社内に人間関係がうまくいっていない人がいたり、仕事の内容が自分に合っていなかったりすると、会社に行くのが嫌になることがあるのではないでしょうか。会社に行くのが嫌になったとき、最終手段としてバックレるかどうか悩むことがあります。しかし、結論から言うと、会社からバックレという形で姿をくらますのはやめましょう。今回は、会社をバックレることにまつわるトラブルと、その解決方法について解説します。
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辛い仕事から解放されたい、会社をバックレたいと感じる方は多いのではないでしょうか。まず知っておいていただきたいのは、問題が起きた時に仕事を辞める決断するというのは当然の権利だということです。
しかし、何の連絡もせずに急に姿を消すのは賢い方法ではありません。無断欠勤を続けると、最悪の場合、懲戒解雇となり、転職に悪影響を及ぼす可能性があります。労働者にはいつでも仕事を辞める権利があるので、わざわざ辞める必要はないのです。
では、バックレという形で会社を辞めるリスクにはどのようなものがあるのでしょうか。行動を起こす前に、まずはバックレに伴う注意すべきリスクについて見ていきましょう。
当然ですが、突然出勤するはずの時間に来なければ、会社から連絡が来ます。自分は単に仕事が嫌でバックレたのかもしれませんが、会社にはなぜ出勤しなかったのかさっぱり理由が分かりません。そのため、上司、同僚、その他会社関係者から連絡が来ることが考えられます。
電話が嫌で無視しても、電話に出るまで何度も何度も連絡が来る可能性もあるでしょう。また、連絡が取れない場合、次の段階として上司が安否確認に家に来ることもあります。
会社はとにかく従業員が無事なのか安否を確認したいので、電話で連絡が取れない場合は、家に探しに来ることになります。自宅が会社から近い場合や寮に住んでいる場合は、上司が自宅に来る可能性があることも頭に入れておいた方がよいでしょう。
電話してもでない、家に行っても応対がないとなると、次は親に連絡される可能性があります。その結果、ご両親に無断欠勤がばれたり、心配になって警察に通報されたりすることもあり得ます。
会社側は何が起きているか全く分からないので、とにかくあの手この手でどうにか安否を確認したり、もしくは出勤するように説得するための手段に出るのが普通です。
また、会社の備品を借りたまま消えてしまったのなら、鍵や入館証などの備品を返したいと思っている場合もあります。いずれにしても、こうした会社からの接触を避けるのは難しいでしょう。
どうしても連絡が取れない場合は、最悪の場合、警察に連絡することになります。もちろん会社やご両親の意向にもよりますが、連絡が取れないならまずは警察沙汰になるリスクは想定しておいた方が良いでしょう。
もし、自分の同僚や直属の後輩が突然このような状況に陥ったら、どう思うでしょうか?バックレなのかどうかという可能性は別として、少なくとも何らかの危険にさらされるかもしれないと考えるのは当然のことです。
そう考えると、会社や親に知らせずに会社を辞めたとしたら、当然皆が安否を心配して、最後には警察に行方不明届けを出すところまでいく可能性が高いでしょう。このように、急に連絡が取れなくなることで、起きうるリスクを理解しておくことが大切です。
退職金については、就業規則などにもよります。休んだ後の給料はもらえませんが、それまで1ヶ月働いていれば1ヶ月分、半月働いていれば半月分の給料が支払われます。ただし、無断欠勤が自動的に有給休暇として扱われるわけではありません。
無断欠勤したのは自分の都合だから有給は取れないと思っている方も多いようですが、退職前に働いていた分はきちんと受け取るようにしましょう。とはいえ、退職金については、多くの会社で就業規則や退職金規程があり、その内容によって対処の仕方が決まってきます。
懲戒解雇された従業員の退職金は、就業規則等では「なし」「減額」とされている場合が多いので、この規則に従って退職金を満額受け取れないケースも多いのが実情です。
懲戒解雇は非常に重い処分ですから、就職したい先の企業もそのような経歴のある人を採用しようとは思わないでしょう。
解雇という事実を黙っていれば済むのではないかと考える方もいますが、離職票や退職証明書の提出を求められたら、重大な理由で解雇されたことが一目瞭然になってしまいます。
普通に解雇されたとしても、離職票に「重大事由による解雇」と記載される可能性があり、再就職も難しくなります。もちろん、書類選考や面接で隠せても、発覚すれば退職を促されることもあります。
懲戒解雇を隠すのは難しく、懲戒解雇された後の転職は完全に不利になります。会社を辞めたいのであれば、会社が納得するような理由を考え、きちんとした退職の手続きをとるのがベターです。
2週間欠勤が続くと「会社が懲戒解雇に踏み切る可能性がある」と言われています。懲戒解雇とは「罰として解雇されること」を意味し、懲戒処分の中でも最も重い処分です。
2週間の無断欠勤で予告なしの懲戒解雇が可能とされているのは、過去の判例から長期無断欠勤を理由とした解雇が有効とされています。
通常は解雇の事前予告が必要ですが、その例外として「正当な理由なく2週間以上無断欠勤し、出勤の催促にも応じない場合」が政府通知に盛り込まれているためです。こうした理由から、ほとんどの企業では就業規則に「2週間の無断欠勤は懲戒解雇」と定めています。
パワハラなど会社に落ち度がある無断欠勤の場合は、個人の責任とは言い難く、懲戒解雇は認められないことが多いですが、単に仕事をサボっているだけの場合は、2週間で懲戒解雇になる可能性は低くはありません。
懲戒解雇された場合、退職金や解雇予告手当を受け取ることができず、残っている有給休暇も無効となり、もちろん転職にも影響が出る可能性があります。
会社をバックレた場合、退職に必要な書類が手に入らないこともあります。会社には離職票などを渡す義務がありますが、バックレて会社とは無関係になった人のことは気にしていないかもしれません。
そしてバッくれた方としても不当に辞めているわけですから、退職届を出さない会社に対してあまり強く言えないという状況になることが予想されます。
端的に言えば、基本的にバックレが原因で損害賠償を請求されることはありません。しかし、先ほども述べたように、会社をバックレることにはリスクが伴います。
ここでは、損害賠償を請求されにくい理由を詳しく解説していきますが、もちろん推奨するわけではありませんので、あくまで参考程度に覚えておいてください。
損害賠償を請求する場合、裁判を起こす必要があります。しかし、会社が損害賠償の裁判をするためには、ある程度の費用がかかります。
それでも損害賠償を請求してくるようならば、それは会社に与えた損害が甚大なものであったケースかもしれません。そうでないなら、相手がわざわざ裁判の費用をかけてまで損害賠償を請求することは考えにくいでしょう。
損害賠償請求が本当になされない理由の2つ目ですが、民法に従って損害賠償を請求しようと思えば、「その損害は背信行為によって生じたものである」と言える状況でなければなりません。この「因果関係」を裁判で証明するのは、会社側の責任です。
実際に労働者がバックレた場合、会社の業務にある程度の支障が出ることがあります。しかし、会社がもっと頑張れば回避できたであろう損害や支障に関しては、労働者の責任は問えないのです。
損害賠償を請求される可能性は低いですが、契約内容によっては損害賠償請求が認められるケースもあります。例えば、契約書に雇用期間の定めがある場合、途中で退職する「労働者の自由」が認められない場合があります。
また、「今日中に仕事をする契約」「今日中にプロジェクトを終わらせる雇用契約」など、期限がある場合は、途中で手を引くと「契約不履行」として損害賠償を請求される可能性が高くなります。損害賠償を請求されないためには、契約内容をできるだけ守ることが大切です。
上述のように、会社をバックレると、さまざまなリスクがかかります。無事に退職できたとしても、後々トラブルになる可能性もあります。しかし、退職を考えている方は、バッくれたいほど大変な状況になっていることは間違いないでしょう。ここでは、仕事が辛い方のために、一般的な自己都合退職の流れについて解説します。
退職を決めたら、まずは上司に相談し、退職日を決めます。もちろん、その時に上司から思いとどまるように説得されるということもあり得るでしょう。
むしろ、そのまま「はい、そうですか」と受け入れてもらえる状況の方が少ないかもしれません。それでも、どうしても辞めたいという場合は、自分の意思をしっかり伝えましょう。
過度に退職を渋る場合は、直属ではなく、管轄の部署の上司に相談しましょう。会社側に納得してもらえないとしても、退職は労働者の権利です。心配する必要はありません。
退職日が決まったら、退職願を書きましょう。法的には、退職日の2週間前までに退職届を出せば問題ありません。しかし、遅くとも退職日の1ヶ月前には退職届を提出した方が無難です。
退職日の2週間前に退職届を持参しても、担当社員との連絡が遅れて退職届の提出が遅れると、その分、退職日が遅れます。
その点、退職日が決まっている場合は、いつでも退職届を提出することができます。本気で辞めたいなら、計画を立てて、十分な準備期間を確保しましょう。
退職日が決まったら、後任者への引き継ぎを開始します。引継ぎのスケジュールを決め、マニュアルを作成し、後任者と仕事の内容を共有しましょう。
その後、後任者と一緒に社内を回り、新たに担当することになったことを挨拶します。引き継ぎをおろそかにすると、退社後に「この書類はなんだ」などと電話がかかってくる危険性があります。
このため、仕事の引き継ぎは必ず最低限しておくとよいでしょう。担当した業務、管理した項目やデータなどを書き出しておくのもおすすめです。
退職願に指定された日が来たら、晴れて退職することができます。退職書類や仕事の引き継ぎがスムーズにいけば、退職日に辞めることも可能です。
また、退職する際には、住民税の納付、失業給付の申請、年金の切り替え、国民健康保険の切り替えなどの手続きが必要です。事前に確認しておきましょう。
ここでは、会社を円満に辞めるための注意点をご紹介します。スムーズに辞めるためにも、以下のポイントに注意してください。
会社を辞める前に、会社から借りたものや自分のデスク周りを整理しておくのも大切です。不備があると、退職後でも会社から電話がかかってきて質問されることがあります。
会社の資金で購入したもの、会社の備品はすべて返却する必要がありますので、チェックしておきましょう。また、会社のパソコンに保存されているデータも整理しておく必要があります。
退職の際には、さまざまな書類を受け取ることになります。そのほとんどは、再就職や失業の手続きをするために必要なものです。受け取るまでの流れを理解しないまま退職することがないよう、事前に受け取る書類について理解しておきましょう。
まず、「離職票」は退職日を過ぎてから発行されるもので、通常は退職後1~2週間後に発行されます。また、「源泉徴収票」も退職日以降に発行されます。源泉徴収票は、最終給与が確定してから約1ヶ月~1ヶ月半後に受け取ります。
今すぐ辞めたいけど言えないという方は、退職代行業者を利用するのも手です。退職だけでなく、有給休暇も使いたい場合は、それも代行してくれます。
このサービスの注意点は、あくまでも本人の意思を代行して伝えてくれることです。バックレたらマズイとわかっていても、どうしても今すぐ会社を辞めたいという方は、ぜひ参考にしてみてください。
また、どうしても今すぐ会社を辞めたい場合は、有給休暇や欠勤を利用して、すぐに会社を辞めることも可能です。
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労働条件や人間関係などの問題を自分一人で解決できないのであれば、自分らしく働けるようにもっと良い仕事を探した方が良いでしょう。我慢して仕事を続けていると、最悪の場合、うつ病になってしまうこともあります。
今の会社で理不尽な働き方を強いられているのであれば、退職代行サービスを利用して退職の意向を伝え、一刻も早く会社から離れるのも一つの方法です。