有名大学を出て官僚を目指している方は少なくありませんが、官僚とはどんな役職かと問われると、はっきりと説明できないこともあります。また、官僚にはキャリア・ノンキャリといった分類がなされているのもご存じでしょう。いずれも政治において大切な役職ですが、当記事では官僚が行う仕事やどうすればなれるのかについてご紹介します。目指す職種を決める際の参考にして頂ければ幸いです。
官僚と聞くと、霞ヶ関で働く人をイメージするのではないでしょうか。確かに霞ヶ関で働く人はたくさんいますが、「官僚」という言葉は法律で明確に定義されているわけではありません。
大雑把に言えば、「国の予算や法律の制定に直接関わる仕事をしている国家公務員」と認識すればよいでしょう。また、「キャリア官僚」「上級国家公務員」という言葉で表現されることもあります。
では、官僚はどのような仕事をしているのでしょうか。官僚は、主に国の予算や政策、法律などを立案するのが仕事です。官僚が作成した原案をもとに、国会で審議し、日本のさまざまな政策や法律を決定し、実行に移します。
官僚制は縦社会であり、階級ごとに立場が異なり、階級が高くなるほど権力と責任が大きくなります。「官僚」は、「大臣」を頂点として、「副大臣」「政務官」「次官」「局長」「内閣官房」「部長」「審議官」「課長」「参事官」と続きます。
しかし、大臣、副大臣、政務官は政治家が任命するので、官僚の役職は実質的には課長から事務次官までで、その中で「高級官僚」とされるのは局長以上です。
「官僚」の主な仕事場といえば、あの有名な霞ヶ関です。そのため、日本の官界を指して「霞ヶ関」と呼ぶことがあります。霞ヶ関には、日本の各省庁が集まる中央合同庁舎をはじめ、1都11省庁が入居するビルがあります。
防衛省は霞ヶ関ではなく市ヶ谷にあるなど、霞ヶ関以外の省庁もありますが、官僚の多くは霞ヶ関の中央官庁に勤務しています。
それでは、ここからはキャリアとノンキャリは何がどう違うのかについてみていきましょう。各省庁のキャリア・ノンキャリアとも、新人の頃は仕事内容に大きな差はないようですが、3年目以降になると変化が出てきます。両者には法的な違いはないので、ここでは一般論として紹介します。
キャリアの方は、国の政策に関わるプロジェクトで中心的な役割を果たし、大臣や国会議員との連携も密になり、法改正にも大きく関わっていきます。
その点、ノンキャリアは法整備やルーティンワークを担当することが多いです。キャリアとノンキャリアでは、資格やスキルに大きな違いはなく、違いはなり方だけです。
国家公務員採用試験で総合職を受験して採用された人はキャリアと呼ばれ、そのほとんどが東大をはじめとする有名・難関大学の卒業生だというのが特徴でしょう。一方、「国家公務員一般職試験」を受けて採用された人をノンキャリアといい、幅広い大学から集まっています。
キャリア官僚とノンキャリア官僚では、出世のスピードや就く役職に違いがあります。先ほども少し触れましたが、官僚1年目、2年目はキャリアとノンキャリアの仕事内容に差はないが、3年目になるとキャリア官僚は政策立案や国会質問の準備など、国政に関わる仕事を任されるようになります。
そして、優秀な者は「本省の長」まで出世することができます。その中でも特に優秀な人は、「局長」や「次官」まで昇進する人もいます。
一方、ノンキャリアは、国政に直接関わらないことが多く、出世も課長クラスが限度であるといえます。ノンキャリアが課長以上の役職に就くのはかなり難しく、昇進のスピードもキャリアに比べると遅いのが現実です。
このように昇進のスピードではキャリアの方が有利ですが、それでも課長職の最短年齢は40歳前後と言われており、仕事内容もきついと言われています。特に国会での審議は徹夜もあるほど大変な仕事です。
実際、中央官庁で働く官僚の大半はノンキャリアであり、キャリアはほんの一握りです。キャリア官僚を目指せば、昇給も早く、社会的地位も高く、給料も同級生よりずっと高くなるでしょう。
しかし、最近は東京大学や京都大学の卒業生でも、キャリアではなくノンキャリアを選ぶ人が増えていると言われています。
キャリア官僚の収入は、公務員の規定に沿って支給されます。年収でいうと、入省したての新人で約350万円、30代の課長補佐で約750万円、40歳の課長クラスで約1000万円となっています。金銭的な面から見ると、民間企業と比べて特別に高い給料というわけではありません。
しかし、手厚い福利厚生や高額な退職金、定年後に関連会社に出向した後の収入や退職金などを考慮すると、収入面では優遇されていると言えるでしょう。
先ほども述べたように、キャリア官僚は将来の幹部候補として採用されるため、本省の課長クラスまでエレベーター式に昇進していきます。年収は約3,000万円と言われています。課長クラスでも年収は約1200万円といわれ、一般的な水準からすると高額であるといえます。
国家公務員試験の総合職試験、上級甲種試験又はI種試験に合格し、採用された人を「キャリア官僚」と呼び、エリートコースを歩んでいる人を指します。そして、キャリアが官僚になると、「キャリア官僚」になるのです。
ですから、国家公務員試験Ⅱ種を受ければ官僚になる道が開かれますが、国家公務員Ⅱ種だからといって、自動的にキャリア官僚になれるということはないのです。
キャリア官僚になるために必要な資格は特にありません。キャリア官僚は、国家公務員採用試験を受験して合格し、各省庁に採用されればなることができます。
また、国家公務員採用試験に合格するだけではなく、合格後に各省庁で面接を受け、採用されることが必要です。試験の難易度はかなり高く、合格者の多くは有名大学を卒業した方たちです。
年齢制限は21歳以上30歳未満でないと受験できませんが、キャリア官僚は東大出身者の割合が多いのが特徴です。
国家公務員採用総合職試験に通っていない人がキャリア官僚になることはありません。国家公務員採用総合職試験は非常に難しいので、基礎学力がないと合格は難しいでしょう。中央官庁は非常に優秀な人材で構成されており、国家公務員試験に合格し、さらに学力を磨いて入省を目指します。
いわゆるキャリア官僚になるには、国家公務員試験(総合職)に合格し、民間企業と同じように希望する官庁で面接を受け、内定を得る必要があります。この採用面接のことを「官庁訪問」といいます。
高級官僚、キャリア官僚、警察官僚などキャリア組の多くは、東京大学、京都大学、早稲田大学、慶応大学の法学部、経済学部を卒業した人たちです。ちなみに、最近は東大出身者が増加傾向にあると言われています。
過去3年間(2017~2019年)の国家公務員総合職試験では、1位が東京大学、2位が京都大学、3位が早稲田大学となっています。とはいえ、数字を見ると、東大が圧倒的なのは一目瞭然です。
官僚を語るとき、「キャリア」「ノンキャリア」という言葉をよく耳にします。この2つの言葉は法律で定義されているわけではありませんが、どのような違いがあるのでしょうか。
「ノンキャリア」とは、「国家公務員総合職試験」以外の試験に合格した人を指すことが多いようです。他の試験とは、主に「国家公務員一般職試験」のことです。
「国家公務員一般職試験」は、総合職採用試験よりも難易度が低いと言われています。これは、試験自体が各省庁の中堅幹部や嘱託団体の幹部などを対象としているためです。
ノンキャリアの官僚になるには、その分野のスペシャリストであることが求められます。また、キャリア官僚と協力し、その右腕となることも期待されるでしょう。
国家Ⅱ種試験合格者の出身大学を見ると、全体的に国公立大学、MARCH、関関同立が目立ち、採用人数が多い大学は中央大学法学部でした。学部別では、法学部と経済学部の出身者が目立っています。
今回は、「官僚」という仕事を目指す方に向けて、その仕事内容やなり方について解説しました。また、キャリアとノンキャリアではアプローチの仕方が異なることも分かって頂けたのではないでしょうか。
とはいえ、どちらの立場の官僚も国会で重要な役割を担っており、ノンキャリアはそれぞれの分野のスペシャリストとして、キャリア官僚の右腕となることが期待されています。
そのような国の行政機関である中央省庁で働くためには、まずはとてつもなく難しい試験を突破しなければいけません。官僚を目指す方は、できるだけ早いうちに準備を始めるようにしましょう。