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ナットとは、ボルトと組み合わせて使用する部品です。棒の形で外側にネジの溝があるのがボルト、輪っかの形をしていて内側にネジの溝があるのがナットです。大きなものから小さなものまで、機械の組立てなどに幅広く使われており、どんな人にとってもごく身近なものではないでしょうか。今回は、さまざまなナットのなかから特に代表的なものをピックアップしてご紹介します。
目次
ナットには非常にたくさんの種類があります。ホームセンターなどでナットの棚を見てみると、こんなにいろいろあるのかと驚くかも知れません。
ナットのなかで最もポピュラーなのが六角ナットです。外側が六角形になっています。1種・2種・3種と大きく3タイプに分かれ、片面が面取りされていてやや厚みがある1種が最も多く流通しています。
締めたときにボルトの先端が露出してしまうという六角ナットの欠点をカバーするのが、袋ナットです。片面がドーム状になっていてボルトの先端を覆うため、安全性や外観の美しさを重視する場面で活用されています。
蝶ナットは、蝶の羽根のような形の2枚の取っ手がついており、道具がなくても手で締めたり緩めたりできるのが特徴です。締付の強さよりも取り外しのしやすさを重視する場合に特に役立ちます。ウィングナットとも呼ばれます。
このほか、頭部がリング状で重量物を吊り下げるのに用いるアイナット、六角ナットの下部につばの付いたフランジナット、一般的な六角ナットより全長の長い高ナットなどさまざまな種類のナットがあります。
ナットのなかでも最もベーシックな六角ナットです。片面が面取りされ、高さはねじ径の80%となっており、ナット1種規格に該当します。Amazonの六角ナットカテゴリでベストセラー1位になっていることからも分かるように、何かと使用機会の多いポピュラーな六角ナットです。。
こちらも六角ナットですが、上の1種のものと比べるとやや珍しい3種規格に当たります。両面が面取りされているほか、高さがねじ径の60%と1種に比べると少し薄めになっています。このため、ダブルナットにする場合に1種よりも使いやすい点がメリットです。
ボルトの先端部分を隠す、袋ナットです。安全上や美観上の理由で、六角ナットの代わりに選ばれることが多い種類です。サイズや素材は上で紹介した六角ナット1種に近いですが、1個あたりの単価はやや高めになっています。スピーカーのインシュレーターの代用として、音質改善のために利用するユーザーもいるようです。
「バリや溝潰れなどの問題もなく、精度の高さに満足しています。」
出典:Amazon
上で紹介した袋ナットと同じくステンレス製ですが、こちらは表面が黒く着色されたタイプです。艶のないマットな質感の黒色なので、黒系の機器でナットを目立たせたくない場合にぴったりです。ここで紹介するM6以外にもM3〜M12までサイズ展開されており、用途に応じて選べます。
2枚の羽がついており、手で回せる蝶ナットです。スパナやレンチなどの工具が不要なので、取り外しや締め付けの強さの調整を頻繁に行う箇所ではとても便利です。ステンレス製で強度もあるので、割れてしまったプラスチック製のねじの代わりにこちらを選んだというユーザーの声もありました。
こちらも上で紹介したのと同じM4サイズの蝶ナットですが、表面にニッケルメッキが施されているため、金色っぽい色で高級感があります。装飾性が高く、インテリアなど見た目を重視する箇所におすすめです。ニッケルメッキは、防錆性が高い点や薬品に強い点もメリットです。
輪のついたアイナットです。リングの穴にフックを掛けて使うほか、ワイヤーや鎖を通して吊り上げ・下ろし作業に用います。個人の方でもハンモック用に購入したという声がありました。M4からM12までサイズのバリエーションがあるので、使用荷重を確認して用途にあった物を選びましょう。
下部につば(フランジ)の付いたフランジナットです。一般に、ナットの回転防止や部材とのなじみを良くする目的でナットの下に座金(ワッシャー)という部品を挟みますが、フランジナットは元々ナットと座金が一体となっている形です。フランジの裏側には「セレート」と呼ばれる凸凹があり、緩み防止の効果があります。
15mmの高さがある高ナットです。両面が面取りされています。ニッケルメッキの金属光沢が美しく、電導性・耐食性が高いという特長があります。長さ調節のほか、装飾目的で使われることもあるようです。一般のホームセンター等では高ナットの取り扱いがないケースもあり、他のナット類に比べると少し珍しいタイプといえます。
ナットといえば六角形が基本ですが、なかにはこういった四角形のナットもあります。溝などに入れることによって、六角ナットよりも高い回り止めの効果が得られます。四角ナットに似たものとして板ナットもありますが、六角ナットの規格をベースにしたものが四角ナット、厚みが四角ナットの半分程度の薄いものが板ナットと呼ばれます。
固着して外れなくなってしまったナットは、専用工具を使うことで外せることもあります。適合するものを選んで試してみましょう。
「モンキーレンチでは上手く外れなかったナットが、これを使ったら自分で外せました。」
出典:Amazon
こちらは、ソケットやメガネレンチに装着して使う特殊工具です。ナットを挟んでねじ込んでいくことでナットを割る仕組みです。
「難なくナットを割ることができ、製品が壊れることもありませんでした。」
出典:Amazon
「ねじ咬み」「かじり(焼付き)」で動かないボルト・ナットに浸透する潤滑剤です。角度などの関係でナット外し工具が使いにくい場所には試す価値ありです。
「どうにも回らなくなってしまったナットが、少量吹き付けて数分待ったら動くようになりました。助かりました。」
出典:Amazon
ナットのメーカーは非常に数多く存在します。ここでは、Amazonのねじカテゴリーで目にすることの多い名前をいくつかピックアップしてご紹介します。
モノ作りに関する幅広いアイテムを扱う専門商社です。製造業のメーカーにとっては非常に頼りになる存在です。自社製のナットもさまざまなタイプのものを幅広く扱っています。
愛知県に本社を置く八幡ねじは、ホームセンターでのDIY向けネジ製品で高いシェアを誇ります。創業は昭和21年で、戦後まもなくから70年を超える歴史があります。
株式会社大里は、埼玉県さいたま市に本社を置くねじメーカーです。小ネジやボルトのほか、ナットも形状や素材・サイズ・表面加工などさまざまなタイプのものを扱っています。
長野県飯田市に本社と工場を置いています。精密工業のさかんな同地において、ソケットスクリュー(六角穴付きねじ類)を中心に、信頼性の高い部品を生産しています。
ナットは、六角ナット・袋ナット・蝶ナットといった形状で選ぶほか、素材や表面加工・色もポイントとなります。
ナットによく使われる素材にステンレスが挙げられます。鉄と同等の強度があり、錆びにくいという点が大きなメリットです。
鉄にメッキ加工を施したものも多く見られます。価格的に手頃で、最もベーシックな素材といえます。
ナットは金属素材のものが大半ですが、なかにはポリカーボネート製のものも見られます。金属に比べて軽く、腐食の恐れがないこと、絶縁性に優れていること、透明で目につきにくいことなどさまざまな特色があり、自動車や医療、半導体といった分野で用いられます。
見た目を重視するインテリア関連製品などでは、メッキなどの表面加工による色や風合いも重要です。ニッケルメッキによるゴールド系のもの、黒亜鉛メッキによる黒系のものなどが比較的多く見られます。
表面処理について「ユニクロ」と記載されたナットがあります。つい衣料量販店を連想してしまいますが、これは亜鉛メッキの一種で、ブルー系の光沢クロメート(ユニクローム)を指します。
ナットが必要になる数は場面によってさまざまです。1個だけ、あるいはほんの数個だけ必要なケースもあれば、よく使うものは100個、1000個という単位で常時ストックしておきたい、というケースもあります。Amazonなどのネットショップでは、同じ規格のナットがさまざまな入数で販売されているので、何個入りなのか充分確認のうえ購入しましょう。
身近なナットですが、形状や素材、サイズなど実に数多くのタイプがあります。それぞれの特色を知ると、自分の用途にあった最適なものを選びやすくなります。今回ご紹介した内容を参考に、ぴったりのナットを見つけていただけたら幸いです。
★★ネジ、ネジ、ネジ…中尾彬さんのことじゃないですよ。★★