テレビやラジオの番組を制作する職業のひとつに「放送作家」があります。では、具体的にどのような仕事をしているのでしょうか。また、似たような仕事に「構成作家」というものがありますが、放送作家との違いがよくわからないという方も多いことでしょう。この記事では、放送作家の仕事内容や、放送作家と構成作家の違い、放送作家になる方法などについて解説します。
放送作家の仕事は、まず「企画会議」から始まります。テレビ局のディレクターやプロデューサーと意見を交換しながら、番組の企画を考え、企画書にまとめていく仕事です。
アートディレクターをはじめとする制作スタッフと打ち合わせを行い、意見を交換しながら企画を実現し、収録を進めていきます。つまり、放送作家は、番組制作の「ブレイン」の役割を担っているといえます。
番組を企画する際、スタッフの意見がまとまらず、行き詰まってしまうことはよくあることですが、そんな時、過去の番組制作のノウハウを共有し、視聴者が求めているものを的確に表現してくれる放送作家の役割は大きいといえます。
放送作家は事務所に所属していたり、個人で仕事をしている人も多いですが、ディレクターをはじめとする番組制作スタッフからは非常に頼りにされている存在です。
また、特定の芸人の専属作家になることもあります。その場合は、自分で事務所を設立したり、芸人と同じ芸能事務所に所属したりします。
また、企画会議に参加することも多いです。その主な内容は、新番組の制作、既存番組のブラッシュアップ、進行中のアイデアの検討などになります。その場合、放送作家は会議で決まったことを企画書にまとめていくのが仕事です。
放送作家は、企画の全体像が決まると、番組全体の構成、出演者のセリフ、場面の設定、ナレーションなどを考えながら、台本を書き始めます。
台本の作成と同時に、アートディレクターをはじめとする制作スタッフとの打ち合わせも行われることになります。文章で書かれていることを立体的に見せる必要があるので、非常に重要な工程であると言えるでしょう。
主な仕事は企画と脚本であるとはいえ、自分のアイデアを実現するためには、事前に題材を調べなければいけません。また、良い企画を立てるためには、今、世の中で何が注目されているのかを知ることが欠かせません。
新しいもの、知られていないもの、面白いもの、埋もれているものを探し出して、スポットライトを当てるのが仕事であるといえます。そのためには、リサーチをして、そのテーマに関する知識や情報を持ち、その分野を誰よりもよく知っていることが求められます。
そのような知識は、台本を書くときにも、収録時のファクトチェックにも生かされます。つまり、コンテンツの質が左右されるわけですから、手を抜くわけにはいきません。
台本を書くとなると、それなりの文章力も必要になります。正しい日本語で書かれているか、わかりやすいか、自然なセリフになっているか、ナレーションの量は適切か、などを確認しながら脚本を書いていく必要があります。
また、放送局の代理店に問い合わせて、空きがないかどうかを確認するという方法もあります。放送局は規模が小さく、すべての放送局が求人サイトに募集要項を掲載しているわけではないので、応募のチャンスを逃してしまうこともあります。
それでも不安な場合は、放送作家を養成する学校で勉強することをお勧めします。放送作家は、企画段階で多くの知識と経験が求められます。そのためには、豊富な知識と企画力、そして想像力が必要です。
また、自分の企画に多くの人を巻き込み、より大きな成果を得ようとするならば、優れたコミュニケーション能力が必要になります。この点で自信のない方は、ビジネススクールで行われているコミュニケーションスキルのトレーニングコースを利用してみてはいかがでしょうか。
また、民間の団体でもコミュニケーション・スキルの資格を提供しているところが多いので、講座を受けてから試験を受けるのもよいでしょう。
中には、担当する番組1本あたりの収入が40万円にも登る作家もいます。そうなると、単純に計算しても、週に10本のレギュラー番組を持っていれば、月収は400万円、年収は4000万円を超えることになります。
しかし、当然のことながら、これだけの収入を得られる放送作家は非常に少ないといえます。入社したばかりの人や放送作家に弟子入りした人は、月に10万円から15万円程度の収入しか得られないこともあります。
放送作家はフリーランスで仕事をしている方が多く、会社員のような待遇を期待するのは難しいです。事務所や制作会社など会社に所属している方もいますが、待遇を期待して働くのは難しいと考えたほうがいいでしょう。
人気のある放送作家になると、寝る間も惜しんで忙しくなることもあるでしょう。しかし、そんなハードな仕事にもかかわらず、人気放送作家の人たちはとても積極的に仕事をしています。
そこには、どんな番組であっても、視聴者やリスナーに良いものを届けたいという思いがあります。放送作家の魅力は、趣味ともいえるほどのやりがいがあることです。
もちろん、日常的にテレビをよく見ていて、番組づくりに強い関心を持っていることも重要な要素です。放送作家は、次々とアイデアを出していかなければなりませんから、新しい視点や広い視野で物事を見ることが大切です。
アイデアマンであり、面白い企画を考えられる人は放送作家に向いているでしょう。また、社交性や豊かな人間性、一緒に仕事をしたいと思わせるコミュニケーション能力のある人もこの仕事に向いています。
そのため、センスの良い作家は将来性があると言えるでしょう。一方で、放送業界では予算の削減が囁かれています。しかし、この低予算時代でもアイデア次第で面白い番組が作れることを証明した作家には、多くの仕事の依頼が来るのも事実です。
このように、放送作家としての仕事は常に仕事のプレッシャーが大きいですが、この仕事を通じて自分のやりたいことを見つける人もいます。元放送作家の中には、作詞家や脚本家、プロデューサーとして大活躍している人もいます。
常時複数の企画を抱えているのが普通で、基本的にはとても忙しいのですが、自分が思い描いた企画が実現し、多くの人に見てもらえたときにはとてもやりがいを感じます。
しかし、自分が思い描いたプロジェクトが実現し、多くの人に見てもらえることには大きなやりがいを感じます。また、自分の能力次第で収入の飛躍的な向上が期待できるので、夢のある仕事だといえます。