センターポンチは、別名ポンチとも呼ばれ、鋼材をはじめ、アルミニウムやステンレス、革製品などに穴あけをする際の下穴的な凹みを打刻する棒状工具で、ドリルなどの先端の位置決めするのに最適です。作業方法も単純に、ハンマーで叩くだけで確実に打刻することが可能で、どんな素材にも対応出来るため、汎用性の高いことが特徴の一つです。今回は、センターポンチのおすすめ7選や種類、選び方などをご紹介します。
目次
使用方法は非常に簡単で、穴を開けたい場所にセンターポンチを「垂直」に合わせ、ヘッド部分をハンマーで叩き、材料に凹みの目印を付けるだけです。釘を打つように何度もセンターポンチを叩くと、穴位置がずれてしまい正確な加工位置が分からなくなる可能性があるため、おすすめ出来ません。下記でセンターポンチの正しい使用方法をご紹介します。
上記でご紹介した3つの手順が正しいセンターポンチの使い方ですが、作業になれたプロの方であれば、手順1と2を省略し、手順3のみで終わらせる方が殆どではないでしょうか。DIYなどで、初めて作業をされる方であれば、上記の手順をおすすめします。
センターポンチが使用可能な材料は、鉄板など鋼材をはじめ、木材や皮製品まで多岐に渡り、1本あると何かと使えるため汎用性の高い工具でもあります。最近ではハンマーでヘッド部分を叩かなくても、センターポンチ本体にハンマー機能を搭載したものもリリースされており、手軽に使えるのも特徴の一つです。簡単にセンターポンチの種類について、ご紹介します。
先にご紹介した鉛筆の様な棒状の先端が円錐形に削られているタイプで、一般にセンターポンチといえば、この棒状工具となります。
材料に打刻するためのポンチ部分と、ハンマー機能を内蔵した本体部分を組合わせた構造になっているタイプです。
内蔵されたハンマーが落下した衝撃が先端部分に伝わり、材料に打痕が打ち込まれる構造で、単純に穴開けをしたい場所にポンチの先端部分を合わせ、本体部分を押込むだけの簡単操作となっているのが特徴で、片手で操作出来るため、高い作業性を備えています。
次項から、おすすめのセンターポンチ7選をご紹介します。
ピンゲージや直角定規などの測定器具を製造している「新潟精機 株式会社」からもセンターポンチがリリースされています。
ご紹介する「センターポンチ CP-100」は、素材に炭素工具鋼(SC材)を採用し、先端に焼き入れ処理を行うことで、優れた耐久性と強度を備えたモデルとなります。
全長は100mm、外径12mmとコンパクトで鉛筆と同じ六角形状になっており、握り易く位置合わせも容易で、作業を楽に行うことが出来ます。また腰袋などにも、すっぽりと収納出来るため、持ち運びにも便利で、さらにクロームメッキを施していますので、長く愛用して錆び難いのも特徴の一つです。
サイズ:全長100×外径10mm
質量:48g
用途:ケガキ作業やドリルでの穴あけ前のマーキングに
材質:炭素工具鋼(SC)、先端/超硬チップ付、グリップ部/黒染、ローレット
先端角度:85°
ご紹介する「チップ付センターポンチ TCP-M」は、先にご紹介した「センターポンチ CP-100」と同様に新潟精機からリリースされています。
センターポンチの先端部に超硬合金のチップを配置することで、高い耐久性と耐摩耗性を備えており、長く愛用することが出来るのが最大の特徴です。
全長は100mm、外径は10mmでハンドル部分にはローレット加工を施しており、滑り難くしっかりとセンターポンチを保持出来るので、ハンマーでの打撃時に安心して作業を行うことが出来ます。また先端角度が85度に設定されており、打痕が綺麗でドリルの先端を合わせ易いように工夫がされています。
大阪府大阪市に本社を構える「株式会社ストレート」はハンドツールをはじめ、各種作業用工具の販売を手掛ける会社で、オリジナルブランドの工具も製造しています。
ご紹介する「センターポンチ 19-976」は、本体材質にクロームバナジウム鋼を採用することで、優れた耐食性と耐摩耗性を備えていることが最大の特徴です。
全長は150mmと少し長めに作られており、手の平でしっかりと握り込むことが出来るため、硬い素材にマーキングする際など強めに打撃を加えることが出来るモデルとなっています。また表面にブラック塗装を施し、「STRAIGHT」のロゴがお洒落な工具でもあります。
次項から、オートポンチのおすすめをご紹介します。
ご紹介する新潟精機の「チップ付自動ポンチ AP-M」は、片手で簡単に素材に打痕を打つことが出来るオートポンチとなります。
ポンチ部分の先端に超硬合金のチップを配置することで、高い耐久性と耐摩耗性を備えており、さらに打力の調整機能を備えているのが最大の特徴です。
最大打力は294Nとなり、硬い鋼板素材でも楽にマーキングをすることが可能で、金工から木工作業まで幅広く使用することが出来ます。
筆者も実際に、このAP-Mを業務で使うためストックも合わせて2本を所有しており、どんな素材にも対応出来る汎用性の高さから重宝しています。
スパナやレンチなどのハンドツールの老舗メーカーであるKTC(京都機械工具)からもオートポンチがリリースされています。
ご紹介する「オートポンチ UDP-4」は、目印を打ち込みたい位置にポンチ先端をセットし、ハンドル上部のキャップ部分を押込むことで片手で簡単に目印を付けることが出来るオートポンチです。
打撃力の強弱を手元のキャップ部分を回すことにより、簡単に調整することが可能で、鋼板などの硬い素材から、ステンレスやアルミニウムなどの柔らかい素材まで、幅広く使用することが可能な汎用性の高いモデルとなります。
またポンチ部分には優れた耐久性を備えた炭素工具鋼を採用し、90度に設定された先端角度により、綺麗な打痕を残すことが出来ます。
ノギスをはじめ、レーザー水平器などの検査測定機器を製造、販売している「シンワ測定 株式会社」からもオートポンチがリリースされています。
ご紹介する「オートポンチ M 77317」は、ポンチは真鍮製で先端部分に超硬合金のチップを配置することで、高い耐久性を備えています。
本体サイズは全長130mm、外径が30mmと適度な大きさで、グリップ部分が丸く手の平にしっかりと収まるため、片手で楽に目印を打ち込むことが出来ます。またグリップ部分の一部が平らになっており、作業中にポンチを置いた際、転がるのを防止するようになっています。
藤原産業のオリジナルブランドであるSK11からリリースされている「オートセンターポンチ AP10」は、本体側面にローレット加工を施しており、指先が滑り難くしっかりとオートポンチを保持することが出来るモデルです。
ポンチの先端には超硬合金のチップを配置し、高い耐久性を備え、さらに打ち込み素材に応じて内部スプリングの強弱を変更することが可能で、硬い鋼板素材をはじめ、アルミニウムやステンレスといった柔らかい素材まで、幅広く対応することが出来ます。グリップ部分にはラバー素材を採用し、形状を丸くすることで、手の平にフィットし打ち込みがし易いように工夫がされています。
センターポンチを使用する際に使用する工具といえば、ハンマーなどがあります。少しだけご紹介します。
ハンドツールの有名メーカーであるKTC(京都機械工具)からリリースされている「ボールピンハンマ PH45-323」はスチール製のヘッド部分に、KTC社独自の熱処理を施すことで強度を出しており、欠けやへたりが発生し難いように工夫がされています。柄の部分は中空パイプを採用することで軽量化されており、振り下ろす際に適度な撓り(しなり)で確実な打撃力を発揮してくれます。
オレンジブックで有名なトラスコ中山からリリースされている「片手ハンマー TKH10C」は、柄の部分がカーボンファイバー製で作られているモデルです。ヘッド部分には炭素鋼を採用し、トラスコ中山独自の焼入れ処理を行うことでHRC(ロックウェル硬度)45~60を誇り、軽量で手にフィットする柄との組合わせにより、非常に使い易いハンマーとなっています。全長は327mmで、片手で十分に取り回しが出来るサイズで、センターポンチの打撃用ハンマーとして最適です。
今回ご紹介したセンターポンチやオートポンチのメーカーにつて、少しだけご紹介します。
新潟県三条市に本社を構え、1960年に創立されてから一貫して、ノギスやマイクロメーターなどの精密計測機器を製造、販売している専門メーカーです。また精密工具だけでなく、DIY向けの直定規や水平器などもリリースしており、その品質の高さから人気があります。
ウェブサイト:https://www.niigataseiki.co.jp/
スパナやレンチなどのハンドツールをはじめ、エアー工具や電動工具なども製造、販売しているツール専門メーカーです。特にハンドツール類の寸法精度は非常に高く、ネジやボルトを傷めずに作業が出来ることから、自動車やバイクのメンテナンスをされる方からは、絶大な人気があります。
ウェブサイト:https://ktc.jp/
先にご紹介した新潟精機と同様に、新潟県三条市に本社を構える「シンワ測定 株式会社」は、直定規やノギスといった寸法測定器具を製造、販売している専門メーカーです。加工現場で使われるサシと呼ばれる直定規などは、非常に有名で筆者も数本所有しています。どの製品も確実に測定が出来るように工夫がされており、使い易いのが特徴です。
ウェブサイト:https://www.shinwasokutei.co.jp/
センターポンチとオートポンチのどちらが良いのかと選択に悩まれる方も多いのではないでしょうか。簡単に選び方について、ご紹介します。
比較的素材硬度が高い鋼材などに打刻する場合には、センターポンチといハンマーの組合わせで、しっかりと打ち込みを行った方が、後々の穿孔作業でドリル先端がしっかりと固定されますのでおすすめです。
逆にアルミニウムやステンレスといった柔らかい素材に打刻する場合には、オートポンチの方が楽に打ち込みが出来ます。
どちのタイプを選ぶかは、打刻を打ち込む素材の材質によって考慮されることをおすすめします。
センターポンチは、どうしても片手にハンマー、片手にポンチといった具合に両手を使っての作業となり、決して作業効率が高いとはいえませんが、オートポンチの場合、片手でハンドル部分を押すことで簡単に打刻作業を行うことが出来るため、作業効率が高いのが特徴です。
打刻するポイントが多く素材硬度が低い時にはオートポンチ、打刻ポイントが少なく素材硬度が高い場合にはセンターポンチといった具合に、作業量の多さによって選ぶことをおすすめします。
センターポンチの種類やおすすめ7選、選び方などをご紹介しました。センターポンチやオートポンチは鋼材をはじめ、アルミニウムやステンレス、革製品などへ穿孔作業をする際に、非常に便利な工具で、素材を選ばずに打刻作業が行える汎用性の高さを備えています。特殊な焼入れ処理や超硬合金チップを配置したものなど、さまざまなタイプがありますので、ご自身の作業内容に合わせて選ばれることをおすすめします。