撮るカメラマン、ページのレイアウトやデザインをするデザイナーなど、社内外の多くの人が関わっています。
これらのスタッフに対して、「こういう内容の原稿や写真を用意してください」と依頼や指示を出したり、取材のアポイントを取ったりと、雑誌制作のさまざまな場面で指示を出すのが編集者の仕事です。
また、撮影に立ち会ったり、集めた素材の内容をチェックしたり、制作が予定通りに進むようにスタッフをコントロールすることもあります。
まずは、漫画家の方と一緒にキャラクターの設定やストーリーを作っていきます。また、作品が多くの読者に読まれるように、タイトルやキャラクターの名前、性格などをマンガ家と一緒に考えることもあります。
このように、マンガ編集者は、制作段階から作品作りに深く関わっていきます。その後、編集者は作家が書いた「ネーム」を確認し、台詞やコマ割り、吹き出しとキャラクターのバランスなどを確認します。
この段階でストーリーがほぼ決まるため、マンガ制作において最も重要な段階と言われています。編集者のOKが出て初めてストーリーが確定し、漫画家はようやく原稿用紙に絵を描き始めることができるのです。
そして、出来上がった原稿を受け取り、誤字脱字をチェックして、印刷所に送ります。漫画家にとって、担当編集者は最初の読者でもあるのです。編集者が納得しなければ作品は世に出ないので、編集者の役割はマンガ制作において非常に重要であると言えるでしょう。
また、漫画家と連絡を取り合って作品の進行状況を確認したり、締め切りに間に合わない場合は印刷所と調整してスケジュールを管理するのも編集者の仕事です。
それでは、いよいよ編集者になるための方法について具体的にみていきましょう。一般的に、編集者といえば出版社に就職することを考える方が多いですが、その他の方法で編集者になることも可能です。
もう一つの選択肢は、編集プロダクションで働くことです。編集プロダクションは、出版社の下請け会社で、主に出版社から割り当てられた書籍や特定の記事を制作します。出版社よりも就職しやすいですが、新卒での採用は少なく、アルバイトや中途採用が多いです。
出版社への就職と同様に、専門分野の知識があると有利な場合があります。アルバイトからスタートする方もいます。出版社や編集プロダクションは人材の入れ替わりが激しいのが特徴で、アルバイトの募集も多い傾向があります。
また、自分の仕事が評価されれば、出版社をはじめとする大手編集プロダクションからスカウトされることもあります。この業界では、正社員でもアルバイトでも実務経験があると有利なので、飛び込んでみるのも一つの方法です。
もうひとつの方法は、フリーランスの編集者になることです。出版社や編集プロダクションに入社して経験を積み、退社後にフリーランスになるのが一般的な流れです。出版業界に入ると、経験を積むのは当然ですが、いろいろな人と知り合い、人脈を作ることができます。
この業界は意外と狭い世界なので、人脈を広げておけば、仕事をしているうちに思いがけない人とつながり、新しい仕事が舞い込んでくることもあります。
そして、企画された内容が望ましい形になるように、キャスティングや品質管理などの「演出」を行います。「品質管理」では、専門家やライターに依頼した原稿が、正しく読みやすく完成しているかどうかを確認することも重要な仕事です。
経験豊富なライターでも誤字・脱字がゼロとは限りませんし、専門家の原稿でもミスが出る場合があります。予算があれば、別途「校正」を依頼することで誤字・脱字を防ぐことができますが、品質そのものは編集者が自分の目で確認することが求められます。
入社して何年も編集部に配属されないことに落ち込む方もいますが、広告営業部から適任と判断されて編集部に異動する例も多いので、タイミングを見計らって異動希望を出してみましょう。
別の部署で経験を積み、出版ビジネスの基本を理解した上で編集者になれば、自然と将来の活躍の場が広がっていくはずです。本や雑誌、マンガを作りたいという気持ちはあっても、会社は組織ですから、ポストがなければ配属されません。
限られたチャンスを生かすためには、日頃からなりたい自分をイメージして、頭の中にたくさんの引き出しを作っておくことが大切です。
最後に、編集者の需要やこれから先の将来性について解説します。編集者の仕事に就くかどうかを迷っている方は、ぜひ職種を決める際の参考にしてください。
もともと出版業界は人気のある職場なので、熱意のある学生が多く集まりますが、採用人数は決して多くありません。倍率が数十倍、数百倍になることも珍しくないため、厳しい試験を突破するための対策が必要になるのです。
編集プロダクションの場合、毎年コンスタントに採用が行われるという保証はありません。求人があっても編集以外の職種の場合もあるので、適切な時期に適切な仕事を見つけられるかどうかは運にも左右されます。
また、編集プロダクションでは、編集アシスタントのアルバイトが多く募集されています。ただし、激務ですぐに辞めてしまう人も多いので、アルバイトから始めて正社員になるには覚悟が必要です。
出版業界全体では、書籍や雑誌の販売部数が伸び悩んでいると言われています。インターネットの普及により、人々が情報を得るためのツールがパソコンやスマートフォンに移ったことも大きな理由のひとつです。
しかし、Webメディアサイトやメールマガジンを企画・運営したり、電子書籍や電子コミック、雑誌の電子版に力を入れたりと、Webの世界でも編集者の活躍の場はたくさんあります。
紙への愛着が強い編集者も多いと思いますが、仕事の可能性を広げるためにも、媒体を問わず柔軟な発想で編集の仕事を考える時代になってきています。
また、ファッション、IT、医療など、出版物のジャンルや特定の雑誌ごとに募集をかけている場合もありますので、それぞれの分野での編集経験や知識を持っていることが前提となる場合もあります。
簡単にチャレンジできる仕事ではないと言えるかもしれませんが、スキル次第で歓迎されることもありますので、まずは希望媒体の的を絞って必要とされるスキルを身に付けることが近道です。