エアコンを使っていて、ぬるい空気しか出ないと感じたら、使用環境かエアコン自体に問題があるかもしれません。エアコンの効きが悪いと、必要以上に冷房力を使わなければならないので、電気代が気になることもあります。今回は、エアコンからぬるい空気しか出ない原因と対処法についてまとめました。すべて修理や交換が必要なトラブルとは限りませんので、ご自宅のエアコンはどのケースに該当するのか確認してみましょう。
目次
エアコンからぬるい空気しか出ない場合、自分で改善できる場合と、修理業者や買い替えが必要な場合の2種類に分かれます。エアコンからぬるい空気しか出ない場合、故障以外の原因も考えられます。
運転機能でエアコンが正常に作動しているか確認し、エアコンの設置環境やリモコンの設定温度も確認してみましょう。ここではエアコンからぬるい空気しか出てこない主な原因をご紹介します。
フィルターがホコリやカビで汚れていると、冷気がうまく部屋に行き渡りません。また、フィルターが汚れていると、異臭の原因になることもあります。しばらくエアコンを使っていなかった場合は、使用を再開する前に一度フィルターの点検をしましょう。
エアコンから生ぬるい空気しか出ないときは、「設定ミス」の場合が多いです。いつの間にかエアコンが送風モードや省エネモードに切り替わっている可能性がありますので、リモコンの表示を確認してみてください。
また、設定温度が室温より高いと、エアコンを冷房モードにしても、自動的に送風モードに切り替わり、ぬるい空気しか出てきません。涼しい空気を出すには、室温より「低め」に設定してください。
エアコンの容量と部屋の広さが合っていないと、当然エアコンの効きが悪くなり、冷えない原因になります。また、木造の部屋と鉄筋コンクリートの部屋では違いがあります。
木造の部屋は空気が外に逃げやすいので、エアコンが冷えにくくなります。8畳~12畳と記載されている場合は、木造は8畳まで、鉄筋コンクリートは12畳までという意味です。
畳数が少ないエアコンは安いので、あまり変わらないと思われるかもしれませんが、容量の少ないエアコンは冷えるまでに時間がかかったり、冷えにくく感じたりします。
また、室外機の周りにスペースがないため、室外機が故障している可能性もあります。空気の通り道がふさがれ、熱交換がうまくいかなくなるのです。こうなると、エアコンの能力が低下し、ぬるい空気が出るようになります。
よくあるのが、植木鉢や自転車、使っていない段ボールなどの物で室外機の周りをふさいでしまうパターンです。
また、室外機の周りには、風で飛ばされた枯れ木やゴミがたまることがあります。汚れがひどいと、室外機が回転しなくなるケースも考えられます。
室外機は、室内の空気を循環させ、熱を放出する役割を担っています。室外機に直射日光が当たると、熱が排出されず、エアコンから生ぬるい空気が出てしまいます。
熱がこもりやすい環境では、冷たい空気が吹き出しても、部屋の空気と混ざってすぐにぬるくなってしまうことがあります。また、エアコンを設置する部屋の天井の高さや窓の向きも、エアコンの効きに影響することがあります。
特に、直射日光が当たる部屋や西向きの部屋、屋上からの日射の影響を受ける最上階の部屋、他の部屋に左右を挟まれた南向きの中型機などは、熱がこもりやすいと言われています。
エアコンの設定や環境を確認しても問題がない場合、本体内部の部品や機器にトラブルが発生している可能性があります。
本体のトラブルはご自身で修理することはできませんので、業者やメーカーに修理を依頼する必要があるでしょう。
どのようなトラブルが起きているのかがわかれば、メーカーや業者への修理依頼もしやすくなります。そこで、エアコンからぬるい空気しか出てこない場合に考えられる故障をご紹介します。
エアコンは、「冷媒」というガスを使って空気の温度を変化させています。このガスが漏れてしまうと、エアコンからぬるい空気が出てしまうことがあります。
最近のエアコンは、冷媒ガスが漏れると、エアコン本体やリモコンにエラーコードが表示されることがあります。また、冷媒ガスが漏れると、室外機の配管接続部や室内機の内部に「霜」が発生します。
エアコンを15分以上運転した後に霜ができた場合は、ガス漏れを疑ってみてください。ガス漏れが発生した場合、ガスの補充が必要です。エアコンの修理業者にガスの補充を依頼してください。
冷媒ガスの漏れはめったに起こりませんが、エアコンの購入時や引っ越し時など、取り付けに不備がある場合が多いようです。
また、ご自身で室外機を移動させようとした際に配管が破損したり外れたりすると、そこからガス漏れが発生することがあります。
さらに、海の近くなど室外機が設置されている環境によっては、配管が劣化・腐食しやすくなり、穴が開いてしまうこともあります。
エアコンの調子が悪いときは、エアコンの寿命が近づいているサインかもしれません。エアコンの耐久年数は10年~13年と言われています。10年以上使用している場合は、エアコン自体が壊れ始めている可能性があります。
もちろん、使い方によっては10年以内に故障することもあります。エアコン内部のどこかの部品が壊れている可能性もありますので、業者やメーカーに相談するのが良いでしょう。
また、メーカーによっては、エアコンにエラーメッセージが表示されることがあります。エラーメッセージが表示された場合は、放置せず、エラーコードなどを調べてみましょう。
エアコンの風がぬるく感じるからといって、運転モードを「強」にするなどしてフル稼働を続けると、エアコンに負荷がかかり、故障の原因になることがあります。
エアコンのぬるい風が気になる場合は、放っておかずに対策をしておくとよいでしょう。ここでは、エアコンからぬるい空気しか出ない場合の対策についてご紹介します。
エアコンからぬるい空気しか出ない場合、エアコン本体の制御装置が故障している可能性があります。解決策としては、本体をリセットして再起動することですが、パナソニックのエアコンを例に見てみましょう。
まず、リモコンでエアコンをオフにします。次にコンセントを抜いて1分ほど放置し、再度コンセントを入れれば再起動完了です。リセット方法は各メーカーごとに異なりますので、お使いのエアコンの取扱説明書をご確認ください。
リモコンにリセットボタンがある機種もありますが、ほとんどの機種はリモコン内部にリセットボタンがありますので、上記の本体リセットとは異なります。
それでも改善しない時は、重大なトラブルが発生している可能性がありますので、専門家にご相談ください。
特に、室内機内部のフィルターは、ホコリやカビによる目詰まりを防ぐため、2週間に1度は取り外して掃除することをおすすめします。
また、熱交換器などフィルター以外の部品はご自身で掃除するのが難しい場合が多いので、エアコンクリーニングを行っている業者に依頼するとよいでしょう。
室外機の周りに物があると空気の流れが悪くなるので、付着したゴミを掃除し、物を置く場合は30cmほど離して置くようにしましょう。
室外機に直射日光が当たる場合は、室外機カバーやすだれなどを検討することもありますが、室外機を完全に覆ってしまったり、すだれを室外機に近づけすぎて設置すると、空気の流れを阻害することになります。
例えば、すだれを使う場合は、室外機から離して設置したり、前後を覆わない室外機を設置したりすると、空気の流れを妨げずに直射日光を防ぐことができます。また、早朝や夕方に室外機の周りに水をまくと、エアコンの効きがよくなり効果的です。
エアコンの冷気は暖気より重いので、部屋の下の方にたまりがちです。顔の周辺には冷気が来ないため、あまり涼しくないと感じることもあるでしょう。
涼しい空気を行き渡らせるには、サーキュレーターが効果的です。サーキュレーターは部屋の空気を循環させることで、エアコンからの冷気を部屋全体に巡らせることができて効率的です。
部屋の広さに合わないエアコンを使っている場合は、買い替えを検討することをおすすめします。部屋の広さに合っていないエアコンを使うと、「冷えるまでに時間がかかる」「部屋が冷えにくい」「電気代が高くなる」などのデメリットがあります。
畳数が多いほどエアコンの価格も高くなるので、初期費用は高くなりますが、畳数に合わせたエアコンで長い目で見ると節約になるのでおすすめです。また、10年近く前の古い機種のエアコンをお使いの方は、新しい機種への買い替えをご検討ください。
改善策を試しても改善されない場合は、冷媒ガス漏れや内部の故障など、ご自身では修理できない問題がある可能性があります。その場合は、専門の修理業者に依頼して修理してもらいましょう。
ただし、プロの修理業者に依頼すると費用が発生します。エアコン修理の相場は2万円程度です。故障の度合いによっては、5万円~10万円程度かかることもあります。修理するより買い換えた方が安く済む場合もありますので、必ず費用を比較してください。
エアコンは「家電リサイクル法」の対象となるため、処分にお金がかかります。家電リサイクル法とは、家庭から排出される家電製品から有用な部品や材料を再資源化し、廃棄物の削減と資源の有効利用を促進するための法律です。エアコンの処分方法は4つあります。
エアコンの引き取り方法は、各自治体によって異なります。一般的なのは、家電リサイクルセンターで「家電リサイクル料金」または「収集運搬料金」を支払い、戸別回収や指定場所への持ち込みをする方法です。
お住まいの地域のホームページで確認してください。注意点としては、自治体に回収を依頼する場合、エアコンの取り外しは含まれないということです。エアコンの取り外しは、事前に済ませておく必要があります。
また、自治体が許可した指定取引場所に直接エアコンを持ち込むことも可能です。この方法のメリットは、自分で運搬するため運搬・回収費用がかからないことです。
自分でエアコンを取り外す場合、かかる費用はリサイクル料金のみです。他の方法との違いは、リサイクル券の手続きを自分で行う必要があることです。他の方法と比べると少し面倒ですが、その分費用を抑えられるのは嬉しいメリットです。
家電リサイクルセンターのホームページには、回収を行う場所が開示されています。まず、処分先を決めたら直接連絡し、エアコンの「メーカー・型番・製造年」を伝え、日時を予約します。
予約が取れたら、郵便局へ行き、振込用紙と家電リサイクル券に必要事項を記入し、窓口やATMでリサイクル料金の振込みが完了したら、エアコンを処分場へ持っていきましょう。
エアコンは家電リサイクル法の関係で、不燃ゴミや粗大ゴミとして出すことができないので、不用品回収業者に引き取ってもらうことができます。
エアコンを買い替えるときはもちろんですが、引っ越しで不要になったなど、エアコンだけを処分したいときにも便利です。
また、不用品回収業者によっては、買取を行っているところもあります。リサイクル料金がかからず、安価にエアコンを処分できるケースもあります。
新しいエアコンを購入する予定で、家電量販店で購入した場合は、最も簡単な処分方法といえるでしょう。新しいエアコンを取り付けてもらうと同時に、古いエアコンを取り外して撤去してもらうことができます。
購入時の手続きは家電量販店で行いますが、実際に作業を行うのは外注の業者が自宅を訪問して行います。「有料回収方式」なので、リサイクル料金と撤去時の収集運搬料金を支払います。
お金を払ってまで処分したくないと思われる方もいらっしゃるかもしれません。では、壊れたエアコンでもリサイクル業者などに買い取ってもらうことは可能なのでしょうか。
中古エアコンの需要を観察してみると、実は中古エアコン市場は賑わいを見せています。世代差はありますが、中古家電に対する拒否反応はかなり緩和されています。
また、日本のメーカーが昔より高級品を考えるようになったことで、比較的安価に購入できるようになり、国内の中古家電市場は拡大し続けています。
日本のエアコンは海外でも人気があるため、国内では再販の可能性が低くても、リサイクル業者が積極的に海外に持ち出すことで利益を得ているのです。
つまり、中古家電市場が活況を呈している限り、エアコンは壊れていても買取してもらえる可能性が高いと言えます。いくらで売れるのか、一度買取価格を比較してみると良いでしょう。
エアコンが冷えない、ぬるい空気しか出ない原因は、ホコリが溜まって冷風が出にくい、室外機が汚れていたり、物が置かれていて空気の流れが悪くなっている、冷媒ガスが漏れている、などがありました。
自分でできる改善策としては、室内機と室外機の清掃、部屋の広さに合わない場合はエアコンの買い替えを検討することです。修理が必要な場合、相場は2万円前後です。
部品によっては交換に10万円ほどかかる場合もあるので、古いエアコンを使っている場合は買い替えを検討するようにしてください。
定期的に掃除するだけでも、運転効率の向上や電気代の節約になり、エアコンの寿命にも関わるので、月に一度はホコリ掃除をし、使わないときはエアコンカバーをかけてホコリの侵入を防ぎましょう。