ペンチは、工具の中でも一般的に名前が知られており、DIYをはじめ、家庭でも多く普及している工具です。その形状や種類も様々あり、どんな作業の時にどんな種類のペンチが適しているのか迷うことも多いと思います。そこで今回は、基本的な工具の一つであるペンチの種類や特徴について解説していきます。
針金や銅線を切ったり、物をつかんだりできるお馴染みのペンチ。1本で様々な作業を行うことが出来る便利な工具です。
針金や銅線などの材料を「曲げる」、「切る」、「挟む」、「ねじる」、「引っ張る」など多様な作業で使います。電気工事作業や針金加工、また板金の加工など様々な作業に使用されています。
ペンチの構造や操作箇所について説明します。
ペンチの先端は材料を掴む役割をする箇所であるので、「くわえ部」と呼ばれています。この「くわえ部」には横に溝が彫ってあり、材料を掴んだ時に滑りにくくなっています。
くわえ部の後に切断用の刃があります。刃の部分は強力な切断力があるので、銅線や太さのある鉄線でも少ない力で切ることができます。
刃の部分の途中に丸みのある形状をした穴があり、「ギンナン」と呼ばれています。この部分で丸い材料やナットなどを締めることも可能です。ちなみに文字通り食べ物のギンナンを割る事もできます。
ペンチには用途や形状により様々な種類があります。それぞれの使い方や特徴を見てみましょう。
最も一般的なペンチです。電気工事作業や木工作業、機械の部品の組立など多様な用途に使用されています。作業する箇所によっては、別の種類のペンチを使用した方が効率的な場合もあります。
・材質 | S45C、S58C-60Mなど |
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・適した対象物 | 針金、銅線、板金など |
・価格帯 500円~3000円位 |
ラジオペンチに似た形状ですが、滑り止め用の溝部分や切断機能が無く、さらに細かな作業に適しているので、趣味やクラフトなどにも使用されています。先端の形状はストレートと先曲のものがあります。ラジオペンチでは傷を付けてしまう心配のある素材でも丸ペンチであれば安心して作業を行うことができます。
・材質 | 鋼+PVC、316 ステンレスなど |
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・適した対象物 | Tピン・9ピンやワイヤーなど |
・価格帯 500円~2000円位 |
標準的なペンチに比べ先端部分が長く、狭い箇所や隙間の作業や細い針金などを加工する場合に使用されます。切断用の刃が無いものもあります。先端部分の形状はストレートと曲がっているタイプがあります。趣味やクラフトなどにも使用されており、一般的に多く普及しているペンチです。電子機器を扱う作業や小さな部品の組立などに適しています。
・材質 | S45Cなど |
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・適した対象物 | 鉄線、銅線など |
・価格帯 500円~1500円位 |
ペンチとしての機能だけでなく仮結線もでき、圧着機能が搭載されたペンチです。圧着端子と電線の圧着や、接続作業の際に使います。刃の部分に穴が空いているものがあり、ビニール線の表面を剥くことができます。また端子を入れる向きが決まっているため、圧着する時には方向の確認が必要です。
・材質 | S55Cなど |
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・適した対象物 | 端子・電線など |
・価格帯 2000円~7000円位 |
丸ペンチに比べて先端部分がフラットな形状で、より硬質な素材で作られているため、強い力を加えて曲げることが可能です。丸ペンチと同じく「ストレートタイプ」と「先曲タイプ」のものがあります。ステンレス製やセラミック製のものであれば錆びに強く、安心して使用できます。
・材質 | S58Cなど |
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・適した対象物 | 電線・鉄線、銅線など |
・価格帯 1000円~2000円位 |
主に電気工事の作業に使用されるペンチです。絶縁性のあるビニール素材でハンドル部分が覆われているため、通電状態下においての作業でも感電を防止し、安心して使用することができます。絶縁ペンチの中でも、通常のペンチと同様に様々な形状のものがあります。
・材質 | S58Cなど |
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・適した対象物 | 端子・電線など |
・価格帯 2000円~7000円位 |
ペンチを使う際には一方のハンドル部分に親指をかけ、中指と人差し指はハンドルの内側に置き、小指と薬指はハンドルの間にかけて使います。できるだけハンドルの先端の側を持つと少ない力で強い力を発揮することができます。
ペンチを選ぶ時は自分が使用する作業内容を明確にして、用途や作業に適したペンチを選ぶことがポイントです。
家庭でちょっとしたDIYや修理のために使用するのであれば、適度に力強い電工ペンチが便利です。電線や銅線も切断でき、材料を曲げる、固定するのに使いやすく重宝します。電工ペンチは先端が尖っていなので、叩く作業としても使用できます。
細い針金の加工や細かい作業には先端が細いラジオペンチが便利です。ラジオペンチの中でも長さや先端部分の細さに様々な違いがありますので目的にあったサイズのものを選ぶといいでしょう。
まず、初心者向けのペンチをご紹介します。
切断能力が鉄線では3mm、銅線では3.5mmという低価格ながらも高機能なペンチです。サイズ展開は、175mmと200mmの2種類があります。一般的な電工ペンチには見られない「簡易圧着機能」があるのも魅力。
神戸製鋼所製の鋼材を使用しているので優れた耐久性があり、スムーズに動くため、初心者の方にも使いやすくおすすめです。グリップも握りやすい設計がされ、開口部はスムーズに開くので抜群の使い心地です。
先端部分には、耐久性に優れた硬質な素材を使用しています。多様な細かい作業に最適です。バネ付ですので開閉も楽で効率よく作業を行えます。交換用のバネが5本入りなのも魅力です。
次は、プロ向けのペンチをご紹介します。
プロの方に多く愛用されている高品質のケイバ製の電工ペンチです。抜群の切断力があり、硬線でも直径2.3mmまで切断することが可能です。また厚手のPVC素材を使ったグリップには滑り止め加工が施されているため、握りやすく効率的な作業を行うことができます。
丁寧な研磨加工が施されているため、鋭い切れ味が特徴です。VVF線やケーブルだけでなく、銅線や鉄線も切断することができます。落下を防止するストラップが取り付けられるる穴がありますので安全に使用することができます。
•サイズ : 全長約27cm
•1.25mm・2.0mm・5.5mm・8.0mm・14mmまで対応。
• 型番: HS-16
電気工事作業や自動車の電装品の加工作業などに使用できます。リングスリーブ用の使用範囲としては1.25mm~16mmまで対応することが可能です。
次は、女性向けのペンチをご紹介します。
先端部分がフラット面になっているので、掴む、曲げる、ひねるなど多様な用途で使用することができます。クラフトなどの細かい作業の時でもパーツをしっかり掴むことができます。
グリップ部分の根元までカバーされているエラストマーグリップですので、滑りにくく握りやすい設計が施されています。本体部分には合金鋼を使用しているため耐久性に優れ、また表面加工により錆びにくく安心して使用できます。
ペンチは1本で多くの作業ができる便利な工具です。正しく使用し、安全に作業を行いたいものです。自分が使用したい用途に合ったペンチを選び、快適で効率の良い作業を行いましょう。