仕事を辞めようと決断して退職を願い出たはずなのに、引き止められて未だに退職できない、そんな経験をしたことはありませんか?転職するには現在の仕事を退職する必要がありますが、スムーズに辞めることができない場合が意外と多くあります。こちらの記事では退職を引き止められたときのかわし方やパターン別の対処法などをまとめました。
会社側が退職を引き止める理由はいくつかあります。もちろんその人が優秀で手放したくない人材、という場合も少なくありませんが、他にも理由があります。なぜ辞めることができないのか、会社側が残って欲しい訳を知るすることで、退職するための対処法をチェックしてみましょう。
辞めたい本人からすればまさに「要らぬお節介」とも考えられる理由が、【本人のため】です。
特に長く続けた職場・社員ほどこの傾向にあります。このまま同じ会社で働けば、昇進やスキルアップができる、など辞めずに残った場合のメリットを挙げて、将来性を心配することも少なくありません。
しかし信頼できる上司の言葉であれば、ここで少し考えを改めて退職を撤回する場合もあるでしょう。
退職を引き止める理由には【人手不足】が関係していることもあります。退職したい側は辞めてしまえばその会社とは関係がなくなりますが、チーム単位で行動している、その人のスキルを必要としている会社では1人抜けただけでも仕事に大きな穴が空いてしまい、他の社員の負担も大きくなってきます。
もし、ぎりぎりの人数で作業しているような環境や、忙しい時期に退職されるとそれだけで大打撃です。
上記の本人のため、や人手不足が理由の場合は、多少なりとも残って欲しい、という気持ちが理解できます。しかしもっとも納得できない理由が【上司の自己保身】です。
退職者が出てしまうと、会社側から直属の上司に部下の育成能力がない、と判断されることもあります。
上司が評価を下げたくない、という自分自身のために引き止める場合もあり、実際に自己保身のために退職を引き止める上司も多く存在するので、注意してください。
引き止める理由がどういったものであっても、転職する意志が強い場合には、引き止めを交わす方法もあります。確実に辞めるためにもしっかりと手順を踏んでおきましょう。
退職を希望する場合には仕事の引継ぎをしっかりすることは重要です。基本的に退職するときは3カ月前に申し出て、これまでの仕事を次の人に引継ぐための準備が必要になります。
引継ぎがスムーズに行われていなければ、引き止める理由にされるので気をつけましょう。もちろん退職するときに引継ぎすることは法律上での義務ではありませんが、引継ぎをしないことで余計なトラブルに発展してしまうこともあります。
一般的な常識として、退職前にはしっかりと引継ぎを行い、引き止めを交わせるようにしておきましょう。
退職希望を口頭で伝えることもありますが、それでは後々トラブルに発展する場合もあるため、できるだけ書面で退職届を提出しましょう。
退職希望を口頭でのやり取りだけで行った場合、「伝えた、聞いていない」まではいかなくても、正しい日にちがあやふやになることもあります。
それを理由に引き止められてしまうと困るので、退職を願い出た日や、希望する退職日などをしっかりと記した書面を提出することで上手く交わすことができます。会社に退職に関する規則などがある場合はそれに沿って退職日を設定してください。
忙しい時期、繁忙期に会社を辞めると伝えれば、かなりの確率で引き止められることが多くなります。ただでさえ人手が足りない状況に陥りやすい繁忙期に退職すると、会社だけでなく他の社員にも迷惑がかかってしまいます。
繁忙期では引継ぎをする時間も取れません。自分の都合だけでなく、会社の都合をよく理解した上で、できるだけ繁忙期を避けて辞める時期を決めるようにしましょう。
退職理由にネガティブな理由を挙げてしまうと、そこを改善するからと言われてしまえば退職する理由がなくなります。
もちろん改善されることで辞める必要がなくなれば良いですが、そうでない場合にはできるだけポジティブな退職理由を述べましょう。
今の会社では自分の望むスキルアップができないために転職する、実現したい目標がある、など前向きな退職理由があれば引き止めを交わすこともできるでしょう。
退職を引き止められるパターンはそれほどありませんが、特に多いであろうパターンと、それぞれの対処法も把握しておくことでスムーズな退職ができます。
会社側がどうしても辞めてほしくない場合に、「今後の待遇を良くするから」と言って引き止めるパターンがあります。
主に昇給や昇進・昇格、残業や転勤を減らす・なくす、など様々な高待遇を提示してきますが、このほとんどが口頭でのやり取りなので、実際に退職を思いとどまったとしても実行されるかといえば難しいものがあります。
また、一度退職を希望したということで逆に昇給や昇進に影響を与えてしまうことも少なくありません。
もし退職の理由が収入面や昇進などに関わるものであり、それを「改善する」「待遇を良くする」という会社側の言葉を受け入れて実行してもらうのであれば、口頭ではなくしっかりと書面に残してもらうようにしてください。
そもそも昇給や昇進などは、上司単独で行うことは難しく、まずは本当に優遇が良くなるのか上層部に掛け合ってもらい、その上で書面にしてもらいましょう。
退職願を受け入れつつも、後任が見つかるまで待って欲しい、というパターンも良くある傾向です。この場合の対処法は期限を設定すること、多く見積もっても2~3カ月は必要になります。
「後任が見つかるまで」という言葉を鵜呑みにして了承してしまうと、最悪の場合会社側が後任を見つけてくれずにそのまま退職する機会を失う可能性も出てきます。
実際に後任を見つけるにしても、すでに在籍している社員を後釜に据えることができない場合には求人募集をして面接・採用、必要最低限の業務を教えることが必要になり、かなりの期間がかってしまいます。
もちろん引継ぎの関係もあるので、すぐに退職することに難色を示された場合でも会社に残る期間をはっきり決める、もしくは引継ぎが終了しているのであれば断る方向でもOKです。
情に流されやすい人は良心に訴えかけてくるパターンに注意しましょう。例えば「他の社員が困る」「貴方がいなければ成り立たない」「チームを纏められるのは貴方だけ」「この会社には必要な人物だ」など会社になくてはならない人物だと訴えることもあります。
しかしそれは一人退職者が出ただけで成り立たない会社だと訴えるようなものです。もちろん高く評価されることは感謝こそあれど、退職を撤回する理由にはなりません。
良心に訴えかけてくるようなパターンには、情に流されずに再度退職理由を考えてみてください。
その結果、会社に残るメリットがなければしっかりとした意志を持ち、跳ね除けるようにしましょう。場合によっては集団で引き止められることもあるため、強い意志が必要になります。
退職理由に他の社員との人間関係や、現在の業務を挙げてしまうと、部署異動をもちかけられることも少なくありません。
部署異動が難しい場合には上司自ら他の社員との間に入る、などフォローされることもありますが、先程の待遇を良くするパターン同様にその場限りの口約束となる可能性が高くなります。
部署異動やチームの変更などは退職を願い出る前の段階で改善できるようなことであり、「辞める」と伝えてから急に持ちかけられてもすでに手遅れです。
そういった場合の対処法としては退職に至った理由をしっかり述べる、他にやりたいことがある、目標のためなどポジティブな理由を伝えるようにしましょう。
明確な退職日を伝えていない場合には、時期をずらすように言われることもあります。特に入社してからの日数が短い場合には「もう少し続けてみてはどうか」「長く働くことで仕事に対する意識が変わる」などの言葉によって残留すことを促す場合もあるでしょう。
それでも短期間で「合わない」と感じ、退職に至ったのであればその旨を伝える、退職後の自分の方針などをしっかりと言葉で伝えるようにしてください。
また、交渉に応じない場合には、明確な退職希望日を伝えておくようにします。もちろん繁忙期に退職時期を設定してしまうと人材不足になるため、退職時期をずらして欲しいと言われる確率は高くなるで避けましょう。
退職する場合には何らかの理由から引き止められることも珍しくありません。その引き止めによって自分の意志が揺らぐこともあるでしょう。
その結果、ダラダラと居続けるのもあまり良くないため、退職を伝えるときはしっかりとした理由を述べ、意志を強く持ってトラブルなく退職できるようにしましょう。